なんだかんだようやくここまで来れたぞ……今回凄く長くなりました。大体エリーの所為。
エイプリルフール企画とか立てたかったけど、その場合ヤツが登場するからな……流石にそれはヤバイ(ヤバい)。
女の子がハゲて喜ぶ変態は流石にそういないでしょ……いないよね?
リンバスログインしたらとんでもないイベント見させられて草生えた。ヴェル君さぁw
「んん……」
「眠そうだねソラノ?」
「ああ……」
『貪欲の王』との戦いの翌日。私はスキルの試し打ちに熱中し過ぎてやや寝不足気味になっていた。その最中で取得したスキルがかなり強力だったからそれも試していたら時間がかなり過ぎていた。
【黄金の道】はやはり良い。ステータスアップがかなり強くてモンスターやプレイヤーを簡単に倒せた。
ついでに【ミミクリー】を振るう練習もした。スキルの効果には書かれてないし、『貪欲の王』戦の時は集中していたから分からなかったけど、この武器のダメージエフェクトが何故だか赤い。討伐した時のエフェクトまで赤い。普通は紫っぽい色だけど……まあ、実害もなければ利もない要素だし別に構わないだろうきっと。
それで、道中に入手したスキルだが……これは誰が考えたんだ?
【赤い霧】
三つのスキルを内包する。
この内包されたスキルのメリットとデメリットが色々とヤバいんだが……まあそれは今はいいだろう。
【赤い霧】か……うん、学生時代の私の呼び名に全く同じ物があった。なんでまあこのゲームでも縁があるんだか。運営の人間に同級生でもいたか? うーむ、一応心当たりはあるが……根拠はないな。
まあ、そんなこんなでモンスターを乱獲した所為かレベルも凄い勢いで上がって42になったので、今日は休暇を兼ねてメイプル達に付き添ってモンスターのいない湖にやって来ていた。流石に昨日は自分らしくしようとは言ったがやり過ぎた。反省しなければな。
そうそう、メイプルと言えば私が……と言うか皆が見ていない間に機械を纏うスキルを取得していた。ちょっと格好いいなと思ったのは秘密だ。
「でも意外。ソラノってあまり休暇とか興味ないと思ってたけど……特に今みたいな」
「たしかに私の有給は溜まってるが何故そう思う?」
「いや……ねぇ?」
そう言うエリーは麦わら帽子を被った水着を着用ビーチチェアの上にオレンジジュース片手に寝そべっている。その姿はちょっとムカツく程に様になっている……ここは海ではないことを除いてだが。そんな戦闘には役に立たないようなアイテムや装備もイズに頼めばすぐ作ってくれるんだからあいつは良い奴だ。たまに揶揄わられるけど。
かく言う私も今は水着姿だ。これもイズが作ったんだが妙に大胆なデザインな気がする。率直に言ってしまえば布面積が少ない。あいつ、センスは良いのに何故遊び心を出すんだか……いや、遊び心があるからこそ生産職として大成したのか?
でも、今更気付いたがゲーム内の身体だと身体の傷は反映しないらしい。横腹とか背中や頸に傷跡があった筈なのに綺麗になっている。だからと言って何か変わる訳でもないだろうが……
「水着とか一生ソラノには縁が無いと思ってたよ〜」
「まあ折角私の為に作ってくれたからな。捨てるのも勿体無いし……な」
「押しに弱……いや、なんでもないです」
私がギロリと睨むとエリーはしゅんと言葉尻がしぼみ、慌てて何もなかったかのようにジュースを啜った。やれやれ……
「それそれー!」
「うわー! やったな、とりゃー!」
水辺ではメイプルとサリーが水をかけ合って遊んでいる。なんだか微笑ましい光景だ……あ、ユイとマイが津波起こした。二人は無事か?
「おーい、大丈夫か?」
「あ、はい! 大丈夫です!」
水面から顔を出したメイプルの元気な返事を聞いて一安心した。危ない危ない、折角まったり遊んでるのに溺死とか笑えないからな。
「平和だね〜」
「そうだな。だが、しばらく休んだら第四回イベントが待っている。ゆつくりしてばかりはいられないぞ」
「はいはい、分かってるって〜」
適当な返事を返してエリーはジュースを美味そうに飲んでいる。こいつは人の話をちゃんと聞いているのか怪しい時があるが……まあ、たまには見逃してやるか。私も身体を休めたいしな。
私は背を倒してビーチチェアにもたれ掛かる。ゲーム内とは言え割と心地の良い一時だ。
ふと、サリーが何かに気付いたような顔をしたのを見た。私は首だけ起こして辺りを見渡す。するとサリーが気付いたのは何かを自然と理解できた。サリーはよく気付いたな……私もまだまだだな。
私が話しかけようとするとサリーは無言に小さく首を横に振った。
……多分、泳がせて一先ず様子を見ようと言いたいんだと思う。サリーの意図を察した私は大人しく寝転ぶのを再開する。因みにエリーはぐうぐうと寝息を立てて寝ていた。もしこの後襲われたりとかしたら困るしもう少ししたら起こしてやるか。流石に寝たまま死ぬのは可哀想だろう。起こすのも可哀想かもしれないが。
◆ ◆ ◆
サリーがいつもの服装に戻り、私もいつものローブ(と魔法少女の装備)を着込んで立ち上がる。
「おいエリー、一旦起きろ」
「むにゃむにゃ……もう食べられないよ」
……そんな寝言を本当に言う奴なんているのか。
「えへへ……ソラノがろうそくみたいに光ってる〜……綺麗だね〜」
待て、どんな夢見てるんだこいつは?
「エリー、起きろ。出社時間を過ぎてるぞ」
「ファッ!? ち、遅刻するするやばば……あれ?」
「ようやく起きたか」
ったく、手間かけさせやがって。
「サリー」
「はい……ねぇ、そこの人。早く出て来たら?」
そう言いつつ、サリーは視線を向ける。
「あはは、バレてたー?」
笑いながら岩場の陰から一人の女性が出てきた。杖を持っていて恐らく魔法使いビルドだろう。装備はそこそこ良い物だろうか。結構高位のプレイヤーかもしれない。
「って、たしかフレデリカさん?」
「ん、知り合いなのか?」
「うん、前に一度だけ会ったことがあって……」
「やっほー、久し振り」
ふーん……意外と世間は狭いんだな。
「それで、私達に何のご用件があるんだ?」
先程からずっと私達のことを見張っていたのだ。穏やかな用事ではないだろう。普通に考えれば第四回イベントに向けての情報収集じゃないだろうか?
「はっ!? もしかして私達が可愛過ぎるから目を奪われて……」
「エリー、お前一旦黙ってろ」
「そんにゃあ……」
今そう言うボケをかます場面じゃないだろうに……空気読めない訳じゃないのに敢えて読めない行動をするのは本当に何なんだ?
あとメイプルとマイとユイ、赤くなってないでシャキッとしなさい。
「……あれ?」
「どうかしましたか?」
「そこのすっごいスタイルの良い人何処かで見たような……」
……前にも似たような問答があった気がする。たしか、イズとエリーが初めて出会った時だ。あの時のイズも今のフレデリカと似たような反応をしていた。
エリーは「あちゃあ……」と言いながらそっと後退りをした。
「……ちょっと私泳いでくるね、失礼!」
「おい待て、失礼すんじゃねぇ」
「わわっ!?」
私はエリーが振り向いた先に回り込み行く手を塞ぐ。こいつは何かを隠しているな。だが、私が言葉を尽くしてもはぐらかされてしまいそうな気がするな。何か切っ掛けがあれば……」
「——ああぁぁぁぁぁぁ!!?」
突如、フレデリカが大声を上げた。ちょっとびっくりしたぞ……って、おい。
フレデリカはエリーの元に走って向かう。
「あの! もしかして、カリスマモデルのユリエさんですか!?」
「……はぁ、バレちゃったかぁ」
カリスマモデル……? エリーは大きくため息を吐くと、キリッとした表情を作り——
——その瞬間、エリーの雰囲気がガラリと変わった。
普段のヘラヘラした態度は鳴りを潜め、奥ゆかしい聖母のような微笑みを浮かべている。容貌に充分過ぎる程に大人っぽい艶やかなオーラが滲み出ていて普段の彼女とは思えない。立ち姿一つとってもまるで別人だ。
その引き締まったところは引き締まり出るところは出ているスタイルの良さと服装……イズのセンスが光る水着と合わさって女の私でも見ていて何故だか恥ずかしくなってしまった。
そんな彼女は惚れ惚れするような吐息を一つして、魅惑的な声で話し出した。
「……モデルは元、なんだけどね。まだ覚えていてくれて嬉しいわ。フレデリカさんだ、っけ?」
「は、はい!」
そう若干どもった声で答えるフレデリカの顔は高揚感からなのか、はたまた別の何かだからか赤くなっている。
ふとメイプル達を見ると、彼女達も顔が赤くなっている。
「私、あまりプライベートは詮索されたくないの。だから、私がこのゲームをやっていることはあまり言いふらさないで、ね?」
「分かりました!」
まるで、その声には魔法みたいな強制力でも働いているかのようだった。聞いているだけで心が安らいでいくような……とにかく、心が惹き付けられてしまう。
その魅力に抗おうとも思わない。私は悟った。
彼女の魅力こそが、暴力よりも演説よりもずっと簡単に、人を跪かせる唯一無二のパワーなのだと。
「……うーん、それではちょっと貴女に悪いかしら」
指を顎にあて、悩んでいるような仕草をするエリー。その姿は思わず助けたくなってしまうような暴力的な魅力を放っているかのようだった。そこにいる誰も……メイプル達も、私もエリーから目を離せない。目を離したくない。
ちょっとした仕草一つで、エリーはこの場にいる全員の視線を独り占めにしていた。
「……そうだ。サインとかならしてあげられるけど。うふふ、ちょっと傲慢だったかしら? もう引退してから年月が過ぎちゃってるものね」
「そ、そんなことないです! 是非お願いします!」
「ふふ、ありがとう」
……まるで普段とは別人だ。今彼女に話しかけてもなんだか照れ臭くて話しかけられない。彼女が遠くに行ってしまったかのように感じてしまう。
「……それじゃあご機嫌よう、フレデリカさん」
「……ふぁ、ふぁい……」
フレデリカはうっとりとした恍惚な表情で心ここにあらず、と言った様子でゆらゆらと歩き去って行った。
しばらく、誰も喋らなかった。
誰もエリーに話しかけられないし、エリーも何も話さない。この空間は彼女に支配されていた。
しばらく静かな時間が過ぎ……次に耳に入ってきたのは、エリーがパンと手を打ち鳴らした音だった。
「ほらほら、みんな戻って来て〜!」
……そう話しているエリーの様子はすっかり元に戻っていた。
「お前、今のは……」
「昔、モデルやっていた時の喋り方。凄かったでしょ?」
「ああ……」
マジで一瞬エリーが天使か何かに見間違えた。あんなことできたのかよお前……
「凄かったです……」
「本当……」
「はえ〜……」
メイプルと双子達はまだ先程の雰囲気から抜け出せないのかフレデリカのようにうっとりしていた。
「カリスマモデルユリエ、か……お母さんから聞いたことがあるような気がする」
「知っているのかサリー?」
「うん……業界No. 1のカリスマモデルと言われていて、数年前に若い女性を中心に爆発的な人気を誇っていたけど突然モデルを辞めちゃったんだって」
「うん、サリーちゃんの言う通り。あ、ちなみにやめたりゆうはこんな性格だからだね」
なるほど、素の性格がアレだからか。ちょっと勿体無いくらいだな……
「あ、勿体無いとか言わないでね? それはもう両親から飽きるくらいに聞かされたから……」
そう言うエリーは珍しく沈んだ表情をしている。エリーにも色々あったんだな。
私がエリーのことを少し可哀想に思っていると、こいつは普段の鬱陶しくなるような満面の笑みで洪水のように喋り出した。
「あれあれ〜ソラノちゃんもしかして惚れちゃった? ごめんね〜綺麗でうふふw
うふふ、顔が赤いよ? んもう照れちゃって〜素直じゃないんだから!
ほら、友達特権でちょっとくらいなら抱きついたりしてくれても良いよ?
ほら、ほら! そんな生娘みたいな初心な顔してなくてさぁ、ほら!」
「……ああ。そうさせて貰うぞ。【黄金狂】!」
「ふぇ?」
ああ、思い出した。こいつはこう言う奴なんだった。危ない危ない……一時の気の迷いでとんでもないミスをしでかすところだった。
私はエリーのムチムチした憎たらしい身体を掴んで持ち上げる。
「え、ちょ、何を……」
「調子に乗ってるんじゃねぇ! ちょっくら頭冷やして来いやぁぁぁぁ!!」
「え、待っ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!?」
渾身の力で私はエリーを湖の中心目掛けてぶん投げた。
投げられたエリーは悲鳴を上げながら着水してしばらく浮かんで来なかった。ふう、ちょっとスカッとした。
例えカリスマモデルだろうがヤクザの幹部クラスになろうが東京都知事になろうがエリーはエリーだ。そのことを肝に銘じよう。
「えぇ……?」
「あの、エリーさん大丈夫でしょうか?」
「あいつなら平気だろ多分」
残された私達がそんな会話をしていると、背後から足音がした。振り返るとそこにはフレデリカがちょっとばつが悪そうにしながら立っていた。
「あの……情報収集、させてくれないかな?」
◆ ◆ ◆
あの後フレデリカとサリーが決闘してサリーが【攻撃誘導】と【流水】と言う偽のスキルの情報を流したらしい。そんなことできるものなのか疑問に思ったが、技量次第では可能となことだった。やっぱりサリーは凄いな。
私は第四回イベントの日まではスキル集めに勤しんだ。基本的なスキルから珍しいスキルもできる限り取得した。例を挙げると【超加速】なんかだ。それなりに頑張ったので二十を超えるスキルを手に入れることができた。
そしていよいよ、第四回イベントの日が来た。
「よーし、頑張ろう!」
「目指すは上位十位以内!」
「「「異議無し!!」」」
さて……第四回イベント、目一杯楽しむとするか!
「さあ、第四回イベントギルド対抗戦、スタート!」
本当はもっと色々書きたかったんです……
ユイマイイズの服装を褒めるソラノとちょっと拗ねるクロムとか
エリーと妹の美人さを言い争うフレデリカとアルグとか
ルール確認とか(次回にします)(それ省くのダメなんじゃ)
全部エリーってやつの仕業なんだ!
俺は悪くねぇ!
大親友 2/3
三嶋 ゆりえ(みしま ゆりえ)。コーヒー大好き。彼氏募集中。恋に恋している系の28歳。
元カリスマモデルで女性向け雑誌の表紙を良く飾る人気を誇っていた。
TVにもよく出演していて、その時は外見に相応しい振る舞いや性格を演じていた。
若い女性を中心に絶大な知名度を誇っていたが数年前に突如引退。理由はインタビューでも語られず、しばらくお茶の間を騒がせた。
辞めた理由は本当の自分を誰も見てくれないから。
学生時代はクラスメイトから羨望の眼差しで見られていたが、容姿があまりにも人間離れした美しさを醸し出していてので親しい友人は異性含めて1人もできなかった。
親からは学校でも職場でもモデルに相応しい言動や態度を取るように言い付けられていた為である。
両親は有名な俳優と歌手。その為幼少期から様々な専門的な教育を施されていたが、本人が全く望んでいなかった為にあんな我儘な性格に育ってしまった。
誰からも自分が望まないことを要求される毎日。そんなある日に彼女は引退を決意。
両親からは激しい反発を受けたが、説得を続けてなんとか穏便に引退することができた。
しかし、その事を引き摺ってか両親とはやや気不味い関係が今も続いている。
槍術は子供の頃読んだ小説やゲームの影響で習い始めた。好むものには入れ込む性格なので今のような槍馬鹿になった。
ゲームはアイドル現役時代からジャンルを問わず沢山遊んでいる。当初はストレス解消の目的だったが、現在は単に楽しむ為にやっている。
心音とは初めて出来た友人。
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ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。
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