嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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エリーが輝く回(ベジータが輝く回的なノリ)




魔法少女と来訪者

 

 メイプルちゃんが親友のサリーの危機に拠点を飛び出しちゃった。友達のことが大切なんだね、メイプルちゃん。少し眩しいや。

 

 ギルマスが不在なこの間、双子のユイちゃんとマイちゃんとウチの三人で一緒に拠点防衛に努めなければならない訳だが……双子ちゃんは少し不安そうだ。まあ、二人は紙防御でメイプルちゃんがいないとちょっと喰らっただけで死んじゃうからね。その所為でメイプルちゃんがスカウトする前はキャラメイクし直すか悩んでたみたいだし。

 

「メイプルさん、大丈夫でしょうか……」

 

「……ギルマスを慮るよりも、ウチらの身の安全を心配した方が良い筈だよ」

 

「え、それってどう言う……?」

 

 ウチの読みだと多分、いや確実と言っていいレベルで来る。

 

 入り口のある一本道に向けて耳を澄ませていると、ふと足音がした。足音はとても小さくて注意していなければ聞き逃してしまうような、多少隠密行動に慣れた人物のそれに違いないだろう。

 

 現れたのは、気怠げそうにしている男性。

 

 第一回イベント二位、【神速】のドレッドだ。

 

「ふむ、来たのは【神速】だったか……」

 

「ほー、その物言いだとあんたは襲撃者が来るのを予想してたってことか」

 

「ふふん、計算済みですとも!」

 

 メイプルちゃんが拠点にいないのがサリーちゃんを襲った奴等に知られたからね。私が逆の立場ならサリーちゃんを拘束でもして(不可能だろうけど)メイプルを拠点から引き摺りだしてその間に別動隊に拠点を襲わせるくらいはやる。え、やり方が外道? いやいやこれくらいは至って普通、チャメシ・インシデントでしょ。

 

 正直、アルグじゃなくてホッとした。あいつならそこら辺のギルドを脅して数で押し寄せさせるくらいはさせそうだからなぁ……

 

 だが、【神速】も厄介だな。ぶっちゃけサリーちゃんが死を覚悟する相手ならば【集う聖剣】か【炎帝の国】のどちらかに囲まれたんだろうと思う。後者はフレデリカが漏らした情報があるからなんとかなるかもしれないが、こいつについての情報は不足気味だ。サリーちゃんが一度遭遇したらしいが……

 

 装備からして明らかにAGI特化ビルド臭い。こりゃ双子ちゃんは勝ち目が薄いな。致し方無し、私が頑張らなければ。

 

 会話で時間稼ぎでも試みるか?

 

「二人ともオーブの側に控えてて。ここは私がなんとかする」

 

「で、でも!」

 

「何か、援護した方が……」

 

「いや、二人が鉄球投げたとしてあいつにあたるかどうか怪しいしまかり間違えて私に当たると即死だからね?」

 

 黄金の回転が掛かってる鉄球と遜色なさそうな威力の鉄球を私は喰らいたくない。誰だってそうする。ウチだってそうする。

 

 こう言う時支援役をこなせられるイズっちやカナデちゃんががいてくれたらありがたいんだけど……今回はそこまで難しいことをする訳でもない。

 

 何故なら、ドレッドを倒す必要はないからだ。

 

 時間稼ぎしてメイプルちゃんが戻って来れば挟み撃ちの形になるからね。無理して自力で倒す必要性はこれっぽっちもない。はっきり言ってしまえばイージーモードだ。

 

 ……なんかフラグ立てちゃったかもしれないが、気にしないでおこう。

 

「じゃ、やりますか。ほら、いつでもおいで」

 

 私は槍の切先を向けて、攻撃を促す。此方から仕掛けるのはオーブを守らないといけない都合上難しい。

 

「フレデリカの奴が言っていた元モデルって奴か……はぁ、こいつもこいつで面倒そうだな」

 

「誰が愛が重い女よっ!」

 

 ドレッドは私の戯言を華麗にスルーしつつ素早く私に接近してきた。むむ、時間稼ぎに適当なコントでも披露しようとしたが出来なかったか。そして、やはりAGI型……!

 

 ウチは槍でドレッドの振るった二振りの短剣の攻撃を弾いた。かなり素早い動きでやり難いが、槍に不可能はない。槍だけに。

 

「俺の攻撃を槍を使って易々と弾くか……」

 

「易々だなんてそんなそんな……もうね、手が痺れちゃってしばらくリアルでも影響出そうですわヨ」

 

「……なんと言うか、フレデリカが語ってた奴と目の前にいるお前が同一人物に思えないな」

 

 ……あの頃、私はずっと我慢してたから。

 

「おおっと、若干動きが荒くなったか?」

 

「……別に。それで、これ以上やってもイタチごっこじゃないかな?」

 

 当たるつもりで払った槍は跳躍されて躱されて距離を取られた。やはり二位の実力は伊達じゃないな。勝てなくはないかもしれないが、やはり無理しないでおくのが妥当か。

 

「はぁ、やっぱりあんたとはあまりやり合いたくないな。青マフラーのあいつ程じゃないが……」

 

 一体、何処のサリーなんだ……

 

 時間、もうちょい時間を稼げば……!

 

「なら、お前に素晴らしい提案をしよう。お前も槍を使わないか?」

 

「……もういい!」

 

「っ!」

 

 こいつ、ウチの妄言を完全に聞き流した上にウチを素通りしてオーブを奪い取るつもりか……双子の方ならウチ与し易いって算段ってところか。

 

 不味い、双子ちゃんの防御力は障子紙レベルだからまず勝てない!

 

「……私達だって!」

 

「やればできるんです!」

 

 しかし、そんなウチの不安は双子ちゃん……ユイちゃんとマイちゃんに消し飛ばされた。

 

 片方が大槌を投げてもう片方がそれを受け取る奇襲のような連携により、命中=ほぼ即死な彼女達の攻撃をドレッド相手に入れることに成功した。

 

 おお、いつまでも半人前じゃないんだね……ほろり。

 

「私達、半人前だから……!」

 

「二人で貴方を倒すよ!」

 

 解釈不一致だったわ。

 

 しかし、ドレッドの様子を見るに……まだ、彼は倒れていない。食いしばり系のスキルを持ってたか!

 

 いけねっ、このままだと二人の危険が危ないだ!?

 

「二人とも、下がれ!」

 

「遅い!」

 

 私が二人の前に立ちはだかるよりも圧倒的にドレッドが双子を倒す方が早い。この私がスローリィだとぉ!?

 

 まあ、あまりウチはAGI上げてないからね……多分クロムと大体同じくらいだ。でも、まだ打つ手はある。今まで手に入れてからずっと使う機会がなかったスキルがある!

 

「【緑の枝】!」

 

 ウチがそのスキルを使うと、萎びた緑色の枝がドレッドの足元に生えて襲いかかる。

 

「ぐおっ!?」

 

 その枝はドレッドの足を捉えて捕まえた。唯でさえAGIを下げる効果もあるあるのにそんなこともできるのか……今度からもっと使おう。

 

 これで動きは封じた。これで終わりだ!

 

「【スロージャベリン】!」

 

 ウチが投擲した槍をドレッドは身を屈ませて躱した。足が動かないのによくやるなこいつ。

 

 だが、ここにいるのはウチだけじゃないんだぜ?

 

「【ダブルストライク】!」

 

「ぐはっ……はは、このギルドとやるのはキツイ……な」

 

 ドレッドは双子ちゃんの大槌の攻撃をまともに喰らって死亡したようだ。まあ、多分残りHP1だっただろうからイズっちのデコピンでも死んでただろうけども。

 

 それにしても……意外と何とかなったな。

 

「倒せたん……ですよね?」

 

「うん、そうみたい」

 

 双子ちゃんもホッと一息付いた。私も同じ心境だ。

 

 いやぁ……【神速】は強敵でしたね。

 

 

 

 

 

 

 そんな風に油断してたのが悪かったのだろうか。

 

 

 私は背後から迫り来るもう一人の来訪者に気付けなかった。

 

 

「あーらら……ドレッドはもうやられちゃったか」

 

「グッ‥…」

 

「「エリーさん!?」」

 

 ウチの肩に鎌が生えていた。

 

 この武器は……あいつが持ってたやつだ……

 

「アルグぅ……お前なぁ……!」

 

 振り向くと、忌々しい微笑を浮かべたアルグが平然とした様子で私に武器である鎌を突き刺していた。

 

「やあ、元気だったかい……おっと、HPが減っているな。もしかして攻撃を常に微弱に反射させるスキルでもあるのかい? それからAGIも少し下がってるな」

 

 こいつ、何しにここに来やがった!?

 

「取り敢えず、せめてもの駄賃としてエリーの1デスくらいは貰っておこうかな。それじゃまたね小さな怪力の双子の人」

 

 アルグはそれだけ言うと鎌を引き抜いて入り口に向かって走り去って行った。

 

 





アルグ「楓の木の拠点前にスタンバッてメイプルを妨害する予定だったけどメイプルが空飛んでたのが見えたので急いで突入してオーブを盗もうとしました★」
ドレッド「あのさぁ……もう少し早く来てくれても」
ソラノ「あいつなら心配要らないとか格好良く言ったのにこれだよ」


活動報告にも書きましたが、これから本作は不定期投稿になります。
今まで定期で投稿して来て分かったけど、これは多分既に話を書き終えている人達がするものなんじゃなかろうか?


Next. 俺、このイベントが終わったら君と一緒にやりたいことがあるんだ

ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

  • 白夜
  • 終末鳥
  • 赤い霧
  • 調律者
  • 蒼星様
  • 盲愛様
  • 黒い沈黙
  • ドンファン
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