出会いとは、人と人とが接点を持つことである。話すことができることである。電車の中で見かけた人を”出会った”と認識するだろうか。いや、しないだろう。赤の他人だと。無関係の人間だと。無意識に思考から切り落とし、余分な情報を排除する。それが普通だ。
出会いは偶然に起こるものと言われる。が、この原作でも述べられるように、運など存在しない。出会いは必然であり、確定事項なのである。ただそれを、美しく飾っただけの口実は、なるほど、とても気分が高揚し、普段ない判断を可能とし、突き進むことができるだろう。その運命の相手とやらが、この世界の住人でなかったとしても…?
「まずは、国王にご挨拶いたしましょうか。」
「えぇ。」
「案内しますからついてくるように。」
「はい。」
さて、ご無沙汰してます。シュウです。やっとのこさ執事になることができました。ま、合格はしたんだが、大きな要因は執事長を口説いたってことなのよね。これジブリール要らなかった説あるかも?...こんなこと言ったら殺されかねんな黙っとこ。
次は国王とのイベントだ。これは重要だぞ。なんてステフのおじ様だからな!なぜか両親の存在は不明だから、お義父さんやお義母さんに会えるかわからんが、国王は確定でステフに関係する人物。しかも、原作ではかなりの重要人物にあたいする。これはいかなる方法を使ってでも、好印象与えてやらぁ!よぉし、また口説き落としてやるよぉ...へへへ。
...何で男口説いてんだろ。
「着きましたぞ。では、入る前に三点ほど注意を。」
「一つ。国王様の前で失礼な態度は取らないこと。これは基本ですね。」
「二つ。国王様の王政に余計な口出しをしないこと。私めには、国王様のお考えは分からないのが正直なところですが、国のために何かを成そうとしておられるのはわかります。どうか、信用なさってください。」
「三つ。国王様は今横になってお休みになっております。といっても、就寝なさってるわけではないのですが。王政とクーデターにより多忙を極めているが故。少々お疲れ気味なので気を付けるように。」
「承知しました。」
コンコン
「国王様、執事長にございます。」
「...よいぞ。」
「「失礼します。」」
ほう、アニメで少しだけ描写されてたが、トランプカードに描かれたキングそのもの。風貌も雰囲気も王様って感じだ。これなら執事長が惚れるのも分かる。
「彼は何者かな?」
「は。私は本日より執事として従事させて頂くシュウと申します。これから、よろしくお願い致します。」
「そして、ステファニーお嬢様の貞操を狙う不埒な
「ほお。そうかそうか。」
....................。
「「は!?」」
「貴様、我が孫の貞操を奪うだとぉ!?」ガバァ!
「おい!執ジジィ!てめぇなんてこと暴露してやがるぅ!!」
「暴露と言うことは執事長の言ったことは本当なのだなァ!」
「ちっがいます!ステファニーお嬢様をこれから起こる不幸から
「えぇ。他の男に犯されるという
「貴様ァ!!我が孫の意思を無視してレ○○する気でいるだとぉ!?許さん。許さんぞォァ!!」
「おおお王様ぁ!お気を確かにっ!キャラがブレブレですぅっ!つうか執ジジィ!火に油注ぐような真似してんじゃねぇぞゴラァ!!」
「そうそう、お嬢様の花園に練乳を注ぐのが通過点だと。」
「Foooooooooooooooooooooooooooooooooo!!!!」
「ちょ!?目が光ってらっしゃる!?アカン盟約通り越して殺されるぅ!!というか執ジジィ長てめぇ少し黙ってろよ!!誰がスピリタス注げって頼んだよ!?」
「だから先ほど盟約で縛って置けといったではないですか。」
「まさか王様の前で暴露するとは思わなかったわ!!しかも内容ぶっ飛ばしすぎだろうが俺ただの変態糞野郎になるだろうが!!」
「はて?そう宣言してませんでした?」
「してねぇわ!!?そんな残念頭に問題です!先ほどあなたがおっしゃった三つの注意点を守れていない人物がいますさぁ誰か自白しろやぁ!!」
「王様でしょうか」
「そりゃ王様自身は聞いてもいないし聞いててもできねぇだろうがそんな頓智めいた答え期待してねぇよ!正解はあんただよォ!!とんでもない爆弾落としやがってぇ!!」
「ありがたき幸せ。」
「ほめてねぇよ!!?てんめ王様に頼んで貴様の尻の穴開発させて新たな扉開かせてあげましょうかオウコラァ!!」
「望むところですが?」
「いいのかよ!?もうヤダこのゲイ執ジジィ長ォォ!!」
「...って、王様は!?」
「....」グッタリ
「「気絶してらっしゃるぅ!!?」」
「本当にっ!本当に申し訳ありませんでしたぁ!!」
「まあ、反省しているならよい。」
「ありがたきお言葉です!」
「して、先程の事はどこまでが真実かな?」ゴゴゴ
「すべてあの執事長の狂言にございます。」
「本当かね?」
「盟約で嘘を縛られても同じことを話すでしょう。」
「そうか。」
「まあ、あの執事長はこの盟約を受け入れずに出ていったのが何よりの証拠かと。」
「そのとおりじゃな。全く、あやつめ...。」
本当にな。いくらお茶目な面があるとはいえ、あれはやり過ぎだろう。ステフのことを気にかけていると言っただけでここまで飛躍した解釈を御披露目するとは、いっそ清々しかったな。許しはせんが。
「して、シュウよ。なぜこの愚王のもとに来たのだ?」
「は。私はこれから起こる厄災による被害を出来るだけ抑えるよう尽力する次第にございます。」
「それは、この愚王による王政を止めるということか?」
「いえ。そのつもりはございません。」
「ならばそなたの心意気もここまでのようだな。悪いことは言わん。ここからさるのじゃ。」
「なぜ王様は愚王と自身を罵るのでしょうか?」
「この結果がすべてを物語っておる。今ここで働いている従者は、わしを盲信した者しかおらん。わしはそのものらに哀れな慈悲と結果しか渡せておらぬ。」
「それでよいではないですか。」
「何故じゃ?」
「何故なら王様やっていることは正しい事だからです。従者のかたも、盲信などではない、ハッキリとした王様への信頼があるからこそ、今も支えとなることに何の疑いなく従事しているのですよ。」
「じゃがわしは裏切るばかりでなにも...。」
「えぇ。今の王様では、このゲームは勝てないでしょう。」
「...っ!?」
「しかし、王様はもう勝利への道が見えておられるはず。それをあとは行使するのみです。」
「シュウ。お主、どこまで知っておる!?」
「何も。ただこうあったらよいなという予想から述べているだけです。もしそうだったとしても、私にその役目は果たせません。私はただの執事ですから。」
「...そうじゃな。」
「ご期待に添えぬこと、誠に申し訳ありません。」
「いやよいのだ。理解者がいるだけで、わしは幸せ者じゃな。」
「ありがたきお言葉。」
「...ときにシュウよ。我が孫を、ステファニーをお主に託してもよいか?」
「...申し訳ありません。私は彼女に振りかかる厄災を、振り払うことを心に誓った身。幸せを届ける程には至れません。その願いは聞き届けかねます。」
「...そうか。」
「その役は是非、あなたが思い描いた"Player"に託してみては?」
「いるとも知れぬ”Player”にか?それはもはや、我が孫が結婚できるかどうかを賭けるような行為じゃな。」
「いえ、勝ちますよ。その賭けは。」
「その根拠は?」
「このゲームを作り出したカミサマがゲームオーバーなど認めないということです。」
「それがなぜ根拠なのじゃ?」
「失礼ですが。それは自ら答えをお出しください。導けたその時、あなたは立派なゲーマーです。」
「…そうか、ならその問題、わしなりに考えてみるとしよう。」
「そのほうがよろしいかと。」
「さて、そろそろ失礼させていただきます。」
「そうじゃな。ほかの者にもよろしく頼む。」
「は。それでは…」ガチャ
「そうじゃ。最後に一つだけ。」
「?」
「幸せを届けるものと不幸を払いのけるもの。どう違うんじゃろうなぁ?」
「…。」
バタン…
「お待たせしました。執事長。」
「お楽しみでしたかな?」
「いえ、まったく。」
「そうですか…。」
「..........。」
「本当はどこまで存じておられるので?」
「内緒にさせていただきます。といっても、大したものではないですがね。」
「左様ですか。」
「唯一神の築きし
あの男が言った意味深な言葉は、何を意味しておるのだろうか。それが、わしのゲームクリアにつながるとも…
『このゲームを作り出したカミサマがゲームオーバーなど認めないということです。』
もしこの言葉通りなら、Game Masterである唯一神はゲームの何らかの”詰み”を認めないと言っているということだ。もしや、唯一神とゲームするときに必要なもの…もしや…
ポゥ…っと掌に現れた種の駒ーチェスの駒”キング”ーを見て、思いを巡らせ…
はは、ハハハハハっ!!!
「シュウよ。わしは成れたぞ。三流ではあるが、立派なゲーマーに…っ!!」
そう高らかに笑った国王の頬に一筋の光が垂れた。
「ありがとう…。」