流星のロックマン1.5 -Cassiopeia Duo- 作:はっぽーしゅ
アクションシーンや日常シーンはアニメ版の表現を参考にしていくつもりです(再現出来るとは言ってない)。
ニホンの中心部近くにあるのどかな町、コダマタウン。その町の上空に浮かぶウェーブロード上で、人間の眼には見えない、激しい戦いが繰り広げられていた。
「バトルカード、プレデーション!」
時刻は夜の21時。暗い夜空の下で、小さな青い戦士が風の様にウェーブロードを駆ける。
「スイゲツザン!」
左手を水色の剣に変化させた戦士が、正面から突っ込んでくる敵に向かって、真っ向から斬りかかっていく。
「えぇいっ!」
すれ違いざまの一閃。その一撃で、下半身に一輪車を生やした赤いダルマの様な敵性体は、熱く燃えるその身体を真っ二つに斬り裂かれ、消滅した。
「これで全部みたいだな」
消滅した『モエローダー』の残滓を振り払い、剣から元のカタチに戻った戦士の左手が、意志を持っているかの様にしゃべりだした。彼の左手は、青いケモノの生首の様なカタチをしていた。
この左手のケモノの名は、ウォーロック。少し前にこの地球に飛来した宇宙人で、電波で構成された肉体を持つ電波生命体だ。
「そうみたいだね。ふぅ、つかれた…」
そんな宇宙人を左手に生やした小さな戦士は、声変わり前の幼い声で、ウォーロックに対して親しげに返事をした。
「毎日毎日、イヤになっちゃうよ」
「いいじゃねぇかよスバル。学校ばっかじゃウデが鈍っちまうだろ?特に左ウデがな」
「いいよ別に鈍ったって。はぁ、母さんへの言い訳どうしよう…」
「五日連続で無断外出だもんな?不登校の次は非行少年か。ギャハハハハ!こりゃ傑作だぜ!」
「ちぇっ、他人事だからって…」
スバルと呼ばれた少年は、青い戦士『ロックマン』の姿のまま滑る様にウェーブロードを駆けた。早く家に帰らないと、母親を不安がらせてしまう。
「また委員長にでも口裏合わせてもらえよ」
「そうだね、それがいいかも」
自分の正体を知る『ブラザー』の女の子に心の中で謝りつつ、スバルは家路を急いだ。
「今日はなんて言おう…委員長の家に忘れ物を取りに、とか…?」
「そいつぁいいな。オフクロさんも大喜びだろ」
「なんで?」
「そりゃお前、一人息子がしょっちゅう忘れ物しちまうくらい女の家に入り浸ってるとくりゃあ」
「う…やっぱナシで」
スバルは顔を赤くして首を振った。そうだ、『委員長の家に忘れ物』は一昨日も使った設定だった。
「昨日はゴン太で、前の前はキザマロで、その前はミソラちゃんで…あぁ〜どうしようロック…?」
「んなもんテキトーでいいだろ、借りもん返しに行きました〜とかでよ」
「うーん…」
悩んだ結果、今日は『キザマロのメガネクリーナーが何故かポケットに入っていたので慌てて返しに行った』という、あまりに不自然なストーリーになってしまった。しどろもどろになりながら説明するスバルを、彼の母である星河あかねが懐疑的な目で見つめていたのは、言うまでもない。
「スバルお願い、あんまり母さんを心配させないで?最近なにかと物騒なんだから…」
「うん、ごめん母さん…ごめんなさい…」
本気で自分を心配してくれている大切な母親に、ロックマンから普通の小学生に戻ったスバルは心から謝った。
数年前に父を亡くして塞ぎ込んでいた自分を、根気強く支え続けてくれたあかね。愛する夫を失い、一人息子は不登校。きっと一番辛かったのは彼女のハズだ。それなのに…
「ほら、早くお風呂入ってきなさい。今日はスバルが一番好きな入浴剤よ」
…母さんはいつだって、ボクの味方でいてくれた。
「ありがとう、母さん…」
「なにか言った?」
「ううん、なんでもない」
洗い物をする母に感謝の念を送りつつ、スバルは浴室へと向かった。
「はぁ…どうして急にウィルスが増えたんだろう…?」
熱いシャワーを浴びながら一人呟くスバル。流したシャンプーが口の中に入り、不快な苦さに慌ててペッ!っとツバを吐いた。
「ふぅ…しかし、どうして急にウィルスが増えやがったんだ…?」
そして、スバルと分離したウォーロックもまた、星河家のリビングに浮かんで一人ごちていた。
リビングにはウォーロックの事など何も知らないあかねがいるが、彼女はウォーロックの存在に全く気づいていない。彼の身体が不可視の電波だからだ。
『次のニュースです。ニホン各地で頻発している電波ウィルス関連の事件について、サテラポリスは本日14時——」
リビングに設置された液晶テレビからは、ニホンの警察機関『サテラポリス』の高官が会見に出席している映像が流れている。
「抜本的な解決案ねぇ…へっ、んなもんホントに考えつくのか?」
宙に寝そべりながらテレビに文句を言う様は、まるで仕事疲れの中年男性だ。スバルが見たら呆れた様にため息をつく事だろう。だが、ウォーロックが愚痴を吐きたくなるのも無理からぬ事だった。
ここ最近、様々な電子機器に被害を及ぼす現代社会の天敵『電波ウィルス』の発生が、明らかに激増しているのだ。
確かにウォーロックは、平和にのほほんと暮らすよりは暴れる事の方が好きだ。だが、戦う相手が無駄に数ばかりが多いザコウィルスの連続では、戦っている爽快感よりも飽きと怠さが勝ってしまう。
彼以上に嫌気がさしている様子のスバルの前では、これ以上やる気を削ぐまいと得意気に笑ってはいるが、そろそろウォーロックにも気疲れの色が出てきていた。
「どうせならもっとこう、パーッと派手に戦り合える様なヤツに来て欲しいもんだぜ」
両手を枕にして虚空で寝返りをうつウォーロック。そんな彼の身体を、何も知らないあかねがスルリとすり抜けていった。
どうしてウィルスは発生するんだろう(B級ハンター並感)
少年時代にアニメ版を観て、ウォーロックがバトルカードをバクッと食った時はマジでびっくりした記憶があります。スロットインじゃないの!?みたいな。令和になった今観ても非常に新鮮な表現で非常に美味しい。
というわけでみんな早くUネク◯トに登録するんだ!流星アニメの配信今月末で終わるっぽいぞ!