「なるほど、じゃあリアス達のレーティングゲームは十日後に決定したんだね?」
「はい、サーゼクス様」
グレイフィアからの報告を聞いていた私は内心とても楽しみだった。
なにせこのレーティングゲームにはあの赤龍帝を宿した者がいるのだから。
確か、兵藤一誠くんだったかな?
いやはや楽しみだよ。
「それと、サーゼクス様。一つ気になる点がございました」
「気になる点?」
突然神妙な面持ちになって切り出すグレイフィア。
「はい、リアス様達の学園に赴いた時なのですが、何者かの気配を感じました」
「一体誰なんだい?」
「いえ……そこまでは。気配を辿ろうとすると靄のような違和感がありまして。その人物までには辿り付けませんでした」
仙術の類かな? でもグレイフィアに気配を辿らせないとすると相当の使い手だな。
そんな人物が何故リアス達の学園に?
「ふむ、相当な手練ということかな」
「恐らく……力量すら測れないほどでしたので。一体どんな人物なのか、天使なのか堕天使なのかも判別できませんでした」
これは、警戒が必要かもね。
相手が誰か分からない現時点ではどうにも手を付けられないのが手痛いな。
「そうだね、警戒はしておいた方がいい。リアス達には内密に頼むよ。大事な時期だ、あまり心労はかけたくない」
「かしこまりました」
その言って礼をしてグレイフィアは部屋から出て行った。
しかし謎の人物か――グレイフィアすら欺くその力量。
「ふふ、少し興味があるね」
◆◆
広大な荒野に戦う人影が二つ。
一人は艶めかしい黒色の髪を持ち、その背には漆黒の翼がある女。
もう一人は見る者を魅了する黄金の髪を持ち、背には
「ハァッ!」
黒髪の女が空高い上空から光の槍を投げつける。
その速度は常人では到底捉えることのできない速度である。
「そんなもの当たる筈がないだろう」
しかし金髪の女はこれを簡単に避ける。
そして地を蹴り、空へと跳び上がる。
その跳躍力を活かして黒髪の女へと瞬時に近づき体を回転させながら蹴り落とす。
「落ちろッ!」
「ぐっ!」
黒髪の女は腕を交差させ防いだものの、そのまま落ちてしまう。
そしてさらに金髪の女は追撃する。
「これで終わりだ、沈め」
手を空へ掲げると黒い球体が出現し、金髪の女はそのまま手を振り落とした。
「ぐっ……ぐああああああ!」
黒い球体は黒髪の女へと向かって行き、女ごと地面を押しつぶしていく。
地は砕け、歪み、盛り上がる。
凄まじい威力である。
「ふぅ、進歩しないなお前は」
そう言いながら金髪の女は地面に降り、黒髪の女の下へと近づく。
「う……うる……さいっ!」
黒髪の女は満身創痍ながらも言い返す。
「それじゃあカインに見放されるぞ、レイナーレ」
「だ……まれッ!」
憎々しげにレイナーレと呼ばれた黒髪の女は金髪の女を睨む。
「まあ、それだけ言い返せる元気があるなら問題ないだろう。少々やりすぎたかと思ったが」
やれやれといった感じで首を振る金髪の女。まだ余力があるらしい。
「とにかく、今日の特訓はここまでにしよう。私も少し疲れた、お菓子が食べたい」
そう言ってレイナーレを担ぎ上げる。
「クソ……次は勝つからな……ルルエル」
「ハッ、そういうのは私に一撃でも入れてから言うんだな」
ルルエルと呼ばれた女はレイナーレの言葉を一蹴しながら歩き出す。
◆◆
「戻ったぞ」
どうやらルルエルとレイナーレが帰ってきたらしい。
「お帰り、どうだったかな? レイナーレは」
そろそろルルエルにダメージぐらい与えているといいんだが。
「駄目駄目だな、今は寝室で寝かせているが、全く進歩しない」
なるほどな。
やはりレベルが違いすぎるのか?
だが手頃な相手がいない。
私では訓練にならんしな……
「まあ、まだ訓練を始めて数週間だ、私のレベルについて来れるはずが無い」
まあ確かにその通りだが、それでは意味が無い。
レイナーレには力をつけてもらいたい。
そう簡単に死なれては困る。
「それよりカイン、いつも気になっていたのだが、あの空間はなんなんだ?」
「ん? あれか? あれは私の能力で創り上げた空間だ」
「いや、そういうことではなくてだな。明らかに異常だ。広さといい頑丈さといい。ただの空間にしてはあまりに強力だぞ」
まあ"白"で創った空間だからな、広さなどいくらでも広げられるし、壊せるはずもない。
「まあ訓練用の空間だからな、広く頑丈でなくては意味が無い」
「本当に人間なのか? あんな空間を作れるのは上級悪魔でも不可能だぞ」
黒歌にも言われたな。確かに異常かもしれない。
「人間だよ、偶々そういう能力があっただけだ」
「……そうか」
そろそろ隠し通すのも難しいかもしれない。
まあ全て話してしまっても問題はないんだがな。
ただ、ルルエルが敵に捕まったとき私の情報が漏れるのは避けたい。
それにこの前のルキフグスの件。
確実に魔王に伝わっただろう。
正体が掴めなくとも違和感だけはあった筈、報告されていると思ったほうがいい。
警戒されるだろうな。
いっその事悪魔陣営にでも付くか?
いや、安直な行動は危険だ。
それに組織に入ってしまえば行動に制限が掛かる。
特に私の力は危険視されるだろうな。
それでは楽しめない。
この世界についてはまだまだ知らないことがある。
それを知りたい。
全てを知った上で、どう行動するかはまだ分からんがな。
また前の世界と同様に全てを喰らうのはつまらん。
そういえば……
「なあ、ルルエル」
「ん? にゃんだ?」
早速菓子に食らいついてるルルエルに質問する。
「この世界で最も強い者は確か"
確かそうだった筈だ。
「そうだな、それと"
そうか……会ってみたいな、この世界最強のモノと。
「だが奴らは文字通り次元が違う、住んでいる場所もその力も。例え悪魔と天使と堕天使やその他諸々が一斉に戦いを挑もうと勝てるかどうか怪しい」
より興味深いな。
もし私にすら勝てない相手なら――その時は、
―――逃げるの?―――
チッ……
忌々しい。
未だに捨て切れない過去の記憶。
未練がましい。
「何故急にそんな事を聞いたんだ?」
「いや、ただの再確認だ」
「再確認?」
「ああ」
「よく分からん……」
君が気にすることではないよ、ルルエル。
君は黙って私に付いて来ればいい。
まだ君には利用価値がある。
そうだ、ルルエルを上手く使えば悪魔陣営にも交渉を持ち込めるかもしれないな。
確かに相手は魔を統べる王だ、交渉術にも長けているだろう。
だが私がこれまで見てきた悪魔達から察するに、大して人間と変わりは無い。
感情があり、欲望があり、矛盾している。
違うとすれば寿命と持って生まれた身体能力と人間を凌駕する潜在能力くらいか。
情に訴えかければ
私の力を差し出せば目が眩むかもしれない。
どちらにせよ、手札は多い方がいい。
まあいきなり魔王を出せと言ってもそう簡単には出てこないかもしれない。
兎に角、個人で世界最強を探すとなると難しい。やはり組織には付くべきだな。
行動が制限されるのは好ましくないが、目的の為だ、ある程度は我慢しよう。
それに、私の全てを相手に教える訳ではない。
こちらに都合の良い様に話を作ればいい。
さて、どう言うストーリーでどういった事情にしようか?
「そう言えば、グレモリー達は何故休んでいるんだ?」
と、思考を遮るかの如く唐突にルルエルがそんな事を聞いてくる。
「さあな。私は何も聞いていない。恐らく生徒会に適当な理由を付けさせて学園を休んでいるのだろう。何か用でもあるのではないか?悪魔としての」
恐らくはルキフグスが来た時に何かあったのだろう。
魔王からの召集か?
監視も出来ていないから分からないな。
ああやって実力者が出入りするようになると迂闊に監視用の魔法すら使えん。
私の存在は消せても魔法自体は消せないからな。
上手く動向を掴むにもやはり何処かの陣営に付くしかないか。
「なるほどな。そういえばグレイフィア様も来ていたし、なにかあるのかも知れん」
支取にでも聞いてみるか?
学園の一教師として聞くのなら問題は――いや、おかしいか。
まず休んでいる理由を生徒会長に聞くのがおかしい。
「とりあえずは放置で良いだろう。気にしていても仕方あるまい」
さて、交渉の話……
少し様子を見て、タイミングを見計らうか。
この町も最近は騒がしい、いずれそういった時が来るだろう。
「それまでのお楽しみだな。クック……」
一人笑う私をルルエルが引き気味で見ていた。
確かに、今の私は変質者の様だな……
ルルエルの冷めた目で少し冷静になった私は溜め息を吐きながら部屋の天井を仰いだ。
カインさんの今後の方針がある程度決まりました。
いやぁ、これでやっとまともに原作キャラと絡められますよ!
そして、次回は焼き鳥さんの話はすっ飛ばして、エクスカリバー編まで行きます!
どんどん時間飛ばして申し訳ないですorz
それと、地の文での戦闘描写を試験的に入れてみましたが・・・短い上に語彙力が無さ過ぎて・・・
ちょっと戦闘描写は苦手かもしれません。これから精進します・・・
それにしても、若干カインさんの口調や性格が安定しない気がする・・・
誤字脱字の指摘、感想待ってます!