話が進まない……
進まないので短めになった……
私はレベル上げをする手を一旦止めて、メールで送られて来た文を読む。「メイプルとサリーがギルドを作ったから二人も入らないか?」みたいな内容だった。実は光虫狩り中にサリーから誘われていたので驚いてはいない。あとはメイプルの了承待ちだったからな。まあ、あの子が断る理由なんて無いし殆ど形式的と言うか建前的なアレだが。
「私は入ろうと思ってる。エリーはどうだ?」
「私もー! またあいつ来たら嫌だし……」
あいつとは多分アルグのことだろう。あまり積極的に勧誘している奴じゃないと思うが……また会いたくないとは思う。
「ギルドホーム、どんなのだろうね?」
「さあな。私が選ぶようなのよりかはマシだろうよ」
生憎、私は芸術的な感性は私には抜け落ちてるからな。
「おーい、こっちこっちー!」
私達がメールで伝えられた場所に向かうと、メイプルが手を振っているのが見えた。サリー達も集まっていて何人かは知っている人間だったが、一人だけ見知らぬ男の子がいる。
「ん、来たぞ。クロムにイズ、それにカスミも誘われたのか」
「い、いや……俺とイズは偶然通りかかったところを誘われたんだが」
……クロムが私を視界に入れた瞬間の反応がちょっと気になるな。最近は出会ってなかったし、別に脅迫なんかした記憶もないんだが。何故こんな怖い奴を見る目で見られなきゃならんのだ。
「やっぴー! イズっちにクロムもお久! カスミはついこの間振りっ!」
「あ、ああ……」
「エリーは相変わらずねぇ」
カスミはエリーのテンションにやや追い付けてないが、イズはもう慣れたのか特に取り乱す様子はない。余裕のある大人って感じだなイズは。
「そんでクロムも、久し振り!」
「お、おう」
ああ、そう言えばこの前クロムと会ったって話してたなこいつ。何故かクロムを見つめていつも以上に小悪党みたいなニヤニヤ笑いをしているエリーがちょっと気になるんだが……まあ、いいか。
「それで、そこの男の子は……」
「僕はカナデ。よろしくね」
「ああ、よろしく」
……うん、なんか利発そうな子だな。この落ち着きをエリーにも見習って欲しい。取り敢えず、ギルドホームが今のところ気になるな。どんなところだろうか。
◆ ◆ ◆
ギルドホームにやって来た。大きな樹の内部をそのままくり抜いて作られたようで、落ち着いた感じのある建物だ。私は割と気に入ったし、エリーも楽しそうにしている。いや、こいつは大体いつも楽しそうにしているのだが。
ギルドマスターはメイプルがなってくれた。まあ、発起人はメイプルらしいし妥当か。取り敢えず、私じゃなくてよかった。エリーでもなく本当に良かった。
「楓の木! 楓の木にします!」
ギルド名もメイプルが決めてくれた。エリーがギルド名に挙げてたよく分からん名前にならなくて一安心だ。なんだよ【東城会】だの【アンブレラ】だの……何かのゲームが元ネタか?
しばらくはイズが使う【ギルドホーム】内の工房に溜め込む素材集めに奔走することになった。私は採掘系スキルもないし、モンスターをひたすら倒してドロップアイテム集めに向かうグループに入った。
採掘に向かったのはイズにメイプル、カナデとエリーだったか。あいつは人数合わせにあっちに行ったようだが、採掘スキルも持ってないし、護衛くらいしかできないだろうが……まあ、大丈夫だろう。
それより、今はひたすらドロップアイテム集めに集中しようか……しかし、目の前にはモンスターに囲まれながらも攻撃をギリギリ躱し続けて段々と青白オーラを纏って行くサリーの姿が。
「サリーちゃんもやばかったか……」
クロムが私の横でそう呟いた。たしかにあの回避力は尋常じゃない。対人だろうとモンスター相手だろうとあの回避力は健在か。
「私達の出番は無さそうだな。アイテム集めは任せてしまって良さそうだ」
「ああ、たしかにな」
カスミの発言に完全に同意する。私はヒーラー役なのに暇すぎるぞ。後衛の仕事が全くない。エリーと一緒の時より人数も多いし危ないシーンが全然ない。
「そのオーラはなんだ?」
「【剣の舞】って言うスキル。攻撃を躱すとSTR上昇! これでもメイプルには構わないけど……」
硬っ。
「……メイプルのVITってどのくらいなんだ?」
「本人に聞いてみたら? 多分教えてくれると思うよ!」
そう喋りつつもサリーはモンスターを殲滅している。なんで背後からの攻撃とかを普通に会話しつつ避けられるのか気になる。私もできるだろうか……ちょっとAGIを上げて挑戦してみるのも悪くないかもしれん。
「俺も働かないとな!」
戦闘音を聞きつけてかモンスターが大量に寄って来た時、クロムが動いた。彼は背負っていた大盾を使って攻撃を捌きつつ、短刀で的確にダメージを与えて行く。地味だが上手いな……地味だが。
あれが普通の大盾使いらしいが、他の真っ当な大盾使いを知らないからイマイチ分からんな。どうでもいいけど。
「しかしクロムもダメージを受けないんじゃ、私の出番が全然ないな」
「すまんな、私もダメージを受けることはあまりないから……」
「いや、いいんだ別に」
カスミが申し訳なさそうにしているが……こうして前衛の頑張りを見ていると私も動きたくなるな。魔法を使ってもいいんだが、今はどちらかと言うと身体を動かしたい気分だ。
「カスミ、ちょっといいか?」
「ん、なんだ?」
私はカスミの服の裾をちょんと摘む。
「……何をする気だ?」
「イベント中に入手したスキルを使おうかなと。【模倣】」
私がスキルを使うと、私の視線の位置が高くなる。下を見下ろすとカスミと同じ桜色の装備……と豊かな双丘が。カスミ、かなり大きいんだよな。
因みにだが、このスキルで得られるステータスはスキルによる上昇が含まれているらしい。前にメイプルの姿を模倣した時に知った。その数値は……うん、馬鹿らしくなるような数値だったな。あれを貫通スキルなしで削るのはほぼ不可能だろうな。うーむ……首絞めたら窒息ダメージとか発生しないかな?
っとと、今はそんなこと考えてる場合じゃないな。
「なっ!? そ、ソラノ、それは……?」
「ああ、【模倣】ってスキルでな。触れた相手の姿とステータスをコピーできる。装備もな。スキルまではコピーできないが……」
私はカスミと全く同じ武器である刀を振り抜き、背後から近づいて来たモンスターを素早く切り払う。
「刀なら触ったことがあるからある程度は扱える」
「そ、そうか……自分と全く同じ姿の者が普通に喋っているとなんだか変な気分だな」
うん、普通はそうだろうな。私だって逆の立場なら戸惑っているだろう。
「ええっと……ソラノ、だよな? 片方は」
ほら、クロムもめっちゃ困惑してるし……うん、今度からこのスキルを使う時は先に相談しよう。サリーにはこのスキルのことを予め話していたからそこまで驚いてはいないようだ。
「ああ、私がソラノだ。こっちが本物のカスミ」
「ああ……まるで双子になった気分だな」
「何はともあれ……さあ、続きをやろうか」
私は刀を片手で担ぎながら集まって来た周りのモンスター達を睨め付けた。
「……ああ、そうだな! ウチのマスターをガッカリさせる訳にはいかねぇしな!」
◆ ◆ ◆
素材集めがある程度は整ったある日。メイプルが定例会議とやらを開いた。
初めて開く会議なのに定例なのかとか突っ込む人間はおらず、至って普通な会議だった。
議題を出したのはクロムだ。
運営から、第三回イベントと第四回イベントの通知があった。第三回イベントはイベント限定モンスターが落とすアイテムを集めるだけだけなのだが、本題は第四回イベントのギルド対抗戦らしい。
第二回イベントと同じで時間加速があるのだ。そうなると、【楓の木】は少人数だから、もしイベント当日欠席となるメンバーが出ると大変だな、と。たった8人だもんな。
ギルドメンバーを増やすのはどうだろう? ってのがクロムの提案だ。私を含め、特に反論はなく全員がクロムの意見に賛成した。
それで、今は一人でメンバーを探しているのだが……全然集まらん。
仕方ない、メンバー集めは他の人に任せて私はレベル上げに行くか……
そう思って私がフィールドに出ようと街の出口に足を向けた時。
誰かの声が聞こえた。
「あの……」
優しげな男の声だ。私が振り返ると——
これ以上ギルメン増やすと作者が大変なので多分出ません。多分……一応出せるキャラは居ますが二人セットなので。とあるカップルでアルグの妹なんですが……更新速度がお通夜ムードになっちゃうので、出すかどうかは未定ですね。
ネタバレですが最後に出てきた人も仲間にはなりません。他ギルドの方です。
Q.エリーの装備のスキルに攻撃を受けた時にダメージを与えるスキルなかった?
A.お陰でくっそ悩んだよ第二回イベントはよぉ!
Q.ソラノっていつ刀触ったの?
A.リアルでヤクザに勧誘されたのを断って拉致られそうになった後、話をつける為にアジトにカチコミかけた時に拾った。
完全に如くのノリである
Next. < お久し振りです、先輩!
ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。
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白夜
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ドンファン