大罪人の黙示録   作:ファイエル

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第十四話

「はぁ……」

 大きく溜め息を吐くルルエル。最近はずっとこんな感じである。

 リアス・グレモリーとカインの話し合いから数日。何故彼女がこんな感じなのか、それは話し合いを終えてカインが家に帰ってきてから言った事が原因である。

 ――今、この場では答えを出せない―― カインの言葉を、ルルエルは家に帰った時に答えると言う意味で解釈したのだ。

 確かに普通に解釈すればそうなるのだが、カインは家に帰ってきてルルエルに答えを聞かせろと言われると、

 

『ん? 今は答えられないと言ったのだが――ああ、私の説明不足だな。私の目的が達成された時に答えようと思って言ったのだ、すまんな』

 

 なんて苦笑いで言われては、溜め息を吐く日々になってしまうだろう。さすがのレイナーレもその時は慰めていた。

 一方、ルルエルをこの様な状態にしたカインはオカルト研究部の部室で暢気に紅茶を飲んでいた。

 

 

 ◆◆

 

 

 ここ最近は放課後にグレモリー達の部室にお邪魔している。私の存在が彼女達に知られてからは教師としての仕事は授業をするくらいで、書類などの仕事は回ってこなくなってしまった。

 恐らくは生徒会かグレモリー達が何かしらの配慮をしたのだろう。ここに居れば直接監視ができるしな。

 そういえば、ゼノヴィアがグレモリー眷属の仲間に入っていた。

 どうやら神の不在を知った所為で教会から厄介払いされたらしい。紫藤さんはそのまま聖剣の核を回収して帰還したということだ。

 会って最初は、

 

『まさか貴方がコカビエルを圧倒するほどの強さを持っているとは思わなかったよ。全く気付かなかった』

 

 なんて言われた。どうやら私の力をあの戦いで認識したらしく、呼び方も“カイン”から“貴方”になっていた。

 まあそれは置いておくとして――

「うまいな。カップは暖めているだろう。しっかりと時間を計って蒸らしてあるし、それに茶漉しでも漉してある。ティーカップの柄もいいな」

 

「うふふ、ありがとうございますわ」

 姫島に淹れてもらった紅茶を飲んで、感想を言う。レイナーレがいつも私の世話を焼くのだが、あまり家事が得意ではないので紅茶の淹れ方もできていない。

 やはり女王(クイーン)はこうした仕事がメインになるのだろうか。聞けば魔王の女王もメイドらしい。

 私も家事や身の周りの世話が出来るメイドが欲しいな。ルルエルは菓子を貪るだけ、レイナーレは家事などをするが……正直私の方がまだできる。

 ルルエルにはそこまでの期待は無いが、レイナーレには頑張ってもらいたいものだ。折角拾ったのだし、それに見合う成長を見せてもらいたい。

「暢気に紅茶なんて飲んでるんじゃないわよ。イッセーが大変だったのよ?」

 突然グレモリーが眉間に皺を寄せながら話し掛けてくる。

 そういえばさっきから騒いでいたな、かわいいイッセーがどうだとか万死に値するとか。

「兵藤がどうしたんだ?」

 

「貴方話を聞いていなかったの? イッセーがアザゼルに狙われたのよ! しかも営業妨害までして!」

 

「まあ営業妨害はともかく、兵藤自身は無事なのだからそこまで怒り心頭になることもないだろう」

 声を荒げて私に迫るグレモリーだが、そこまで兵藤が大切なのか。

「部長、イッセー君が狙われた怒りをカインさんにぶつけてはいけませんわ」

 微笑みながらグレモリーを静める姫島。

「ありがとう姫島。助かったよ」

 

「いえいえ、先程のお礼のお返しですわ」

 うふふ、と笑いながら微笑む。しかし、その薄っぺらな笑みはなんとかならんのか。正直あまりいい気分ではない。

「やっぱ、俺の≪神器≫が狙いなんですかね?」

 少し不安そうな顔をする兵藤。確かにアザゼルは神器に興味があるらしいからな。もしかすると私も狙われるのだろうか?

 体を弄くられたり、調べられたりするのは好きではないな。逆なら好きなのだが。

「大丈夫だよイッセー君。君は僕が守るからね」

 

「な、なんか気持ち悪いぞお前……」

 木場が兵藤に口説き文句を真顔で言いながら迫っている。そういった性癖でもあるのだろうか。

「とにかく、アザゼルの対処をしなくてはいけないわ。でも相手は堕天使の総督だし、下手に手出しは……」

 部室の入り口に気配が二つある。消してはいるがこの気配は恐らくルキフグスと――

「アザゼルがそういう事をするのは昔からだよ、リアス」

 入ってきたのは、やはりルキフグスと――紅髪の男。

「お、お兄様!」

 グレモリー眷属が一斉に跪く。対応できていないのは、兵藤とアルジェント、ゼノヴィア。

 兵藤はグレモリーに頭を抱えられていたが、いきなり立ち上がったグレモリーからの支えが無くなってそのまま床にキスしている。

「楽にしてくれたまえ、今日はプライベートだ」

 お兄様と言う事は、やはり魔王か。いきなりの訪問でグレモリーも驚いている。

「ど、どうしてここへ?」

 

「授業参観があるのだろう? 折角だから妹の学園生活を見ようと思ってね」

 魔王が出したのは一枚の印刷物。そういえば職員会議でも言っていたな……授業参観。

「それと、仕事のことでも用があったからね。下見も兼ねている」

 

「ッ! 本当にここで?」

 仕事? それにグレモリーの驚き様……なにかあるのか。

「ああ、三すくみの会談をここで行うんだ。この学園は色々と縁あるものが集まっている様だし…ね」

 そう言って兵藤やゼノヴィア、私を見る。学園に集まる強い力の事を言っているのだろう。

 コカビエルに白龍皇などもそうだろうな。それにしても、三すくみの会談? まさか和平が……レイナーレの時は適当な事を言って動揺させたが、本当にそうなるとは。

「初めまして魔王、私はゼノヴィアという者だ」

 突然話に入って自己紹介する、もう少しタイミングはないのか?

「ごきげんようゼノヴィア。私はサーゼクス・ルシファー。リアスからの報告で君のことは聞いているよ。まさかデュランダルの使い手が妹の眷属になるとは……最初は耳を疑ったよ」

 

「ああ、私もまさか今迄葬っていた側になるとは思ってもいなかった。正直後悔している……やはりやけくそは良くなかったのか? いやでもあの時は……」

 頭を抱え込むゼノヴィア。何故自分でも悪魔になったか理解できていないらしい。やはりオツムはアレだな。

「さて、貴方が今回コカビエルを打ち倒したカインだね?」

 ゼノヴィアとの会話を終え、魔王がこちらへ寄ってくる。

 こちらもさすがに座っているのは不味いので、立ち上がる。

「その通りだ。初めましてサーゼクス・ルシファー殿――カインだ。よろしくお願いする」

 そう言いながら手を出し、握手を求める。

「ああ、よろしく頼むよ。それと礼を言わせてもらいたい。あの場で君がコカビエルを倒さなければ、リアス達は殺されていたかもしれない。ありがとう」

 魔王も握手に答え、礼を言ってくる。

「勿体無い言葉だ。私は当然の事をしただけに過ぎない。まあ打算はあったのだがな」

 

「ハハハ、正直だね。だから私と話がしたいとリアスに報告させたのかい?」

 

「そうだな。今日はプライベートらしいが、ここで話しても?」

 正直に言ってみたが、どうやら好感触だ。まあ妹やその眷属を結果的には助けたのだし、ある程度は問題ないかもしれない。

「いや、会談の時に貴方の席も用意してあるんだ。その時に話してもらってもいいかな?」

 ふむ……まあ他の勢力にも私の存在が知られるし、いい機会だな。

「かまわない。ではその時に」

 会談か……一体どうなるのか。

 

 

 ◆◆

 

 

 あの後、魔王は宿泊施設が無いということで兵藤の家に泊まることになった。その場で眷属達は解散になり、私も帰宅した。

 そしてそのまま授業参観の日になったのだが……

「貴方、凄いコスプレが似合いそうね! いい感じのオーラが出ているゾ☆」

 魔法少女のコスプレをした女性に捕まった。ミルたんが愛好するアニメのキャラだな。彼も同じ服をよく着ている。

 強い力を感じると思って近づいたが、まさか逆に捕まるとは……恐らくは支取の姉の魔王セラフォルー・レヴィアタンなのだろうが、こんな性格をしているとは。

「貴女はセラフォルー・レヴィアタンさんでよろしいかな?」

 

「あれ? 私の事知っているの?」

 

「ええ、私の名前はカイン。既に私の事は聞いているのでは?」

 

「ああーーッ! ええ、聞いているわ! コカビエルを倒してソーナちゃんを救ってくれた人でしょう?」

 自己紹介をすると、大声を上げる。どうやら気付いたようだ。

「ぜんぜん気付かなかった☆ コカビエルを倒した人なのだからもう少し強い感じの気配を出してるかと思ったわ。失敗失敗☆」

 てへっ、と頭を小突くレヴィアタン。

「はははっ、魔王でも失敗するんだな」

 

「んもっー! 馬鹿にしちゃ駄目なんだぞ? でも、ソーナちゃんを助けてくれてありがとう!」

 そう言っていきなり抱きついてくる。おっと、いきなりだな。しかし、感情を体で表現する人だな。見ていて飽きない。

「あまり女性が男性に抱き付くものではないと思うんだが?」

 

「ソーナちゃんを救ってくれたのだし、これくらい普通よ☆ 寧ろ足りない位だわ」

 そう言いつつも、離れてくれた。物分りも良さそうだし、どうやら妹想いのようだ。

「何をされていたのかな?」

 

「ソーナちゃんを探してるんだけれど、中々見つからなくて困っちゃってたの☆」

 なるほど。いい機会だ、他の魔王とも親睦を深めるか。

「一緒に探すか? 一応私はこの学園で教師をしているし、案内はできるが」

 

「本当? じゃあお願いするわ☆ よろしくね、カーくん☆ 私の事は『レヴィアたん』って呼んで☆」

 変なあだ名を付けられた……まあ気にする事でもないか。

「では行こうか。レヴィアたん」

 

「うふふっ、カーくんはノリがよくてとっても好きよ! あ☆ そうだコレ着てみる?」

 そう言って、どこからか黒を基調とした禍々しく、まるで魔王のような衣装を取り出す。

「それは?」

 

「これはね、≪魔法少女ミルキースパイラル7オルタナティブ≫に登場するある敵幹部の衣装なんだけど。そのキャラがとってもカーくんに似てるの☆」

 私に似ているのか。今度見てみるとしよう。

「なるほど。ではそれを着て支取を探すとしよう」

 

「やった☆ これでコスプレ仲間が増えたわ☆」

 手をあげて大喜びするレヴィアたん。そこまで嬉しいのだろうか。

 とりあえず、着替えるか……

 

 

 ◆◆

 

 

「本当に魔女っ子とイケメン悪役なんているのかよ?」

 俺は木場に聞く。授業参観の今日、昼休みになり部長や朱乃さん、それにアーシアの美少女三人と楽しく談笑していたのだが、通りかかった木場がなにやら魔女っ子とイケメンの悪役の撮影会をしていると言っていたので気になって付いてきた。

 てか魔女っ子は分かるがイケメン悪役ってなんだよ……。

「うん、確かに他の生徒が言ってたんだけど……確かこの辺りの廊下でやってるとか」

 そう言って廊下を歩いていると、シャッター音が聞こえてくる。

 チラッと廊下の一角を見てみると、生徒がカメラを構えて溜まっていた。

 本当にしてるよ。

「あれか? 撮影会って」

 

「多分そうだろうね」

 人混みに近づきつつ、そのお目当ての人物を見ようとするが意外と人が多くて見えねえ。

 仕方なく、人を掻き分けて奥へと進んでいく。

 するとそこには……

「えっ……」

 美少女があるアニメキャラのコスプレをしていた。というかその隣にいるのは、カイン先生である。

 黒を基調とした魔王みたいな衣装を着ている。ってなにしてんのあの人!?

 周りの生徒達は男女混合、カメラのボタンを必死に押しまくってる。

「なっ……あれは!」

 横に人混みをくぐり抜けた部長が出てきたが、なにやら驚いている。

 部長があんなに驚くなんて、やっぱあのカイン先生があんな格好だと驚くのだろうか。

「おいお前ら! こんな場所で撮影会なんざしてんじゃねぇ!」

 すると、生徒会に所属する匙がそんな事をいいながら人混みに飛び込んでいく。他の生徒会のメンバーもいるようで、匙に続いていく。

「ほらほら、解散しろ! 今日は授業参観なんだぞ、こんな所で騒ぎ作るな!」

 意外にも匙は仕事してるみたいだ。人混みも渋々といった感じで散っていく。

 残ったのは、カイン先生と美少女魔女っ子。本当になにしてんだカイン先生……。

「先生! なにしてるんですか! あんた仮にも教師でしょうが! あんたもですよ、もしかして親御さん? だとしてもそれなりの衣装でないと」

 

「いや、いきなり周りに人が集まるので困っていたのだ。ありがとう」

 

「えー、これが私の正装だもん☆」

 ああ、匙がマイペースな二人の返答にこめかみをヒクつかせている……。

 するとソーナ会長が現れた。後ろには紅髪の男性が二人。

「サジ、何をしているのですか。問題は速やかに解決せよと――」

 と、会長がそこまで言い掛けて、二人を見て固まる。

「ソーナちゃん! 見つけた☆」

 会長に嬉しそうに抱きつく美少女。もしかして知り合いなのか?

「ようやく見つかったか。いやはや、大変だった」

 と、隣にカイン先生が。

「せ、先生。その格好どうしたんですか?」

 

「ん? これか……まあ察してくれ」

 そう言って少し遠い目をする先生。いや察せないよ! どうすればそうなるかなんて分からないよ!

 そうやって俺の頭の中はごちゃごちゃになっていった――――

 

 

 ◆◆

 

 

 レヴィアたんと一緒に校内を散策していたが中々支取は見つからず、何故か生徒達に囲まれてしまった。

 しかし生徒会の匙が来てくれたおかげで人だかりは散っていった。そしてお目当ての支取も見つかった。

 安易にコスプレなどするものではないのかもしれないな……少し疲れた。まあ新鮮な体験だったよ。

 レヴィアたんと支取はなにやら会話をしているようだが、妹のほうは目元を引き攣らせている。あんな姉なのだから苦労しているのだろうな。

 それにルシファーともう一人の紅髪の男。恐らくはグレモリーの父親だろうか。

 やはり悪魔なので見た目は若々しいな。

「もう耐えられません!」

 そう言って支取は涙を零しながら走り出す。私もあれが姉だったら少し恥ずかしいな。

「待ってソーナちゃん!」

 とレヴィアたんもそれを追いかけようとしたが、途中で止まり私の方に向かってくる。

「カーくん、今日はありがとう☆ これは案内とコスプレ、そしてソーナちゃんを助けてくれたお礼」

 私の前で止まり、そう言いながら頬へキスをする。まあ美人にキスされるのは悪くないな。

「ああ、お安い御用だ。またいつでもこの学園に来るといい」

 

「ありがとう☆ 待ってぇぇぇぇ! ソーたぁぁぁぁん!」

 

「『たん』付けは止めてください!」

 そのまま支取を追いかけ始めるレヴィアたん。頑張れ支取、気を強く持て。

「はははっ、随分セラフォルーに好かれたようだね」

 そう言ってルシファーが近づいてくる。

「まあ、嬉しくはあるな」

 

「ああ、私もいいことだと思うよ。それにしても、面白い格好だね」

 私の服装を苦笑いで指摘する魔王。

 ……着替えるか。

 今日は少し疲れた。

 

 

 




また色々と飛ばし過ぎた所為でごちゃごちゃですし、視点も切り替わりが多くて読みづらいですね。
あまり筆が乗らなかったというか……すみません、いい訳ですorz

まあセラフォルーさんと絡ませられたしいいかなぁ…


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