嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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私は世界を守らんと願う「英雄」であり、「正義」に取り憑かれた者でした。
しかし、正義があるならばそれに対立する悪も存在しなければなりません。
「悪」を担うものがいないならば、その時は私こそが「悪」を担うことになるでしょう。


隠しダンジョンのボス

 

「【ファイアボール】! っと……」

 

 目の前のモンスターをなんとか打ち倒した。MP回復ポーションの数が心許ない為、これからは戦闘は最低限に収めないとダンジョンのボスがどうにもならなくなるかもしれない。もうちょい買い足しておくんだったかな……

 

 ならばといってモンスターを全部無視して奥に進もうにもそれなりに数が揃っているようで強行突破は難しい。逃げてたら背後から攻撃された事もあった。やはり初心者がソロで攻略するのは厳しいのだろうか……?

 

 一応、途中の戦闘でレベルは2上がって18になった。消耗を避ける為になんとかモンスターに見つからないようにコソコソと進んでいたら【しのび足】と【気配遮断】ってスキルを習得していた。魔法使いっぽくないスキルだがあって困りはしないだろう。お陰で戦闘を避けて進めている訳だし。

 

 

 暗い洞窟を進み続けてそれなりの時間が経った。そろそろボスと遭遇できなければ今日のところは一旦引き上げようかなと思って曲がり角を曲がった先に、如何にもと言った風体の大きな扉があった。これでボスじゃなかったら私は即刻ログアウトして不貞寝する。

 

 ボス(推定)に備えて、ステータスを一度確認する。

 

 

ソラノ

Lv18

HP 25/25

MP 387/432〈+10〉

 

【STR 0】

【VIT 0】

【AGI 20】

【DEX 0】

【INT 110〈+20〉】

 

装備

頭 【魔法使いの帽子】

体 【魔法使いのローブ】

右手 【空欄】

左手【初心者の杖】

足 【空欄】

靴 【空欄】

装飾品 【空欄】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

【体術Ⅰ】

【火魔法Ⅰ】【水魔法Ⅰ】【風魔法Ⅰ】

【光魔法Ⅰ】

【ファイアボール】【ウォーターボール】

【ウィンドカッター】【リフレッシュ】

【MP強化小】【MPカット小】

【MP回復速度強化小】【魔法の心得Ⅳ】

【気配遮断II】【しのび足I】

【毒耐性小】

 

 

 ステータス振りに関してはゆりえの意見を参考にした。あいつがペラペラ戦士ならこれが良さそうとか魔法使いならこれが与謝野晶子だの言ってたのを聞き齧った程度の知識だが。

 

 なので正直あまり自信はないけど……やれるだけはやってみますか。折角ここまで来たんだし、手ぶらでは帰るにはちょっと惜しい。

 

「すぅ……よし!」

 

 私は深呼吸してから扉を開き、中へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 部屋の中は照明の松明が沢山あるから道中よりも明るく、更に凄く広い。そして部屋の真ん中にはボスらしき巨大な羽の生えた蛇のようなモンスターが此方を睨んでいた。鱗の色は水色で所々ピンク色の部分がある。よく観察すると身体の所々にハートみたいな模様があって以外とファンシーな色合いをしている。見た目怖いけど。

 

 こーゆー羽の生えた蛇って神話か何かで聞いた事あるような……たしかククルカンだっけ? まあいいか。

 

「どうやら、不貞寝はせずに済みそうだ……!」

 

 ボスモンスターと戦うのは初めてだ。気を引き締めねば……!!

 

 先手を取ったのは大蛇の方だった。蛇は身体を引き摺りながら口を開き、桃色のビームみたいなのを私に向けて放ってきた。

 

「危なっ!」

 

 私はそれを身体を傾けてなんとか躱し、反撃に転ずる。

 

「【ウォーターボール】!」

 

 水の弾は大蛇に命中したが、そこまで効果的ではないようでHPバーは殆ど減っていない。なら、別の魔法で……!

 

「【ファイアボール】!【ウィンドカッター】!」

 

 矢継ぎ早に魔法を放つが、どれも効果はいまひとつのようでダメージ量は【ウォーターボール】とほぼ変わりないようだ。これは、かなり面倒かもしれないな……だが、ダメージが0じゃないならなんとかなるかもしれない。

 

「【ウィンドカッター】! 【ウィンドカッター】!」

 

 大蛇の攻撃を躱しながらひたすら魔法を撃ち込んでいく。幸いにも大蛇の攻撃は予備動作も分かりやすく直線だ。攻撃の速度自体は速いけどこれなら問題はない。ただ、集中を切らすともしかすると当たるかもしれない程度には驚異なので回避優先で行こう。

 

 そうしてひたすら攻撃を回避しては魔法で反撃するのを繰り返し……大蛇のHPバーがとうとう5割を切った時だ。

 

「ぐっ!?」

 

 それまで単発だったビーム攻撃が連続して繰り出される。急なパターンの変化に対応しきれずにちょっとだけ掠ってしまった。私のHPバーは残り1割程度にまで下がりようやく止まった。

 

「これは、直撃したら死んでたな……」

 

 HP回復ポーションを使いながら大蛇の動きに集中する。厄介な事に大蛇のビーム攻撃はこの部屋の端から端まで届く距離だ。距離を取っても無意味だ。だからと言って近付き過ぎるとビーム攻撃の頻度が高くなるようで攻撃する隙がなくなってしまうようだ。

 

「……ん?」

 

 確かに5割まで減らした筈の大蛇のHPバーが、5割と6割の間くらいにまで回復していた。回復魔法みたいなのを使った様子は無かったのに……

 

「いや、まさかさっきビームに掠ったからか!?」

 

 それくらいしか心当たりがない。多分、あのビームにはダメージを与えるとHPが回復する効果があるんだ!

 

 この仮定が真だとすると長期戦は滅茶苦茶に不利だ。なるべく……いや、絶対に大蛇の攻撃に当たらないようにしなければ確実に負ける。

 

「……よし。来い!」

 

 今一度気合を入れ直し、私は大蛇と相対した。

 

 

 

 1時間と30分後……

 

 

 

「ぜぇ、ぜぇ……あと、あとちょっと!」

 

 大蛇も私も息も絶え絶えだ。私のHP自体は満タンだけどスタミナ的なのがもうすっからかんだ。MPポーションも尽きたしそろそろ限界だ。良い加減早く決めないと私の集中力が切れてしまいそうだ。

 

 大蛇のHPバーはのこり1割を切ってる。もう一息……でも、油断はしないようにしなければ。

 

「いい加減……倒れろ! 【ウォーターボール】!」

 

 私の放った水の弾が大蛇に命中する。が、ギリギリ倒しきれない。

 

「くそっ……えっ?」

 

 大蛇がいきなり何かを溜めているようなモーションに入った。しかも、口元には何か魔法陣のようなものが浮かんでいる。

 

 え、何コレ今までこんなのしてこなかったぞ!? ど、どうすればいいの下手に攻撃して何かされたら負けちゃうかもだしかと言ってこのままだと何か凄い攻撃されるかもしれないけどああもう良い!

 

 突っ込め!

 

「うおおぉぉぉぉ!!」

 

 私が大蛇に向かって突進すると、つい先程までとは比べものにならない程太いビームを撃ってきた。しかし、単純な軌道のそれを何とか無理矢理身を捩って回避する。これでも元陸上部主将だ。このまま決めてやらぁ!

 

「よし、このまま魔法を撃ち込んで……!?」

 

 すると、極太ビームは更に太さを増して色も赤黒くなった。明らかにヤバそうだ。

 

 急に大きさが変わった為先程無理をして体制を崩した私にビームが命中しそうになった。このままじゃあ……確実に負ける。

 

 これで、負けるのか? いや、まだ負けてはいない。

 

 可能性が0じゃない限り、私は足掻く。このダンジョン探索を無意味な行動だった事にしたくない!

 

「【ファイアボール】ッ!」

 

 私は準備していた【ファイアボール】を私自身の足元に放った。火の弾はすぐに着弾して爆風を引き起こして私の身体は前方に軽く吹っ飛ぶ。HPバーが結構減ったがこの際HPなんぞ0じゃなきゃ良い。この判断が正しいかどうかは分からないが、現状これくらいしかビームを避ける手段がないのだ。

 

『スキル【フレアアクセル】を獲得しました』

 

 ええいうるさい後にしろ!

 

 大蛇はビームを吐き終えたようで満身創痍のように身体を地に伏している。なんだっていい、トドメを刺すチャンスだ!

 

「とっとと沈めや! 【ウィンドカッター】!」

 

 私の放った魔法が動けない大蛇に命中し、大蛇のHPバーは空になった。

 

『スキル【大物喰らい(ジャイアントキリング)】を取得しました。レベルが20に上がりました』

 

 スキル取得とレベルアップの通知と共に同時に大蛇は消えて行き、その後ろに宝箱と光り輝く魔法陣が出現した。

 

「……倒した、のか?」

 

 集中が解けたのか、私は思わずその場に座り込んだ。

 

 ……よっしゃ! 素人でも案外イケるものだな! それはもうすんごく疲れたけど!

 

「さて、と。宝箱、開けてみるか」

 

 何か良い物が入ってればいいんだけど……っと。ははっ、まだ宝箱に何が入ってるか分からない段階が1番楽しみな時間なのかもな。

 





「正義」や「悪」に囚われず自分の道を堂々と歩いて行ける者こそが、
真の「英雄」となれるのかもしれない。
可能性を決して捨てない貴女に、私は「英雄」の資質を見た。


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ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

  • 白夜
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  • 調律者
  • 蒼星様
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