大罪人の黙示録   作:ファイエル

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ふぇぇ・・・戦闘描写が駄目駄目だよぉ・・・


第十二話

 

「帰ってきたのか。早かったな、って誰だソイツ」

 紫藤さんを抱きかかえて公園から自宅に戻るとルルエルが出迎えてくれた。

 私が抱きかかえてる紫藤さんに興味がいったらしく誰だと聞いてくる。

 

「以前話した協力者の紫藤イリナだ、重症を負ってな。治療はしたが意識はまだ回復しないので家で寝かせる事にした」

 一々質問されるのも面倒なので大体の事を一度に話す。

 公園であのまま寝かせても良かったのだが、流石に外に放置したままは不味いだろう。

 

「ふぅん。で、この後はどうする?」

 

「お帰りなさいませカイン様」

 と、ルルエルが質問したと同時にレイナーレが部屋から出てくる。

 

「ただいまレイナーレ。それとこの後だが、学園に向かう」

 

「学園?」

 

「ああ、コカビエルの目的は戦争らしい。だからエクスカリバーを持ち出して事を大きくし、さらに魔王の妹がいるこの地で暴れまわるそうだ。暴れまわるとすれば…」

 

「二人が居る駒王学園…という事か」

 ルルエルと話していると、大きな魔力の反応。どうやら本格的に動き出したみたいだ。

 

「とにかく学園に向かおう。君達二人も付いて来い」

 そう言いながら紫藤さんをリビングのソファに寝かせ、玄関を出る。

 

「私達が行って役に立つのか?」

 

「そうですね……ルルエルはまだともかく、私はお役に立てそうもありません」

 私の後を付いてくる二人が少し俯きながら言う。

 まあ役には立たんな。だが私の仲間だ、という認識をさせればいい。

 

「グレモリー達に君達が仲間だと認識させたいから連れて行く。戦う必要はない」

 

「そうか…だが悔しいな。戦うなと言われるのは」

 そう言って表情が暗くなるルルエル。

 

「今は悔しがっておけ、どうせ人生は長い。悔しいと言う気持ちがあるなら強くなる事はあっても弱くなることはない」

 その悔しさを糧にすれば成長できる。

 レイナーレと比べればルルエルは確かに強いが、所詮はレイナーレより強い程度。

 恐らくグレモリーと同等かそれより少し上程度の実力だろう。

 しかしこれからは悪魔の仲間になる。戦う機会は増えていくだろう。

 そこで実力を付けて貰えばいい。レイナーレも同じだ。

 

「そう言ってもらえると嬉しいな」

 微笑むルルエル。

 っと…段々と魔力が強くなっていっている。急ぐか。

 

「急ぐぞ」

 歩きから走りに変え、学園へと向かう。

 

 

 ◆◆

 

 

「ハハハハハッ! 来たか仮面の男!」

 

 コカビエルは新しい遊び相手が来たと狂気の笑みを浮かべる。

 リアス達では相手にならないと思っていた所にやってきてくれたのだから

 喜びを禁じ得ないようだ。

 対してカインは…

 

「私が判別できるのか……やはり気配を消してもある程度の実力者には悟られるようだな」

 

 コカビエルと出会ったのは一度だけ、しかもその時は仮面を付けて気配遮断の魔法も使っていたのに一瞬でその正体が分かった事に自分の魔法の未熟さとこの世界の実力者への認識を改めていた。

 

『か、カイン先生……?』

 

 リアス達は自分達の学園で教鞭を振るっていたカインが突然現れて唖然としている。

 当然の事だ。リアスや朱乃からすれば2年近く身近に居たのに、その正体に気付けなかった。いや、気付く事はできない。なにせカインの気配はほとんどが人間。注意深く探らなければカインの異常性には気付けない。それに気配を遮断されていては気付く事はほぼ不可能なのである。どうしてカイン先生が? と言う気持ちが全員の内にあった。

 

「来たのか…イリナはどうした?」

 

 唯一カインと協力関係にあったゼノヴィアはコカビエルに伝えられた神の死の真実に耐えながらカインにイリナの安否を問う。

 

「問題ない。私の家で眠っている」

 

「そうか…」

 

 ゼノヴィアはその事に安堵する。イリナが生きていた事と、この場に居ない事に。

 もしイリナがこの場に居れば神の不在を聞いて平静を保っていられるはずもないからである。

 

「カイン先生…どうしてここに、ってなんでレイナーレが!? それにルルエル先輩も!」

 

 カインに何故ここに居るのかと聞こうとイッセーが近づこうとすると、その背後には以前自分やアーシアを殺したレイナーレと学園の先輩であるルルエルが居る。その事にまた驚愕する。

 

「カイン先生……いえカイン。あの時レイナーレを連れ去ったのは貴方なの? それにルルエル……この気配は悪魔ね」

 

 カインを問い質し、ルルエルの正体に気付くリアス。一体彼は敵なのか、それとも味方なのか。それにカインから感じる気配は確かに人間の筈なのに、どこかおかしい。

 何故レイナーレを連れ去ったのか。あの姿はなんなのか。どうしてルルエルと言う悪魔を連れているのか。聞きたい事が山ほどある。と言いたげな顔をしながら近づくリアス。

 

「そう怖い顔をするなグレモリー。後で話してやる――ルルエル、レイナーレ、グレモリー達を結界で守れ。早めにコカビエルを片付ける為に少し本気を出す。全力で張れ」

 

「了解」 「かしこまりました」

 

 リアスを一瞥し、微笑を浮かべながら伝えるカイン。そしてルルエルとレイナーレにリアス達を守れと命令し、コカビエルを見据える。

 

「ほう? 俺を倒す気なのか? 高が人間如きが?」

 

 コカビエルはカインの口振りに少し苛立ちを抱きながらカインを睨む。

 完全に侮っている。相手は人間、確かにリアス達よりは強いと感じるが所詮はその程度と。

 

「油断しているならそれでもいい。そちらの方が都合もいいしな。さあ、行くぞ」

 

 やれやれと首を振りながらそう言うカイン。

 そして地を蹴り一瞬にしてコカビエルに接近する。

 その速さは堕天使や悪魔ですら追えない速度。人間が出せる速さではない。カインが蹴った地面はひび割れていて、それを見るに異常な脚力である。

 

「なっ!?」

 

 そのカインのスピードに驚きながらもなんとか反応して光の剣を振るコカビエル。

 

「甘いな、そんな振り方では当たらん」

 

 しかしカインはその剣を驚く事に素手で掴みとる。

 そしてもう片方の剣を振りかざそうとするコカビエルよりも早くその異常な脚力を使った蹴りをコカビエルの腹に叩き込む。

 その尋常ではない蹴りを受けたコカビエルはそのまま吹き飛んでいく。

 

「ごぶぁっ!?」

 

「期待外れだな…私の正体は見破れても力では劣るのか」

 

 剣の振り方や自分の速度に追いつくのもギリギリなコカビエルに酷く落胆したようなカイン。

 

「な…嘗めるなぁッ!」

 

 吹き飛ばされたコカビエルは土煙を払いながら立ち上がる。

 相当頭に来ているのかその眼は射殺さんとカインを睨みつけている。

 

「……ルルエル、レイナーレ。ちゃんと結界は張ったか?」

 

 コカビエルを一瞥し、レイナーレとルルエルにそう聞くカイン。

 

「ああ、張ったが。どうする気だ?」

 

「君達もその結界の中に入れ。そして決して気を失うな。分かったな」

 

「あ、ああ……」

 

 困惑するルルエルだが、カインが言ったとおりリアス達を守っている結界に自分も入る。レイナーレも同様に。

 それを確認すると、カインは…

 

「気が狂ってしまうかも知れんが、我慢してくれよコカビエル。これも私の目的の為だ」

 

 そう言いながら目を瞑り、力を抜く。すると、カインの足元から赤黒い血の様なモノが湧き出てくる。

 それはカインに覆い被さり飲み込んでいく。段々と人の形を成していくが、それは形だけで、その面持ちや姿は決して人とは呼べない。

 そして何よりも形が形成されていくにつれて増していく気配。直視してはいけない、触れてはいけない。その場に居る全員がそう思った。

 結界内にいるリアス達は多少その気配が軽減されているがそれでも気を失わないのがやっとである。

 そしてコカビエルは酷く狼狽している。

 

「あ……ああ…な…なに…が?」

 

 異常な気配に中てられ最早まともに言葉を紡ぐことすら出来ないコカビエル。

 そして完全に人の形となったカイン。

 

『ほう…全力ではないが、私の気に中られてまだ正気を保てているのは賞賛に値するべきかな?』

 

 気が狂いそうになる声音。まるで全ての生物の怨嗟の声であるような声。これで全力ではないのだから、全力であったらどうなるのか。

 

「ああああああッ! クソがぁ!!」

 

 コカビエルは恐れを、狂気を振り払うがの如く光の槍をカインへと放つ。

 リアス達と対峙していた時に放っていたものとは比べるもないほどの強大さ。全力の一撃を。

 

『しかも動けるのか。うん、精神は中々の様だが、無意味だ』

 

 光の槍が黒に染まっていき、最後には霧散する。

 一体何をしたのか、コカビエルは呆然とする。

 

『安心しろ、殺しはしない。瀕死程度になって貰うだけだ。飛べないようにその翼も壊させてもらうよ』

 

 カインがそう言うとコカビエルの黒い翼がさらに黒く染まりボロボロと崩れていく。

 

「ぐあああああッ!? アアッ、ガアアアアッ!」

 

 あまりの激痛にのた打ち回るコカビエル。

 リアス達と戦っていた余裕の顔はもう無い。為す術も無くただ痛みに耐える。

 

『痛いだろう、仕方ない事だ。だが、歩けないように脚も切り落とさせてもらう』

 

 右手を横に出すと、白い剣が現れる。

 カインの気配とは正反対、神秘的な気を放つその剣。

 能力で作り出された剣。

 

『簡素な剣だが、切れ味は凄まじいぞ。実際に体験してみるといい』

 

 そう言ってコカビエルに一瞬で近づく。それは先程の人間の状態とは比べる事すらおこがましいくらいの速さ。

 刹那と呼べる程速い。瞬きをすればいきなり目の前に居たカインに唖然とするコカビエル。

 声すら出せない。そして何故か、景色が変わる。先程までカインを見ていたのに、今は暗い空が見える。

 顔だけを起こし見渡すと、脚が無くなっていた。両脚からは止め処なく血が溢れ出している。

 何が起きたのか、なんで脚が……といった風のコカビエル。

 

『どうだ? あまりの切れ味に痛みすら感じないだろう?』

 

 そして視界に赤黒い異形が映る。見下ろすようにコカビエルを見るカインだ。

 そう、あの一瞬でコカビエルの前まで移動し脚を切り落としたのだ。

 あまりの速度に脳が処理できなかったのである。故に痛みは感じなかった。

 

『せめてもの情けだ、意識を刈り取ってやる。痛みを感じないようにな』

 

 コカビエルが最後に見た光景は赤黒い拳が迫る光景だった。

 

 

 こうして、コカビエルとカインの戦いは終わった。

 あんなにもリアス達が苦戦した、いや勝つ事すらできなかったコカビエルにカインが圧勝するという普通ではありない決着で。

 

 

 ◆◆

 

 本当に呆気無かった。これで堕天使の幹部なのだから程度が知れるな。これでは噂に聞く世界最強の≪グレートレッド≫や≪オーフィス≫とやらも期待はできなさそうだ。

 さっさと≪魔神≫を解除しよう。ルルエル達にもグレモリー達にも影響が出る。

 ≪魔神≫を解除し、ルルエル達に近づこうとすると新たな気配を感じ取る。

 

「まさか、コカビエルが負けるとは…面白い」

 その気配の正体は上空に居た。白い鎧を来た誰か。

「どちら様かな?」

 誰だか知らんが、もしコカビエルの仲間なら壊させてもらう。手土産が増えて丁度いい。

「アルビオン――≪白い龍(バニシング・ドラゴン)≫だ」

 ≪白い龍≫――確か≪赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)≫と対の…

「なるほど、何の用だ? コカビエルの仲間なら容赦無くやらせてもらうが」

 

「望むところだ――と言いたいが、仲間では無い。それに残念な事に今回はアザゼルからの頼みでコカビエルとフリードの回収が目的なんだ」

 アザゼル、≪神の子を見張る者(グリゴリ)≫の総督。なるほど、今回の一件はコカビエルの独断。

 それの収拾の為に≪白い龍≫を使いに出したのか。

 だがコカビエルが持ち去られると魔王への手土産が……いや、問題はないか。どちらにしろ私がコカビエルを倒した結果は残っている。グレモリー達もそれを見ているのだし。

「そうか、では回収するといい。相当ボロボロにしたが大丈夫か?」

 

「問題ない。コカビエルと戦えなかったのは残念だが、貴方と言う収穫があった。いつか戦おう」

 ≪白い龍≫はコカビエルとフリードを回収して飛び去った。

 これで、魔王への謁見が実現した。恐らくは危険人物として魔王と会うことになるだろうが、コカビエルを倒した事実もあるし問題あるまい。

 

「カイン…あんな技を使うなら最初から言ってくれ。気を失わないのがやっとだったぞ」

 後ろからルルエルに声を掛けられる。少し顔色が悪い。

「言ったじゃないか、全力で結界を張れと」

 

「それはそうだが、心の準備と言うものがあるだろう…」

 溜め息を吐きながら首を振るルルエル。

 心の準備をしていようが結果は変わらないだろう。

「私は以前もあったので、そこまで問題はありませんでした」

 そこでレイナーレが会話に入ってくる。

 そう言えばレイナーレは抱きつく形で≪魔神≫と触れていたな。

 なら慣れていてもおかしくないか。慣れるのも少しおかしいが。

 

「さて……リアス・グレモリー」

 

「なにかしら……危険人物さん」

 こちらに近づいてくるグレモリーに声を掛ける。

 面と向かって危険人物と言われてしまったが、仕方ない。

「手厳しいな、私は君達を救ったのだが…まあいい。それより、一つ頼み事をしたい」

 

「貴方が頼み事をできる立場だと思っているのかしら?」

 こちらを警戒しながら険しい顔つきで睨むグレモリー。

「逆に問おう、私に刃向かえるのか? その実力で」

 そう言うとグレモリーを唇を噛み締め悔しそうに舌打ちする。

 露骨な態度だな……。

「まあ冗談だ。どちらにしろ私の存在は魔王に伝わるのだろう? なら私を魔王に会わせてくれないか?」

 

「ハァ……ほんっとうに勝手ね貴方。でも確かにこの事はお兄様に伝わるわ。貴方の事を報告するときに会いたがっていることも報告しておいてあげるわ。正直助けられたと言う事実もあるのだし」

 

「ありがとうグレモリー。では、私はそれまで君達の下に居ればいいのかな?」

 

「ええ、数日は掛かると思うわ。それと、聞きたいことも山ほどあることだし」

 そう言いながらグレモリーはルルエルとレイナーレ、最後に私を見る。

「ああ、全て答えよう」

 

「今日はとりあえず帰っていいわ。 明日旧校舎に来て。二人を連れてね」

 

「いいのか? 今日でなくて」

 正直明日の朝方まで質問攻めになると思っていたのだが。

「学校がこんな惨状ですから…それに私も私の下僕達も今夜は疲れているし、また明日ということよ」

 

「ふむ、了解した。ではまた明日だ、グレモリーさん」

 

「ええまた明日、カイン先生」

 そう言い合って、お互い背を向ける。

 監視の使い魔でも付けるのだろう。

 でなければまた明日など言うはずもない。

 

 とにかく、数日で魔王に会えるのなら僥倖。

 これからまた楽しくなりそうだ。




コカビエルさんは犠牲になったのだ。
やっぱりチートなカインさんでした。
本当に戦闘描写が苦手です。それと地の文も苦手です。これから精進します。

それと、イッセーとヴァーリの掛け合いをカットしてしまいました。
まあいいかなーって・・・4巻でまた会うし。

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