と、言うわけで今回のビックリドッキリ刑罰はコチラ。
「メチャクチャいちゃついてフる。」でございます。
いわゆる「上げて落とす」ですね。古典的ながら効果は絶大な訳で、しかも水精を我が物にするライラにとってはフラれるなんてあり得ないこと。「目に入れてでも結婚したい。」とか、似たような事は散々言われてきただろうが、「眼中にすらありません。」と言われたことは一度も無いだろう。
何もかもを惹きつけてきた、それこそ視線すらも磁力のように引きつけ魅了させてきた彼女が、「あなたとは無理です。」と言われたら、それこそ仰天モノだろう。
その言葉を、今魅了されて傀儡になった様に振る舞う私の口から聞いた時、ライラの顔はどのような表情になるのでしょうか。あぁ、これからが楽しみでゲフンゲフン!
あ、これは決して私怨ではございません。えぇそうですとも。これはステフ教からの刑罰であり、ライラ様に厚生の機会を与える為にやっているのです。
断じてステフを出汁にして愉悦感に浸ろうとしているあのアマを天から地べたに這いつくばらしてNDKしたいわけではございません。出来れば地べたではなく地中に埋葬したいゲフンゲフン。
あくまでステフ教はステフ様を愛し、ステフ様に愛され、守り守られる為の宗教なのであって、刑罰はステフ様に愛される為に教訓を体にブチ込む為の処方箋。いわばステフ教徒による愛の鞭なのです。
さぁ、ステフ教徒であるあなたも鞭を取り、ステフ教をこの世の宗教とするのです。あぁ、この世にステフのあらんことを…。
と、いうわけで今は昼食を取っている最中なのだが、もちろん相席となっているのは今回の犠牲者ライラです。
ライラが口にしているのは海鮮パスタ。フォークを使うことに慣れていないのか、非常にぎこちない様子でパスタを絡め取って食べている。まさに作法を知らないお転婆お姫様といったところだろうか?ただ、周りの
…少なからず私の方に熱い視線が送られているのは気にしないでおこう…。
さて、皆さま。このシチュエーションで恋人同士がやりそうなことといったら何を思いつくでしょうかっ!?
私は2つ程心当たりがあるので、それを試してみようと思いまーすっ!都合がいいのか意図的なのかはわからないが、お嬢様が座るテーブルが私から見て左側にありますからねぇ!!絶対仕込んだだろライラァ!?でもグッジョブだ!やりやすくなったぜ!
今はライラの思惑「ステフに私とシュウの関係の差を見せつける。」という何ともみみっちい嫉妬心に溢れたモノに合わせてあげましょう。
では、参ろうか。
「ライラ、それ美味しい?」
「それ」というのはもちろん海鮮パスタ。先の件(キスシーンスキップ)の事を考えていたのか、若干の間があってから返事を返す。
「えっ?え、えぇ、美味しいわよ?…どうしたの急に?」
「どうしたもこうしたも、さっきから上の空で楽しめてなさそうだからな。ほら、頬にソースが付いてるぞ…っと。」
そう言いながらライラのほっぺについたソースを指ですくい取り、自分の口へ運ぶ。
「えっ…あ、ありがとう?」
「どういたしまして。ん、やっぱり美味しいな。」
突然の行為に驚いた様子のライラ。目を点にしてこちらの表情を覗き込んでいる。傀儡であるはずの私が自主的に行動を起こした事を不可解に思っているのだろう。
だが、その疑念は無駄に終わる。なぜなら…。
(なっ!?そ、そんな事をする仲にまでなってただなんて…っ!!)
隣の席にいるお嬢様の顔が引きつっている。フォークを持った手をプルプルと震えさせながら、こちらを凝視しているからだ。
そんなお嬢様の様子を目撃したライラが口角をスッと緩める。そして、先程まで私に向けていた懐疑心はどこへやら。瞬く間に猫をかぶって話しかけてくる。
「そ、そうよ!私が選んだんだから美味しくて当然だわ♪それとも…シュウは私の味覚センスを疑ってたのかしら?」
ニンマリと笑って、まるでお嬢様に見せつけるように、そして私に対してねだる猫のようにして会話を求めてくる。自分の計画通りに進んでいることさえわかれば、引っかかる行動をも無視して突き進むのだろう。やはり頭は
「疑っていたわけではないけどな。ただ、ライラの好みの味を知っておこうと思っただけさ。」
「あら?もしかして、もう手料理の下準備が始まっているのかしら?」
「ソ、ソンナコトハゴザイマセンヨ?」
「図星だぁー♪」
オメーにやるのは手料理じゃなくて手ほどきだけどなっ!!と、心の中でツッコミを入れつつ、恋人同士がやりそうなことの心当たりのもう一つをを試す。
「あ、そうだ。ライラの手料理も食べてみたいから、俺の好みをライラに知っておいてもらわないとなーっと。」
「えっ!?わ、私は料理は…ねぇ?」
ライラは料理が不得手なのか、苦い表情を示す。まぁ生粋のお姫様ならそういうこともあるのだろうが、今はそんな事お構いなしに進める。
…チラッと隣の様子を覗うと、お嬢様はもちろん、空や白、ジブリールやプラムまでこちらをじっと見ていた。空と白は次に私のとる行為の予想がついているのか、「まさかっ!?」といった表情をしていた。
「はい、あ~ん。」
と、自分のフォークに絡めたミート(魚肉)パスタを、ライラの口元に差し出す。
バンバンバン!!
…空が無言で台バンしているのは見て見ぬふりをしよう。
「え…あ、あ~ん?」
どうやらこの行為自体が何を意味するのかよくわかっていないのか、戸惑ってはいたものの、ライラはフォークの先を口に含んでパスタを、絡めとり、ゆっくりと咀嚼し始めた。
「ん…お、美味しいわね…それ…!」
素直に美味しかったのか、こちらのパスタを子供のようなキラキラした目で凝視する。
「だろ?将来はライラの手料理で毎日過ごすと思うと、俺はなんて幸せものだなと…」
「うん?そんなことは無いわよ?私はシュウの手料理で食べていくって決めてるから♪」
「ワーオ!」
子供みたいな目をコロッと変えて、いやらしく応えるライラ。どうだろう?私とライラは恋人同士に見えているだろうか?
□□□
その頃、隣の席にいる空達はというと…。
「あの、白さん?そろそろ砂糖吐きたくなってきたんで、この身内リア充イベントすっ飛ばしていいっすか?」
「ダ…メッ…!!」
「何でですか白さん!?いや監督ゥ!?こんな絵いくら撮ったって俺の脳内マイレージに1バイトすら保存しないのに、いつまでこんな非リア充危険地帯にいなきゃなんないんですか!?」
「…さっき、シュウのキスシーン、見たくなくって『スキップ』コマンド押したの…にぃでしょ…?」
「ぐっ!?ば、バレていたというのかっ!?」
「…にぃの隠し事、白に暴けないことは無いから…。」
「あの…白さん?その洞察力をもっと他の事に役立ててくれると、にぃちゃんとしては助かるかなぁなんて。」
「…却下。」
「ぐはっ!!」
「…あの時、キスシーンを飛ばしてなかったらもしかしたらクリアできてた。…なのに、にぃが飛ばしちゃったから、その機会失った…そうでしょ?」
「ぐっ、返す言葉もありません…。」
と、がっくりとうなだれる空と、単調に返事をする白であったが、
(…とは、言ったけど…。)
(あのままゴールインされるのはちと癪なんだよなぁ…。)
『
(…もしこのまま上手く行くのなら、
(だが俺らが手に入れたい…いや、こちら側に引き込みたい種族がもう一つある。そのもう一種族に合う理由として『ライラが惚れる条件』が使えるんだが…。)
(…それが『わからない』…つまりは『未知』の状態じゃないといけないわけで…。)
(シュウとライラ、今の二人が不可解な恋人同士であることが明白。だが本当の関係になる可能性もゼロではない。)
(…だから、『キス』、もしくはそれ以上の行為はスキップして流し…。)
(それ以下のスキンシップは『条件』の絞り込みに利用するため、観察していく。)
(…そして、もしシュウがにぃの設定したステータス変化…。)
(あの数値を利用してライラに近づいているのだとしたら…。)
((その理由を探る必要がある…。))
と、『
(ふぅ…何とかごまかせてたようですねぇ…。ボクだけ『スキップ』コマンドを操作していたら、怪しまれるどころかゲームセットでしたよぉ…。)
苦笑いを崩さずに、シュウとライラの様子を覗っているプラムの内心は、焦りと慎重が入り混じっていた。
(まさか一夜でこんな事になるなんて…ライラさんも大胆ですねぇ…。シュウさんの部屋に押し入って傀儡化するだなんて…。まぁ、空さんの設定で、個人の私室内の出来事が私でも観測出来ないように設定されているから、詳細までは見れませんでしたけどぉ…何にせよ、ライラさんの目的ははっきりしてますねぇ…。)
どうやらゲームの大部分の情報は得られる様子のプラム。それによってライラの目的は予想がついているようだが…。
(だけどシュウさんがライラさんを惚れされる可能性もゼロではないんですよねぇ…極力過激な行為は避けてもらわないとぉ…。まぁ、傀儡化されているなら心配はしなくて良さそうですがぁ…。)
(ライラさんの様子からして、自発的に動いてるようなんですよねぇ…シュウさんはぁ…。)
先程のシュウの思いつきのやり取りからいくらか察した様子。
(おそらく空さんがこっそり仕込んだあの数値を使ってライラさんに近づいているのは明白ですぅ…。おそらくライラさんへの報復でも目論んでいますねぇ…。)
(それをされるのは別にいいんですがぁ…。どうせライラさんを盛大にフる算段でしょうけど、結局ライラさんからフラレてゲームオーバーですぅ…。)
(でも、極力可能性は排除することに越したことはないですぅ。シュウさんがチートコマンドを使いそうならスキップしてお茶を濁していかないといけませんねぇ…。)
と、シュウを注意対象として警戒するプラム。その前に座っているジブリールはじっとシュウの行為を見続け、その隣のステフは…
(『あ~ん』ってなんですの『あ〜ん』って!!?私ですらシュウの料理を味見する時は自分のスプーン持ってくるのになんですの自分のフォークを差し出して『あ〜ん』って!!?なんなんですのこの気持ちはぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!)
内心荒ぶっていた。
□□□
よし、多分恋人同士に見えてるな!お嬢様が俯向いているのが恐ろしいほど心を痛めるが、報復の為だ、今は見て見ぬふりだ。
空様は荒ぶっている。気持ちはわかる。身内の友達(男)がイチャイチャしてるところなんて見たくないだろうからな。
…なんかジブリールが物凄く凝視してるのはなんでだろう?凄い気になるんだが…。
まあ、結果は上々だろう。さぁ、後は落とすだけ。あなたのプライドをへし折ってくれようぞ!!
「なぁ、ライラ。」
「うん?なに?」
取り留めの無い話をしながら食事を続け、そろそろ食べ終わる頃にライラに話しかける。声色の変化に気がついたのか、少々真面目にライラが返事をする。
「今日の放課後、伝説の珊瑚の下で待っててくれないか?…話したい事があるんだ。」
■■■
伝説は終わることなく語り継がれ、その伝説はかくありきと形を残して人々を魅了し、畏怖させ、何かを、伝説以上の何かをもたらさんとする。
伝説は伝説を起こすのではなく、その先の奇跡を起こすものだと、誰かが言っていた。
その誰かはきっと、奇跡を起こした人物なのだろう。
さて、私は奇跡を起こせるのか…。
起こしません
ただ伝説を利用してライラのプライドを地獄の底へ蹴り飛ばすだけです(真顔)。
と、言うわけでやって参りました『伝説の珊瑚』。とき○もの『伝説の木』に比べたらまぁ違和感満載ですが、珊瑚単体で見たら非常に立派な形をしています。近くで見たらグロテスクでしょうが、遠くから見れば伝説と謳われてもおかしくないでしょう。
さて、放課後まで特に何もなく(授業の殆どは空の倫理規定に反してた為スキップ連打で)過ごしましたが、ちゃんとライラは来てるかな…。
…チラッ
…ジーッ
…所々から視線を感じる。恐らく告白の話を聞きつけた
仮にも校内トップの美女として君臨してるライラに告白の話が上がったわけだ。しかも、その告白にライラも乗り気と来た。そりゃ集まるに決まっている。
そんな中、伝説の珊瑚の下へと向かう。そして…。
「シュウ!!」
珊瑚の陰に隠れた人物が姿を現し…って、ん?この声は…?
「ス…お、お嬢様!!?」
後ろの方から追いかけてきたのは、何とステフだった。突然の事に一瞬だけ演技を忘れそうになるほどだった。
「はぁっ…はぁっ…!!」
「どどど、どうしたのですか一体!?」
直前まで迷っていた為か。直前になって、肩で息をするほどにまでがむしゃらに走ってきたのだろう。
「や、やっぱり…おかしいと思うんですの!!」
「お、おかしいっとは…何が?」
「一日で私との関係まで変わるほど、シュウがライラさんに惚れるわけありませんわ!!だから私気づいたんですの!もしかしたら、シュウは操られてるんじゃないかって!」
「あ、操られてなどいませんよ?」
正直このまま演技を続けるべきか非常に悩む、想定外の出来事でございます。誰か助けてぇ!?
「…そう、ですの…。でも、私、それよりも前に気づいたことがあるんですの。」
「え?」
「私の…本当の気持ちに…。」
メメメメ、メーデーメーデーメーデー!!ちょっ待ってステイ!!いや助けは早く来てください状況が全く読み込めませんんん!!?本当の気持ちって何だ!?一体何なんですか教えて偉い人ぉ!!?
「だから、私、伝えますわ!!本当の気持ちを、ここでっ!!」
(ま、まさか、シュウを正気に戻すために説得を…!!?)
(…にぃ。それ鈍感じゃなくて無感の発言だと思うよ…。)
(え?)
(あんた…それ冗談で言うてへんのなら、一度女心ちゅぅのを学び直した方がええで?)
(冗談で言ってないの分かってていってますよね巫女さん!?というかそんなに言うなら女心を教えてくれやオウコラァ!!)
昼食後に合流した巫女と空が激を交わす。それを傍らで見てたいづなが、
(女心ってなんだ、です?うめぇのかそれ?)
(…いづなたんにはまだ早い。ジブリール、目隠し。)
(…か、かしこまりました…。)
どこか調子が悪いのか、気の抜けた声で返事をしながら、いづなの目元を手のひらで覆う。
(むぅ!?何しやがるんだ、です!?)
(も、申し訳ありません。白様の御命令でございますから…。)
(うん?…おめー、一体どうしたんだ、です?)
普段から高圧的な態度を取るジブリールが謝ってきたことに疑問を抱いたいづなが問いかける。
(なんでも…ございません…。)
(???)
ジブリールからただならぬ何かを感じ取ったいづなだが、そのが正体は結局よくわからなかった。仕方なく耳に意識を集中させて、事の成り行きを探ることにした。
驚く聴衆の中、固唾を飲んで何かを言おうとするステフと、何がなんだか状況が掴めていないで脳内真っ白状態のシュウ。何やら別のイベントが起こっている。そう確信した聴衆は、ひっそりと二人の様子を見守っていた。
ただ、一人を除いて。
「あら?私達の邪魔をするのは誰かと思えば、ステフさん、あなただったの。」
珊瑚の陰から現れたのは、水精を統べる女王、ライラ。普段の素振りとは打って変わって凛々しい佇まい。だが、その目は絶対零度に等しいほど冷たく、ステフに敵意すら見せる目だった。
「ま、そこで見てるといいわ。邪魔したことは許さないけど、むしろ好都合になったから♪」
「な、何を言って…っ!!」
ライラが手をかざすと同時に、私とステフとの間に水精の壁が出来あがる。
「ーーーーー!!!」
ステフの口が動いているものの、その声は聞こえていない。
「そこでじっと見ているといいわ♪私達の愛の始まりを…ね♪」
ライラがその言葉を言った途端、ステフの表情が消えた。恐らくこちらからの声は通るようにしているのだろう。そして、ライラがこちらに向き直り、小声で話しかけてくる。まるで打ち合わせをするかのようにヒソヒソと。
「さぁ、盛大に告白しなさい♪あの女が絶望するくらいに♪」
はい。死刑確定でございます♪
堪忍袋の尾がついに弾け飛び、刑罰の時が幕を閉じる準備を始める。上げて底を突き抜く程落として差し上げましょう♪
さぁ、『告白』コマンドを押して、いざ!
「俺…ライラの事…。」
「うん♪」
「全然好きじゃねぇんだわ。」
「うん♪…うん?」
「「「はいぃ?」」」
聞いた全員が唖然とした。今コイツは何を言ったんだ?と。
『好き』という言葉に条件反射で『スキップ』コマンドを押そうとしていた空達すら耳を疑った。
「え、えっと、シュウ?今なんて…。」
「うん。オメーのこと、別に好きでもなんでも無ぇって言ったの♪それじゃ、言いたい事はそれだけだから、じゃあね♪」
そう言ってライラに向かって軽く手を振り、ステフの方へ向かう。あまりの動揺のせいか、ライラが作り出した水精の壁も無くなっているようだ。
「ちょちょちょ、ちょっと待ちなさいっ!?話が全然違うわ!?」
「はいぃ?『話』ぃ〜?なぁんのことですかぁ?ww」
「えっ!?」
「さ、お嬢様。こんな娘は放っておいて、帰りましょうか。」
「へ?えっ?…し、シュウ。正気に戻ったん…ですの?」
「元より正気にございましたよ?ライラ様の事を探るためにあのような真似をしておりましたが、正直あの脳足らずとこれ以上話すのは耐えられのうございました。」
「え…演技だったんですの!?」
「はい。その通りにございます。いやはや、お見苦しい所をお見せしました。申し訳ございません。」
「そ、それならいいん…ですけど…。」
どうやら少々納得の行かないステフ。あ、そういえばライラがステフをコケにしようとした事をステフは知らないのか!…何とか説明しないと…。
「おーい!シュウ!!」
と、ステフに説明しようとしたところで、空達が駆け寄って来た。
「一体全体どうしたってんだ!?盛大にフってぷぎゃー出来たのはいいが、その後フラれてゲームオーバーだぞ!?」
「あー、そのことなんですが…。」
説明すると長くなるなぁ…と、言葉を選びながら話そうとすると、空の後ろの方から声が上がる。
「あー、実を言うとですねぇ?シュウさんを傀儡化してステフさんを陥れようとしたライラさんに報復する為にぃ、あんな演技を続けてたんですよねぇ?まぁ、ゲームオーバーになるのは承知の上っぽかったですがぁ…。」
「あ、あ〜、なるほど。あの変な服装が洗脳から守ってくれたって訳ね…。」
言いたいことを要約してわかりやすく話すプラム。その言葉を聞いて、どこか納得の行った様子の空。
「…でも、あんたがここに居れへんのやったら、もう守れへんとちゃうん?」
一緒に事を見守っていた巫女が、今後の事の指摘をする。その言葉を聞いてステフは一瞬にして表情を失った。空や白もどうやらその事に気がついていた様子。
だが…そんな心配は御無用である。なんせもう終わりなんだからな!!
…ん?終わり?なにが?
「え?あ、あれ?ちょーっと待ってくださいねー?」
「え?待つって何をだ?」
困惑した表情をする空達に返事ができない。先程まで暴走していた思考回路が一瞬にして氷漬けになったからだ。そして、今の現状を聞き出す。
「え、えっと…もしかして…フりました?」
「お、おう?皆の前で盛大にな?」
…れれれ、冷静になれ。恐らくまだ挽回で…きねぇ!!?巫女さんといづなたんがいる前でとても嘘なんて通るはずがねぇっ!!
あれれぇ?おっかしいぞぉ?朝のうちにこのエンド想定してたのにどうしてこうなっちゃったのかなぁ?…自分の私怨のせいだよ畜生っ!!…あーもー、理性って大事だなーと、痛感しました。ハイィ…。
あぁ、というわけで、この物語ももう終わるのかぁ、そっかぁ…。二次元に来て18年とちょっと、楽しかったです。後悔しかない(泣)。
「あー、詰んだわコレ。」
「はぁ!?シュウ何を言い出す…んぁ!?」
空が、問正そうとしたその時、夢の空間に亀裂が生じた。
「な、何が起こって…」
『プププ、プラム様ァ!!!』
突如、空間に響き渡ってきたのは
「えっ?ど、どうしたんですかぁ!!?」
『そ、それが…女王様の氷が…割れそうなんですぅ!!』
「「「「な、なんだってー!!?」」」」
その言葉が響き渡ると同時に、目の前は真っ暗になった。
■■■
「っはぁ!!…おいシュウ!?『詰み』ってどう言う…って、何してんだ?」
ライラの夢から覚めた空は、シュウの方へ真っ先に視線を向ける。そこには…。
「…はい。えっと、ライラ。あなたから貰った全権。そっくりそのまま返します。ハイ。受け取らないといじめない。オーケー?」
「はいぃ♪貰いますもらいますぅ♪だからもっと、もっと強く殴ってぇ♪」
膝を抱えて俯きながらライラの頭にチョップを入れ続けるシュウと、その力加減に満足できていないのか、快楽で崩れた顔のまま要求をするライラの姿がそこにあった。
(あー、ライラチョップしたらタイムスリップとかしないかなぁ…。)
「じょ、女王が…起きた…。」
「そんな!?」
「嘘…ですよねぇ?」
信じられない光景を目の当たりにして目を見開く一同。だがその中で、空だけがひどく冷静だった。
「おい。シュウ。」
「…はい。」
あまりに真面目なトーンでシュウに語りかける空の様子に2度驚く一同。しかし空は気にも止めずに進める。
「…その台詞、あー、『全権』がどーのこーのってやつ。俺が言った台詞なんじゃないか?」
「…えぇ。そうですよ。」
「…え?な、何が起こってる…の?」
「あーうん。白、掻い摘んで言うと、シュウは転生者だ。しかも、とびっきり厄介な。」
「て、転生者!?それって空達と一緒の!?」
「えぇ、まぁ、そうですね。もっと正確に言うのなら…。」
「『原作知識持ちの転生者』…と言ったほうが正しいかと。」
■■■
ポクポクポク…
「あいたっ♥あいたっ♥あいたっ♥」
ポクポクポク…
「あん♥あん♥あん♥」
ポクポクポク…
「はん♥はん♥はん♥」
チーン…
「ああああああああああああん♥」
この小説は不健全です。
どうも皆様。ご無沙汰しております。シュウです。
現在水槽から頭を突き出したライラを木の棒で木魚の様に叩いて昇天させるという日課をこなしております…自宅で。
というのも、あれから空の方から
『…俺たちの元いたような世界からこっちの世界に来ただけなら盛大に歓迎したんだが…『答え』を見ながらやる『問題』はただの作業にしかならないんだ…。悪いが、俺たちの『ゲーム』に極力関わってほしくない。今までの助けは感謝しているし、シュウがいたからこそ出来たこともあった…が、…あー、この世界に来ただけでも、満足しちゃくれねぇか…?』
という言葉を受け、まぁ俺もそれを了承したわけだ。空の最後あたりの台詞で苦い顔をしていたのが何とも言えなかったな。同じような世界から来たという境遇からか、同情という優しさが空のゲーム攻略の目的と葛藤していたのかもしれない。
もちろん、ステフの表情も忘れられなかった。が、空との盟約により、空の関係者と話すことを完全にとは言わないが禁止されてしまった為、何もできなくなってしまった。
生活は父の給料と、特別待遇というべきか、城から給付金が届いている。自宅待機…もとい、監禁のようなものだがな。
『よっぽどの事…まぁ、俺ら『
…それってもう後はないってことですやん。
うん、まぁ、いつかボロを出すとは思ってたけど、意外に早かったなぁ…。というかステフに好意すら言ってないんだが、行為すらしてないんだが…あ、この小説は不健全です。
いや、ステフの事を諦めている訳じゃない。ただ、解決策も何も浮かばずに、ここ数日自宅でライラをいじめる事しかしていない。ライラは『ダーリンにいじめられる為ならどこへでも!』と言って自ら水瓶に身を入れて宅配で送られてきました。その行動力だけは評価したい。空すらも説得しきれずに折れたらしいし。
宅配と一緒に来た手紙には『余計なことは教えるなよ?まぁ、こいつの頭なら問題は無いだろうがな by空』と書かれていた。知能テストの結果、問題無いと判断したらしい。ある意味信頼されているようだ。
ちなみに母さんにはライラの事を『退職金と一緒にもらった
母さんには『色々しでかして退職した。』と伝えて、
『うーん、ステファニーちゃんを無理矢理襲っちゃったかぁ…。』
と、コメント。被告はこれを否定している。
まぁ金銭的な面は負担されているからまだいいが、『シュウちゃん。今はゆっくり休みなさいね。』と、言ってくれた。母さんマジ女神。
と、まぁ現状を話すとこんなとこだろう。いやー、異世界に来れたと言うだけならまだしも、いよいよ目的が達成できなくなってしまった。今のところ詰みである。
「はぁ…どうしようかねぇ…。」
このまま別の事でもしようか…それともまたステフと一緒にいたいが為に策を講じ続けるか…。今は原作5巻辺りが終わったあたりだから、もうすぐ7巻か?しかし
「…まぁ、俺が出る幕無さそうだなぁ…。」
と、水瓶の中でアヘ顔晒しながら昇天(気絶)してるライラを『見慣れた光景だ』と流しつつ無表情で見つめている(この行為すらライラは喜びを感じているらしい)。
「あー、心にポッカリ穴が空くってこういう事なんかねぇ。」
いつも通りの日常を、無くして初めてそのありがたさに気づく。よくあることだな…。
とかなんとか思っていると、
「ファッツ!?」
(いきなり水瓶が泡だらけに!?ななな何が起こった!?)
若干放心状態だった俺の目の前で、水瓶が突如として泡で真っ白になった。その拍子に意識を取り戻し、辺りを見回す…その原因を起こしたのは…
「探したにゃーよー?人類種?最近ジブちゃんの事放って置いて、どぉーこで遊んでるかと思ったら、おうちでこんな魚と遊んでたにゃ?命は惜しくないのかにゃー?」
片足を水瓶に突っ込み、俺の方を睨みつけながら、ライラをさも当然のように踏みにじっている。ジブリールよりも複雑な光輪と角を頭に携える、特徴的なオッドアイの
「ア、アズリール=サン…。」
『十八翼議会』議長にして最終決定権者『全翼代理』、天翼種が一翼、アズリールであった。