蒼都になったけどバンビちゃんが死ぬほど面倒臭い(※死ぬ) 作:黒兎可
元々セウト行くかいかないかだったけど、今回まで含めて完全に「もう無理!」というアレになりました・・・大体頭バンビちゃんな判定結果が悪い()
「ミニーニャ、それ俺のだから」
「えっ!? いえあの、私のプリンだって容器に名前書いてあって、たった今開けた奴ですよねぇぇ? ……って言ってるそばからなくなってますぅ!? ちょっと、聖文字使うの止めてくれませんか、大人げ有りませんよリルお姉さんっ」
「おー、お前がそう呼ぶのも久々だなー。聖文字貰って身長が私追い越してからは言わなくなってたっけ…………。考えたらバンビの奴は一度もそう言ったことないな。小学生くらいの姿してた頃から、あーだったし」
「…………前から気になっていたんですけどぉ、バンビーズってどういう経緯で結成を?」
「結成ィ? も何もねーよ。元々、俺とキャンディスがつるんでたところにバンビの奴が『だったら、あたしがリーダーやってやろうじゃないッ!』って。
どーゆー会話してたのか全然覚えてねーけど、アレかな……? 戦闘時にどっちがリーダーやるかみたいな話で。で、勝手に乱入してきて、そんなバンビに釣られてジジのヤローが入って来て、で最後にお前が入って、ブルーが拉致されてきたと」
「拉致ですかぁぁ……(ジジの
いつかのように、あるいはいつものように食堂にて。昼食時間と言う訳でもなくお菓子をつまんでいたリルトットに、「お邪魔しまぁす」と対面に座ったミニーニャである。彼女はスイーツを持ってきてたべていたが、時折リルトットから「よこせ」と言われて一瞬で奪われ続けていた。
なおリルトットは自分の御菓子をミニーニャに渡す気配はない。
まあ、それはそうと頭バンビエッタから離す真似をしない程度には、二人そろって頭バンビーズではあるのだが。
そんなリラックスタイムに、よれよれと全身から煙を上げる巨体が一つ…………。ミニーニャは「あらまぁ」と嫌そうな顔、リルトットは「うげッ」と苦虫を噛みつぶしたような顔。どちらも揃って生理的な嫌悪を示した。
「ラヴが…………、あの子にはラヴがないヨネェ……………………」
「デブの裸体晒してんじゃねーぞ変態ペペ、喰い散らかすぞ?」
「ラヴが! ミーにもラヴがないよぉ~~~~!?」
「いや食うのもキモいわ、そんなだらしねぇ肉……、噛み千切ってそこら辺に吐き散らかすわ」
「あら? でしたら私も腕力で千切っては投げ千切っては投げ――――」
「ミーの
本気で悲鳴を上げて涙目になっている男、“
なお現時点においてリルトットは相変わらず小学生程のスタイル、ミニーニャは高校生でいえばそろそろ卒業間近か? というくらいの育ち具合である。
閑話休題。杖をついてきたペペに対して、しかし少しクレームを入れたいという彼の言に、リルトットは最低限の同席を許した。……同席と言っても、普段彼が座っている独特の椅子とも円盤とも言い難いものに座らせられ、距離にして2メートルほど遠ざけられているのだが。なお服は破れたのか、そのままの露出狂スタイルにサングラスをかけている。
「…………やっぱりボクの扱いにラヴが欠片もないジャン?」
「うっせ、話すことないならとっとと消えろ。で? 何か言いたいことあんのか」
「うぅ……、ちょっと思うことがあたのよぅ、あのキューティなブルーに」
「(は? ウチのブルーを可愛いとか言って狙ってますかこの変態? やっぱり肉、抉りましょうかねぇぇ……?)」
「(落ち着け、やるだけの価値もない)」
ペペの扱いについてはともかく、閑話休題。
「あの子の情操教育どーなってるの!? 初対面でこの技使ったらいきなり『デブの裸!』とか言って指さしてくるし……、あのオトシゴロの純粋な目でキラキラされてそんなこと言われたら、ミーが
「語尾可愛らしくするな、デブの裸」
「全くですよねぇぇ、デブの裸」
「君たち、そのうち覚えておきな……?」
全くもって扱いに愛がないペペではあるが、その一言にリルトットは肩をすくめる。当然である、なにせバンビーズはブルーの教育についてはノータッチだ。そういった振る舞いについてはロバート老が何とかしてくれているだろうと雑に丸投げしているので、バンビーズは特に手を出すことは無い。
なおペペがいってるのは根本的な情操教育というかマナーというか躾というかの部分だが、生憎とそれが通じるようならバンビーズはバンビエッタとなんだかんだ付き合えてはいなかった。なお実質、陰口を大量に叩いているものとする。
あといい加減リルトットの嫌悪感が限界に近い。先ほどから咀嚼しているスナック菓子の袋が倍速である。それでも一応、バンビエッタによって頭バンビエッタの刑に晒されている
「ゲッゲッゲ…………、何っていうかー、もっと愛してあげれば良いのに。ラヴ、ラヴ! ラヴ・セイヴ・ザ・ワールド! ラヴ・イズ・ビューティフォ! そうすれば『あんな』武器使おうとか思わないッショ……」
「あ、ああああああああ愛してあげればってそれえええええッ!?」
「お?」「むぅんん?」
突如、胸の中央を両手で重ねて押さえるようにして顔を真っ赤にするミニーニャ。小さい頃にからかっていた時でも中々拝めないその変化に、聡いリルトットは「はは~ん」とニヤニヤする。が、変態の前で公開処刑する必要も無いだろうと、軽く手を叩いて話を続けさせた。
「で、何の話だ?」
「武器、武器。さっきミーも騎士団長に散々しごかれて今の状況なんだけど、それじゃなくってアレアレ、キュートなブルーのお手々から『生えて来る』鉤爪。
アレって人骨でッショ?」
「嗚呼……」「まーなー」
話ながら、リルトットは「この 11 年間」のことを思い出す。それはかつて、リルトットの聖文字や完聖体との訓練……、本当に真面目な話、頭バンビエッタではない意味での訓練であるが。その訓練において「食えなかった」彼の腕の霊子、というよりその「骨」にブルーが着目したことだ。
それ以来、
なお、事情を知っていたのはジジである。ある程度集まった骨片――――「霊的には」まだ生きているそれらを、滅却師の霊子操作能力で死滅させず残していたそれらをつなぎ合わせ、再形成し、左右それぞれ3つ指な鉤爪を二振り作り上げたのだ。そしてそれが出来上がった後、早々にジジに対して「埋め込んで!」と、これまた嬉々として持って行った始末。
いくら事情を知っていたからとはいえ、ジジもこれにはドン引きするかと思われたが…………、意外な事にすんなり受諾した。
『ボク、バンビちゃんのこと大好きだけど君が毎回ボロボロにされるのは、心痛めてたからね…………。せめて剣とまともに戦える武器を作りたいっていうのは、大賛成! いいよ、身体に内蔵されてないと「霊的に」死んじゃうんだよね』
『…………なあジジよ、だったら最初からお前あの頭バンビエッタ止めりゃいいって俺思うんだけど』
『バンビちゃんって最近はブルー爆撃してる時の方が最高に輝いてるからね! ジェラルドとかと違って、ちゃんと「痛い」って少し苦しそうにするのが楽しいらしいし』
『そ、そうか…………』
『?』
ジジのダブルスタンダードっぷりに引きつった笑みを浮かべるリルトットと、特に違和感もないらしいブルーであった。
なおアメコミ知識があるアスキンやベレニケ、某マスク男からは「ウルヴァリ〇!?」「X〇MEN」と驚かれたりもしたが、閑話休題。
「あの爪にねぇ……、この間、ボクの『
「そりゃ朗報だなぁ、俺たちからすりゃ」
「そんな寂しいこと言わないでっヨ!? ただ、ミーの『愛』が伝わらないってことは、そもそも愛がわかっていないか、愛そのものに『変な考え方』が染みついてるかだと思うのぉ…………。
で、肝心の彼はどこに……?」
「あー、それならなぁ――――――――現世」
ワッツ? と。困惑するペペに、話は終わりだとばかりにミニーニャの食べ終えたパフェの容器を投げつけ、帽子の代わりにした。なお滴る白い液体なんだか半固形なんだかな物体やらジャムやらチョコレートやらが、ペペの絵面をさらに酷いものにしている。
そんなにミー、嫌われることやったかな……? と。以前にバンビエッタを洗脳してそれはそれは酷いこと(爆撃)をした自覚のないペペは、寂しそうにその場で首をかしげていた。
※ ※ ※
レンガ造りだったり、あるいは新興の商業ビルが立ち並び始めている時代のニューヨーク。治安的な問題はともかくとして、そんなこと関係なしに
今生における「はじめてのおつかい」である。
別名、頭バンビエッタによる身の安全とか全く考慮されていないパシリ。
その両手には「M」の文字が刻印された世界一有名と言っても過言ではないファーストフード店の袋が大量に。おおよそ 9 、10 才くらいの子供が持つにはかなりアメリカンサイズな量であり、やや足取りもフラフラしていて色々と危なっかし。それでもしっかり歩いている「ように見せかけながら」、蒼は飛廉脚で微妙に浮遊して安定をとっていた。
そして、居た。背中や胸元、おへそのあたりなどやや露出が見られる、裾の拾いジーンズ姿の美少女。美少女から美女へと羽化しかかっている、成長期の肉体的ラインを持っているのが一目でわかる、バンビエッタである。
彼女の周囲にはダンシングでオールナイトしてそうな時代を思わせる(※当時としてはナウなヤングの恰好)服装の若者たちが、モヒカン頭の男に引っ張られてバンビエッタから引き離されていた。
そんなバンビと、“
倒れるブルー、そんな彼の腹を、靴を脱いだ生足でぐりっと置き、ぐりぐりとストンピングするバンビエッタである。蒼都本人は腹部を金属に変えているのでそこまでダメージはないが、どう考えても普通は一発で通報案件である。バンビエッタの嗜虐的な笑みが完全に大問題だった。
この光景を見て、既にバズビーに引っ張られたナンパ男たちはドン引きしていた。
「おっそいじゃないのブルー、あなた。どこで道草食ってたってワケぇ? ……あっ、ハンバーガー美味しい。食べる?」
「え? えっと……、ぬぐ」
「はい、あ~ん? 間接キッスとか『まだ』気にしない年頃よね? 大丈夫大丈夫、まだまだサンドバッグ卒業は先よ先」
(ヒェ……)
「ほーら吐いたら駄目よー♡ はい、1♡ 2♡ 3♡ 4♡」
((何だこの人間の屑みてぇなカワイ子ちゃん…………!?))
それはもうドン引きである。当たり前である。愉し気にストンピングでねじる回数をカウントしながら体重を圧迫し続け、その上で少年に無理やりハンバーガーを食べさせてる絵面はいくらなんでも酷すぎた。マ〇クへの壮大なネガティヴキャンペーンである。
バズビーすら彼の仮聖文字があるから死にはしないと判ってはいても、どうしてこれを素直に受け入れるようになる前にどうにか出来なかったのかユーゴの奴……、とハッシュヴァルトへ苦々しい思いを浮かべる。
自分の方を見て来るナンパ男たちに「わかったか? 次からは相手見てから誘えよ、な?」と同情しながら激励し、コクコクと激しく何度も頷いて逃げ出す二人に「頑張れよー!」とエールを送った。
と、ナンパ男たちが尊い犠牲(?)にならず退散した後に気付いたバンビエッタは、不機嫌そうに何度も
「あ、あ、も、ぅ! なんでせっかくのイケメンを逃がすのよ、あなた! せっかくキャンディに馬鹿にされないくらいには『経験』積めると思ったのにッ!」
「お前ちょっと自分の発言と普段の行動を顧みてから少しは物言えよ頭バンビエッタ……?
おー、大丈夫か? ブルー」
「んく…………、ん!」
「無駄にせずにちゃんと食べたか! 偉い、偉いぞ!」
踏みつけるのも飽きたバンビエッタが退いた後、ブルーを起こしながらその頭を撫でるバズビーである。もともと星十字騎士団、ないしはその王であるユーハバッハへと復讐を誓った彼であり、同格とはリルトットなど「話の分かる」連中――――ユーハバッハへの忠誠が絶対ではない連中を除いて敵やゴミ認定なのだが。それでも、いくらなんでも幼子からこのレベルの所業を常日頃から受け続けていた蒼に対しては、思う所があるのだろう。
なお、そうやって褒められてるブルーに向けて、バンビエッタはきょとんとした表情。
「…………ねぇブルー、ハンバーガーあげた私に何かお礼の言葉とかないわけ!?」
(いきなり何言い出してんだこのバンビちゃんは相変わらず…………)
「………………あー、なんか悪かったな。俺の方とかで引き取ってやれなくて、当時」
本格的な同情っぷりである。現時点において蒼都の扱いはユーハバッハないしハッシュヴァルトを経由している関係もあり、まともな考えをもったバズビーも意見出来ない状態にあった。
……なお一度ハッシュヴァルトと口論にはなったが、その際「…………こっちだって陛下に何度も言ってるんだバズ!」と、つい本音らしきものが零されたのが色々衝撃的だったりしたようだが、それはさておき。
「えっと…………、間接キスの?」
「正解! ありがた~~~~く、思いなさいよね! “見えざる帝国”の一般滅却師共だったら
「マジで!? お前、そんな年頃の女の子みてぇな意識する神経あんのか!!?」
「でも、たぶんその、土下座してるところ真っ二つ? バンビお姉ちゃん」
「えっ? そりゃ、当たり前じゃない……? 気持ち悪いしそんなの土下座してまで求めてくる男とか…………」
「あー、わかったわかった。何でもかんでもその顔してりゃ誰も何も言わねぇ訳じゃねーからな……?」
「へぇ……? あなたの“
「帰ったらな! っていうか、仕事中だからなお前…………」
いい加減疲れて来たバズビーに向けて、コーラを音を立ててズゴゴゴと飲みながらバンビエッタは周囲を見回す。
「そんなこと言ったって――――さっきのイケメン二人くらいしか来ないじゃない!
本当にいるの? こんな場所に、『滅却師の生き残り』が」
本日、現世での彼女たちに与えられた任務は。いまだ現世にて生き残りをはかり、残っている「かもしれない」滅却師の血筋の捜索である。
基本的に「半霊体」、「器子」と「霊子」が重なった中間状態にある滅却師は、霊能力が高い人間にしかその姿を確認することが出来ない。……意図的にその濃度を調整することである程度は変化できるが、道に立っていたバンビエッタやバズビーはほぼ霊体状態だったのだ。
その上で声をかけて来たあの二人は、潜在的な霊能力は高いのだろう。だが、血筋ではない――――そもそも滅却師の純血であれば、バズビーによる背後からの軽い殺気当てに対して血装が走るだろう。その片鱗もないということは、本当に只の一般通過霊力高いサタデーナイトフィーバーだったのだ。是非そのままオールナイトして良いチャンネーを捕まえて欲しいものである。
密かに、というか堂々と頭バンビエッタによる頭バンビエッタの被害者を救ったバズビーであったが、しかしそれはそうとブルーから手渡されたファーストフードを食べながら「味濃いな……」などと愚痴を言っている。現世任務など基本的に「目立つな」「滅却師と悟られるな」「死神や魔女に捕捉されるな」が基本であり、あまり派手に動けない。そうなると必然、楽しみは食事やらくらいになってくるのだが、その点ブルーが選んできたチョイスは中々絶妙だった。
ビッグマ〇クのボリュームにはバズビーもにっこりである。
だが、そんな程度で満足しない女が一人。決まっている。バンビエッタだ。
「飽きたわ。……あっそうだ! ねぇねぇブルー、あなたも飽きたわよね?
じゃあ映画見に行きましょう! 映画! 最近の映画は凄いのよ~? 箱の中じゃなくて壁に投影されるんだから!
ちょうどジジの聖文字と同じ名前の映画も上映開始! って言ってたし、行くわよ!」
「あ? オイちょっと待てお前、何目の前で堂々と仕事サボってんだ――――」
「いーじゃない別にッ!
それに全員こんな場所にいたって、捕まるものも捕まらないわよ。どうせ人間なんて散り散りに好き勝手動いてるんだから。
あ、ブルーはゴミ、片づけてから来なさいよねー! 券だけはとっといてあげるから♡」
ご機嫌である。その勝気な笑顔とルンルンな振る舞いばかり見て居ればたいそう可愛らしい美少女であるが、言いながら自分が食べた後のゴミをまとめて足元に落として何度も叩きつぶしてからスキップしていく光景はあまりにもあんまりなものであった。
オイオイと同情が激しいバズビーであったが、律義に片づけ始める
「お前、
「………………? あ、僕の名前か」
「オイオイ、ブルーって呼ばれすぎて自分の名前わからなくなりつつあるんじゃねーかお前……」
言いながら、少しだけ耳に小声で。
「(…………あの現世の男たち、バンビエッタに寄ってったところで何も乱暴すらどーせ出来ねぇんだから、その『ちょっとはみ出た爪』は隠しとけ)」
「(あっ、バレてた)」
悪びれる様子も無く、手の甲に這うように出現していた左右それぞれ三本の「小さい銀色の鉤爪」を、ブルーは「肉体の内へと」仕舞った。
ため息をつくバズビーは、思わず聞く。
「まったく、何でお前そんなバンビにボロボロにされてんのに懐いてんだ……? リルトットから、家族が居たらあんな感じの髪とかしてたのかなーみてぇな話は聞いてるけど、もう十年以上経ってるだろ? 俺達の所に来てから」
「…………バンビちゃん、確かに頭バンビちゃんだし、クズだけど――――」
「――――性格は悪くないから」
「はァ!? いや、お前、それ…………」
果たしてあの幼子だった少年がどんな精神的な変遷を経てこんな心境にたどり着いたのやら。胸を痛め、バズビーは今度こそユーゴと真面目に話し合えないかと決意を新たにした。
なおそんな蒼都にとっての「性格が悪い」判定を受ける相手が誰かと言えば、バンビーズでよく蒼都のお世話をしているジジこと“
拙作「メゾン・ド・チャンイチは事故物件(物理)」と合流ルートに行く?(する場合はたぶんこちらで色々先行公開)
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