雨中紀行〜sleepless rainy days   作:お茶会おじさん

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 スタレで『人はなぜ眠るのか』っていう問いがあったけれど、個人的にはアベンチュリンの『死の予行練習』がしっくりきた。


16.シアの世界~眠り姫 / 目隠しメイド

 

 

 ふわふわとした空気に包まれている。

 

 なにが起こるわけでもなく、ただ、多幸感に包まれている。

 

 どの場所にいるのかもわからない。意識が溶けていく。

 

 永遠にこうしていたい気もするし、一瞬だけそれを味わいたい気もする。

 

 あとどれくらい、こんな気分に浸れるのだろうか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよう。そろそろ目が覚めてもいいころじゃない?」

 

 俺の幸せはそこで崩れ去った。

 

 

「さてさて、やっとあなたをこの夢の世界のなかに連れてこられたわけだけれど、気分はどう?」

 

「サイアクな目にあわされそうな気がするくらいだよ。それ以下でも、それ以上でもない。付け加えるとするなら、どうせならあと三十分は寝させて欲しかったってところだな。」

 

「そう?残念だわ。」

 

 アナスタシアはゆっくりと白い円形の椅子に座ると、ほっと息を吐いた。ゆっくりと目をつぶり、腕をのばして、この空間にいることがさも幸せであるかのように。

 

 あたりを見回してみると、足元含め視界の端まで床が白い雲海のようになっており、アナスタシアたちを取り囲むように、ギリシャ式の円柱が四本立っていた。椅子のそばには小さなベッドが一つと、花瓶がおけるくらいの四角い机があった。

 

 この空間の主であるアナスタシアは椅子から立って、いまだ意識が落ち着いていない晶のもとへと歩いてきた。

 

 晶は幾らかの警戒心を持って目の前の少女を見つめる。

 

「……お前の目的は何だよ?俺を拉致したところで、何の情報も持っちゃいないぜ?」

 

「目的はあなたの存在の解明にあるのよ。現実のあなたの隣で眠っている、あのマイっていう子、神様なんでしょ?私の魔法が神様にも効くだなんて知らなかったけれど、まぁそれはいいの。私の魔法が効かないなんて、あなたは人間じゃないの?」

 

「どこからどう見ても人間だろ!?俺が人間でなかったら、いったい親父は何者なんだよ!?今までいろんな罵倒を受けてきたけど、人間かどうか聞かれたのはこれで五回目だ!」

 

「そこそこ聞かれてるのね……。まあまあ、落ち着いて?あなたに危害を加えることはしないし、私が使える魔法はこの『眠りの魔法』だけだから。」

 

「……魔法使いなのに?」

「期待に沿えないようで悪いけれど、実際そうなのよ。いろんな属性の魔法が使える魔法使いなんて、この世に存在しないし存在してはいけないの。」

 

「はぁん、そういうルールがあるんだな。」

 

 晶は自分の体の様子を確かめる。特に変わったところもなく、この不思議な空間にいることを除けば、現実とまったく同じように見える。……本当に夢の中にいるのだろうか?

 

 そんなこんなしているうちに、アナスタシアは晶のすぐ近くまでやってきて観察を始めた。

 

「あ、あの~。恥ずかしいのでやめてもらっていいですか?」

「むりかな~」

 

「無理とかじゃなくて、やめてください。ええと、アナスタシアさんでしたっけ?あなたも自分の容姿をじっくり見られるのは嫌いでしょう?」

 

「ううん。嫌じゃないわ。相手のことを知るためには、観察しないといけない。ってなると、私も観察対象になる覚悟が必要ってことよ。……あ、アナスタシアじゃなくて、シアって呼んで欲しいわ。あなたの名前は……ああ、アキラっていうのね。よろしく、アキラ。」

 

「えぇぇぇぇぇ……(あ、だめだこいつ。話聞かないうえに、自分のことを優先するタイプのやつだ。しかも自分が可愛いと思ってるから許されると思ってやがる……。関わったらいけない奴に関わってしまった。散歩に行くんじゃなかった……)」

 

 晶は顔が若干引きつらせながら、シアに対してどうにか対抗しようとしていた。

(今のところ使えそうなのは『黄泉』だけか……。せっかく持ってきた傘もこの至近距離じゃ怪しまれるし、直接殴るってのもなぁ……。まずは『黄泉』で弱らせて、そこから逃げよう。)

 

「な、なぁ、シアってさぁ、なんであの山の中にいたんだ?ここに瞬間移動でもしてきたとか?」

「ああ、まだ話してなかったね。アキラ。私がこの山の中にいたのはただの偶然だよ。私の魔法は一度発動させると行先はあまり選べないからね。」

 

「どういう魔法なんだ?」

 

「アキラ、それを聞くためにはあなたも、あなたの秘密を明かす必要があるわ。あなたの背後に落ちている傘、それにはいったいどんな機能がついていて、どんなことが出来るの?」

 

「あ、ああ。これは俺の親父が作った傘で、耐久性にかけてはピカイチってところだな……。」

 

 そこで言葉を止めると、先ほどまで普通だったアナスタシアの目が、猫のような目になった。その気迫に押されて、晶は言葉を続けてしまう。

 

「ッ!……この傘の先から、一種のエネルギー弾を撃つことが出来るんだよ。タイミングは俺の意志によるんだけれど、この柄の部分を持っていなきゃいけないんだ。」

 

「へえ、それはすごく興味深いわね。じゃあ、私の魔法について教えてあげるわ。」

 

「私の魔法はさっきも言ったけど、『眠りの魔法』で睡眠に関することなら大抵のことはできるわ。夢を見させたり、夢の世界に連れ込んだり、ただただ寝させたりとね。あ、そうそう。この夢の世界の中では、私に勝てる人は誰もいないわ。なんたってここは『私の夢の世界』だからね。」

 

「へ、へぇ、そうなんですね……」

 

 晶は何とも言えない恐怖に包まれた。夢の中でこんなにも意識がはっきりしているのになぜ自分の思うとおりに動けないのだろうか。アナスタシアがこの夢の中の主である、ということなんてなかなか信じられない。

 

 夢というのはもっとぼやけてて、意識と無意識の間をうろうろとしてしまうようなものだろう?それが『魔法』の一言でかたづけられてしまうなんて……。いささかの不合理と矛盾を感じてしまう。

 

「俺は早く家に帰りたくてたまらないんだけど。そろそろ帰ってもいいだろう?」

 

「何を言っているの?今さっき来たばかりじゃない。それに現実ではまだ三分も経っていないのよ?」

 

「ま、まじかよ……ここに来てから三十分はとっくに経ってると思ったんだけど……。」

 

「外の世界とは時間の流れが違ってるのよ。⋯⋯だから、お願い。私のためにここでしばらく居てくれると嬉しいな。まあ、あなたに拒否権はないんだけどね。」

 

「ふざけやがって!人をこんなところに監禁しておいて『お願い』だなんてよく言えるな!人と対等に話すときは緊張しないリラックスした状況を作れと両親から教わらなかったのか?」

 

「む。失礼ね。お父さんから『私たちの話を聞かない人間はとりあえず殴っていい』って教えられたけど、それは本当だったみたいね。」

 

「変なことばかり教えられやがって!」

 

 晶は傘を持ったまま後ろにバックし、アナスタシアの頭を先端で狙う。

 

「さぁ、シア。痛い思いをしたくなければ『魔法』とやらを解除してもらおうか!引き金を引けば一瞬だぜ。」

 

「ふーん。もう一度言うけれど、ここは私の夢の中なのよ?あなたは、ネズミ捕りにかかったネズミを家の中に解放してあげたりするのかしら?」

 

「人のことをネズミだなんて。例えの趣味が悪いな!」

 

 ポケットの中に入れてある弾丸を確認しながら銃口を合わせる。アナスタシアは微笑んだまま、辞書ほどの大きさの本を左手に開き、胸の前にゆっくりと近づける───

 

 じりじりと静かな世界で戦いが起きようとしていた。

 

 

 

 

   雫視点にて…… 

 

 

 梅雨が明けたから学校が再開することになった。宿題は全部終わらせていたし、困ったこともないのだけれどこの一か月の間に染み付いた生活習慣は、なかなか元の感覚に戻りそうにない。

 

 あれからアジサイ園に行くたびに、恵ちゃんと話したり、マイちゃんと話すようになった。アジサイ園はそろそろ時期が過ぎるから、少しずつ枯れて行って見に来る人も減っていくらしい。すこし寂しいとも思ったけれど、恵ちゃんが言うには、「仕方のないこと」らしい。

 

 マイちゃんとはあの牛さんが家に帰った後に、アイスクリームを食べに行って仲良くなった。なんでもこの町に来てから何十年も監視をしていたらしくて、肩の荷が下りた、という顔をしていた。これからも調査のためにこの町に住み続けるつもりらしいので楽しみだ。

 

 そういえば二人とも偉い神様に仕えているらしい。恵ちゃんの本当の名前は、クラオカミという名前だけれど、仕えている神様の名前がミツハノメという人らしく、その人(あ、神様か)から名前を付けてもらったのだという。

 

 マイちゃんは、遠い町にいるダイロさまという神様に仕えていて、その神様からこの町まで派遣されてきたのだという。お仕事の内容は『ヨミの扉を監視すること』と『魔法使いのゆりかごに異常がないか見ること』だという。

 

 なんだか見ることばっかりだね、と言うと、「そうだね。でもやりがいのあるお仕事だよ」と言っていた。

 

 家に帰ると、いつも通りのお父さんとお姉ちゃんだった。お兄ちゃんが疲れた顔で、

「文章書くとか、色々忘れたわ。まぁでも雨はもう止んだからレポートは提出できないな。」というと、

 

「ん?まさかアキラ君は言われたこともできない子なのかな?……ぶっ壊されてぇか!」

 と、狂暴化していた。いつも通りだ。

 

 お父さんはタオルを二枚出してきて、温かいココアを作ってくれた。そのあとに高砂さんとちょこっと話して、名刺をお互いに交換してから見送っていた。……あの人名刺とか持ってたんだ、と後から思う。

 そのあとお父さんは地下室にまた入って、機械いじりを続けてた。

 

 二日後くらいにお寿司を食べに行った。梅雨明け記念と言って、お姉ちゃんとお兄ちゃんが大食い競争をしていた。結果としてはお兄ちゃんが三十二皿、お姉ちゃんが十八皿だった。お兄ちゃんが二十皿を超えたあたりでまだまだ食べれる自分に驚きつつ「まだまだいけるな!」と、食べていた。

 

 お姉ちゃんが限界だったみたいで、トイレに走っていった背中を覚えている。……こんな背中見たくなかった。

 周りを見ると他のお客さんが驚異の目をお兄ちゃんに向けていた。私とお父さんも向けてた。

 

 お会計の時に、直前までお父さんが財布を取り出すか悩んでいた。合計金額が普段の何倍にもなっていた。帰り際にお父さんがぽつりと、「しばらく禁酒だな……」と言っていた。

 

 そして今日。お兄ちゃんがまた散歩に出かけてので、ついでに私も図書館に行った。借りてた本を返して、本を探していると高砂さんがいた。

 

「お、この間のちびっこじゃねぇか。今日は一人か?」

 

「ちびっこ……もうすぐ十歳なんだけど。」

 

「別にいいじゃねぇか。ガキだろ?ところでどんな本を探してるんだ?ちょっと参考にしたいんだが。」

 

「もしかして高砂さんって『ろりこん』ってやつなの?そうは見えなかったんだけど。」

 

「親から何を教えられてんだよ。んなわけぇだろ。なんで俺がお前みたいなガキの相手をしなくちゃならねぇんだよ……。今度知り合いが運営している孤児院に行くことになってな。本を買っていこうかと思って、参考程度に来てみたんだよ。」

 

「へー。そうなんだ。まともな答えで安心したよ。」

 

「……それ晶の影響か?イラっとくるな…。まぁいいや。で、どんなのがよさげだ?」

 

「ん~。迷路とかかな?ほかにも『ニートを探せ』とかでも面白いし、そこにある『世界の名著三十八選』なんかはハズレがないんじゃないかな?」

 

「案外、嫌な目線から物事を見るんだな。さすが晶の妹だよ。なんとて参考にしてみるよ。ありがとな。じゃ。」

 

 そうして高砂は去っていった。今回は本を借りないらしい。あんまり本を読まないのだろうか?

 そこからしばらく図鑑コーナーとかを見ながら移動していると、料理コーナーに着いた。

 

 白と黒のレースが見えた。ふと顔を上げると両目に眼帯をかけたメイドさんが立っていた。

 

「⋯⋯あらら、お嬢さん、大丈夫ですか?」

 

「え、あ、はい。ごめんなさい。ちょっと本ばかり見ちゃって⋯⋯」

 

「いえいえ。問題ありませんよ。私もこの通り、目隠ししていますから。」

 

 そのメイドさんは本を数冊腕に抱えていた。身長はお兄ちゃんより少し低いくらいで、女の人にしては高めだな、と感じる。灰色に近い髪をしていて、先っちょが外側にくるっと上がっている。

 本に目をやると、こんな感じだった。

 

 『今日から作る西洋レシピ』、『豆全史』、『あの賑やかなチーズ市場は今何処に?』、『適当デ大丈夫!三分デできる超簡単メニュー!』、『肉・病源菌・加熱』

 

 変わった本が多い。趣味が料理なのだろうか。

 

 メイドさんはこちらを見下ろしながら髪先をくるくるといじっいた。そうして、ぽん、と思いついたような顔をして、話しだした。

 

「そうだ。少し質問です。なに、難しいことじゃありませんよ。だからそんなに緊張しないでください。」

 

「は、はい。」

 

「さて、今日の夜食べるとしたら何が食べたいですか?なんでもいいですよ。」

 

「え、えーと⋯⋯ハンバーグかな。」

 

「ん~最近金欠なのでだめですね。」

 

「だめなの!?なんでも良いんじゃなかったの!?」

 

「っふ。マジレスになりますが、『何でもいいというのは、選択肢の中ならば何でも良い』ということなんです。例えば多目的トイレでは、トイレだけでなくオムツ替えも出来たりしますが、不倫は目的に入っていないでしょう?それと同じ原理ですよ。」

 

「そんなことをわざわざ例えにしなくても⋯⋯。」

 

このメイドさんが比較的大きな声で言ったことで、何人かがこっちを訝しむような目で見ていた。恥ずかしい。

 私の声も結構大きかった気がする。うう。

 

「⋯⋯じゃあ、その西洋なんとかの本の中のページで決めようよ。ん〜、66ページで。」

 

「わかりました。では、えー。おお。エスカルゴですね。最近梅雨明けたばかりなのでちょうど良いですね。山の近くに大きいのが居たような。オリーブオイルを追加で買いましょう。メモメモっと。」

 

「え⋯⋯(マイちゃんのことだ!) べ、別のページに行こう。」

 

「どうして?」

 

「どうしても! 38ページで。」

 

「チリコンカーンですね。ふむ。最近寒いですし、これにしましょうかね。ありがとう、お嬢さん。」

 

「ふう、良かった。本当に良かった。」

 

「やっぱりエスカルゴに⋯⋯」

 

「だ、ダメだよ!」

 

「⋯⋯冗談ですよ。」

 

「冗談に聞こえないなあ⋯⋯。」

 

 

 閑話休題

 

 

「どうして目隠しをしてるの?⋯⋯それって前は見えてるの?」

 

「ん?はい。見えておりますよ。この目隠しはご主人の性癖なんです。なんでも目隠しメイドで興奮するらしく⋯⋯夜な夜な思われているだなんて嬉しい限りでございます。」

 

「その、せいへきっていうのはよく分からないけど、まぁそのご主人と仲は良いんだね。」

 

「いいえ!まったく!」

 

「間髪入れずに即答!?」

 

 

 案外、忠誠心の低いメイドさんだな⋯⋯。だんだんと、逆にそのご主人のことが気になってきた。話を聞く限りではひどい人のようだけれど、この人の態度からはそこまで酷くはないように感じる。

 むしろ、このメイドさんがその人の評価を下げに行っているような。

 そんなことを考えているうちに、メイドさんがこんなことを言ってきた。

 

 

「そう言えば、どうして今日は一人なのですか?いつもはお姉さんと一緒のはず。」

 

「⋯⋯一人だけど、なんでそんなこと知ってるの?もしかしたら、と思ってたけど、⋯⋯ストーカー?」

 

 メイドさんはビクッと跳ねたあとプルプルと震えながら答える。

「いやいや、まさか。内心汗ダラダラってことはありえませんよ。」

 

「⋯⋯」

 

 何も言う言葉が見つからなかった。

 

 

「ま、まぁ、なんでもいいじゃないですか! 私が何者だとか、そういうことは知らなくても良いのですよ。」

 

「どちらかと言えば、キチンと知っておいたほうが良い気がするけれど。」

 

 ここまで話して、メイドさんは腕の袖を少しずらして、時計を見る───

 

「おっと。帰らなくては。もうこんな時間でした。」

 

「⋯⋯それって見えてるの?」

 

「ん、いえ。なんとなくですよ。お腹が空いてきたのでもう帰ろうかなと思ったんですが、そのまま言うのはイメージダウンかな、と。」

 

「一応イメージとか考えてたんだ!?」

 

「さぁさぁ、ここは家から離れていますし、あなたは身を守る道具を何も持っていませんからね。私みたいな不審者などに拐われたら大変なことになってしまいますよ。さ、帰った帰った。」

 

「本当に何者なの? ⋯⋯えーと、まあ一応ありがとう⋯⋯? でも、帰る前に一つだけ。あなたは誰なんですか?」

 

「ん、ああ、名乗っていませんでしたね。私の名前はロタ、と言います。とある馬小屋で働いているしがないメイドですよ。」

 

「馬小屋。ひどい言いぐさだね。」

 

「ふふ。」

 

 ロタはくるくると回ってから雫の頭に手を置いた。目隠しのせいで感情が読み取れないが、よく見れば口元に微笑を浮かべているのが分かる。

 ロタは頭に手を置いたまま続けた。

 

「今日は寄り道をせずに帰ったほうが良いですよ。きっと帰ったら、駅前にあるモコモコ堂のシュークリームがありますから。一番大きいのを取られないようにささっと帰るべきです。あなたのお兄さんは、今日は遅くなると思うので、二番目に大きいのを残しておいてあげてください。」

 

「⋯⋯あなたは何者なの?」

 

「ふふ。言ったでしょう?私はしがないメイドですよ。」

 

 

 その後は図鑑を二冊借りて図書館から出た。

 ロタさんは気付いたら居なくなっていた。きっとご主人にチリコンカーンを作りに行ったのだろう。

 私も今日の夜ご飯が気になってきた。シュークリームも本当のことなのだろうか?本当なのだとしたら、少し怖いけど。

 まあでも、悪い人には見えなかったし、別に良いかな?

 

 時計は午後四時を回っていた。

 

 




 ぬわーん、もう疲れたもぉーーん!!

 久しぶりに昔書いたのを読み返したら、どれだけひどい状態なのか理解できたのでこれから、少しずつ直していこうと思います。

 個人的には、大量の改行は良くないと思ってる。ごめん
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