2回目である   作:dahlia_y2001

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2回目である その5

 

 

 

2回目である その5

 

 

 

ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックは日刊預言者新聞で吊し上げられ、ホグワーツから停学処分・自宅謹慎を言い渡された。もちろん、ダンブルドア校長とマクゴナガル教授は庇ったのだが、彼らの素行の悪さは事実の為、庇いようがないとも言える。ジェームズとシリウスは各々実家での謹慎処分であり、手紙のやり取りも禁止された。

息子に甘いポッター家はどのように叱ったのかは知らないが、ブラック家ではオリオンがシリウスへ直々に叱責した。しかし、シリウスは何が悪いのか分かっていないので理不尽に叱られているとしか思っていなかった。レギュラスは兄の心情が手に取るように分かっていた。1回目と同じで兄に反省する心などないと理解しているからだ。故に兄へ反省を促すという無駄な努力をする気はなかったが、母に対してはフォローを入れた。同じ癇癪持ちでも、まだ母の方が話が通じるとレギュラスは思っているからだ。

 

 

レギュラスはアメリカの魔法学校・イルヴァーモーニー魔法魔術学校に入学し、捜し続けていたセブルスとの再会を果たした。

レギュラスは自分以外の2回目の人間がいるとは思いもしなかったが、セブルスが自身は2回目であると告白した時、ストンと納得した。1回目のホグワーツの出来事を知っているのならば、セブルスがアメリカへ亡命するのもさもありなん、だ。

レギュラスは薄っすらと涙ぐんだ。生傷が絶えず身体の細かった1回目のセブルスに比較して、今のセブルスは健康そうでプリンス家次期当主という貴族の振る舞いと余裕がある。

幸せそうで、ただそれが嬉しい。

 

「レギュラスも1回目の記憶からアメリカに?」

「ええ、兄の改心が不可能と1回目で思い知らされましたので全力で保身に走らせて頂きましたとも」

「そうだな。僕も真っ先に逃げ出したようなものだし」

 

セブルスが苦笑を零した。

セブ先輩は優しいから、赤毛のマグル女のことを今も心配しているのだろうとレギュラスは考える。とはいえ、レギュラスにはセブルスがそこまで心をかける価値があの女にあるとは到底思えないのだが。それを口にしてセブルスを傷つけるような真似はしない。そんなことをしてもレギュラスの得にはならないからだ。

 

「ところで、イギリス魔法界の情報を入手していますか?」

「いや。伝手もないし、特に知りたいとも思わないから。いや、知って事態を悪くするのが怖いというのが本音だ」

「なるほど」

 

レギュラスはブラック家の情報力でイギリス魔法界の現状を知っていた。1回目を知る身からすると、何よりもホグワーツがかなり変わっている。

まず、マローダーズの悪行がマスコミにリークされ大騒ぎとなり、主犯格のジェームズとシリウスは停学を繰り返している。繰り返しているというところに反省の色のなさが窺い知れるというものだ。そして、その事件隠蔽疑惑でホグワーツ教授陣、特にダンブルドア校長に冷たい目が向けられている。

それに伴って名家の子息・子女がホグワーツを避け始めている。ホグワーツはイギリス唯一の魔法学校ではあるが、ヨーロッパにもアメリカにも魔法学校はあるのだ。マローダーズの標的が名家出身が多いスリザリン生のため、その動きはより顕著となっていた。レギュラスが思う以上の速度でスリザリンのみならず名家がホグワーツに見切りをつけている。レギュラスがホグワーツに行かなかったのも大きいかもしれない。しかし、ホグワーツは5年もしないうちに寄付金の回収に苦労するのではなかろうか。

レギュラスとしては、この動きを意図したわけでは決してない。悪い流れではないけれど、セブルスとレギュラスがホグワーツに入学しなかっただけでこうなったとは思えないのだ。もしかしたら、自分たち以外にも2回目が存在している?レギュラスはその思いつきにこれは調べてみる価値があると思った。

 

「ところで、先輩はプリンス家を継がれるとか、おめでとうございます」

「ありがとう。プリンス家もだが、祖父母と共にいられるのが良かったと思っている」

「名家の付き合いは煩わしいでしょうが、良かったら僕を頼ってください。僕が優秀な先輩のお手伝いが出来る分野はこれ位でしょうし」

「とんでもない、こちらこそよろしく頼む。社交の方は祖父も僕も不得手で」

「人は得手・不得手がありますから。セブ先輩はこちらでも魔法薬学方面を?」

「ああ。元々プリンス家はそちら方面に特化しているそうだ」

 

血のなせる業、とレギュラスは思ってしまう。1回目からセブルスの魔法薬学の才能はずば抜けていたのだから。

アメリカでは、セブルスは十全にその才能を伸ばすことが出来るだろう。もしかしたら、ポーションマスターの称号すら得られるかもしれない。

レギュラスはセブルスの輝かしい未来を思い描いて微笑した。その心中には、イギリス魔法界も実兄シリウスのことも欠片もなかったのである。

 

 

 

だいぶ閑散としてしまったホグワーツの大食堂をフランクは見回した。1回目とは見る影もない2回目である。

ホグワーツの在校生が目に見えて激減しているのだ。きっかけはマローダーズの一件がマスコミにすっぱ抜かれたことだろう。名門出身者の多いスリザリンがターゲットにされ、学校側が生徒を守る気がないと報道されては、保護者がホグワーツに子息子女を通わせる筈もない。入学拒否者ならびに転校者の続出を止めることができず完全に定員割れを起こしていた。それでも、ジェームズ・ポッターとシリウス・ブラックを退学出来ず、ダンブルドアも校長となっているホグワーツは名門貴族や有力者から見限られたのだ。当人たちは気付いていないようだけれど。

イギリス魔法界王族のブラック家次男はアメリカへ留学したそうだ。名門の流出は止まらない。

フランク自身も今期一杯で、ヨーロッパのダームストラングへ転校予定である。当初はホグワーツを卒業する予定だったフランクだが、この流れでは残留している方が目立ってしまう。今後、ホグワーツはマグル出身か留学できない者しか残らないのでは?とフランクは思ってしまう。

人の動きは生徒だけではない。フランクが聞いた噂ではスラグホーン教授がアメリカの薬学研究所に招かれ嬉々として渡米するそうだ。そして、ホグワーツの薬学教授のなり手がなかなかみつかっていないらしい。

 

まるで今のホグワーツは沈む船のようだ。目端の利く者はさっさと立ち去っている。自分もその一人であることをフランクは自覚していた。

 

 

 

 

 

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