雨中紀行〜sleepless rainy days   作:お茶会おじさん

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 やっとここまでこれた。自己満小説を読んでくださったらそれだけで幸いです。

 かなり短め


夢中紀行〜wrong long sleeper
14.『春眠暁を覚えず』があるなら『梅雨明け日の出を見ず』もある


 雨が止んだ。この日起きたことはただそれだけのことだった。詳しく言うと2か月ぐらい絶え間なく降り続けていた雨が突然止んだ、ということになるのだろうか。

 あの時、高砂の一撃が飽咋の意識を失わせた。それと同時に飽咋の姿が少し小さくなり綺麗で真面目そうな姿に変わった。妖艶な不良という感じだった「飽咋 失」という神は黄泉の力を失ったのだった。みんなそのまま唖然としていたが高砂だけは初めからわかっていた様子でそっけなくタバコを吸っていた。しばらくして純粋な飽咋が、

「あれ、わたし何して…?」

 と、お決まりのようなセリフを言って場は持ち直した。純粋な飽咋(以下、純飽咋とする)が言うには、純飽咋は浄化の神で、山の向こうから出張でこのヨモヤマに来たけれど、食べて浄化しないといけない黄泉のエネルギーが多すぎて逆に飲まれてしまったらしい。また、雨が止まなくなったのは一緒に作業に当たっていて、浄化のために雨を降らしていた弥都波能売さんを暴走した状態(飽咋 失の状態)で食べてしまったため水道の蛇口を閉め忘れの如く雨が降り続けてしまったのだという。

「うう、本当にごめんなさい…あ、でも、家に帰ったらもっと怒られるぅぅ…」

 そういって泣き出しそうな顔をして山の向こうへ帰っていった。巨乳だった。巨乳だった!

「…そろそろ引く…」

 失礼しました。

 

 その後は俺たちも家に帰って、ゆっくりすることにした。

 

  ~それから一週間~

 

 ふと思えば、家族以外の人間の様子をまとめていなかったことに気づく。胡散臭い高砂とかカタツムリのアイツとか。

 まず高砂。しばらく会っていなかったが、ある日郵便受けに封筒が入っていた。「アメヤマズの事件関係者へ」と題打ったもので、報告書だった。

 高砂が送ってきた報告書にはこう書いてあった。

 

<飽食 失>

雨に死の匂いが付いた原因。

1 落地が黄泉の国を現世に呼び出そうとする。

2 黄泉の汚染された霊力が辺りを汚す。

3 ミツハノメが雨を降らして浄化しようとする。

4 浄化しきれないため、飯依 飽咋(いいよりのあきぐい)が呼ばれる。汚染された霊力を喰う。黄泉に染まって自我を失う。

5 ミツハノメも喰う。雨がやまなくなる。

 

 以上の手順を持って、今回のアメヤマズの事件が行われたが既に『No.156 高砂 恭也』とその他一般人によって解決済みである。心配されたし。

 

 と、まぁ、適当な感じのものだった。一般人というワードにちょっとだけ、ほんのちょっとだけイラついたが許してやることにした。

「クソッ!」

 おもわず机をたたいてしまったが手のほうが痛かった。そのイラつきでもう一度叩きそうになるが我慢だ。

 

 そういえば花楽のことを言っていなかった。帰ってきた次の日、せっかくなのでと庭に咲いていたアジサイを摘んで持って行った。様子見だった。その日の朝、雫にすぐに行ったほうがいいと言われたのでその日のうちに向かおうと思ったのだ。まぁ、いろいろ話すことはあったけれど結論から言えば、元通りという感じだった。あの日どことなく感じた悲しそうな感情は見当たらなかった。代わりに知らない女の人がいた。すごく仲がよさそうで、幸せそうだった。俺がいなくてもどうにかなっているというのはおこがましいことかな。そもそもただの後輩なのにどの態度してるんだよってことだよな。

 名前を聞くのを忘れたが、なんとなくわかる。ここ最近の傾向からして、あの人は神様であの神社に昔からまつられている人なのだろう。どことなく、根拠もないがそんな気がしている。あの人、あの神様がいる限りあいつはこれから上手くやっていけるだろう。

 

 風の神と雨の神?そんな奴らは知らないなぁ。あ、でもアジサイ園に行ったら、前にラーメン屋で見かけた綺麗な女の人とちっさい子が花の世話をしていて、挨拶しただけなのに二人に一回ずつ殴られた。笑顔で。非道い。

 梅雨が抜けたからか、アジサイは時期を過ぎた顔をしていたけれど、こないだの雨に当たっていた時よりは綺麗な色をしていた。葉の上にカタツムリとカエルがいた。こいつらも梅雨が明けたからそろそろ姿を見なくなるのだろうか。ふと右上を見る頭の中をぐるぐると探し回る様な感覚で見る。ああ、そういえばこいつら冬以外はずっといるな…冬眠するまでずっといるんだろうな。

「おい!お前ら、梅雨が明けても長い間生活できるからって調子に乗ってんじゃねえぞ。俺らはなぁ、冬になっても家に閉じこもるだけでいいんだぜ!昆虫みたいなお前らとは格が違うんだよ、格が!」

「おーい、昌、庭のアジサイに話しかけるのもいいけれどそろそろ中間テストだろ?勉強しなくてもいいのか?」と父。

「…テスト……」

 そういえばそうだった。リモートで授業があったせいで実感わかなかったけど結構範囲が広くなっているのだ。特に数学が苦手な自分にとっては問題集を三周ぐらいしないと平均点もとれない。まずい。

 おとなしく自分の部屋に戻った。奴らは俺の威嚇を聞いても素知らぬ風だった。エスカルゴにしてやろうか…。椅子に座り思考を切り替える。「アルキメデスが教える次段数学の解き方」という本を開く。

 

(1)次の式を解きなさい。

 

log₃81=x 、log₅125・log₄-x=y

 

は?ふざけてんのか?

 

こんなのわかるわけないだろ。

 

 俺はパタッと本を閉じてアルキメデス先生の顔を見た。

「先生…俺の心はてこでも動かせませんよ…あなたでも私の頭は証明できないでしょ。」

 くるっと背を向けて玄関に向かった。こういう時は散歩でもして頭をすっきりさせるに限る。…え?自慰じゃねぇのかって?いやだなぁもう。そういうのはR‐18のところに行ってくれよ。一般小説の主人公が簡単にそんなこと言えるわけないだろ。

 

 靴を履いて傘立てから傘を取り出す。こないだのことがあってからこれの有用性を理解して携帯しておくことにしたのだ。道路にすがすがしい一歩を踏み出す。

「おっきいおっぱい!」

「我が弟よ、そんな頭で大丈夫か?」

「大丈夫だ。問題ない」

「お兄ちゃん、私ね思うんだけど、お兄ちゃんがR-18に行くべきだと思うの。」

「何言ってんだるんだよお前」

 こんな風に散歩に歩き出した。

 




答え。x=4、y=5×1/256=5/256
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