雨中紀行〜sleepless rainy days   作:お茶会おじさん

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遂に6話まで来ました。これからも頑張って行きます。


6.花楽と雨

 花楽との戦いが始まった(戦いと呼んでいいのか分からないが)。気づいたら『ダンスバトル』に変わってたらどうしようかね。

 

花楽「じゃあこっちから行きますよ!まずは基本から!『情感の舞』!」

 その瞬間かなりの量の弾が飛んできた。さっきの風君とは比にならないぐらいだった。

 

俺「何が基本だ!ふざけんな!」

 すると花楽はヘラヘラしながら言った。

花楽「こんなの基本中の基本っすよ。これぐらい先輩なら躱せますよね?」

俺「そーゆーの良くないと思います!」~ならという言葉はかなりプレッシャーがかかると個人的にはすごく思う。

 

 

 まぁ、そんなことは置いといて。まずは目の前に迫っている弾幕を躱さなくてはならない。さっき境内に入る前に見た弾幕に赤色の球が混じって、複雑になった攻撃だった。躱せないわけではないがめんどくさいというのが本音。このめんどくささを例えるとすれば「スーパーで、ショッピングカートの一番下に乗せた2Lのミネラルウォーター6本入りの箱をまた棚に戻す感じ」だ。分かってもらえただろうか、このめんどくささが。できないこともないけどあまりしたくないという感じ。

 

 

 また話が脱線したな。一応言っておくと上の7文をしゃべっている間も弾を躱していたんですよ?

 

 

 『情感の舞』を踊り終わった花楽は笑いながらこう言った。

花楽「いや~先輩ならそれぐらい躱せると思ってましたよ」

俺「そうかい。褒めてもらってコーエーだよ」

花楽「むぅ、気持ちが入ってませんね」

俺「別に入れなくてもいいだろ」なにが「むぅ」だ。

 

花楽「じゃあ、次はさらに早くなりますよ~!」

 

俺「まだ続くのか・・・めんどくさいな・・・この話読んでくれてる数少ない読者さんはこの話の戦いのシーンが見たいわけじゃないんだよ」

花楽「まあそーっすよねー。作者はバトルシーンの描写苦手っすもんね・・・まあでも、私はしたいんで。このちょっとした戦いが楽しいんですよ。ずっと雨でストレス溜まってたし。まぁまいていくことに変わりはないっすけど。」

俺「だな。」

 

 

 というわけですこし飛ばしていきます。作者の、技名を考える力が弱いわけじゃないですよ?上のは完全に駄文ですね。すみません。

 

 

花楽「次は『涙雨の舞』」

 そういうと花楽は涙を流し始めた。そして地面を2度蹴って踊り始めた。

俺「うわ!」思わず声をあげてしまった。飛んでくる弾は青色と水色の雨が降ってくるようだった。だけど悲しそうで綺麗だった。

 

 というと、人が泣いているのを見て喜んでいるような嫌な感じのやつに聞こえるがね。それほど綺麗だったんだよ。まぁ、言い訳してもただの嫌な奴だな。それにしても、花楽が泣いてるところ見るの初めてだな。今までに見たことがある奴いないらしいのに。まぁ、ダンスの練習の一環なんだろう。

 

 

 その踊りが終わったあとは連続して次の踊りが始まった。花楽は「これで最後!『カラーズ・ミックス・ダンス』!」と言った。

 

 いきなり横文字になったな、と思ったが何も言わなかった。言えなかったのほうが正しいかもな。さっきまでの気持ちが吹き飛んだように感じた。

 

 花楽はおかしくなってしまったかのように踊っていた。笑ったと思ったら泣いて、泣いたと思ったら怒って。笑って泣いて怒って泣いて笑って泣いて怒って・・・

 

 俺は花楽の顔をあまり直視出来なかった。見たくなかった訳じゃない。見ないといけないって思ったけど見れなかった。得体の解らなくなったものに対する怖いっていう気持ちよりも、何故か顔を見たとたん嫌なことを思い出しそうで見れなかった。それに、何かが変になりそうで怖かった。目の前にいるのは本当に花楽なのか?と疑問に思ったぐらいだった。

 

 

 声を発することができたのは踊りが終わった後だった。いつの間にか躱し切っていたらしかったが、踊りが終わったっていうのに花楽はまだ泣いていた。

 

俺「・・・大丈夫か」かすれた声で言った。こんな声でこんな言葉を出すのが精一杯だった。

 

花楽「大丈夫っすよ」笑って泣きながらそう言った。

俺「そ、そうか・・・」我ながらひどい返事だと思う。

 もうちょっとましなことが言えないのか?そう自分に言って嫌になる。

 

 花楽はちょっと困ったような顔をして言った。

花楽「・・・全然大丈夫っすよ。これはただの雨っすから。・・・踊りを見てくれてありがとうございました。」

 俺は何か言うべきだったのかも知れない。でも言葉が出なかった。おかしいと思っていたのに。

 

 何かを言おうとはしたけど先を越されてしまった。

 

花楽「さようなら。きっと原因はあの山にありますよ」

 そのさようならは、さっきまでの花楽の声じゃないように聞こえた。

 

俺「あ、ああ。ありがと」

 たった五文字に気おされて返事をするのが遅れた。

 

花楽「いえいえ。気を付けて」

 

 

 

 そうして俺は、花楽が指差した山、このあたりでは「ヨモ山」と呼ばれている山に向かい始めたのだった。

 

 

 

 後ろを振り返ったらもう花楽はいなかった。頭に残ったあの顔を思い浮かべながら足を進める。俺が悪いわけではないはずだけど、なんだか俺が悪いような気分になった。

 

 

 

 彼女の行方は、俺はまだ知れない。そんな気がした。

 

 

 

 

 

 

     ◆◆◆

 

 

   花楽の話

 

 

 私は生まれたときからこの神社の巫女、「天野 神楽」として育てられてきた。

 

 

 怒られたことはあまりなかったけど、中学にあがって時に、「将来、プロのダンサーになりたい」と言ったときは祖母と母から怒られた。どちらかといえば祖母を中心にだったけど。

 

 

 私の家系は「天宇受賣命」、いわゆる「アマノウズメ」という神様の子孫らしく代々その踊りを受け継いできた。本人の意思に関係なく。

 

 

 しかもどこの時代の人かは知らないけど、とても踊りのうまい人がいたらしく、その人を伝えるためにその人の名前をついで、この家系の女は名前が全員「神楽」になるようになったらしい。

 

 

 だけど明治に入ってから、全員名前を一緒にするな、と役所の人から言われたのと、当時の「神楽」の旦那さんがこの風習をなくそうとしてくれたおかげで、音だけが一緒になるようになったという。

 

 

 そのため、祖母は嘉楽、母は香楽、という名前になったそうだ。そして私が花楽に。

 

 

 だけど書類上の名前が変わっただけで実際の状況は変わらなかった。結局全員、「天野 神楽」として育てられた。

 

 

 

 私に対して怒るのは祖母が中心だと言ったのは、本当のことだが母は怒っているわけではない。祖母に何も言い返せないから私に仕方なく怒るのだ。ただ、母はそんなことをしているのが申し訳ないと思っているのか、怒った後に謝ってくる。もちろん祖母のいない場所で。

 

 

 それなら謝られないほうがましなのにな。とも思ったりする。

 

 

 

 唯一の逃げ場所は学校だった。学校には普通の人があふれていた。歳が上がるごとにみんなお互いのことを詳しく知ろうとしなくなってくれたのはすごくありがたかった。家のことなんて話したくもないし、他人の家の事情なんて知っても私の生活が変わるわけじゃないから、意味がない。

 

 

 中学に入っていろんな人に会うようになった。クラスにはうまくなじめず、嫌な人もいたけど、面白い人にも会えた。部活に入って会った晶先輩とか。

 

 

 先輩は変な人で、おかしなところにこだわったり、上級生にもため口を使ったりするような人だった。そんな晶先輩なら私を助けてくれる、救ってくれると思ったけど・・・いつの間にか先輩は卒業してしまった。勝手に期待してしまったのかもね。駄目だって知ってたのに。

 

 

 中三になってから話す人がいなくなってしまって、学校はただの、祖母に会わないで済む場所になってしまった。

 

 

 ぼんやりと過ごし始めた中学校最後の年は始まってからしばらくして休みになった。この雨のせいで家にいなくちゃならなくなったのはまさに地獄だった。だからすこしでも祖母から離れたくて、この境内で踊っていたんです。そしたら、その先輩が来て、「まさかこんな時に先輩と会うなんてなー」、なんて思って嬉しかったけど会話にちょっと失敗しちゃったなって思う。

 

 

 先輩に申し訳ないなって思う気持ちが半分で、片割れは何だかよくわからない変なモノ。気分が悪くなるとかじゃないから大丈夫だ。うん。

 

 

 

 ···だけど、強いて言うなら、ちょっと助けて欲しかったかな。

 

 気づけば私は「傘」を欲しがっているのだった。雨や、雪や、風を防いでくれる「傘」を。私を守ってくれる「傘」を、心の底で、欲しがっていた。

 

 

 

 

     ◇◇◇

 

 

   空から雨は降る。目から降るのは雨なのか。

 

       それとも...

 

 

 

 




今回は3000字台です。これからはこのぐらいの文字数で書けるように頑張ります。
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