「お、おじいさまぁ!!」
「おお、ステファニーよ。来てくれたか。」
「もちろんですわ!それより大丈夫なんですの!?」
「大丈夫...か、それはおじいちゃんにもわからんのう。」
「そんな...。」
「ステファニーよ…良く聴いておくれ。」
「グスッ...なんですの?」
「お前が小さい頃に渡したものの約束を覚えておるか?」
「も、もちろんですわ。」
「そうか。それならよい。」
「...グスッ」
「おぉ。そんなに泣かないでおくれ我が孫よ。私は笑顔でいるお前が好きなんじゃよ。」
「そんなこと...今言われてもできませんわ...」
「そうか。それは残念じゃのう。」
「ステファニーよ。わしがいなくなったとき、お前は今より辛い局面に立つだろう。」
「国王が変わり、国が変わり、お前が王族の道から外れることもあるやもしれん。」
「たがどんなときでも、自分を見失ってはいかん。自分の信じた道を貫くことができるのが、我々人類種であり、ドーラ家の誇りであるのだから。」
「はい...ですわ。」
「そう、それでよい…では、暫しの別れじゃ。達者で暮らすんじゃ....ぞ....」
「あ!お、おじいさま目を開けてっ!いやっいやあぁぁぁぁ!!!」
…ん?あ、俺の出番か。よーし国王の度肝抜くほどのシリアスブレイクしたらぁ!!
「ステファニーお嬢様。」
「うっ....ぐすっ...な、なんですの?」
「ここらで景気付けに一発ヤりまs
「HAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!」
「おじいさま!?か、髪型が逆立ってますわよぉ!!?」
「な、なんだと。全身からあふれる黄金の気。まさか、国王が伝説の
「我が孫を軽々と犯そうとする奴は許さぬぞぉ!!」
「いえ。王様がいつまでもシリアスしていたので助け船を出したまでにございますが。」
「へ?」
「先ほどから我ら執事とメイドは、あなたがたの喜劇に笑いをこらえているんですよ?」
「執事長に至りましては先ほどから口を押さえっぱなしですし。」
「そ、そんなことはな...ブフォッ!」
「で、でもおじいさまが...」オロオロ
「えぇ。倒れなさっただけで、死の淵にはいないのではないかと。」
「...。」
「あとついでに申しますと、お嬢様だけを驚かせようと王様が皆と結託しているようですね。人の良心を利用した全く非道なものですが」
「ひ、ひどいですわぁ!!私だけ仲間はずれなんて嫌ですわぁ!おじいさまなんて嫌いですわもう知らないですわぁぁん!!」ダッ
「な!!?す、ステファニーよぉ我が孫よぉぉ....」
ぉぉ....ぉぉ........
哀れなり王様よ。そなたがいけないのです。というか王様の構って攻撃なんざうすら寒いからさっさと終わらせたかっただけだけど。決して、ステファニー教第三章二項の教え『お嬢様を陥れて楽しもうとする輩には天罰を』に準じた行為として王様をいじめたわけではないよ?ホントダヨ。
というか...
「その、申し訳ありませんが王様。先程私も周りを見て演技だと把握いたしましたが、もし皆様がポーカーフェイスの達人で、お嬢様にかけたあの言葉だけでお亡くなりになっていたら、私は例え殴ってでも王様を起こしてましたよ?」
「全くその通りじゃな。まだ、布石を打ちきっておらぬからのう。」
そう、まだこの王様にはやってもらうことがあるしな。この盤上の世界の本当の主人公を招き入れることになる、もっとも重要な遺言を。
「じゃが、わしが死の淵の近くにおるのは事実じゃ。最後くらい我が儘してもよかったんじゃないかのう?」
「...それは置くとして、どうです?王様。そろそろ打っておかないと不味いのでは?」
「手厳しい新人執事じゃのう…執事長、手を貸してくれ。」
「承知しました。」
のっそりとベッドから立ち上がり、王様は複数の従者たちにまるで着せ替え人形のように身なりを整えられ、おもむろにベランダへと歩み出た。
「おい!愚王の野郎がでやがったぞ!!」
その一言でクーデターどもは、我先にと罵詈雑言をしたためる。「愚王辞めろ」と大きく書かれた横断幕を掲げるものもいれば。盟約なんぞ無視して、懐から石や包丁を取り出し投げつけようとして動けなくなったものもいた。
そんな自身に対してあからさまな嫌悪を向ける民衆に、なんの動揺も示さぬまま、王は片手をあげ、静寂を待った。
何分何十分経っただろうか。やっと訪れた静寂を前に、王は言葉を垂らす。
「ありがとう、皆の衆。そして、すまなかった。」
「私の悪あがきは結局、皆の不利益を与える形で終わってしまったようじゃ。情けないことこの上ない。」
「その罰が下ったのかもしれんな。わしは先程倒れてしまった。」
「生命の危機に瀕した訳ではないが、わしの命はもう長くは持たんだろう。」
「そこで、次の国王の選定をすることにした。」
「しかし、今回の国王候補は国民全員とする。」
静まり返っていた民衆に衝撃が走る。が、詳細がわからず困惑するだけにとどまり、国王の次の言葉を要求するようにじっと視線を集める。
「...その選定方法はゲームを勝ち抜くことである。」
「わしのように王族の家系により王に認められこの国を支える者をと思ったが、慣例に従えばわしのような愚な王がまた国を支えることになるやも知れん。それではもう取り返しがつかぬ。」
「そこで悪足掻きの末に思い望んだのが、もっともゲームを勝ち抜く素質のあるものがこの国の王に据えることじゃ。」
「よって、わしの命が尽きた時、次期国王決定戦を開催することをここに示す。」
「ルールは簡単。盟約に誓って国王の資格を守り抜くことが勝利条件であり、資格の譲渡、奪取はできない。1度でも負ければ資格は消失し、ゲーム失格となる。最後まで勝ち残り、王城で開催する最終戦に勝利したものが国王となる。」
ポカンと口を開け、人々は今から起き得る戦争を頭によぎらせシミュレーションしていく。自分でも王になれるのか?身分が問われていないということは、そうなのではないのかと。
そんな民衆を見かね、一言。
「以上だが...おや?まだおったのか。ゲームの練習を今のうちにしとかんと、隣の者に負けてしまうぞ?」
その挑発ともとれる発言で、民衆は目の色を変え蜘蛛の子が散るように王城から去っていった。
最後の一人が消えていったのを見届け、夕日を眺めて告げる。
「これでよいかの?シュウよ。」
「えぇ。後はお任せを。」
全く持って完璧である。あとは、彼らが来るのを待つだけだ。
「え!?シ、シュウ。何が起こっているのかわかるんですの!?」
勿論。そしてこの先何が起こるのか。貴女にどんな厄災が起こるのかを。
ですがご安心くださいませ。貴女に降りかかる厄災は私が振り払ってみせましょう。
今は、心のなかでしか言えませんが、今はどうかこの言葉でお許しくださいませ。
「...えぇ。これが、王様の最後の仕事にして、最初の勝利の方程式が完成した瞬間ですから。」
???視点
「....やっと、あなたの愛が試される時が来ましたね。」
羽ペンを動かし今までの記録をとっていた指を休めずにそう呟き、安堵の表情を示す
「やあやあ!記録楽しくやってる?...ってうわ!?何冊あるの記録冊子!?」
「ざっと200冊でしょうか?」
「うっわー。君どれだけその子にご執心なのさ...。」
「さぁ?ただ今はこれしかやれることがないのもので。」
「そうなの?もっとやれることあったと思うけどねぇ...。」
「ところで、私になにかご用ですか?」
「ご用も何も、君なら僕がここに来た理由わかるでしょ?」
「お話でしたらいつでもよろしいですよ?」
「とぼけちゃって~。ま、ちょっとした愚痴を聴いてほしいな~と思ったってことかな?」
「私が以前述べた好敵手転生の事ですか?」
「そおそれ、もう
「では、何とかしてみては?」
「だ、か、ら。遊戯の神である僕が、君に踊らされてるようで、なんか気にくわないんだよね~。」
「あら。おだてても何も出ませんよ。」
「くっそー。君がゲーマーだったら、僕ももっと楽しめたかもしれないのになー。」
「ふふ。それはいつか別の機会にしましょう。」
「言ったね!?言質取ったからね!?僕はもう行くけど、絶対に忘れちゃだめだからね!?君をこてんぱんに負かしてやるからね!?」
そう目を輝かせて、異世界にでもとんだのだろう虚空の亀裂を眺めながら。
「さて、ようやく本番です。
「それでは、『ノーステフ・ノーライフ』ご開帳ー....」
「ですわ♥️」