魔法中年だろってツッコミはやめちくり〜。
宝箱の中身は、装備一式とスキルの巻物だった。スキルの巻物ってショップ以外でもあるんだな。えーと、何々……ううん、結構読むの時間かかるな。
【ユニークシリーズ】
単独でかつボスを初回戦闘で撃破しダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者だけの為の唯一無二の装備。
一ダンジョンに一つきり。
取得した者はこの装備を譲渡出来ない。
【破壊成長】
この装備は壊れれば壊れるだけより強力になって元の形状に戻る。修復は瞬時に行われるため破損時の数値上の影響は無い。
【憎悪】
戦闘時に一定時間の間自分の攻撃が命中しない、ダメージを一定以上受ける、のいずれかの条件を満たす度にINTが1%ずつ上昇し、MPが1%ずつ減少。 (上昇量は最大100%)
持続時間は三十分。
使用可能回数は一日一回。
『ハートの髪飾り』
【INT+10】【MP+10】
スキル【愛】
【破壊成長】
『ラブリードレス』
【INT+30】【MP+15】
スキル【アルカナスレイブ】
【破壊成長】
『キュートシューズ』
【INT+15】【MP+10】
【アルカナビート】
【破壊成長】
『マジカル☆ステッキ』
【INT+30】【MP+15】
スキル【星弾】
【破壊成長】
【アルカナビート】
MPを消費して魔法陣を直接叩き付ける近接攻撃。杖限定。
命中した対象は一定時間VITが30%低下する。
持続時間は一時間。
【星弾】
MPを消費して星型の弾を撃ち出す。MPを多めに消費して複数撃ち出す事も可能。
この弾はパーティメンバーに命中するとHPかMPのどちらかが回復する。
【愛】
常に魔法によってダメージを与える毎にHPとMPが回復する。また、パーティメンバーもHPが回復する(HPが少ない者優先)
回復量は与えたダメージの量に比例する。
「なに、これ。めっちゃ強くない?」
装備についているスキルは回復効果に特化している感じだ。特にデメリットもなく扱いやすい。
でも、巻物の方のスキルは条件を満たすと火力が上がる代わりにMPの燃費が悪くなるみたいだな……気を付けないとな。一応取得しないことも可能だけど、折角だし取得しておこう。
そこは一旦置いておくとして……これ装備するとなるとパーティ組むの前提になりそうだ。回復効果が素人でも分かる程素晴らしい。また行きずりのパーティ探すのもいいけどフレンド機能ってのもあるし友人ができたら良いものだ。一応軽い知り合いくらいはできたがフレンド登録はしてないな。あいつならフレンド登録くらいしてくれそうだけど、たしか戦闘は好きじゃないって言ってたな。
戦利品のチェックに戻ろう。まだ特に面白そうなのが一つ残ってる。
【アルカナスレイブ】
詠唱の後に広範囲のビームを繰り出す。使用時MPを全て消費。
使用後三分の間HPとMPを除いた全能力値が30%減少する。
ビームに触れたパーティメンバーはHPとMPが大きく回復する。
使用可能回数は一日一回。
詠唱:正義よりも〜(中略)〜アルカナスレイブ!!
詠唱がいるスキルとか初めて聞いた。詠唱の長さ的に考えてかなり強いスキルな筈だ。だが、デメリットもあるのは気を付けないとな。MPはポーションがぶ飲みでまだなんとかなりそうだけど、ステータス低下はちょっと不味いな。連戦が必須な時には使えない。
「……うーん」
凄く装備したい……したいけど……1つ重大な問題が発生した。
「……日曜日の朝にやってる女の子向けアニメの主人公みたいなデザイン」
多分、サブカルに明るい人からそうでない人まで10人中10人が『魔法少女』だって感想を抱くような装備だ。
ドレスはフリフリでスカート丈も短いしおまけに長いソックス……多分ニーハイソックスってやつかな? それととガーターベルトまである。靴は女子小学生が履いてそうなのだし……あ、ハートを模した髪飾りはまだ可愛いかも……?
で、極め付けはステッキ。絶対おもちゃ屋に行けば似たデザインのがあるよこれ。杖の先端には大きな星型があってその真ん中にハートマーク、更には左右に翼も付いてる。
まあ、その、一言で言うなら……
「これ着るの、めっちゃ恥ずかしい……」
いやね、いっそこの装備の性能が微妙だったらこんなの死蔵するのよ。でもね、すっごく性能高いのよ。オンリーワンの性能なんよきっと。
凄く強そうなんよ……え、これを私が着るの?
たしかに私の体型には似合うだろうけど……私もう27よ? しかも独身だよ?
そんな私が?? こんな可愛いのを着る??? 本気????
「……一旦ログアウトして今日はもう寝よう」
うん、そうしよう。ボス戦で疲れたし時間ももうかなり遅い。とっとと床に着こう。明日も仕事あるし……
「はぁ……」
この装備、どうするかな……考えとかなきゃ。
◆ ◆ ◆
「あ、例の魔法使い専用隠しダンジョンが突破された!」
「なにっ!?」
「あー、あそこか。そこまで高難易度じゃないけど迂闊なミスしたらすぐ死ぬ感じの難易度設定だったっけ」
「おい、クリアしたのはどんな奴だ!!?」
「落ち着け、今確認する……おっ、女の子だ。名前はソラノか」
「その子の年齢はっ!!」
「今のお前不審者みたいだぞ……あれ?」
「ん、どうした?」
「いやね、この子……見た目は中学生か高校生くらいだけどさ、何故か年齢は27らしい」
「っしゃあぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁああぁ!!!!!」
「うるせえ黙れ!」
「ええと……たしかあそこのダンジョンをクリアした報酬のユニーク装備は見た目と性能は固定だったよな?」
「ああ、その代わりに今ここで絶叫しているこいつが出現条件を魔法使い系なビルドしているプレイヤーの前だけに出現するように設定した。あと、装備のデザインや性能の設定もこいつだったな」
「くっくっく……27歳……魔法使いコス……ぐへへ……」
「……この人大丈夫なんですか?」
「まあ、こんな奴だが優秀ではあるんだよな……はぁ、それよかさっきの初心者の大盾使いの方が気にかかるな」
◆ ◆ ◆
翌日。再びログインした私は宿屋の一室を借りてあの装備を着て自分の姿を鏡で確認していた。
「……似合う。似合うんだけど……」
私の見立て通り、私の小柄な体躯によく合っている。今すぐ子供向けのショーとかに出られそうな格好だ。
……いやいやいや、こんな見た目で外をうろつけるか! 恥ずか死ぬわこんなん! 高校の時の文化祭でメイド喫茶にてメイドのコスプレした事はあるけどこれはダメだ。大体、私は中学も高校も長いスカートだったからこんな短い丈のスカートなんて履いた事すらないぞ!
「うぐぐ……」
売ろうにも譲渡不可みたいだし捨てるには惜しい性能だ……本当、どうしよう。
嫌々ながらこれを装備して魔法少女になってしまうのはもはや避けられない。見た目だけ変更とか出来ないかなこれ?
最悪、常にローブみたいなのを被ってれば大丈夫かもしれないが……杖がどうしてもなぁ。
1番問題なのは第1回イベントだ。参加するって言っちゃったからなぁ。正直無視して不参加を決め込みたいけど、あいつの事だ。参加しなかったらその理由を根掘り葉掘りと聞くに違いない。そうじゃなくても大会に参加したらバレる可能性もある……
なんとかローブを着込んでこの格好を絶対に見せないようになんとかしよう。うん、それがいい。あいつがこのゲームにログインしても隠し続けるのは難しいかもしれないが、どうにかするしかないか……更に仕事押し付けてゲームのログインを遅らせるとか。でも、それって根本的な解決じゃないんだよな。
「はぁ……ローブ、買いに行くか」
イズの店なら売ってるかな。あ、先にこの装備を外さないと。これ着て街中歩くくらいならあの大蛇とまた戦う方がよっぽどマシだ。
◆ ◆ ◆
「あら、ソラノちゃんいらっしゃい。お金貯まったの?」
「いや、今日は違う用事なんだが……と言うかちゃん付けはやめてくれ、さん付けしろとまでは言わないから呼び捨てにしてくれ」
「うふふ、分かったわ」
このニコニコしている私と同じ水色の髪の女性がイズ。生産職でかなりの腕利きらしい。この前特注の魔法使いっぽいローブを頼もうとしたがお金が足りなかったんだっけ。だから仕方なく適当な安い店売りの奴買ったんだったか。
私としても付き合い易いタイプで向こうも初心者の私を何かと気に掛けてくれているようで、一応フレンド登録をしてくれている。ああ、リアルでこう言う人が同僚だったらなぁ……
ちなみに初対面で子供扱いされたが誤解は解いている。私の年齢を口にしちゃったからな。リアルの情報を無闇に口にしないでって注意されたけど、正直この方法が誤解を解くのに手っ取り早いと思ってる。
「そうなの?」
「ああ。全身を覆い隠せるローブを売ってくれ。身体全体を隠せられるなら他の物でも構わない」
「うーん、別に作れなくはないんだけど……理由を聞いていいかしら?」
「ああ、つい昨日強い装備を手に入れたんだが……その、見た目がちょっと気に入らなくてな。見た目を別のものに変えたりとかは出来ないだろうか?」
「うーん、オーダーメイドしたのなら多少は変更できるけど……それ以外は無理ね」
やっぱりか……やっぱり上から何か羽織るしかないか。
「それなら仕方ないな」
「でも、そんなに嫌だったら装備するのやめちゃえば?」
「それも考えたんだが性能がかなり強くてな……捨てるには惜しいくらいだ。あとソロよりもパーティメンバー向けな感じ」
「ふーん……ねぇねぇ、誰にも言わないからその装備ちょっと見せてくれない?」
「はぁ!? さ、流石にそれは……」
あれを他人に見せるのは絶対に嫌だ。夜勤で家に帰れない方がマシに思える。
「ほら、ローブ代タダにするからっ!」
「うぎぎ……」
たしかにゲーム内のお金は殆ど稼げてないが……だからと言ってそんな……
「MPポーションも幾つか付けるわよ」
「……ちっ、分かったよ」
うう、つい了承してしまった。今度この人に会う時は所持金に余裕がある時にしよう……
「絶対人に言わないでよ! 写真は勿論撮っちゃ駄目! 絶対に絶対だからな!」
「分かったわ!」
「はぁ……ほら、これでいいか」
私は嫌々ながらもこの魔法少女コスプレセットを装備した。誰がこの装備デザインしたんだか……
「きゃー! 可愛いー!」
イズは今の私を興奮した様子で見つめてくる。だから着たくなかったんだよ……
「ええい、うるさい! 揶揄うな!」
「こんな可愛いのにローブで隠しちゃうの? 勿体無いんじゃないかしら?」
「そんな事ない! たしかに似合ってるのは自覚してるけどお前私の歳考えろ! こちとら27だぞおい!?」
こんなナリで人目のある場所歩けるか! ミニスカで下がスースーするしガーターベルト付けてるしこんなんリアルで着用したら即補導されるわ!
「えー?」
「えー? じゃない! もう良いだろ。装備外すぞ」
「うーん、もうちょっと見たかったけど仕方ない……あら?」
装備を解除しようとすると、先程より少しだけ落ち着いた様子のイズがちょっと困った顔で私の方……いや、私の背後に視線を向けた。その理由は私にも分かった……入店のベルが鳴ったからだ。
私が振り返ると、大盾を背負った男性プレイヤーが入り口で呆けた顔をして立っていた。
果たして大盾を背負った男の正体は何者なのか……!
次回、クロム死す
デュエルスタンバイ!
27歳独身女性の魔法少女コス……アリだな!
実は32歳子持ちのシングルマザーも考えてた
え、どっかで聞いた事のあるスキル名に詠唱だって? はて……
(クロスオーバータグの他にもタグ必要ならば付けますハイ)
【大物喰らい】と【フレアアクセル】の説明は省かせて貰ったぜ……
3/14 入手したスキル関連について修正しました。間違えたままだったの恥ずかしすぎる。
3/16 【憎悪】に使用可能回数を追記。パッシブだとちょっと都合が悪くなった。
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ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。
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白夜
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終末鳥
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赤い霧
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調律者
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黒い沈黙
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ドンファン