嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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ここからはなるべく駆け足で走り抜きたい所存。
ぶっちゃけ今頃にはメイプルが機械神取ってる頃合いの予定だった。

これも全部都市の所為です。



魔法少女と忘れられた騎士 1/2

 

 私がギルドに赴くと、ユイとマイが新しいスキルを取得した報告があった。

 

 【侵略者】と【破壊王】か……どちらも私には縁のなさそうなスキルだけどなんかちょっと欲しいな……特に【破壊王】が。両手武器を片手持ちできるのは中々ロマンがある。ダンジョンのクリアタイムとSTRが取得条件みたいだが……うーむ、【模倣】を使えばなんとかなるか? 気が向いた時に挑戦してみるのもいいかもしれない。

 

「ソラノ、もしかして羨ましい?」

 

 気がつくと、私の顔を覗き込むように見ていたエリーと目が合う。相変わらず、たまに鋭い奴だ。

 

「まあ、少しはな。ちょっと欲しいと思ったのは事実だ」

 

「ソラノはそう言うの好きそうだもんねー」

 

 実際好きだけどなんかエリーに言われると揶揄われているような気分になるな。私がそんなことを思っているとサリーが私に話しかけてくる。

 

「たしか、この前は正拳突きとハイキックでモンスターを倒してましたよね?」

 

「えっ、そうなんですか?」

 

 サリーは敢えて初めて会った時ではなくアイテム集めの時の話を持ってきてくれた。その気遣いがありがたい。

 

 私の戦闘を見たことのない人達……メイプルは困惑しているな。ユイとマイ、それにカナデとイズもか。

 

「えーと……まず、素手の攻撃ってダメージ判定あるのか?」

 

「あったぞ」

 

 クロムの質問に私は即座に答えた。他にも頭突きや肘打ち、なんなら噛みつきなんかも効果があるようだ。もし拘束されたら試してみるのも手ではないだろうか。まあ、流石にモンスターを食う奴はいないだろうが。

 

「でも、ソラノさんって魔法使いだからSTRは低いんじゃあ……」

 

 この質問は双子の姉……マイの方だな。白髪の方が妹で、黒髪の方が姉だ。

 

「それはな……うむ、見てもらった方が早いな」

 

「え? それって、どう言う……」

 

 私はマイの肩にそっと手を置く。

 

「【模倣】」

 

「ええ!? お、お姉ちゃんが……二人!?」

 

「あわわ……」

 

 妹のユイちゃんの方が驚いているように見えるが、まあ最初は大なり小なり驚くだろう。でも、これから使う機会があることを鑑みると今から慣れておくのは悪いことじゃない。それにしても、いつもよりも更に視点が低いな。

 

「と、こんな風に姿をコピーするスキルな訳だが……これ、ステータスまでコピーできるんだ。この前はカスミの姿で暴れたっけ」

 

「うむ……何というか、かなり荒々しい動きだったぞ」

 

 実際、私とカスミでは刀の扱い方にかなり差がある。コピーした刀が私の使い方に耐えられず一回折れたのだ。その時は咄嗟のアッパーとハイキックで事なきを得た訳だ。やはり、刀のような繊細な武器は私には不向きなのだろう。火かき棒とかのがまだしっくりくる。

 

「そ、そうなんですね……何だか不思議な気分です」

 

「私も……お姉ちゃんとはまた違うと思いますが、不思議な気分です」

 

「ははは……と言うかSTR凄いな。今日はいっそこれで過ごそうか……?」

 

 この前も思ったが、ずっと後ろの方でチマチマ攻撃したり回復魔法を使うのはあまり性に合わない。なんだかんだ、私も戦いたがりってことか。

 

 しかし、マイの装備はまだない。このままなのは流石に心許ないし【模倣】は解除しておくか……移動速度も落ちるし。イズがマイとユイとカナデに新しい装備を作ってるらしいからそれが完成したらにしよう。

 

「イズ、例のポーションは?」

 

「出来てるわよ〜」

 

「ん、助かる」

 

 イズに頼んで作って貰ったポーションは特別製だ。とは言え、大した効果を持っている訳ではない。弱い毒状態になる効果とHPが回復する効果がある。普通はこんなもの何の価値もないが【模倣】を解除をできる為私にとっては悪くない一品だ。

 

 私は貰ったポーションを使うと思惑通りに私の姿が元に戻った。しかし、いつも被っているローブが【模倣】が解けた瞬間は着られないのはちょっと気になるな。

 

 私がすぐさまインベントリからローブを取り出して羽織ると、メイプルは少し残念そうにしながら話す。

 

「ソラノさんのその格好、可愛いのに勿体無いんじゃ……」

 

「私もそう思います!」

 

「可愛いですよ!」

 

「そうだそうだ!」

 

「たしかに私の見た目に似合うのは否定しない。けど、流石にこれは恥ずかしいんだよ」

 

 私もう27だぞ? そんな大人が魔法少女姿とか罰ゲームにも程がある。

 

 しかし、メイプルやユイとマイは心から残念そうにしているようでどうも心が揺らぐ……だが、ここで分かったなどと言ってしまえば色々と不味い気がする。私はこれでも物事を分別できる理性を持っている人間であるつもりだ。あ、エリーに関しては触れるだけ時間の無駄なのでスルーする。

 

「え、私に対して何かないの?」

 

「そろそろ私は行こう。今日は街中を出歩いてクエストでもないか探す予定なんだ」

 

「あ、私も行ってきます!」

 

 私が席を立つとメイプルも立ち上がって挙手した。誰に向かって手を挙げたのかは分からないけど落ち込んでいないようで何よりだ。エリーは椅子の上で三角座りして机の上に手で「の」の字を書いているが、大した問題ではないだろう。

 

 私はギルドを後にして街へと繰り出した。メイプルとは途中まで一緒だったけど結局別れることにした。別れた方が興味の惹かれるクエストが見つかる可能性は高くなるしな。あと、AGIが合わない問題もある。

 

「……」

 

 それにしてもまあ見つからない。小一時間うろついてもクエストの一つすら見つからなかった。やはり、こう言ったクエスト探しは掲示板を眺めて見つけるものだろうか。いやしかし、見つける楽しみみたいなのを味わいたいと言うか……自分だけで見つけたいものだな。

 

 

 ——そんな思いが通じたのか。私は、裏路地の狭い道にある人影を見つけた。ただのNPCではではないだろう。何故なら、その人物は全てのプレイヤーを含めても中々見ない特徴的な姿をしていたからだ。

 

 彼女は毛先が黒く染まった青色の長髪を持つ、白い肌をした少女だ。細身だが長身。エリーに近いくらいだろうか。

 

 その腕の上部は正常な白い肌の色を持っているが、前腕部は完全な黒色に染まっている。彼女が着ているドレスの上部は灰色だが、裾に近づくにつれて青色に変わり、そして最後には黒色に変化している。彼女の背後では白く透き通ったマントが風になびいていた。

 

 私が見つめていたのがバレたのか、彼女はスッと裏路地の奥に引っ込んで行く。何かありそうな気配を感じた私は後をつけてみることにした。

 

 しばらく裏路地を進むと行き止まりに辿り着いた。床には魔法陣が光っている。

 

 私はこの二層の街の全てを見てきた訳ではないが、こんな裏路地に魔法陣なんて置いてあるのだろうか? 誰かが見つけてそうなものだが……やはり先程の女性が関係している可能性が高いな。

 

 私は装備品やステータスに目を通し、問題がないことを確認してから魔法陣に乗り込んだ。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 転移した先の空間は夜空が綺麗な開放的な空間だった。ロマンチックなスポットではあるが、目の前の彼女の存在感に私は一瞬面食らった。

 

 彼女は頭に3つのスペード型が合わさったようなティアラを着用している。 頬に黒い涙を流した美少女そのものな顔だが、その顔の半分は鋭い角が生えた黒い怪物のような外観をしている。彼女の着ているドレスにも胸部にスペード型の装飾がある。更に髪と服には、銀河のような模様が浮かんでいた。

 

 そんな彼女目を閉じて両手を胸にあてながら佇んでいた。その周りには三つの細剣が浮遊している。

 

「……私は人々から忘れられた騎士」

 

「……!?」

 

 びっくりした。ボスっぽいのに喋るのか。透き通るようなとても綺麗な声だ。だけど、何処か物悲しさを感じさせる声でもある。まるで、絶望に心が支配されたかのようで今にも泣き出してしまいそうな震えた声だった。

 

 騎士、なのか。どちらかと言うと姫に見えるが……いや、人は見た目によらないのは私が一番知っているけど。

 

「かつては正義の為守護者として戦っていた……だけど、残るは名ばかりの見窄らしい矜持」

 

 彼女が浮かばせる涙は、悲しみから来る涙ではない。

 

 たとえどんな強い人間だろうと、涙を決して流さない訳ではない。悲しみからではなく、絶望から流れる涙を……私は未だかつて見たことがない。

 

 彼女に何があったのだろうか。守る筈の人々に裏切られでもしたのだろうか?

 

 もしそうだとしたら、その気持ちは……少しだけ分かるような気がするな。

 

「正義の為に戦った者は、悪などいない事実に気が付くと自らが悪と化し、

平和な世界を夢見た者は、今や欲望のままにすべてを貪る悪になり果て、

正義と均衡を守った者は、昔の憤怒に今もなお振り回されている」

 

 何を話しているのかは分からない……が。それでも、私はこの話を聞いておいた方が良いような気がした。

 

「既に貴方は先輩を……悪と化した者を一人討ち倒した」

 

「えっ」

 

 もしかしてあれか? あの、蛇みたいな姿をしたあいつか? あれがこいつの言う先輩? 元々は善人だったのに悪になった成れの果てがあれなのか?

 

 ……もしかしてだけど、正義の為に戦っていた時は私のこの衣装だったのか? 設定まで魔法少女じゃねぇか。

 

「……私自身も裏切られ、絶望に心が満ちて……」

 

「私をもう目覚めさせないで。このまま眠っていられるように……」

 

 そう言い終えると、女性の周りを浮遊していた三本の剣が私に襲い掛かる。剣にHP表示があるのが妙に気にかかるが……

 

「っ、結局やる気ってことね!」

 

 私はサリーを見習って最小限の動きで飛来する剣を回避した。最近密かに練習した成果が出ているな。どうやら、この女性はボスモンスターのような扱いのようだな。ならば、倒す他に方法はなし。介錯を望んでいるようだし、遠慮はしなくて良いだろう。

 

 私は剣は一旦無視して本体を叩こうと杖を向けて魔法を使う。

 

「【ファイアボール】!」

 

 私が放った魔法は命中するかのように思えたが、彼女が命中直前で突如ワープしてしまい明後日の方向へ飛んで行った。むむむ……

 

「【星弾】! 【ウィンドカッター】!」

 

 私が次々と魔法を放つがどれも全てワープによって躱される。これは、もしかして私は何か勘違いをしているのか?

 

 私が考えている間にも三本の剣は絶え間なく私を貫こうと動き続ける。

 

 幸いにも本体が直接何かをしてくる様子はないが……剣の動きはかなり俊敏だし、サリー本人じゃないと躱し続けるのは無理なんじゃないだろうか?

 

「涙と絶望で鍛えたこの剣の先は揺るぎないのよ」

 

 実際、私は既に一度だけ掠ってしまった。それだけで私のHPは4割程削れた。この剣、見た目よりも威力がありやがる。研ぎ澄まされすぎにも程があるだろうに! どれだけ絶望して涙を流したのやら……戦闘中に喋るボスは、思えば初めてか。

 

 だが、ここまで避け続けていて一つ気付いたことがある。剣の内一本だけ妙な青いベールのようなのを纏っている。もしかすると、その剣が何か突破口になるのかもしれない。

 

「このっ、【ファイアボール】!」

 

 私の放った魔法は回避中で狙いが荒かったものの無事に狙いの剣に命中する。しかし、想像よりもずっと低いダメージしか与えられていないようだ。この剣、そこらのモンスターよりも堅いぞ!?

 

 まさか、あの青い輝きの影響か……? 試しに他の剣に攻撃すると、青いベールのある剣よりも明らかに削れ方が違った。彼女の加護的な何かか?

 

 ……彼女の性格から察するに、多分この剣を折ってやればいいんだな。また絶望の淵に陥れるのはやや気が引けるが。

 

「……やるか」

 

 やることは決まった。実行は素早く、だ!

 





絶望の騎士(イメージcv.能登麻美子)
憎しみの女王(イメージcv.悠木碧)
貪欲の王(イメージcv.決めてない)
憤怒の従者(イメージcv.決めてない)

ポチ(イメージcv.花澤香菜)

絶望ちゃん、改めて見直すとめっちゃ長身で美人。
え、作者が一番好きなのは誰だって?

盲愛様。

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ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

  • 白夜
  • 終末鳥
  • 赤い霧
  • 調律者
  • 蒼星様
  • 盲愛様
  • 黒い沈黙
  • ドンファン
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