「そ、それじゃあ...お願いいたしますわ...。」
と、俺の前で横になって寝そべるステフ。
...ふっ、ついにこの時がやってきてしまったか...。長かったな...いや、今までの苦労が報われたというべきか...。こういう元の世界では一生味わえなかっただろうリア充イベントを、この世界に来て経験することができるとは...思ってもみなかったな...。くっ、皆、すまない。ついに私は大人の階段を...リア充としての階段を駆け上がらせてもらおう!!
いざ行かん!!
「…。」
「…。」
なんだ?この後ろから何かが背中に突き刺さっているような感覚は...?
くっ!なんだか数が増えた気が...?気のせいだろうか?
なんだ?画面の前の紳士たちの視線なのかっ!!?やめろ...やめてくれっ!!俺は何も悪いことはしてないはずだっ!!...って、
「あれ?シュウ、どうしたんで...」
「うおっ!!?ば、馬鹿なっ!!?俺の《隠れる》技能が失敗しただとっ!!?」
「...にぃ、そわそわしすぎ。バレて当然...」
「やはりいらしたんですね...」
案の定、振り返った先の草むらからカメラを向けていたのは空と呆れ顔で兄についてきた白だった。
「だだだ、だって目の前でリア充イベントが起きてるんですよっ!?事件ですよっ!?今撮らないでいつ撮るって言うんですか監督ぅ!!?」
「...今、でしょっ...!!!」
「あああ、あなたたちっ!?いつからそこにっ!!?」
「愚問だな...最初からだっ!!」
「どうしてそんなに堂々としていられるんですの!!?覗きですわ変態ですわっ!!?」
「覗きは紳士の嗜み、そこにエロがあるというのならば、カメラを止めるわけにはいかないっ!!」
「そんなの紳士じゃないですわ!?紳士の面を被ったただの変態ですわよっ!!?」
「何と言われようとカメラを止めはしないっ!!さあ続けろっ!!何なら俺も混ざっ...」
ガサガサ…
「なんだ?またゲームやんのか、です?いづなも混ぜろや、です!」
「駄目ですぞいづな。もう少し大きくなってから経験することですぞ。」
「む、ゲームじゃねぇのか、です?」
「なっ!?いづなさん達までっ!?」
「おやぁ?こんなところで何をしておられるので?せっかくの海ですから、景色でも眺めながら私の質問に答え続けるというのはいかがでございましょう?」
「何で海にまで来てそれやらにゃいけないのかにゃー!?ふざけるのも大概に...」
「質問数が2万を超えましたが、本当に答えなくてよろしいので?」
...え?
「...はっ!!?2万!!?2000じゃなくて!!?」
「はい。20000でございます。早くしないと、残りの寿命を全て費やしてもらいますが...よろしいので?」ニコッ
「何その脅迫!!?言葉の裏に『殺しますよ♡』ってあるのが見え見えなんだが!?」
「そう思うのなら、今すぐ答えたほうが利口だと思いますが?」ニコッ
「ハイ、ワカリマシタ」
くっそぅ...2万とか頭おかしいだろ、あ、元からか。でも一週間とちょっとで2万とか...何かあったのか?
スタスタスタ…
「あれ?なんだ、止めちゃうのか。せっかくのリア充イベントが...」ブツブツ
「...ごめんね、ステフ...」
スタスタスタ…
「あ、あれ?置いてけぼり...ですの?」
■■■
どうも、ご無沙汰しております。シュウです。
空たちの計画により、夕刻まで巫女さんの血壊による疲労を白のモフりテクで回復しつつ、日光によってプラムの体力を消耗させる。その間、ジブリールの持ってきた質問大全集に答えているのですが...
「では、
「火の玉のような姿を想像していたのですが...。」
「あてもそれはわからへんなぁ。話したこともあらへんし。」
「つーかさ、
「それについてはボクがお答えしますぅ。大戦前は確かにそうでしたがぁ、今は『運用』、つまり力を借りているようなものなんですぅ。大戦以前、
とまぁこんな感じで、さすがに皆ゲームで遊ぶのも飽きたのか、質問に答え続ける俺に慈悲を与えてくださってるのか、それぞれの考察を述べあってくれております。いや、これ一つ一つの質問にこんな感じでやっていたら逆に時間がかかってしまうって終わんなくない!?と、思いきや、割と芋づる式に解決しているようで、質問の数がものすごい勢いで減っております。いやー、識者って貴重ですね~(白目)
「いづなよ、これは後にいい教育となろう。よく聞いておくのだぞ。」
「合点、ですっ!!」
「というか、毎回こんなことを聞かれて答えてるんですの?...もしかして、シュウって知識量なら私よりも上なんじゃ...?」
「あ、いえ、お嬢様。今回は皆様も加わって考察を披露していただけてる為、聞き応えのあるものになっておりますが、普段は聞くに堪えないものですよ?」
「その聞くに堪えない返答を聞き続ける私の耳がかわいそうで、涙が零れる次第にございます。」オヨヨ…
「なら、そのシュウにかけてる盟約を破棄したらどうなんですの...?」
「それはできません。図書館の本を利用するのは私の命を利用することに等しいことでございますれば、この程度の責務はこなしていただかないと♪」
「そ、そうなんですのね...。」
「今はあんまり利用してないのですがねぇ...。」
「私の命を利用した場合、一生をかけて償っていただかないと♪」
「そのようなこと盟約に決めてないんですが...。」
「うっ...やはりあなたの口調がそれだと気持ち悪ぅございますね。潮風が翼に絡みつく嫌悪感に加えて二倍増しでございま...うぷっ。」
いやー、普段ジブリールと喋るときの口調だと空達の前で失礼だし、メタ的な意味で言うと空の口調とほぼ一緒だから見分けがつかないのよね。台本形式ならやれたんだけども...。と、なんやかんや過ごしているうちに夕焼けが差したようで、
「...にぃ、夕陽が綺麗...」
「ん?おぉ...なかなかのもんだな...。」
「綺麗ですわね...。」
おまきれ
「ま、こういうんは海でしか見れへんやろねぇ。」
「ほう、これを綺麗だと思う感性...新しい発見にございます。」
少しの間、海の境界線に消える夕陽を眺めて...
「よし、もう日も暮れるし...帰るか!」
「...うん。」
「そうですな。いづな。帰りの支度を始めますぞ。」
「む、やっと海から帰れんのか、です?」
「そやね、帰ろか。はよ風呂にでも浸こうてさっぱりしたいわぁ...。」
「はぁ...あと少しでしたのに...残念にございます...。」
「さて、
「あなたたち何のためにここまで来たんですのよっ!!?」
「え?海イベントを回収するためだろ?」
「当然のように言われるとそんな気もしてきますがぁ...オーシェンド行きの迎えの船に乗るためにここに来てるんですからねぇ!!?」
「え?やだ。今じゃないともう帰る。いい子は陽が沈む前におうちに帰んなきゃいけないの。」
「そ、そんなぁ...」
「空が“いい子”だってことに突っ込んだ方がいいんですのっ!!?」
「と、いうわけで今から未来のおうちの一つになるオーシェンドへ向かう。んじゃ、ジブリール、やっちゃって♪」
「はい...うへへ~♪力を出すのはいつぶりでしょうか♡あ、そこのアホ猿、ここに立っていただけますか?」
「はいはい。ここ?」
「シュウ?あなたが平然とアホ猿って呼ばれて返事していることに疑問を持つ私の頭はおかしいんですの!!?」
「といいますか、ジブリールから名前で呼ばれたことは一度もありませんよ?」
「どれだけ扱い酷いんですの...?」
いや、さすがに10年も付き合ってたらこの扱いにも慣れるって。
「ところでジブリール。この立ち位置の意味...」
「それでは『天撃』...全力の5%ほどで行きますね♪」
その言葉と同時に、空間が胎動し、ジブリールの手に光が集まり、拡散と凝縮を繰り返しながら、一本の光の矢と形を変えた...って、ん?
「ちょちょちょ、ちょっと待ってジブリールさん!?それ俺に当てるつもりじゃ...っ!!?」
「では、死んでくださいませ♡」
「俺がお前に何をしたっていうんだっ...
次の瞬間、光の束が体スレスレの位置を抉り、圧力で体とともに意識まで吹き飛んでいった...。
「なあ、海を綺麗に割ると同時にシュウも華麗に吹き飛んでいったんだが、何で『天撃』撃てたんだ?」
「直撃はしておりませんので、風圧によるコラテラルダメージと捉えていただければと♡」
「やだこの子怖い」