「お?あんたが噂の巫女さん?」
突如として現れたにもかかわらず、むしろ来ることを知っていたかのように飄々と対応する空に、流石というべきか、巫女も特に気取った様子を見せることもなく応対する。
「そうや、あてが巫女。
「そうかいそうかい。でさ?写真撮ってもいい?いや撮る!!こんな美しい女人を取らずにいられるだろうか、いやいられないっ!!」
言葉とは裏腹に巫女の表情は獲物を狩る猛獣の双眸をたたえて笑っていたのだが、そんなのお構いなしにシャッターを切り続ける空。
「おや、口は結構うまいんやねぇ。でも、その口が二度と開けんようにしたるさかい、覚悟しいや?」
「ねぇ、なぁんでそんなに敵意剥き出しなのかなぁ?俺そんなに悪いことしたっけか?」
「自覚無い~言うんは流石に無理があると思うで?あての腸煮えくり返ってるんがこの顔見てわからんかえ?」
「ん~その表情は表情で結構映えるから特に気にしないけどなぁ...で、何かこの領土に忘れ物でもしたのかな巫女さん♡」
あからさまに巫女を煽っていく言動を放つ空に、ついに堪忍袋の緒が切れたのか、風を切るように一瞬で空に近づき、巫女は宣言した。
「これからあてら東部連合はエルキアに対して報復させてもらうわ。」
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どうも、ご無沙汰しております。シュウです。
いよいよ原作三巻最後のゲーム、『世界一物騒なコイントス』が始まろうとしています。ま、結果は原作を知っている人なら、結局は空の手の平の上ってことに変わりはないんですけどね。
場所は東部連合エルキア大使館前なのですが、道が石畳のようになっているので原作と同様にする様子。もし草原とかだったらコイントスにならずに別のゲームが見れたかも?
「シュウ、巫女様は報復なんて言ってましたけど、コイントスなんかで決めて本当に大丈夫なんですの?」
運の要素が強いコイントスをゲームに選んだことにかなりの不安を覚えているステフ。まぁ、気持ちはわからんでもないがな。
「大丈夫ですよ。空様が何の策もなしにゲームをしたことがありますか?」
「ないですわね」
即答とは...。ま、その意地悪であり用意周到な空の面は、ステフの中でちゃんと認められているということなのでしょう。
「だからこそ、大丈夫なはずですから。安心して見ていてください。」
「わ、わかりましたわ...」
うん、そんな空の面を知っていてもなお、不安な表情はぬぐえないみたい。理解はできても納得はいかないってこういうことを言うんだろうなぁ。
「まったく、我がマスターを信頼できないとは、それでもマスターの奴隷ですか?ドラちゃん?」
「奴隷になったつもりはこれっぽっちもございませんわよっ!!?」
「空は誰も犠牲にならねぇって言ってた、です。空の言葉に嘘のにおいしなかった、です。だから少しは信じろや、です。」
「う~!!わかりましたわよっ!!覚悟を決めますわっ!!」
頬をパンッと叩いて一喝入れたステフの表情は肝が据わったかのように堂々としていた。
「な、なんですの?そんなに見られると...は、恥ずかしいですわ...」
「あ、し、失礼しましたっ!」
やばい、ついステフの顔をじろじろを見つめてしまった。やっぱり女性って人の視線に敏感なんだなぁ...ま、あとは見守るだけで事は済みそうですし、静かにしていま...
【汝、本当に良いのか?】
ん?
【汝に利用された身とはいえ、築き上げた国を天運に任すような遊戯で決めなくともよいのではないか?】
なんだこの、脳内に直接語り掛ける...いや、流れてきているような言葉は?
【む、必然...か、汝程度の力ならそれも容易かろう...少し眠る。】
あっ、これって帆楼の言葉か!!アニメに帆楼出てなかったから声色で判断つかなかったけど多分そうだわ!!...つか声色まんま幼女...ゲフンゲフン!!というかなんで帆楼の声が聞こえてるんだろ?...あーあれだ!!フォルメリアが
【...む?同じ
あっ!感づかれた!?いや、ここでばれても...いや結構やばいぞ!?ほぼ完全に
(にゃ、にゃ~ん...)
【なんじゃ猫か...】
ふぅ、何とかごまかせ...
【って、有り得んじゃろ!?猫の
だよなぁ...さすがにバレ...
【いや、おったか...】
(いるの!?それって
あっやべっ!!思わず突っ込んじまったあっ!!うおお!俺の芸人魂が勝手にぃ!!
【いや、
(
【なんでも、猫の
(暇だなその神様!!?)
【身体性能を疑似的に再現することで種の性能を上げるのが目的だったのかの...】
(それが理由なら、意外な行動の割には理にかなっていたんだな...)
【む、ところでおぬし、なぜ
(へっ!?そ、それはだな...)
どうする!?このままだと最悪盤上の世界追放になりかねん!!?それは嫌だ!!元の世界に戻るのは元より、せっかくステフの元へ、夢にまでに見た二次元の世界に入れたのに帰ってたまるかあっ!!
...はっ!!確か帆楼は質問厨と恋愛厨に言われるくらいに概念的なことに関して質問したり思考したりする特徴がある!!ならばっ!!
(お、俺にもわからないんだよ...)
【そうなのか?しかしおぬしの魂には強大な魔力がかかっておるのは事実じゃ...それほどの魔力量を保有できるのは
そう、今の帆楼に人の嘘を見抜くことはできない...はず。だが今の段階で巫女様にバレたら嘘をつくことができずにすべて筒抜けになってしまう!!俺のことを巫女様に知られたらアウトだっ!!ここは...っ!!
(あ、すみませんさっきのは嘘なんです。)
【嘘?どういうことじゃ?】
よし、ここで最強の一手っ!!
(私は異世界から来たんです。)
【異世界...じゃと?】
秘技!!『正直に言う』だっ!!...え?さっきから嘘とかなんとか言って適当言って帆楼を騙す方針かと思った?いや、下手なこと言って勘ぐられて巫女様と帆楼のコンビネーションで畳掛けられたらそれこそジ・エンドだからな…それに、俺の出自は帆楼の興味を引く内容ではあるし、物語終盤まで帆楼は出て来やしないだろうから、それまで後悔の無いように過ごせればいいかな...うん。
【異世界...それはまことか?ここ以外の世界があるというのか?】
お、やっぱり聞いたことのない知識には興味を持ってくれるようだ。流石質問厨。食いつきはジブリール以上だなぁ。
(そうですよ。)
【これは...その世界とは何ぞ?この世界とどう繋がっておるのじゃ?おぬしはどうやってここに来たのじゃ!?】
あっ、質問厨の片鱗が見え始めたな。質問厨っていうより定義厨だけども...けど質問しまくってる点が強調されまくってたからね、間違ってはないだろう。
(えっと...フォルメリアっていう
【知っておる。あやつが元凶なのか?】
(まぁそうですね...あ、私のことは誰にも話さないでもらえませんか?)
【む?なぜじゃ?】
(いずれバレるのは分かってるんですが、もし今バレたら俺この世界にいられなくなるんです。)
【ほう、そうなのか...】
あれ?案外聞き分けがいいのか?キレたときは
【ならお前のことは他の個体に伝えんことにしよう。】
(ありがとうございます。)
【その代わり、お前の知識を話してもらう。よいか?】
(それでお願いします。)
交渉成立ッ!!いやー、前世の知識があって助かった...いや、
【む、そろそろ遊戯が終わりそうじゃの、しばし別れじゃ...】
(ではまた。)
...む、脳に違和感がなくなったな。こちらとの干渉を断ったみたい。ま、巫女に悟られないようにするには一番の方法ではある...か。
「シュウ?シュウ?どうしたんですの?」
「ふぇ?あっ!!すいませんお嬢様!!」
「どうしたんですの?さっきから呼びかけても返事がなかったし、何かあったんですの?」
あ、帆楼とのテレパシーに集中しすぎて周りが全然見えてなかったか...これは不覚。
「い、いえ、少々考え事をしていたんですよ。」
「考え事...ですの?」
「ええ、これから私たちに起こる何かを予想して...ほら、空様がこちらを向かれますよ。」
「はい?」
と、二人同時に空の方に意識を向ける。すると同時に空もこちらをくるっと向いてニヤニヤした顔でステフに向かって言い放つ。
「あ、ステフ。これからの事なんだけど、俺らは
「は、え!?それは空たちの仕事じゃ...っ!!」
「あ、じいさんとシュウもオマケでつけるから、よろピク♪」
「いやだから...っ!!」
「つー訳でジブリール、
「はい。かしこまりました♪」
「ちょっ!!?話を聞きなさいなぁぁぁぁぁ!!!」
「あ、ジブリール、質問の回答はまた今度な~♪」
「あ、マスター。このクソザルの口と耳だけ残して飛ばしてしまってもよろしいでしょうか?」
「だから怖えって...シュウはあっちに必要だから、ちゃんと送っとけよ。」
「...かしこまりました...。」
ジブリールよ。いくら俺をあっちに飛ばすのが嫌だからって唇をそんなに噛んで睨まなくってもいいだろうに...
そんなこんなで東部連合とのゲームは見事勝利を収めたが、これから起こる大仕事に頭を悩まさずにはいられないシュウなのであった。