愛と正義の名のもとに、
魔法少女がやってくる!
いよいよ第一回イベント開始時刻まであと数分になった。今日はいつもよりも人がとても多く、混雑すらしている。この場にいる全員が参加する訳じゃないんだろうけど、それでも沢山のプレイヤーが参加するイベントのようだ。私の想像以上にこのゲームは人気らしい。騒がしいのは嫌いじゃないし、人が多いのはまあ……嬉しい、かな。
私は当然ローブを被って参加するつもりだ。なるべくローブは死守したいところだが……負けそうになったら捨てる事になるかもしれないな。なるべく格上や相性の悪い相手は避けて戦う事になるだろう。杖はもう諦めた。
「よ、よぉソラノ……さん?」
「ん、その声はクロムか」
どうやら彼も参加するらしい。まあトッププレイヤーらしいし当然だろう。
「別にソラノで構わない。そんなへっぴり腰みたいな口調になるんだったら呼び捨ての方がまだマシだ」
「そうか……分かったよソラノ。今日はお互い頑張ろう」
「ああ」
「……でも、例のアレを俺に向けて放つのはちょっと勘弁して欲しいな」
「それはまだ分からないな」
私は苦笑しながらそう答えた。流石に何も説明せず巻き込んだのはやり過ぎだっただろうか?
まあ今回のイベントではお互い敵同士だから、もしも見掛けたら容赦なくぶっ放す予定ではある。一日三回しか使用できないし、反動もあるから使い所は見極めないといけないね。
ああ、そう言えばアレを放った時にスキルを取得したんだっけ。
【冷酷非道】
自分のHPが満タンの時、魔法によって与えるダメージが30%上昇する。
取得条件
自分のHPが満タンの時、味方ごと敵に一定以上の威力の魔法で攻撃すること。
……これ、持ってるってだけで避けられそうじゃない? 私のスキルは味方巻き込んでも回復する仕様だったから簡単に取れたってだけで。と言うか魔法判定だったのか。魔法少女のコスプレしてたからか?
役に立つ効果だから良いが……実は、【愛と憎しみの名の下に】の回復効果の量は与えたダメージに基準に決まるようだから攻守共に強化された事になる。嫌われそうな名前でさえなければ完璧だけど、まあスキルを口にしなければ何も問題ないか。
「ガオ〜!それでは、NWO第一回イベントを開始するドラ!制限時間は3時間!ステージは、イベント専用マップ!ちなみに僕は、このゲームのマスコットドラぞう!初めての人は、以後よろしくドラ!」
おお、なんだあのちっちゃなドラゴン。ちょっと可愛いぞ……声が私よりも魔法少女に似つかわしい気がするのは私の気の所為だろうか。
「それではカウントダウン!」
「3! 2! 1! 0ー!
それではみんな頑張ってー!ガオ〜!」
よし、やるぞ。
「ここは……」
転送された先はどうやら樹林エリアのようだった。私みたいな魔法を使う人にとっては遮蔽物が多くてやり辛いかもな……その分隠れられる場所も多いのは利点だけど視界があまり広くないのは気にかかる。背後から奇襲されたりするのは非常に困る。
索敵は得意ではないし別のエリアに移動するか。とは言え、マップがどこまで頼りになるか……
「今だ!」
「んあ?」
左側から隠れていたプレイヤーが私に襲いかかる。が、1人だしまあ何とかなる。
「【アルカナビート】!」
「ギャアス!?」
近接攻撃スキルが割と便利だ。ただ単体攻撃なのが若干使い難くはあるがそれ以外はかなり優秀だなこれ。
「【ファイアボール】」
トドメをキッチリ刺してから移動を再開する。タイマンならあまり苦戦はしないようだ。忌々しいけど装備のお陰かな。
「しかし……複数人はちょっぴり疲れる、と言ったところか」
私の進路を塞ぐように、複数人のプレイヤーが立っていた。
……第一関門ってところかな?
◆ ◆ ◆
【NWO】第一回イベント観戦席4
175名前:名無しの観戦者
やっぱペイン強ぇw
176名前:名無しの観戦者
ペインはまあ優勝筆頭だしな
トッププレイヤーみんな強すぎるんよ
177名前:名無しの観戦者
順当だな
名前知らない奴とかいねーの?
178名前:名無しの観戦者
1人……いや、2人いるね
179名前:名無しの観戦者
うん、大盾の方がメイプルでローブ被った魔法使いがソラノ
あの大盾の子は他席でも話題に上がってる
何あの盾w
180名前:名無しの観戦者
うわ、武器食ってるよ……
しかも武器を頭で弾き返してるように見えたんだんだが?
見間違いかな???
181名前:名無しの観戦者
安心しろ、俺にもそう見える(震え声)
182名前:名無しの観戦者
で、もう1人の子は……あ、このローブ被った子か
ローブで見えにくいけど顔可愛いなw
183名前:名無しの観戦者
何気にこの子の持ってる杖が可愛らしい件
女の子が好きそうなデザイン
184名前:名無しの観戦者
男の子も好きやぞ
それはそうと結構頑張ってるなあの子
185名前:名無しの観戦者
何度か攻撃喰らってるけど全然死ぬ気配がないんだよな
回復魔法使ってる風にも見えんし
186名前:名無しの観戦者
さっきからこの子がしてる攻撃に自己回復効果があると予想
187名前:名無しの観戦者
まあその辺りが妥当かな
でもさっきから星出すか魔法陣出すかしかしてないな
188名前:名無しの観戦者
魔法陣で直接殴ってるのちょっと笑うんだが……
189名前:名無しの観戦者
杖が浮いて攻撃してるな
杖の見た目が可愛らしいのでなんかファンシー
190名前:名無しの観戦者
その攻撃受けた人ぶっ飛んでるんですがw
191名前:名無しの観戦者
でもこのままだとジリ貧っぽいな
被弾が増えてる
192名前:名無しの観戦者
今はまだ何とかもってるけど時間の問題じゃね
HP一気に消し飛ぶ攻撃喰らえば回復スキル持ちでもそりゃ死ぬ
193名前:名無しの観戦者
ワイはこの子可愛いから応援する
がんばれー!
◆ ◆ ◆
あれから大分時間がたった。それからちょくちょく遭遇したプレイヤーを倒しながらフィールドを練り歩いていたのだが、どうやらプレイヤーの大群に当たってしまったらしく現在絶賛奮戦中だ。
正直言ってかなりヤバい。だって私が必死こいて倒してるプレイヤーよりも騒ぎを聞き付けてやってくるプレイヤーの方が多いもん。援軍なして籠城戦やってふようなもんだ。いや、もっと酷いか。
「【星弾】! 【アルカナビート】!」
「おい、この女手強いぞ! 一旦協力してくれ!」
「分かった! 魔法が使える奴はこいつの背後に回れ!」
げっ、連携してくるか。ここは逃げの一手だ。まともに相手をしてやる必要はないからな!
「【フレアアクセル】!」
あの大蛇との戦いで地味に取得していたスキルが役に立ったな。このスキルは移動スキルでかなりの速度で移動できる。
「逃げたぞ、追え!」
「待てー!」
待てって言われて誰が待つかってんだ……しかし、行く先々に回り込もうとしていた奴等が迎撃してくる。完全に囲まれてたんだな私……
「現在の一位はペインさん!二位はドレッドさん!三位はメイプルさんドラ!これから一時間上位三名を倒した際、得点の三割が譲渡されるドラ!三人の位置はマップに表示されているドラ!」
「ちょ、ええい……この忙しい時に!」
あのちびドラゴン……悪気がないのは分かってるけどタイミングが悪いって!
私が一瞬気を取られた瞬間に魔法使い達が同時に魔法を撃ってきた。
「「「【ファイアボール】!」」」
「しまっ!?」
幾つかは躱せたが、1つだけ当たってしまった。
「今だ、倒すぞ!」
「おお!」
私が怯んでいる間にも背後からAGIの高いであろう連中が、側面や前方から先回りしていた連中が集まってくる。絶対絶命のピンチって奴だった。
……覚悟はしていた。仕方ない、か
「今だ! 倒せるぞ!」
「おおぉぉぉぉ!」
私の四方から迫った奴らは、一斉に武器を振り下ろした。
「よし、仕留めた……いや、まだだ!」
「あいつ自身は何処行った!?」
「……っ、上だ!」
「【星弾】!!」
「ぐはぁ!」
私はローブを身代わりに跳躍した。マジでギリギリだった為ローブだけがどうしても……いや、仕方なかった。覚悟は済ませたし、今は気にしてられない。本当は滅茶苦茶気になるけど。主に大衆の視線が……だが、今私を攻撃した奴は全員始末できた。これでまた逃走できる。
「……なんだあいつの格好!?」
「魔法少女……だと!?」
「か、可愛い……」
だよね、びっくりするよね! 私だって逆の立場だったらびっくりする自信があるよ! あと見惚れてる奴は後で折檻な!
「はあぁぁぁ……この姿を衆目に晒すつもりはなかったのになぁ。【フレアアクセル】!」
「くっ、あとちょっとで見え……じゃない、早く追え!」
……アイツは念入りにキルしよう。
私は【フレアアクセル】を使い直し、追手を振り切ろうと全力で移動に集中した。しかしこのスキルはお世辞にも持続時間が長いとは言えない。いつかは追い付かれるかもしれないし、大体逃げに徹するのは私の趣味じゃないんだよ!
何か無いかと目を凝らしつつ移動し、とある地形を見つけた。ここならなんとかなるかもしれない。
私は発見した崖に挟まれた狭い通路に急いで入り込んだ。ここなら上から奇襲されない限りは比較的安全だ。問題なのは、けろうじてだが行き止まりが見えている事だろうか。しかし、私にとってはそこまで大した問題ではない。
私は1番奥の行き止まりまで辿り着くと、パルクールのように崖を登って行く。学生時代に陸上やってた経験かそこそこスムーズに登れる。【フレアアクセル】がなかったら無理だったかもしれない。崖の上ならば相手方の魔法や弓も届かないだろう。道中で放たれた弓矢や魔法はこの際無視だ。即死しなければ何も問題はない。幸い回復スキルには事欠かない。
「さて、私のこの恥ずかしい姿を見た以上……対価は支払って貰おうじゃないかっ!」
私には、ここからでも届くスキルがある。使わないままってのもなんだか勿体無いし……やるか!
盛大にここでぶっ放してやらぁよ!
背後だけは一応確認してから私は厳かに詠唱を始める。
「——正義よりも碧き者よ、 愛よりも紅き者よ!」
まず、私の目の前に大きな魔法陣が出現した。ピンク色の光を放ちハートや星が散りばめられたその魔法陣は、詠唱を進める度に数が増え、幾重にも重なって行く。
「——運命の飲み込まれし その名の下に……」
私の詠唱に危機感を感じた者もいるようで、近付こうとしていた何人かは崖登りを辞めて逃げようとするが後から登ってきている奴らに阻まれて上手く動けていない。狭い場所なのもあるが、完全に連携が取れていたならこんな事にはならなかっただろうな。
「お、おい!なんかしてきそうだぞ!」
「速く行け! 何かする前に仕留めるんだ!」
「だ、だけどよ!?」
「——我、ここで光に誓う!」
魔法陣の光は、近くにいる私はもはや眼を開けるのが難しい程に強く光り輝いている。
その光に込められた熱量に当てられてか、それとも詠唱にかなり集中している所為か、私の額に汗がはらりと流れ落ちる。
「——我が眼前に立ちはだかる 憎悪すべき存在達に……」
「くっ、ダメだ!間に合わない! 今すぐ退避を……」
「おい、退けよ! なんか来るぞ!」
「は、速くこの場から逃げなきゃ……」
「——我とそなたの力をもって、 偉大な愛の力をみせしめん事を!」
残念。
「【アルカナスレイブ】ッ!!」
◆ ◆ ◆
200名前:名無しの観戦者
あ、ローブ脱いだ……おおお!!
201名前:名無しの観戦者
完全に魔法少女じゃねぇか!
202名前:名無しの観戦者
何あの装備……
可愛い(確信)
203名前:名無しの観戦者
ソラノちゃんのミニマムぼでーにベストマッチ!
控え目に言って最高かよ
204名前:名無しの観戦者
ミニスカにガーターベルトとか……
こいつをデザインした奴は変態だぜぇ?
205名前:名無しの観戦者
オマエモナー
206名前:名無しの観戦者
いや、お前ら観戦しろよw
今ソラノちゃん崖に凄いスピードで上がってったぞ
スカートの中見えそう
207名前:名無しの観戦者
あのさぁ……
あ、ソラノちゃん詠唱始めた
208名前:名無しの観戦者
おお、なんか凄そう
209名前:名無しの観戦者
まあ、流石にこの数を全部は処理し切れないでしょ……
んん!?
210名前:名無しの観戦者
は? 何アレ?
211名前:名無しの観戦者
見事な極太ビームでしたね……(震え声
212名前:名無しの観戦者
何あれかっけー!
213名前:名無しの観戦者
いや範囲くっっそ広いな??
さっきまでソラノちゃん狙いだった奴らが文字通り全滅してる
214名前:名無しの観戦者
これがソラノちゃんの切り札か……
威力は勿論範囲もやべぇな
215名前:名無しの観戦者
処理し切れないでしょとか言ってすいませんでしたorz
216名前:名無しの観戦者
見た目と言い魔法陣と言い魔法少女全開だな
いいぞ、可愛いからもっとやれ!
【アルカナスレイブ】は別に対象を直接爆発させるスキルではないです。
威力は直撃で大体クロムが4、5人分消し飛ぶ程度。
射程距離はくっっっそ広い。
メイプル換算だとどうなるかって?
無傷(苦笑)。
Nxst. < ウチが親友の顔、間違える訳ないじゃんか
ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。
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白夜
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終末鳥
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赤い霧
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調律者
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蒼星様
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盲愛様
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黒い沈黙
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ドンファン