嫌々ながら魔法少女になりました   作:紙吹雪

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タイトル大分適当だけどまあいいよね……



魔法少女と二層へ

 

「痛っ、ダメージ受けた! 回復して!」

 

「はいはい、【ヒール】」

 

 私はエリーに回復魔法をかけてやる。ここ最近分かった事だが、【星弾】を直接当てるかモンスターにダメージを与えないと味方の回復ができないのはちょっぴり不便だ。なので、最近は普通に【ヒール】も使うようにしている。

 

 イズさんの店を2人で訪れてから数日。私はエリーと2人でひたすらレベル上げに奔走していた。本来ならエリーはオーダーメイドで強めの武器を作る為の素材を集める予定だったらしいが、私の装備の事を思い出して辞めたらしい。いや、可愛らしさの方じゃなくて性能面の方だからな?

 

 エリーが「ウチもダンジョンソロ攻略してユニーク装備欲しいー!」って言っていたが……それまでどうにかするらしい。イズの店に行くまでその予定だった事を忘れてたんだから、まあ呆れた奴だな。まあ、あいつが何処かうっかりなのはいつもの事だしいいか。

 

 で、何故かエリーは未だに初期装備で頑張ってる訳なんだが……こいつ、レベル14になったらしいのにまだ初期装備で粘るのか。いい加減新しく装備買ったらどうだとこの前提案したのだが……

 

「なんかもうここまで来たら初期装備で行けるところまで行ってみたくなって来た!」

 

 だ、そうだ。実際、初期装備でも然程問題なくレベル上げは進行出来た。あいつ動きが初心者じゃないんだよ。リアルで戦闘慣れしてる奴の動きなんよ。スキルの補助なしでも正直私とタイマンしても勝てるかちょっと怪しいくらいには強い。イベントで7位になって少しばかりにいい気になっていたけど、まだまだ私には技術がない事を痛感したよ。

 

 ……本人に言ったらまた揶揄われそうだから口にはしないがな。

 

 私もお陰様で26にまでレベルが上がった。今の狩場だとこのくらいが限界なのか、経験値の入りが悪くなってきたな。

 

「よっしゃーレベル15ー!」

 

「ああうんおめでとう……そうだ、たしかレベル15になったら二層に行こうって言ってたよな?」

 

 ちょっと前に運営からの通知で知った。他にも防御貫通のスキルとか実装されたんだっけ。槍には貫通攻撃とか多そう。

 

「あ、そう言えばそんな事言った気がする」

 

 ……自分が言った事くらい覚えておけよ。

 

「はぁ、お前と言う奴は……それで、二層行くにはボスを倒す必要があるんだったな。お前はそんな装備で大丈夫なのか?」

 

 初期装備でボス倒しに行くのは流石のエリーも躊躇われるんじゃ……

 

「大丈夫だ。問題ない」

 

 ……そんな事なかったようだな。まあVITは上げてるらしいし一回くらいは攻撃耐えるか……って、今気付いたけどこいつが死んで困るの私じゃんか!

 

「おい、お前に途中で倒れられたら困るんだから今用意できる奴で一番いいのにしとけよ」

 

「ま、まさか……ウチの事を心配してくれている!?」

 

「いや、全然そんな事はないが……急にどうした?」

 

「……そんなガチな感じで否定されてもなぁ」

 

 エリーは苦笑し少し考え込むような素振りを見せる。こいつ自身はゲーム経験も豊富だし戦闘に関しては完成度高いからまあ、問題ないのかもしれないが。

 

「うーん……正直お金はまだ十分に確保できてないし、できるだけ長持ちする装備が欲しいんだよね。ほら、ソラノのそれみたいに」

 

「まあ……たしかに装備買うにしてもただじゃないもんな」

 

 当たり前だが今も私はローブを羽織っている。あの姿はやはり衆目に晒すのは絶対に避けたいのだ。

 

「でも、ウチもそろそろ装備欲しいんだよねー。二層に行ったら考えよっかな」

 

「……お前がそう言うなら良いだろう。ただ、もし二層のボス相手に負けたら……」

 

「負けたら?」

 

「全力でせせら笑いしてやる」

 

「あはは、まあ頑張るよ」

 

 本当かなぁ……?

 

「そう言えば、メイプルちゃんはどうしてるかな?」

 

「さぁな」

 

「えっ、そっけないね?」

 

 一度会ったっきりだからな。一応その場の流れでフレンド登録は済ませたが、そんないきなり距離感近付けても向こうも困惑するだろう。ただ、全く気にならないとは言えば嘘になるかもだが。

 

「新しい盾を作る為の素材集めだったか」

 

「正直、手伝っても良かったんだけど私達2人ともDEX0だもんね」

 

 地底湖の魚の鱗と白水晶だったか? どっちにしろ私達には無理な話だ。でも、あの子ならまあ上手くやるんじゃないか? イベント三位だし……って、それとこれとはまた別か。

 

「ほら、とっとと二層行くぞ」

 

「わ、待ってよソラノ〜」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 二層にへの道を阻むボスは巨大な鹿みたいな姿のモンスターだった。まあ、普通に倒したけど……途中でダメージが通らなくなったりもしたけど、エリーが機転を効かせてくれたお陰で本当にあっさり倒せた。多分、大きさは小さいけど私の倒したあの大蛇の方が厄介だと思う。それを聞いたエリーは闘志を燃やしていたが。

 

「うおー! 負けられないぜ!」

 

 急に熱血になるな暑苦しい……そんなこんなで二層には問題なく到着出来た。

 

「へ〜、ここが二層かー!」

 

「無事に二層来られた訳だが……どうする?」

 

「あ、ウチイズさんのところ行きたーい!」

 

「ああそう……」

 

 あいつ、イズの事気に入ってんな。性格的に気が合いそうだったが、思っていた通りだった。

 

 イズはたしか既に二層に来ている。そんな旨のメールが届いていた筈だ。

 

「メールで聞いてみればどうだ? 店の場所とかも含めて」

 

「そうしよっと。ログインしてるかなぁっと……」

 

「あ、私は着いて行かないぞ」

 

 生憎、今日はこれからちょっと用事がある。その為ログアウトしなくてはならんのだ。

 

「たしか、マンションの設備点検だっけ……あー、もうちょっと一緒に遊びたかったなぁ」

 

「そう文句を言うな。それじゃあな、イズによろしく言っておいてくれ」

 

 年に一度しかないとは言え、ちょっぴり面倒臭い。けどまあそこまで長くなる訳でもないし、別に構わないのだが。

 

 

▲▽▲▽▲

 

 

 ちぇ、設備点検なんてほっとけば良いのに。*1

 

「仕方ない……一人で行くか」

 

 真面目な友人を見送ってから、ウチ返信されたメールに書いてあった通りに町の中を進んだ。イズっちのお店はこの辺の筈……っと。

 

「お、あったあった。おっ邪魔しまーす!」

 

 ウチが早速中に入って元気に挨拶すると、お店の中にはイズっちじゃなくて見知らぬ男の人がいた。

 

 その人は大盾を背負っていて赤い鎧に身を包んだ……あ、この人どっかで見た事ある気がする!

 

「誰ェ!? っと思ったらたしか……そうそう、第一回イベント十位のクロム氏ではござらんか?」

 

「お、おう。そうだが……ああっと、たしかイズが知り合いが来るって言っていたが……もしかしてあんたか?」

 

「YES! YES! ウチの名前はエリーね、よろしく!」

 

「お、おう……改めて、俺はクロムだ。よろしく」

 

 おお、ちゃんといるみたいだ。って、メール送ってくれたからそりゃいるよね。これでいなかったらプンスカだよ。

 

「無駄にテンション高いな……まあいいか、イズなら奥にいるぜ。呼ぼうか?」

 

「いやいや、自分で呼ぶよ。ウチは訪れた側なんだし」

 

「おう、そうか」

 

 よし、呼ぼうか。

 

「イズっちー! 彼氏が呼んでるよー!」

 

「ぶっ!? いや、彼氏とかそう言う関係じゃないしそもそも呼ぼうとしてるのはあんただろうが!」

 

「私、今彼氏居ないのよねー」

 

 むむむ、部屋の奥から返事が聞こえた。彼氏じゃなかったかぁ。

 

「ええっと、じゃあ兄が呼んでるよー!」

 

「残念、私は一人っ子です」

 

「くっそー、外れかぁ……しかも、弟でもないと」

 

「なんでクイズ形式みたいになってるんだよ!」

 

「ノリ悪いなぁクロム氏はぁ。ねぇイズっち」

 

「そうね、エリー」

 

 イズっちはいつもの表情で店の奥からやって来た。多分何かしらの作業中だったのだろう。

 

「あれ、ソラノはいないの?」

 

 イズっちは訝しげな表情でウチを見た。すると、クロム氏は怯えたような表情をした。

 

「な、なんでソラノの名前が出るんだ?」

 

「ウチ、ソラノとは友人なの!」

 

「そ、そうか……話の腰を折ってすまない」

 

「いいのいいの。それで、ソラノはリアルの用事で今日はログアウトしたの。そんな訳で今は一人なのです」

 

「あら、そうなの……今日はどんなご用件かしら?」

 

「えっとね、なんか装備欲しいなって」

 

「……凄い曖昧だな」

 

 うっせ。いいじゃんか別に。ソロでダンジョン攻略するとユニーク装備が手に入るみたいだけど、備えがあった方が良いに決まってるじゃん?

 

「イズっち、作るのに必要な素材教えて? もしくはダンジョンとかでも可!」

 

「うーん、そうねぇ……」

 

 イズっちは少し考えている。二層はできたばかりだし、まだまだ情報が少ないのだろう。ちょっとばかし無理を言っている自覚はあるが、まだウチは二層に来たばかりで情報が少ないので先達から色々と聞いておいた方が得策だろう。

 

「クロム氏は知らない?」

 

「え、俺? うーん……いや……」

 

 クロム氏はイズっちと顔を向き合わせた。むむ、2人のこの反応は心当たりのある感じ!

 

「おせーて、おせてよォ! 大丈夫、これでもソラノと違ってゲーム経験は豊富な方だから!」

 

「そう、ね。これは、掲示板でちょっと見かけた話なのだけれど……フィールドの西側に森のダンジョンがあるわ」

 

 ほうほう、森のダンジョンねぇ……

 

「でも……そこ、結構難易度の高いわよ? クロムが丁度手が届くくらいなんじゃなかったっけ。だから、エリーちゃんにはまだちょっと早いんじゃないかしら」

 

「ああ……一度ソロで潜ったがイズの言った通り、まだ初心者には早いと思うぞ」

 

 ふむふむ、トッププレイヤーのクロム氏で丁度良いくらいのダンジョンか……

 

「おまけにそこは不人気エリアのど真ん中でな……」

 

「よし、ちょっと行ってくる!」

 

「あー……話、聞いてたか?」

 

「行ってみなきゃ分からないよ? それに、ウチはゲーマーとしてはそれなりに経験積んでるからさ!」

 

 VRMMO自体はNWO以外にもかなりのタイトルを遊んでいる。戦闘技術ならば他の最前線プレイヤーにも引けを取らないと自負しているし、腕には覚えがある方だ。大体、何の為にウチが槍術習ってると思ってるんよ?

 

 趣味ってのもあるが、ゲーム内で活躍する為でもある。幸い、趣味に使う時間とお金には余裕がある方だったし。VRMMOが普及してる今の時代、習い事をしているウチみたいな人も一定数いるでしょ。

 

「うーん……本当に大丈夫かしら」

 

 未だに不安そうにしているイズっちに、ウチは言葉を投げかけた。

 

「にゅふふ、平気だってば。ウチに任せておいて——

 

 

 きっと、全部上手く行くからさ」

 

*1
管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入りを請求することができる。

前項により立入りを請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

(マンション標準管理規約(単棟型)より一部抜粋)





次回も多分エリーちゃん視点

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ぶっちゃけどのお方の登場を期待している?内容によって色々考慮します。

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