嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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ラオルとかロボトミネタを使っている時点である程度察せることかもしれませんが、私は夕暮れの河原での拳のコミュニケーションとか大好きです。

あと闇落ちも好きです。お風呂上がりのフルーツ牛乳くらい。

後半に掲示板パートアリ。




魔法少女と欲望の王 3/3

 

 『貪欲の王』……長いし少女でいいか。少女は何処から取り出したのか左手に大きな黄金の籠手を取り付けた。ボクシンググローブよりもデカイそれはとてつもない威力を秘めているのであろうことが容易に察せられた。こいつ、戦い方まで私の好みじゃねぇか!

 

「まずは小手調べだ……!」

 

 そう言いつつ少女は私に接近して左手の籠手を振りかぶる。カスミやサリーとほぼ遜色ない程のスピードだ。

 

 しかし、ギルドに入ってからは度々彼女達のスピードを目にしていた。つまり、初見よりも幾分か慣れたスピード!

 

「なんのっ、そら!」

 

「うおっ! その剣……あいつのか!」

 

 少女の見惚れてしまいそうな左パンチをギリギリで躱し、私はバネのように剣を突き出す。剣身が細い構造上、突きが最も向いている攻撃なのだ。

 

 少女の肩に突きが命中したが、少女は防ごうと反応自体はしていた。若干浅いと思うが、この剣はかなり特殊なようで浅い時と深い時のダメージの差がほぼ無いのだ。浅くてもかなりのダメージを稼げるのは悪くない。

 

 今のでも少女のHPを二割は削った。後五回攻撃が当たれば勝てるんだからとんでもない火力だな……見た目は細いのに下手な大剣よりも威力があるんだから恐ろしい。

 

「ふっ、これならどうだ!」

 

 少女は姿勢を低くして拳を振り上げようとする。狙いはアッパーカットか!

 

 正直一度距離を取るかと思ったがそのまま懐に飛び込んで来るとは驚いた。だが……本来の私が最も得意な間合いは至近距離だ。

 

「ふんっ!」

 

 私は少女の肩を右手で掴み、アッパーカットを全身を使って受け流す。そしてそのまま見た目通り軽い体重の少女を勢いのまま投げ飛ばす。

 

「そらぁ!」

 

「何ィ!?」

 

 空中ならばそう躱されまい。私は左手に握った剣を振りかぶる。

 

「【投擲】!」

 

「この程度っ!」

 

 少女は空中で身動きもし難いだろうに籠手で剣の横腹を殴って攻撃を凌いだ。やるじゃねぇか……!

 

 私はもう一つの武器を取り出す。第二回イベントの時に入手したけどずっと使っていなかったやつだ。【模倣】を使っても装備するのに必要な筋力がユイとマイくらいしか足りていなかった為に使用機会がなかったからな。

 

 【ミミクリー】。お前の力、見せてもらおうか?

 

 相変わらずの気味の悪い眼球は手に持つと使用者である私を見つめている気がする。大きめの赤い剣身がどうも私にとっては既に手に馴染むような感覚すら覚える。

 

「ふっ、二人を倒しただけあるな。只人の身で中々やる」

 

「お前もな」

 

「よし、いいだろう……本気を出すぞ」

 

 少女は籠手を嵌めた左手を開いて側面に向けた。すると、左手の先から黄金色に輝く魔法陣が現れる。

 

「なっ……」

 

 まさか……あれは化け物の時にも使ってたワープ魔法陣かっ!?

 

 ふと辺りを見渡せばいつの間にか私を中心に十個ほどの魔法陣が囲むように展開されていた。ちょ、まさか……嘘だろ?

 

 

「さぁ、真っ向勝負だ。防いでみろ!」

 

 

 そう叫び、少女は傍の魔法陣に走りながら突進する。いやいやいや、待て待て待て!

 

「おらぁ!」

 

「ええい、んにゃろー!!」

 

 こいつ、とんでもない魔法を……とにかく今は背後、側面、前方から文字通り縦横無尽に突撃してくる少女を何とか迎え撃つことに集中しなければ!

 

「くっ、このっ、やめ、かはぁ!?」

 

 三回目の突進までは何とか剣で凌いだが四回目をまともに喰らってしまい五回目は無様に転がってなんとか回避した。この、やるじゃねぇかよ……一回当たっただけでHPが半分ちょいくらいまで消し飛んだ。

 

 これは、加護がなかったら即死だったな……マジでとんでもない技だな。

 

「ほう、これを喰らってまだ立つか。しかも、殆どは防がれてしまった。やはりやるじゃないか」

 

 少し離れた位置に転移した少女は腕を組んでニヤニヤと笑っている。しかし、気の所為でなければ身体が妙に輝いているような……

 

「それはどうも……『愛』!」

 

 ありがとう憎しみの女王。投げキッスを受けた甲斐はあったな。

 

「ふ、まだまだ行けるようだな。では行くぞ!」

 

「くっ……」

 

 少女の拳を【ミミクリー】で受ける。こいつ、さっきよりもスピードとパワーが上がってやがる! あの黄金の光が原因か? くそっ、このままじゃジリ貧になりかねん!

 

 十数回程打ち合い私は一度離れて距離を取る。ついでに邪魔だったローブを投げ捨てて少しでも動きやすくなっておく。ミニスカ姿が動きやすいとは口が裂けても言えないがここなら少々荒々しいことをしても誰も見ている人間はいない。

 

 一つ、打開策はある。ただ……博打の要素もあるな。

 

「ふっ!」

 

 一呼吸のうちに私の懐にまで踏み込んだ少女は拳を振り抜かんとする。何度見てもこの動きが躱しにくい。だから、私はこの攻撃を受け止める。

 

「ぐぅ……」

 

 剣の腹で受け止めて思い切り背後に下がって衝撃を逃す。人が吹き飛ぶようなパンチ……やはり、こいつはとんでもない強敵だ。

 

 

 だからこそ倒し甲斐もあるし、勝利の恍惚も大きいだろうな。

 

 

 私は足元に落ちている先程投げた【鋭利な涙の剣】を右手で拾う。吹き飛ばされたのはわざとだ。

 

「……今度は此方から行かせてもらうっ!!」

 

 私の宣言をどう見たのかは知らないが少女の口がきれいに歪む。

 

「ふっ、来ぉい!」

 

 ……どうやら、これで最後になりそうだな。

 

 二振りの剣を握り締め、今度は私から少女に向かって突進する。それを見て少女も私に合わせて地を蹴る。

 

 

「「うおぉぉぉぉ!!」」

 

 

 裂帛の気合を入れ、少女とぶつかり合う。

 

 ……勝負は一瞬だった。

 

 

 少女の拳を左手の【ミミクリー】で防ぎ、突き出した右手の【鋭利な涙の剣】は見事に少女に命中していた。

 

「っ、はぁぁぁ!!」

 

 これで終わらせる! そう強く念じながら何度も剣を突き刺した。

 

「かはぁ……へっ、参ったぜ……」

 

 HPバーがゼロになったと思ったら少女は膝を付いてそう言った。HPバーも消えたし……これで勝ったのだろうか。

 

「……お前の勝ちだ。やるじゃねぇか! はっはっは!」

 

「お前も強かったぜ……」

 

 本当に強かったわ。ゲーム初めて一番苦戦……いや、一番はあの赤い巨人だな。でも、とにかく満足できた。

 

 ……満足、か。

 

「付き合ってくれた礼だ、受け取れ」

 

 少女はいつの間にか持っていた二つ目の黄金の籠手を私に投げて寄越した。おお、くれるのか。しかし、この戦いで両手とも籠手を付けていたら負けていたかもしれない……

 

 そう思ったが、よく見たら今私が持っている籠手も左手に付けるものだった。これじゃあ両手共左手じゃないとダメだわ……

 

「……ありがとな」

 

「はは。しばらく振りに身体動かしたし、しばらくここで休むわ。お前は先に戻ってていいぞ」

 

「おう、そうさせてもらう」

 

 ……もし、こいつがNPCじゃなければいい友達になっていたかもしれないな。まあいい、帰るか。

 

「おっと、忘れるところだった」

 

 そう言って近づいた少女は私の両肩に手を置いた。

 

「何だ?」

 

「お前の行く道が、幸せに満ちていますように」

 

 微笑みながらそう唱えた少女の笑みは戦っている時ではなく寝ていた時のような笑顔を浮かべている。

 

 すると、キラキラと私と少女を覆うように光の粒子が降り注いだ。とても綺麗な光だ……

 

『スキル【幸せの道】を取得しました』

 

「幸福の魔法少女として、お前を見守っているぞ」

 

 そう喋った時には先程の笑みは消え去り勝ち気な笑みに戻っていた——

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「……楽しかったな」

 

 私は魔法陣に乗って元いた洞窟へと戻り、『憎しみの女王』と『絶望の騎士』に揉みくちゃにされてから三層のフィールドにやって来たところだ。

 

 私はローブを着直してそこら辺を歩きながら先程の戦闘を思い返していた。

 

 武器を振り回して接近して戦う……やはり、私にはその方が向いているのだろう。そのことは私もこのゲームを始める前から理解していた。

 

 元から、ゲームは気分転換程度に遊んでいた。仕事もあるしあまり熱中し過ぎるのは良くないかな、と。

 

 でも、メイプルもこのゲームを全力で楽しんで……楽しみ方が少々特殊かもしれないが、まあとても楽しそうにしていた。

 

 私は精々それを見守るくらいでいいと思っていた……が、どうやら違ったらしい。自分の本心に気付けないのはちょっと反省だな。

 

 

 私はもっと戦いたい。戦士として、もっともっと強くなりたい。試してみたいのだ、自分の強さを。

 

 

「……よし!」

 

 これからは素直にゲームをプレイしよう。変に我慢するのはもう沢山だ。今日からは積極的に戦闘しよう!

 

 まずは、まだ確認していなかったスキルや武器を確認しようかな。

 

 

【幸せの道】

ダメージを与える度にVITが上昇する(最大30)。

持続時間は五分。

使用回数は一日三回。

 

 

 ふむ、特にデメリットもなくて扱い易いな。さて、あの籠手はっと。

 

【黄金の籠手】

【STR+60】

【黄金の道】

 

 

【黄金の道】

自らだけが使用できるワープ魔法陣を展開する。

展開数は周囲三十メートル内の敵の数だけ。一度使用すると消える。

ダメージを与えた回数につき5%ずつSTRとAGIが上昇する。(最大100%)

持続時間は三分。

使用可能回数は一日三回。

 

 

 何っ!? あの魔法陣が使えるようになるのかっ!?

 

「ふふふ……!」

 

 これは楽しくなってきた! 早速試す為にフィールドを駆け抜けるかっ!

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

【NWO】なんか少女にぶん殴られて死んだ件【交通事故】

 

 

1名前:名無しの弓使い

酷い目に遭った……

 

 

2名前:名無しの大剣使い

詳細はよ

 

 

3名前:名無しの魔法使い

少女に殴られたとかご褒美じゃんか

 

 

4名前:名無しの大盾使い

ちょっと気になるな……そんなにヤバかったのか?

 

 

5名前:名無しの弓使い

うん、纏めたから書き込むね

 

・森林のフィールド歩いていたらいきなり目の前に魔法陣が出現した(床にではない)

・おろおろしてたら魔法陣から少女(髪の長さと身長から推察)が出てきた

・左手に付けてたゴッツイ籠手でぶん殴られてワンパンで死んだ

・少女の顔自体は未確認

 

こんなところかな

 

 

6名前:名無しの魔法使い

……うん、一つ一つ整理しない?

 

 

7名前:名無しの大槌使い

魔法陣→そう言うスキルがあるかも……あるかな?

少女→そうであってほしい

籠手→そんな武器あったっけ?

ワンパンで死んだ→火力が高い

 

 

8名前:名無しの大盾使い

まとめサンクス

少女(仮)の情報もっとないか?

 

 

9名前:名無しの弓使い

正直一瞬のことだったからあまり記憶がないんだがな

たしかそこそこ長い金髪で、服装はローブみたいなの着てた

内側に着ている装備隠しているのかな?

身長はかなり小さかったから多分中学生か高校生くらいの子

 

 

10名前:名無しの大槌使い

ごめん待ってちょっと心当たりある

ソラノちゃんじゃね!?

 

 

11名前:名無しの短剣使い

なん……だと……!?

 

 

12名前:名無しの弩使い

我らが魔法少女が変な方向に進化なされたぞ!

それはそれで乙なものですぞ!

 

 

13名前:名無しの大盾使い

あー……うん、今度確認してくる

 

 

14名前:名無しの魔法使い

てめぇクロムか! ここであったが百年目、今度こそとっちめてやる!

 

 

15名前:名無しの弓使い

なんか大変なことになってる(´・ω・`)

 

 

16名前:名無しの大盾使い

勘弁してくれ……

 

 

17名前:名無しの槍使い

そう言えば、俺今日森林エリア歩いていたらなんか赤黒い鎧とマスクを纏った凄い怖そうな奴見たな……

まあ特に関係ないか

 

 

18名前:名無しの短剣使い

何それ怖い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

104名前:名無しの魔法少女

え、何それ知らない……

 

 

105名前:名無しの大盾使い

来るのがちょっと遅くないか???

 





今更ながら貪欲ちゃんとソラノは二人とも左利き。

そしてこれから伝説になって行くソラノの姉御。
メイプルとは違って人の姿をした化け物になります。

第四回イベントの方が憤怒ちゃんよりも先になります。
期待していた方はその期待を未来に送るのだ……
代わりと言ってはなんですが、オリジナルのイベントのようなのを考えております。
私の存在意義にご期待ください。


掲示板に出没している名無しの魔法少女はソラノじゃなくてエリーです。
いつかバレて折檻されて貰おうかなと思ってたけど収拾がつかなさそうなので仕方なくここでネタばらし。
変にネタ仕込むと回収大変だなぁ。


Next. < 第四回イベント、目一杯楽しむか。

ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

  • 白夜
  • 終末鳥
  • 赤い霧
  • 調律者
  • 蒼星様
  • 盲愛様
  • 黒い沈黙
  • ドンファン
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