2回目である   作:dahlia_y2001

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2回目である その6

 

 

 

2回目である その6

 

 

 

「セブ先輩を義兄にしようと思います」

 

ヴァルブルガはそう言ってのけたレギュラスに軽い眩暈を感じた。

ある時から荒んでしまったレギュラスーーーその理由をオリオン経由で知り―――アメリカへ移住してからすっかりレギュラスは以前の穏やかさを取り戻してヴァルブルガは喜んでいたものだ。

レギュラスがアメリカの魔法学校で尊敬する先輩と出会い、やけに執着すると思っていたら・・・。

 

「あのね、レギュラス。セブルスはプリンス家次期当主でしょ?」

 

レギュラスからの紹介でヴァルブルガはセブルス・プリンスと親しくしている。ブラック家に先だってプリンス家がアメリカに移住し、今にして思うとイギリス魔法界からの避難だろう、イルヴァーモーニー魔法魔術学校に孫息子を進学させていたのだ。今のホグワーツの有様を知ると、先見の明があるとしか言えない。

プリンス家は有名な旧家、代々研究家肌の人間が多く社交性が低いことも知られている。言っては悪いが研究熱心過ぎる変人が多かったりするのだが、決して付き合って問題のある家ではない。

ヴァルブルガの見たところ、セブルスは理知的で礼儀正しく、少し気難し気な(とはいえ、これはプリンス家の特色)、しかし、好ましい人物である。半純血なのは少し引っかかるが、恐ろしく薬学に優秀で、純血が減少している現状において名家を継ぐ優秀な魔法使いはイギリス魔法界の王家ブラック家として支えるべきと考えを改めている位だ。そもそも、ヴォルデモートの純血主義がイギリス魔法界を滅茶苦茶にし、レギュラスを死に至らしめる予知を知ってしまった以上、ヴァルブルガに以前の純血主義を貫く気は失せていた。

だからこそ、セブルスにはプリンス家を継いでほしい。大体、孫を可愛がっているプリンス当主夫妻がセブルスをブラック家養子になど許すまい。流石に、ヴァルブルガも頑固なプリンス家当主とやりあう気にはなれなかった。

 

「母様、セブ先輩は優秀なんですよ。先日、最年少ポーションマスターになっています。あんな優秀な人を放っておく手はありません」

「いっそ優秀過ぎるくらいね。本当にプリンス当主が羨ましい限りだわ」

 

ヴァルブルガは先日、最年少ポーションマスターの称号を得たセブルスと同じ年の息子シリウスを内心、比較してしまう。決して魔法使いとしての能力に差があるとは思えないのに。ポテンシャルはシリウスが上であろうにと思うと尚更に忸怩たる思いがする。

 

「セブ先輩が僕の義兄ということは、母様の義理の息子ということ。どうですか、セブ先輩に”義母様”と呼ばれるのは?」

 

あんな優秀で礼儀正しいセブルスから「義母様」と呼ばれる。ちょっと人見知りの気があるあの子が身内だけにみせる微笑。

 

「悪くないわね。いや、むしろ良いかも」

「でしょう!!」

「私に何を言わせるの、レギュラス!!セブルスはプリンス家を継いでもらわないといけないの。プリンス当主もそう望んでいます」

「当然そうでしょう」

 

レギュラスがきょとん、とこちらを見る。きょとんとしたいのはこっちだ。

 

「母様、僕は合法的にセブ先輩を義兄にするのです」

「合法という言葉がこんなに不穏に聞こえる日が来るとは思いもしなかったわ」

 

ヴァルブルガの非難をレギュラスは完全に無視した。そして、続ける。

 

「アメリカ魔法界の名門ワンステッド家の姉妹を先輩と僕の妻に迎えるのです。こうすれば、妻経由で僕とセブ先輩は義兄弟になります」

 

レギュラスはキラキラした瞳をヴァルブルガに向ける。この計画にすっかり酔いしれているようだ。

ヴァルブルガは考える。レギュラスの計画は合法的と言う言葉による言い知れぬ不安からすれば、大変真面でまっとうであった。ちょっと検討してみても特に問題はなさそうだ。もっとも、セブルス本人やプリンス家が納得すれば、の話ではあるが。

 

「セブルス本人やプリンス家の意向はどうなの?」

「名家において血を繋ぐのは優先事項です。プリンス家がわざわざ良縁を断ることはないでしょう。それにセブ先輩は人間関係が受け身の性質です。結婚は周囲がお膳立てしないと婚期を逃しかねません」

 

ヴァルブルガは納得した、納得してしまった。プリンス家は研究家肌な為、その他のことをおざなりにしがちなのだ。確かに、周囲が良い娘をお膳立てしてあげた方が良さそうである。

そして、レギュラスが嫁候補としてあげたワンステッド家の姉妹はヴァルブルガの持つ情報網でも良いお嬢さん方である。

 

「そうね、反対する要素はなさそうだわ。ワンステッド家の姉妹を選んだ理由について何も聞かないことにします。外堀を埋めることについては、私も協力しましょう」

「ありがとうございます、母様」

 

嫁候補選択には名家で未婚の姉妹であることが第一条件であったのだろう、と気付いてしまってヴァルブルガは苦笑するしかないのであった。

 

 

 

セブルスは2回目で、1回目の記憶と比較すると今は全く違う人生を歩んでいる。すっかり生活基盤をアメリカに移してイギリス魔法界とは縁を切った。当初は自分だけが2回目と思っていたが、まさかレギュラスまで2回目だとは。

レギュラスも2回目で色々と吹っ切れたのか、すっかり明るくなっている。あの馬鹿兄シリウスの後始末をしないでよいだけ、どれ程ストレスがないかは充分想像できる。とはいえ、2回目は突拍子もないことを言い出したりするのだが。

 

「セブ先輩、お見合いしませんか?お見合いしましょう。とても良いお話なんです」

 

”こいつ、こんなに押しが強かっただろうか?1回目に比べて元気そうで何よりだけれど”

 

困惑するセブルスに構わず、レギュラスは嬉々として見合い話のプレゼンを始めるのだった。

 

 

 

 

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