原作通りの流れに見えますが、この短編は、二通りの解釈の仕方があると気が付いて頂けたら幸いです。謎かけの答えが分かったら、伝えて頂けるともっと嬉しいです。
アンケート追加しました。
pixivでヒントを出しました。(2/6さらに追加)
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19232238

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本当のアタシの気持ち

 赤い海から波が打ち寄せられる白い砂浜で、プラグスーツを着た少年と少女が向き合っていた。

 少年の名前は、碇シンジ。

 少女の名前は、式波アスカラングレー。

 

「アタシ、シンジの事が好きだった」

「僕もアスカの事が好きだったよ」

 

 お互いの告白は過去形であったが、きっと未練たらたらだ。

 傍観者として眺めていたもう一人の少女はニヤリと笑う。

 

「アスカ、君にもきっと居場所が見つかるよ」

 

 シンジが指し示したのは、スポットライトを浴びた相田ケンスケの姿だった。

 ケンスケの元へと帰れと言う事だろう。

 第三村のケンスケの家でケンケンと呼ぶアスカの姿を見たシンジ。

 自分は振られてしまったのだと思い込んでいるのだろう。

 そのシンジの言葉を聞いて失望しているであろうアスカ。

 どちらかが本当の気持ちを打ち明ければ良いのに。

 傍観者として眺めていたもう一人の少女はため息を吐き出す。

 アスカは強がってシンジの言葉に従う振りをするだろうが、決してシンジの補完を受け入れないだろう。

 この十四年の間、アスカがシンジへの愛を燃やし続けていた事を、彼女は知っている。

 

「シンジ、アンタはどうするのよ?」

「僕は後でマリさんが迎えに来るから大丈夫だよ」

 

 シンジの補完、ネオジェネシスはまだ終わっていない。

 すっかり髪が伸びた綾波レイとシンジとの会話を聞きながら、傍観者の少女はタイミングを見計らっていた。

 

 

 

「姫、素直になりなよ。ワンコ君の事、本当は好きなんだよね?」

 

 弐号機のエントリープラグに横たわるアスカに、マリはそう声を掛けた。

 シンジの補完が終わり、全てのエヴァが消滅してしまえば、アスカとシンジを結ぶものは完全に消えてしまう。

 お節介なマリが干渉できるのも、これが最後のチャンスなのだ。

 アスカは顔を真っ赤にしながらぎこちない動きであったが、僅かに頷いた。

 今のアスカではこれが限界か、とマリは苦笑いするが、本人の意思表示は確認した。

 後は偶然を装い、アスカとシンジを無事に再会させるだけだ。

 

 

 

 シンジの補完が終わった後、シンジとマリの二人は宇部新川駅のホームに居た。

 線路を挟んだ反対側のホームにはアスカが居るが、シンジはマリとの話に気を取られてか全く気が付いていない。

 

「ワンコ君に逢わせたい人が居るんだけど♪」

「もう大人なんだから、その呼び方は止めてくださいよ」

 

 アスカと再会して驚くシンジの姿を想像してニヤてけてしまうマリ。

 そして実際にその通りとなった。

 シンジに飛び付いてしまうほど情熱的なアスカの姿は予想外だったが。

 

「婚姻届を記入して持って来るなんて、用意周到だね」

「えっ!?」

 

 これなら鈍感なシンジにもアスカの気持ちは確実に伝わる。

 

「恥ずかしいから、返してよ!」

 

 顔を真っ赤にしたアスカに免じて、マリは婚姻届をアスカに返す。

 それをいそいそとバッグにしまうアスカ。

 

「お達者で。上手く行くといいね、アスカ」

 

 マリは二人の幸福を祈りつつ、その場を後にするのだった。




隠された謎に気が付いたでしょうか?
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