「なぁ。お前のじいさんアル中か何かなの?」
「失礼ですわねっ!!」
「いやだって、負けるとわかってる勝負に自国の領地を八回も賭けるだぁ?アル中よりマトモな解釈が有るんなら、是非ご教授願いたいね。」
「ーっ!!た、確かにおじいさまはゲームは弱かったですけど、自国のことを何とも思わない異常者では無かったですわ!!」
「あのなぁ....異常者じゃなかったらこんなことにはなんねぇよ。あれか?数打ちゃ当たると思ったんかねぇ....。はぁ~あっ!!先王さえマトモだったら、今より農林水産できたってのによっ!!やっぱステフのじいさんだな。そりゃ愚王と呼ばれても仕方ねぇよなっ!!」
「....もういいですわっ!!空の馬鹿!鬼畜!変態!!」
「はぁ。もうそんなん聞き慣れてるわ....。」
「アホ!間抜け!小心者!!」
「いやだから....」
「非モテ!非リア充!一生童貞彼女無し!!」
「ちょっとやめてステフさん!?俺のライフはもうゼロよ!?」(涙目)
「魔法使いとか自称して、『テ○ノ・ブレ○ク』とか詠唱して、白に羞恥晒しながら死ねばいいんですわぁ!!もう知らないですわぁあああああっ!!!」ダッ
「ゴハッ」(吐血)
「....にぃ!?死んじゃ嫌だよぉ....!!」(←とか言いながら抱き付く白)
「会話と全く関係の無い言葉でマスターをここまで追い詰めるとは....」
(はぁ....またこの展開か....)
先程、ジブリールによるルー○によって、東部連合建造『在エルキア大使館』付近に転移した私達。先王がやらかした事実を知ってしまった空が、図書館に帰還した後、先王への愚痴を溢してしまい、ステフが図書館から出ていくというシーンをご覧にいただいたわけですが....
なに?なんなの?事有る毎にステフが目の前から消えていくんだけど!?また読者さんに『ステフもっと出せやぁ!!何度言ったら分かるんじゃボケェ!!』って怒られちゃう!?
....ふふふ。だが、原作知識のある私には無意味!ステフが空達と離れるタイミングなど知っているのだよ!!
もう三度も間違えんぞ!!いざ行かん!!ステフの元へ!!
「すみません。空様。お嬢様をお送りしてきます。」
ふふん♪これでステフのところに行く口実が出来た!あとは走って追いかけるだけ....
「なぁ、シュウ。この先王の行為は、何かの布石なのか?本当に真面目な理由あっての行為なのか?」
その言葉に、後ろ髪を引かれた。
....というか、物理的に後ろ髪を掴まれてます。なんでや!?
「☆HA☆NA☆SE☆」
「おやぁ?マスターの質問に答えず、どこへ行くおつもりで♥️」
「あのなジブリール。人の髪は掴むためにあるんじゃないのは知ってるよね?」
「質問に質問を返しては相手に対して失礼だと、その頭に刻んだ方がよろしいでしょうか♥️」
「お前の場合は物理になっちゃうわ!!」
ハイ。二度あることは三度ありました。この図書館内において俺はジブリールの下にいるからね。逆らえないね!(泣)
「....それで、空様は先王様の意図がわからないと?」
「あぁ。ハッキリ言って自国をここまで追い詰めるのは、よっぽどイカれた奴くらいしかやらねぇんだよ。ステフの言う通り、先王が頭のネジとんでねぇマトモな人間だったら、ここまでしないはずなんだ。」
「ふぉっふぉっふぉっ。未だ先王の意図を掴みかねているのかね?定命の者達よ。」(←付け髭撫でながら)
「なんかいきなり偉そうになってんぞ!?」
「....というか、シュウも定命の者、だけどね....」
「私は寿命が無いに等しいので、あてはまらないかと♪」
「なんだか辛辣じゃのう....。まあよい続けるぞ。」
「あ、そのキャラまだ続けるのね....それで?何が目的か教えてくれよ....。」
「....教えてもよろしいかの?」
「あぁ。それを知らなきゃこの絶望的状況を受け入れらんねぇよ....。」
それを聞いたシュウは付け髭をはずし、神妙な顔をつくって再度尋ねる。
「....本当に教えてもよろしいのですか?」
「....何が言いたい?」
「いえ、先王がなぜ次期国王に『人類最強のギャンブラー』を望んだのか....それは、この状況を打破できる....いや、利用し尽くせる存在に、自分のできる限りの知恵を絞って打った布石を、継いでもらうためなのです。」
「コレが布石ぃ?どう考えてもこんなん....」
「一見そう思わせるのが先王の狙いだとしたら?」
「....。」
空が長考に入ったのを確認して告げる。
「私から出せるヒントはこれまでです。このようなことを考えるのは空様の仕事ですし。あなた方がこの国にふさわしい王か否か、その賭けの結果はまだ出ていません。ここで教えるのは反則になりかねません。そしてて何より....」
「RPGゲームや推理ゲームで重要な事ネタバレなんて、ゲーマーであるあなた方は認めないでしょう?」
◼️◼️◼️
軽く一礼して去っていくシュウの背中を見て、空。
「なぁ....白。やれると思うか?」
明らかに挑発ととれるシュウの言葉を聞いて、絶望的状況から可能性を見いだせるか、一抹の不安を覚える空に対し、白。
「....にぃが、そう思うなら、なんだってできる....よ♪」
『
「....じゃ、いっちょやってやるかぁ!!」
それを合図に、図書館の本をひっくり返し始めた空達を見たジブリールは、
「本当に、面白い種族にございますね....。」
人類の可能性を垣間見た気がした。
◼️◼️◼️
ひゃっはぁ!!シャバの空気うんまぁ~い!!
と、なんやかんやで外に出てきました。ご無沙汰しております。シュウです。
今は図書館から命からがら抜け出し、王城に向かって走っております。ま、理由はステフに追い付いて励ましの言葉とかかければ、少しは気が楽になるだろうと思っての事なんだが....
全然追い付けない。というか影も形も見えん。
何事かと聴き込みをしたら、どうやらステフは泣きながら全力疾走で王城に向かっていったとの事。陸上選手か何かか?というかなぜ走ったし。
まあ、というわけで、追い付くのを諦めて商店街を眺めながら歩いて帰っています。
ここらの様子はというと、空達が王様になってから、農業の効率が上がり、人々に活気が戻って今の商店街は賑わいを取り戻しつつあるぐらいでしょうか。ま、回復傾向にあるだけマシですね。
「よぉ!シュウ!元気にやってるかい?」
「えぇ。おかげさまで。」
「やぁ!シュウ!こっちに来て飲まねぇか?」
「まだ未成年なので無理です!」
「シュウ!彼女と仲良くやってるかい?」
「か、彼女なんていねぇし!!?」
「おっ。シュウじゃん!童貞卒業したか?」
「よし。お前表に出ろ♪久しぶりに....キレちまったよ....」
....とまぁ、軽口を聞かれるくらいにはなったな。以前は愚痴ばっかりで、ここに買い出しに行くのも億劫になったしね。
....久々に明るい雰囲気を取り戻した人達にあてられて、つい話し込んでしまった....もう日が落ち始めてんじゃん。そろそろ帰るか。
「すこし話が長くなりましたね。そろそろおいとまします。」
「おう。また来いよ!」
「....あっちゃー。何のために出てきたのかわからんな。」
夕日を眺めながら(メロスってどんな感じで夕日見てたんだろうな)と、全然関係ない事を頭に浮かべながら歩いていたシュウに、声がかかる。
「お初にお目にかかります。シュウ殿。」
「!?」
突然の呼び掛けと、聞いたことのある声色に驚愕を覚えながら、その主の方を見た。そこには....
「私の名は初瀨いの。
筋肉もりもりマッチョマンの変態がいた。
「....とんでもなく失礼な考えをお持ちのようですが、今は言及しないで置きましょう。」
(こ、こいつ....本当に心を....!!?)
自分の考えを図らずも当てられて身構えるシュウ。
(へーい。筋肉だ。悪かねえぜ....)
「そこまで身構えなさらなくてよろしいですぞ。今回は言伝てに参っただけにございます故。」
(あ、第六感働いてないね。知ってたら余裕だな。(←勝てるとは言ってない))
頭の中で続けざまにバカにされているのには気付かないまま、いのは懐から手紙を出し、シュウに差し出す。
「これを王に渡せ。それだけでいい。」
「....怪しいな。もし断ったら?」
「こちらには人質がおりますが、そいつがどうなってもよいと言うのなら構いませぬぞ。....連れて来きなさい。」
そうして他の獣人種に抱えられて出てきたのは、目を閉じて動かないステフだった。
「なっ!!?どうしてっ!!」
「どうしても何も、こちらに滞在する我が同胞の耳に、宣戦布告をほのめかす声が入ったものですからな。先に手を打たせて貰いましたぞ。」
「そうじゃねぇ!!何でステフが捕まってんのか聞いてんだ!!」
「愚王の孫娘と言うのは調査済み。挑発すれば簡単に乗ってくれましたぞ?」
「くっ....やりやがったな....」
「それで?手紙は渡してもらえますかな?」
「....そうすればステフは返してもらえんのか?」
「えぇ。もちろん。ですがその手紙が確実に渡されるとは限りませんからな。その確認が済んでから....」
「....それはできかねますな。今までこちらから送った書状に返事をしなかったあなた方を、信用できませんなぁ....。」
(いやそれ、お前らの部下のせいだよ!)
突っ込みを飲み込んで、上手くステフを返してもらうよう交渉する。
「なら....俺を盟約で縛って渡すよう誘導してくれ。それならそちらの好きなタイミングで渡せるぞ。これでいいか?」
「....まぁ。それでいいでしょう。では、八百長ではありますが、私が勝てば明日の十時頃に、この手紙を王に渡すことを命令する。あなたが勝っても何も得ない。これでよろしいですかな?」
「あぁ。さっさと済まそう。」
「ですな。それでは....」
「「
◼️◼️◼️
「はっ!!?こ、ここは!!?」
「あ、お嬢様!お目覚めになりましたか?」
「え!?あ、はい。大丈夫ですの。」
目を覚ますと、そこは自室のベッドの上で、隣には王城のメイドが、濡れたタオルを持って佇んでいた。だが、今はそんなことよりも....
「そ、それより!何で私はここにいるんですの!?私はゲームに負けて獣人種に捕まってたはずですわ!!」
「お、お嬢様落ち着いてください!わ、私はお嬢様が病気で倒れられたと聞いただけでそんな話は何も....」
「へ?病気?私どこも悪くないですわよ?」
「え?でも、執事のシュウからそんな風に聞いていたので....」
「シ、シュウが!?」
「えぇ。お嬢様を背に抱えて、『突然倒れなさった!』って、言って連れてきたんですよ?」
「....。」
「お、お嬢様?」
「ち、ちょっと行ってきますわ!!」ダッ!!
「あっ!ちょっ!?お嬢様ぁ!!?」
そうして部屋を飛び出し、シュウの部屋へ真っ先に駆け、ドアを開ける。
「シュウ!!」バァン!!
「お、お嬢様ぁ!?一体なにご....と....?」ドン!!
「怖かったですわぁ!もう....もう駄目かと....うっ....ぐすっ....。」
突然の事に驚いて振り向いたシュウの胸には、涙を流しながら抱き付くステフの姿があった。
「お、お嬢様。もう大丈夫ですから....。」オロオロ
「....ありがとうシュウ。あなたがいなかったら私は....」
「も、もしかしたらの話なんてよしてください。運が良かったんですよ。お互いに....。」
「そ、そんなことないですわ!!あなたがいなかったら....」
「そ、それよりお嬢様....。」
「な、なんですの?」
「そ、そろそろ離れてもらえないでしょうか....?」
「....。」
「お、お嬢様?」
「も、もう少し....」
「へ?」
「もう少し....このままで....」
「....。」ギュッ
「んっ....。」
「お、落ち着きましたか?」
「え、えぇ。ありがとうございますわ。」
そう言って名残惜しそうにシュウから離れ、ゆっくりとあげたその顔には、どこか覚悟を決めたような顔をしていた。
「シュウに....渡したいものがありますわ。」