嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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今回は特に進展がありません。



魔法少女と大親友

 

「イヤッフー! 初ログインじゃー!」

 

「無駄にテンション高いな……ほんとに私より歳上かよ」

 

 今年でたしか29だったか? いい歳した大人がはしゃぐなよ……やれやれ、外見は大人どころか私から見ても美女と言える容貌なのに性格で台無しになってるじゃん。良い歳してはしゃぎ過ぎだろ……

 

「いやーソラノだって良い歳して魔法少j」

 

「私の心を読んだように話すな! そんでその事は誰にも言うな!」

 

「もがもがー!」

 

 私は話を遮り急いでゆりえの口を塞いだ。こいつは気を抜くとペラペラと余計な事ばかり話しやがるな……当然だが私は今も普段と同じようにローブを被っている。一応顔も多少隠すように意識はしているが、もし私があの魔法少女のコスプレをしていたソラノだってバレたら恥ずかしいしな。

 

「もが……プハー! そんなに見られる事を気にしなくても良いんじゃない? 見た目は未成年なんだから年齢を口にしなきゃ愛らしい女の子にしか見えないのに」

 

「だからお前は心が読めるのか? はぁ……」

 

「まあ、ソラノは嘘付いても分かりやすいもんね。あと、罪悪感でいつか本当の事ゲロっちゃいそう」

 

 た、たしかにババ抜きとか苦手けどさぁ……正直に言われるとちょっとばかり心に来るものがある。

 

「……何もしないならここで別れるぞ」

 

「ちょ、傷付けたのは謝るから待って!」

 

「はいはい。さっさと当初の予定通りイズの店に行くぞ。それと、私は傷付いてない」

 

「ごめんってば!」

 

「傷付いてないから謝るな!」

 

 こいつは話を逸らさないと生きていけない病気か何かなのか?

 

「あ、言い忘れるところだった」

 

「今度はなんだよ、これで要らない話だったらはっ倒すからな」

 

「やだ〜ソラノはSTRあげてないからそんな事できないでしょ〜」

 

「よし、まずはフィールドに出ろ。キルしてやる」

 

「ちょ、ごめんごめん! で、ええと本題はですね……」

 

 む、ゆりえがちゃんと本題を話し出すのは珍しいな。いつもそうしてくれれば助かるんだが。

 

「前も言ったと思うけどリアルの話は厳禁ね。ソラノの事だから多分年齢くらい誰かに明かしてそうだけど、本来それもマナー違反だから。だから、間違えてもウチの事はリアルの名前じゃなくてゲーム内の名前であるエリーって呼ぶように」

 

「お、おう。分かった」

 

 ゆりえが真顔で話してるところなんていつ以来だろうか? これは明日台風が上陸してくるかもしれんな……ログアウトしたら防災グッズを点検しておくか……

 

「そうだ、結局エリーはどんなステータスにしたんだ?」

 

「あ、やっぱり気になる〜?」

 

「いやどうでも良い。とっとと行くぞ」

 

「ちょ、一応見てってよ〜。これからパーティ組むんだから!」

 

 ふむ、その言葉には一理あるか。仕方なく私は早歩きを辞めて引き返し、困った友人のステータス画面を覗き込んだ。

 

「どれどれ……」

 

 

エリー

Lv1

HP 636/636

MP 20/20

 

【STR 20〈+12〉】

【VIT 30】

【AGI 20〈+5〉】

【DEX 0】

【INT 0】

 

装備

頭 【空欄】

体 【空欄】

右手 【初心者の槍】

左手 【初心者の槍】

足 【空欄】

靴 【初心者の魔法靴】

装飾品 【空欄】

【空欄】

【空欄】

 

スキル

なし

 

 

「……なんか今一つ突っ込みどころに欠けるな」

 

 前衛タイプなのは分かる。武器を槍にしたのも分かる。ゆりえは槍術習ってるってこの前自慢してたからな。んなもんいつ役立つんだよって思っていたが、まさか生かされる時が来るとは……

 

 そうそう、たまに職場てすげー槍自慢してきたっけ。リーチと威力共に剣よりも圧倒的に上で投げて良し突いて良しの万能武器だのなんだの……聞いてもいないのになんで私はこんな事聞かされていたんだろうか。おまけに適当に話合わせたら怒ってくるし。銃とかの方が強いんじゃないかって言っただけで卑怯者呼ばわりされた。全くもって理解できん。

 

「お前ならもっとネタに走って行くと思ってたんだが……」

 

「なんだかんだ普通が一番なんよ。ほら、旅行とか行って実家に帰って来たら安心するでしょ? やっぱ住み慣れた場所の方が気が楽じゃんか」

 

 ……それはまあ、たしかに一理あるか。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 私達はイズの店にやって来た。ゆりえ……じゃない、エリーが色々買いたい物があるのでついでにイズを紹介した。私もポーションとか買い足しておきたいし、まあついでみたいなものだ。一応スキルでHPやMPを回復できるからポーションは余りがちなんだけど、あって困るものでもないだろう。

 

 イズとはフレンド登録してあるのでメールを送って今から友人と2人で行くと伝えたのだ。余談だがエリーともフレンド登録は済ませた。「私が最初のフレンドかと思ったのに〜」とか抜かしていたからほっぺをつねってやったが。

 

「あら、いらっしゃい。そちらの方がソラノのお友達の?」

 

「…………ああ」

 

「えっ何その間……まあいいや。どうも、初めまして! ウチこそはソラノの大・親・友のエリーちゃんです!」

 

「あら〜、そうなの?」

 

「ついさっき訂正したくなったがそうと言えなくもなくもなくもないな」

 

「やだー、照れちゃってー」

 

 お前なぁ……!

 

「イズ、ハリセンとか売ってないか? STRが+50くらいされる……」

 

「いやそれもうハリセンじゃなくて大槌でしょ!? パワー系ロリなの!?」

 

「うっせぇな誰がロリだ引き摺り回すぞ!」

 

「あらあら、2人はとっても仲が良いのね」

 

 何処かだ! 今の何処を見てそう思ったんだイズ!

 

「んー、残念だけどそんなハリセンは今のところないわね。今度作ってみても面白いかも……ん?」

 

「どうしたイズ?」

 

 イズはエリーの顔を見つめて何か考え込んでいる。イズにしては珍しい表情だな。

 

「……何でしょうか? 私の髪に芋け○ぴでも?」

 

 なんで頭にお菓子が付いているんだよ。

 

「貴女、凄く綺麗な顔ね……それに、スタイルも」

 

「あはは、よく言われます」

 

 なんか腹立つな……まあ実際凄い美人ではあるんだが。何故かムカつくんだよなぁ?

 

「うーん……でも、何処かで——」

 

 イズが何かを言いかけたその時、入店のベルが鳴った。私が入口の方に顔を向けると、大盾を持った黒い鎧の女の子が立っていた。この子は、たしか……

 

「あ、いらっしゃいメイプルちゃん。何か御用かしら?」

 

 やっぱりか……なんかばったり会っちゃったよ。この前のイベントで三位だった人だ。あとインタビューで噛んでた。

 

 それにしても、実際に会ってみると私より身長が低いな……いや、別に嬉しくなんかないぞ。決してな。

 

「こらこら、自分よりも小っちゃい人を見つけたからって喜ばないの……いっ!?」

 

 私はイズとメイプルには気取られないように思いっ切りエリーの足の小指を狙って踏んづけて、そのままグリグリしてやった。

 

「こんにちは、イズさん! えっと……待っていた方がいいですか?」

 

「いや、其方が長くなるようなら私は後で構わないぞ」

 

 私はポーション買い足すくらいの用事しかないからな。時間が掛かりそうなら順番を譲ってやるくらいの思いやりはあるつもりだ。エリーについては知らん。

 

「エリーはどう?」

 

「……ま、ソラノが言うならいいよ」

 

 エリーは割とあっさりと順番を譲った。子供みたいにやだやだ言うと思ったけど流石にそこまで子供らしくはなかったらしい。エリーは外に出ようと店の入り口に向けて歩いて行った。そして、エリーとメイプルがすれ違う。

 

「あ、あの!」

 

 なんと、どう言う訳かメイプルがすれ違い様にエリーに話しかけてきた。

 

「うん? なぁに?」

 

「えっと、綺麗な人だなぁって」

 

「あはは、さっきそこの店長さんにも言われたね」

 

「イズで良いわよ。でも、本当に羨ましくなるくらいスタイル良いわね……まるでモデルかアイドルみたい」

 

 ん、アイドルか。たしかにエリーはその容姿だけでも食っていけそうな程度には美女なんだが……あれ、よく観察したらだが、エリーがイズの「アイドル」って言葉にちょっとだけ反応していた。微かな違和感だが、まあほぼ毎日顔合わせてるし嫌でもこいつの癖は分かってきている。

 

 うーん、アイドル……なーんか聞き覚えがあるような……

 

「えへへー、それ程でも……あるかな」

 

「綺麗で憧れちゃいます!」

 

「何か秘訣とかあるのかしら?」

 

「特別な事はしてないんだけど……強いて言うならそうだなぁ」

 

 エリーなら簡単に馴染んで行くだろうと思ってたが、やはりそうなったな。3人とも私よりもコミュ力高いし、私以外にもフレンドが多そうだ。騒がしいのは好きじゃないけど……こう言う光景も悪くはない。輪の中に入れるかどうかはまた別として。いやまあ、見てるだけでも中々新鮮な気分だけど。

 

「ほらほら、ソラノも混ざって混ざって! 私が2人に盗られて寂しいんでしょ?」

 

「誰が寂しがるかっ!」

 

「あ、ごめんなさい! 勝手に話しちゃ悪かったかな……」

 

「謝らなくて良いから……それだと私が寂しいのが本当だと思われてるみたいじゃんか!」

 

「んもう、照れちゃってソラノ」

 

「だから違うって言ってるでしょうがっ!」

 

 3人とも本当に今出会ったのが初対面なのか!? 三年来の友人にも見えるぞ……

 

「もう良い。私は疲れたからログアウトする」

 

「ちょっ、ログアウトするにはまだ早いってば!」

 

「じゃあ早く2人とも用事を済ませてくれ……私としては戦闘でもしている方がまだ気が楽だ」

 

「あ、はい……ええと、イズさん——」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

【NWO】魔法少女ソラノちゃんを愛でるスレ【Part2】

 

1名前:名無しの弩使い

スレ立てたぞっと

 

 

2名前:名無しの短剣使い

スレ立てサンクス

 

 

3名前:名無しの直剣使い

いやぁ、Part 1は大盛り上がりでしたね……

 

 

4名前:名無しの大槌使い

太もも派とうなじ派が激しく争っていたな……

あ、俺は脇派ね

 

 

5名前:名無しの弩使い

>4

なんだァ、てめェ……? (うなじ派)

 

 

6名前:名無しのメイス使い

>5

うなじ派はかしこいな (太もも派)

 

 

7名前:名無しの弓使い

おいお前らw

それで、さっきから考えてたんだけどさ

他スレでもしかするとソラノちゃんと2人っきりで歩いていたと思われる奴がいる

つ 【NWO】やばい大盾使い見つけた

 

 

8名前:名無しの短剣使い

読んできた

クロム斬首刑な

 

 

9名前:名無しの直剣使い

フィールドで見かけたら速攻キルしてやる

 

 

10名前:名無しの大盾使い

待て待て! 俺が何をしたと言うんだ!

 

 

11名前:名無しの弓使い

あ、本人ちゃんと来た

 

 

12名前:名無しの大盾使い

下手にスルーしたら闇討ちされそうだったからな……

来たのに闇討ちされそうだけど

 

 

13名前:名無しの弩使い

被告人クロムは我等がアイドルソラノちゃんとデートしていた疑いにより

裁判省略で刑の執行が決まった

 

 

14名前:名無しの大槌使い

おおクロムよ、死んでしまうとは情け無い

 

 

15名前:名無しの弓使い

しかもメイプルちゃんともフレンド登録してるんだから許せないよな

 

 

16名前:名無しのメイス使い

だが、ソラノちゃんの情報提供してくれれば

執行猶予くらいは与えてもいいんじゃないか?

 

 

17名前:名無しの直剣使い

スキルとかの情報じゃなくていい

喋り方とか性格とかを教えてくれりゃいい

 

 

18名前:名無しの短剣使い

吐け! 吐け!

 

 

19名前:名無しの弩使い

おら! 情報出せ! (ゲシゲシ)

 

 

20名前:名無しの弓使い

やめたげてよお!

いや、やっぱりやめなくていいよ

 

 

21名前:名無しの大盾使い

お前らなぁ!

うーん、言いたくても本人から口止めされててなぁ……

もし書き込んだら何されるか分かったもんじゃない

だからすまんがどうしても書き込めん

俺だってトッププレイヤーだ。闇討ちしたいならかかって来いよ!

 

 

22名前:名無しの魔法少女

良かったなクロム

これでゲロってたら明日の朝日は拝めなかっただろうよ

 

 

23名前:名無しの直剣使い

えっ

 

 

24名前:名無しの短剣使い

えっ

 

 

25名前:名無しの弓使い

えっ

 

 

26名前:名無しのメイス使い

えっ

 

 

27名前:名無しの大槌使い

えっ

 

 

28名前:名無しの大盾使い

えっ

 

 

29名前:名無しの魔法少女

あと、私のあの格好見て興奮してた変態は絶対にキルしてやるから覚悟しておけよ?

 

 

30名前:名無しの直剣使い

ほ、本人キター!?

 

 

31名前:名無しの弓使い

>29

許してくださいクロムがなんでもしますから!

 

 

32名前:名無しの大盾使い

>31

おいコラ

 

 





前書きに進展がないと書きはしたが、見直すとマジで進展ないな……

掲示板に関しては100%ノリで書いてますので伏線とかあったもんじゃないです。

大親友1/3
三嶋 ゆりえ(みしま ゆりえ)。肩にかかるくらいの長さの茶髪に黒目。
ゲーム内でも同じ容姿で名前はエリー。一人称はウチ。
身長182㎝と高身長かつスタイル抜群。等身高めで絵に描いたような美女。
心音とは新入社員の頃からの付き合いで、初対面の頃から関係は今と殆ど変わっていないらしい。
大人の魅力溢れる容姿とは真反対にかなり子供っぽい性格。
見た目がヴィルで性格がカリムのイデアみたいな感じ。
ゲーム大好きで漫画やラノベも頻繁に読んでいる。
その他の嗜好は割と大人っぽく、朝や仕事あがりにブラックコーヒーを愛飲している。
色々と心音とは真反対な性格だが、とても仲良しらしく他の社員からは良いコンビだと思われている。
「おいゴラ嘘付くんじゃねぇ! え、そう思われてるのは本当? え?」


Next. < へ〜、ここが二層かー!

ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

  • 白夜
  • 終末鳥
  • 赤い霧
  • 調律者
  • 蒼星様
  • 盲愛様
  • 黒い沈黙
  • ドンファン
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