嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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今回ちょっとグロ目な描写がありますのでお気を付けて。





それは人間に近づき続ける。

それは試し続ける。

しかし、いつものように、最後には

「何もない」




魔法少女と転移先

 

 魔法陣によって転移した先は金属で囲まれた空間だった。コンクリートではなく、金属だ。こんな場所はゲーム内でも現実でも未だ見た事がない。戦艦の乗船経験があるのならば既知のものだろう。しかし、金属質の床は何の金属で出来ているのかは不明だ。まあ、ゲーム内の物質なのだ。運営が創り出したものなのだからそれに関して考察するのは私みたいな人間がやる事ではないだろう。

 

 これだけならば、ちょっと近未来感のある場所だなと言う感想くらいしか湧かないだろう。だが、この空間は決してSF的などと比喩されるようなものではないのはたしかである。そう言えるだけの異質な要素が、私達には五感で感じ取れる事ができてしまう。

 

 壁には大きさ以外は本物と見紛うような精度の、だが本物とは明らかに違う人間の眼がそこら中に張り巡らされていた。同じ人間とは思いたくもない不気味な眼の数々。しかし、それの造りは人間と同じだ。あの目の白い部分は強膜と言って主に人に存在する。実は犬や馬にもあるらしいが、白い部分が多過ぎる。

 

 更に、眼の付いた周辺には赤い血管が蜘蛛の巣のように張り巡らされていて余計に気持ち悪い。血管はところどころ破れていて赤い液体が滲んでいる所為で目に悪い。耐性のない奴なら既にギブアップしてるのではないだろうか? 少なくとも、子供がみたら失神してもおかしくはないと思えるような絵面ではある筈だ。

 

 その沢山の眼球は、時々私達の方を見つめるようにピクピクと蠢いている。まるで生きているかのように……

 

「……っ」

 

「……」

 

 随分と悪趣味な部屋だな……エリーもここに来る前と比べると幾分か顔色が悪い。いや、こんなホラーが苦手な人が見た瞬間気絶しそうな空間に来たら誰でもそうなるか。私の顔色も悪くなっているだろうさ。

 

 こんなダンジョン、とっとと脱出したいところだが……気を利かせてなのか、すぐ背後に魔法陣が置かれてあった。多分、気分が悪くなった人用なのだろう。変な気を効かせるくらいならもっと別の事に気を回して欲しいものだが。

 

 ……取り敢えず今私達がいるのは一本道の通路みたいだし、先に進んでみるしかないか。もっとも、既にボス部屋に繋がってそうな扉が見えているのだが。終点が分かりやすい親切設計だ。是非ともその親切さをもっと発揮させてほしい。

 

「……早く行こう」

 

「そうだね……うう、ホラゲーは別に不得意ジャンルじゃないけどこれはちょっと効くなぁ」

 

 全くもって同意だが、愚痴っても仕方ない。気持ちはよく分かるがな。

 

 恐る恐る足を進める。歩くだけで時より足元から聞こえてくる粘着音を努めて無視する。たかが五十メートルもない廊下を進むのに掛かった時間が妙に多い気がするのは果たして私の気の所為なのだろうか。

 

 体感では長めの時間を経て、私達二人は扉の前に辿り着いた。

 

 扉にもやはり眼が付着していた。扉に触れようとすると、マジマジと手元を見てくるのが実に気持ち悪い。

 

「……開けるぞ」

 

「……うん。準備はいいよ」

 

 確認を取った後、私達は扉を開けて部屋の中へと入り込む。

 

 

 

 

 扉の向こうは通ってきた通路と殆ど変わらぬ風景だったが、かなり広い。間違いなくボス部屋だ。

 

 そして、空間の奥を一瞥すると……形容し難い存在がいた。

 

 

 これが、ボス……?

 

 

 

 

 その外見を一言で言い表すと、大小様々な人体のパーツが高い密度で乱雑に入り混じった、化け物とすら呼びにくい「何か」だろうか。化け物、と呼ぶには人間には見慣れたパーツが見え隠れするが、かといってこの密度でグチャグチャにくっついている様はどう見ても、どう間違えても人間と呼ぶことはできない。

 

 骨みたいな足と赤い血肉の足、頭部らしき部位から生えた青白い手足。この空間と同じく身体のあちこちに生えた眼。どれを取っても……たしかに人間らしいパーツではあるが、それを纏っている存在を人間とは認めたくない。

 

 四足獣のような形態を保っているが、こいつの足は三本しかない。それも、表皮が禿げた赤い肉の後ろ足が一本、前足は形の不揃いな骨の足が二本と言うアンバランス極まりないものだ。人間という生き物を冒涜しているかのような姿は見ているだけで恐怖感が身体の奥底から湧き出てくるような錯覚を引き起こした。こいつは存在自体が許し難い生き物なのだと、私の身体が勝手に理解を示していた。

 

 

 

 

 そんな形容し難い化け物は、私達の姿を認めて襲いかかって来た。

 

 

「来るぞ!」

 

「くっ、気持ち悪いよこいつ!」

 

 エリーが私を庇うように前に出る。それには全面的に同意だ!

 

 化け物は人と獣の中間のような唸り声を上げながらエリーに向かって頭部の青白い手を伸ばす。げっ、それ動くのかよ!?

 

「なんのっ! せいっ!!」

 

 自らを引っ掻こうとした青白い手をエリーは槍で受け流して反撃に転ずる。槍を一呼吸の内に五回も突きを入れた。しかし、この化け物は見た目はかなり脆そうなのにあまり効き目がないのかHPバーはあまり減っていない。

 

「くっ、手応えが薄い!」

 

「魔法スキルならどうだ! 【星弾】!」

 

 エリーを巻き込む形で撃った星の弾は化け物に無事に命中した。此方の方がHPバーの変動は若干多い。ならば、エリーが足止めして私が回復兼攻撃をこなすか。幸いにも化け物のAGIは私達よりもやや遅いようだ。不可能な作戦ではないだろうよ!

 

「私が攻撃する。エリーは足止めを頼む!」

 

「元よりそのつもりだよっ、【挑発】!」

 

 エリーは私の考えを汲んでくれたようで、化け物が私の方へ向かわないようにヘイトを稼いでくれている。これなら難なく勝てるだろうが、如何せん時間が掛かりそうだ……!

 

「【星弾】! 【星弾】!」

 

「くっ、攻撃頻度が速いな……!」

 

 エリーが必死に化け物の攻撃を防いでくれている。あの手が槍と触れる時に発する音からしてそれなりに重い攻撃なのだと私は察した。多分、エリーじゃないと簡単には受け流せないのかもしれない。なんなら並の武器なら既に耐久力がボロボロになってるんじゃないか? 二層に行く為に倒したボスよりも明らかに強い。

 

「このっ、大人しくしなさいよ! 【疾風突き】!」

 

 普段はあまりスキルを使わないエリーが必死になってスキルを繰り出す。その甲斐あってかHPバーは順調に削れている。このままなら……!

 

 

 

 ——そんな事を思ったその時だった。

 

 

 

「なに、これ……?」

 

 困惑が深く混じったエリーの言葉。私にはそう言いたい気持ちが分かる。

 

 何故なら、今まで戦っていた筈の化け物の姿が急に変わったからだ。

 

 その姿を表現するならば赤い繭、もしくは卵だろうか。相変わらず眼が生えているのは変わらないが……なんだこの変化は? 攻撃してくるどころか全く動かなくなったぞ。

 

 ……げっ、HPが全回復してる!

 

「エリー、これは一体……?」

 

「……何だか危険な気がする。この状態のまま倒そう!」

 

 珍しくエリーが焦っている様子を見せている。ならば、エリーの指示に従うべきだな。あいつの緊急時の勘はなんだかんだ信用に値する。

 

「【疾風突き】! ぐっ、こいつさっきよりも硬くなってる!」

 

「【星弾】! たしかになっ!」

 

 HPバーの減りが著しく鈍化している。エリーはこのままだと嫌な予感がしているようだし、何とかしたいが……【アルカナスレイブ】を切るにはまだ早い気がする。むむ……

 

「……仕方ないか。エリー、ちょっと待ってろ! 【アルカナビート】!」

 

 杖が私の手から離れ、魔法陣による一撃が変化した化け物に命中する……が、これも殆ど効いていないようだ。これでも大抵のモンスターなら一撃で沈められる程度威力はあるんだが……こいつ、VITが高すぎるぞ。

 

 だか、【アルカナビート】にはVITを一定時間下げる効果がある。近づかなければ当てられないと言う欠点はあるが、今のこの状況では気にならない。

 

「今のうちに、早く攻撃を叩き込むぞ!」

 

「おうともよ!」

 

 エリーが素早い槍捌きで赤い繭を攻撃する。【アルカナビート】のお陰か先程よりも目に見えてHPを削れている。効き目があるのではなく多少マシになった程度だが、無いよりかはよっぽどマシだ。おそらく、HPも滅茶苦茶高いのだろう。

 

 だが、突破口は開けた!

 

「よし、このままの勢いで——」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、赤い繭が弾けた。

 

 





慣れると可愛いと思うんですけどねポチ……管理人!管理人!

(血の表現があるならレーティング上がるだろとかの突っ込みはやめてクレメンス……脱出用魔法陣置いといたので許して……ユルシテ……)

そして……昨日からリンバスカンパニーが(やっと)プレイできてるぜ!
この話書きながらやってました。
カロンちゃんかわいい。ぶるんぶるん。







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ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

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