雨中紀行〜sleepless rainy days 作:お茶会おじさん
読む人はかなり少ないからね。
晶が恵から逃げ出した頃、ヨモヤマのなかでは...
雨が降る山の中を一人の少女が8つの頭を持った大蛇から必死に逃げていた。
はたから見れば、そういう絵だ。しかし、安心してほしい。そんな問題になるようなことは起きていない。
二人はお互いに因縁の中であり、神同士だ。だから、全く問題ない。多分。
逃げている少女は、茶色で肩までかかった髪、緑と黄色のオッドアイ、白色のワンピースを着ていて、かつ、かなり速いカタツムリに乗って逃げていた。
なかなか想像出来ないがこういう神もいるのだ。それにカタツムリ?そんなの遅い生き物の代名詞みたいなもんじゃないか。そう思う人もいるだろう。しかし、速い種類もいるのだ。
そして、追っている側の大蛇はというと、一般的な蛇と異なり、全身黒い鱗におおわれていて、端の頭ひとつづつには、緑色の石で出来たネックレスのようなものがかかっている。
だいたいの姿は想像出来ただろうか。出来たものとして話を進めていく。
少女?は一人呟いた。
「まずい...このままじゃ追いつかれちゃう...これじゃ、目的が達成できない...けど、こんなところでボクは諦めるわけにはいかないんだ!」
彼女?の名前は「忌部 マイ(いんべ まい)」、カタツムリの神の一柱だ。
話についてこれない方もいるかもしれないが、ここはタイトル通り、ヨモヤマの中だ。こんな感じで随時補足していく。
後ろから追いかけてきている大蛇は叫んだ。
「達成されてたまるか!毎回、まいっかい、術を壊しやがって!お前には関係ないだろうが!」
「関係あるもん!そっちがつくってる術が発動したら、ボクたちが困るんだから!」
マイはそう反論するが、落地の怒りにただ油を注いだだけのようだった。
「ええい!ちょこまかと!これで終わりだ!『龍尾一貫』!」
そう唱えた瞬間、マイの後ろに巨大な黒色のレーザーが迫ってきた。
「う、まずい!『最終最硬兵器·殻』」
マイの姿は一瞬にしてただの殻になった。そしてレーザーは殻に弾かれ、四方八方に進んでいった。
「な!」
大蛇はかなり驚いた。レーザーは大蛇の視界を遮り、動きを止めさせる。マイはその隙に逃げ出した...のだが...
しかし!!
?「そうはさせねぇ、ぜ!」
声とともに衝撃があたりを動かし、マイは殻を盾に攻撃を防ぎ、落地は後ろに飛んだ。
二柱は何が起きたのか、瞬間、何も理解できなかった。
「「誰だっ!」」
「あぁ?当てたと思ったんだけどなぁ。弾かれたか。」
土煙がおさまって、それの姿が見えるようになった。
そこには、金属の棒を持つ男がいた。
「何だ?人間か?邪魔をするな!」
「...誰...?」
「やぁやぁ。俺は通りすがりの高砂というものだ。なんだかおもしろそうな気配がしたからな。」
「なんだ、ただの人間か。失せろ、見逃してやるから」
「ん~勘違いしてるようだが、ただの人間じゃないぜ?自分で言うのもなんだが。」
「じゃあ、どちら様?」
「神殺しを生業にしてるとかって言ったほうがいいのか?」
「なっ」
「ぬっ」
「さて、行くぞ」
高砂は持っていたぼうを振り回して感触を確かめると、マイに向かって振り下ろした
マイはとっさに殻にこもったが、かなり大きい振動を感じた
いやな予感がして殻を確かめると、ヒビがはいっていた
「うそ...」
大蛇も思わず驚き、距離をとる
「なんじゃあの人間。気持ち悪い。」
「おっと、蛇君、心外だねぇ」
大蛇は蛇と呼ばれたことにいら立ち、一泡吹かせてやることにした。
「死ね!『双竜砲』」
しかし高砂には当たらなかった。
「ふざけんじゃねぇ、ふざけんじゃねぇ!なんぜ当たらないんだ!お前はただの人間のはずだろ?」
「人間かもな」
そういいつつも高砂はマイの殻を殴り続けていた。さっきはいったヒビはもう治っていたが、どんどん新しいへこみができていた。
「り、『竜の六分儀』!」
六つの光弾が放たれて、それぞれがレーザーでつながり、光弾から高砂に突き刺さるように針が飛んでいく。
高砂は、棒で撃ち落としながらそれぞれの光弾を潰していった。
「はっ?」
当たらない攻撃にしびれを切らした大蛇は、また新しい攻撃を繰り出した。
「『恒久の三日月』!」
高砂は飛んできた槍を、マイの殻を使って処理しつつ大蛇の上に飛び乗った。そして――
「お疲れさん。『故』」
大蛇の頭にたたきつけた。
「ごふっ...」動かない大蛇を横目にマイの姿を探した。
「でんでんはどこかな~っと。」
『恋矢螺旋』
高砂に向かってたくさんの矢が降り注いだ。それは雨のように降り、高砂の体を包み込んだ。
「ふぅ、これで良しと。ごめんね高砂さん、ボクはあなたを倒したいわけじゃないんだ。」
マイが歩き始めるが、矢の降る音が近づいてきていることに気づいた。
「嘘だ。そんなはずはない...」
しかし残念ながら、そのはずになってしまった。
「『合』!」
高砂の声が山に響き、マイの体は吹っ飛ばされた
「ふぅ。これで終わりだな...うん?まだ生きてるのか」
大蛇とマイはゆっくりと立ち上がり、高砂のほうを向いた。二人はお互いに自分たちが瀕死であるということを理解した。
「まだやるのか?」
「や、やっても意味がない...からな...それに、自分の目的はすでに達成している。この180年ぶりの悲願は間もなく成就するだろう‼...それにしても私は運が悪いな。ようやくあいつがいないときに復活できたっていうのに...」
「「成就?」」
大蛇は少し頷いたあと首を振った。
「フン、お前らには長い話よ。特にお前みたいな人間にとってはな。」
「へぇー。そこのカタツムリはどうする?もう限界だろ。そんな準備してるけど」
高砂はマイがゆっくり出していた大きな槍をみるとそう言った。
(うっ、バレてるか...ボクはそんなに強い訳じゃないのに...それにしても問題なのは、さっきのあいつの話だ...「目的は達成している」だって?このままじゃ本当にまずいんじゃないか...?)
マイは少し俯いたあと、高砂を見て言った。
「...確かにその通りだよ。だからさ......その、ボクは戦う理由が全くないから、二人で闘っておいてくれないかな?」
一か八かで、高砂のアホさに賭けてみた。
「別にこいつと戦うのはいいんだ。...だが、原因を突き止めないと意味がない。だから、何か知ってるお前ら二人から聞き出すしかない。さて、原因は何だ?取り敢えず、言ったなら逃がしてやるよ。わざわざな!」
高砂は、わははっ、と笑って言った。
「(よっし!腹立つけど!)こいつ」
指を指した。
「了解〜」
「おい、何勝手に私を原因だと決めつけてるんだ。それにマイ、神のプライドはどこに捨ててきたんだ!」
「じゃ、じゃあね~。」
そう言って、マイは頂上を目指して木々の間を走り出した。
「急がなきゃ!今までの苦労が全部無駄になっちゃう!」
...
「そこの蛇。別に良いじゃねぇか。めんどくさいのは嫌いなんだ。」
「さぁ、まだやれるだろう?」
(くそっ。マイに逃げられることは一番避けたかったのに...ただ、こいつを相手にするのは最悪だ...よし...)
「『五竜霧中』」
そう、小さな声で呟くと落地の周りにかなりの霧が出始めた。
「うん?霧?」
そこで高砂ははたと気づいた。ダメだ、このままじゃ逃げられる、と。
(ふぅ。これでやっと仕切り直せる。黄泉への門が完全に復活するまで、マイを惹き付けておくのには骨が折れるな。)
「おい、ごら。待て。」
「ん?」
高砂は金棒を振りかぶって、霧の中に入った。
ゴスッ!ドスッ!ゴスッ!ドスッ!
何度もそんな音が響いていた。時々、グチャッという音も聞こえていた。
霧が晴れ、静寂が訪れた。
「さてさてと。...あ。逃げられてるなぁ。ま、いっか。どうせもうあいつらはこの山から出られないわけだし。」
高砂は、また後で出会うであろう蛇とカタツムリを待つ間、黒い血がついてしまった金棒の手入れをすることにしたのだった。
◆◆◆
大蛇は、体から大量の血を出して項垂れたまま、木々のなかを進んでいた。
「はぁはぁ...危なかった...さっきので頭は4つ潰されたが、2時間もあれば治せるだろう……。だが、問題は黄泉だ。何故、全く反応が無いんだ?そろそろ現世に現れてもいい頃だぞ!?もうあのカタツムリごときが結界を打ち壊したとでもいうのか!?」
大蛇は疑問を抱きつつも、頂上までの岩場で眠ることにした。高砂にやられた傷を治すためにも、使ってしまった霊力を回復するためにも。
「それにしても、あの人間、異常に強かったな。それにあの棒......まぁいいさ。とりあえず寝よう...」
土砂降りの中、こうして三者の戦いは終わった。
しかし、まだ雨は降っている。
誰が降らしているのか?それぞれが疑問を抱きながら、雨にあたるのだった。
一応ねそれぞれ設定は考えてあるんですけど。とくにマイは。