大罪人の黙示録   作:ファイエル

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意外と見てくれる人やお気に入りしてくれる人が居て感謝感激です。
こんな作品ですが、引き続き見てくださると嬉しいです。



第二話

黒歌と出会ってから約一週間程。

今のところ悪魔からの追っ手無い。

しばらくは安心だと黒歌は言っているが、油断はできない。

あまり慢心するのも良くないだろう。

今現在は放置された館に身を隠している。あまり綺麗とは言い難い建物だが、雨風が凌げるだけマシなのだろう。広さもかなりの物だしな。

 

それと、やはりこの世界では“魔素(まそ)”の量が異常なほど多い。

もはやこの世界自体が特大な魔素と言っても過言ではない位だ。

改めて確認する、“魔素”とは魔力を更に細かくした物質の事だ。

それぞれが分子の様に結合しており、その結合がより強固になると、魔法となる。

《魔素=魔力》 なのだから普通に魔力と呼べば良いとは思うのだが、それだと不便なのだ。

実を言うと、魔素が構築している物質は魔力だけではない。

様々な物を魔素が形作っているのだ。

代表的な物だと、動物や植物か。

それに人間さえも魔素が構築している。

この世界の生物が魔素で作られているかはまだ調べていないので分からない。

この魔素という物質を知っている人物は私を含めて数人程、

魔素は極めて小さく、その存在を知るにはかなりの研究と年月が必要だろう。

私も初めて見つけたときはかなり驚いた。

この世界でもその存在を知っている人物がいるのなら色々と聞いてみたいこともある。

それと、魔素同士は分子の様に結合しているが、その結合を緩めると・・・魔素が構築しているその物体は崩壊を始める。

まあ結合しているのだからそれを切り離せば崩れていくのは当たり前だ。だがその切り離す行為自体が不可能なのだ。

ただの“ヒト”では・・・。

 

◆◆

 

(ん?・・・この気配は、黒歌か)

黒歌が近づいてくる気配を感じ取り、私は書いていた日誌を懐に仕舞う。

この内容を見られると少々不味いからな。

「あ、やっと見つけたにゃ」

すると黒歌がすぐにやって来た。

わざわざ広い館の目立たない小部屋にいたのに探しに来るとは、なにかあったのか?

「どうした、なにか話でもあるのか?」

そう返すと黒歌は首を横に振る。

「んにゃ、特に話とかはないけど・・・ただどこ行ったのかなー、とか気になってね」

そう言って少し照れくさそうに笑う。

用もないのに気になるのか・・・

まあ彼女も今迄ずっと一人で逃げてきたのだ、人とのコミュニケーションに飢えているのかもしれん。

「ところで、なにしてたんだにゃ?」

 

「なに、少し大きな館だからな。めぼしい物でもあるのではと探索していただけだ」

そう言うと黒歌は“そうなんだ”と言って部屋を見回す。

「それで?なにかあったの?」

 

「いや全く。だがまだまだ部屋はあるからな」

適当な事を言いつつ本棚の埃を指で拭き取る。

「ふむふむ、なら私も探索してみようかにゃ」

適当な事を言ってたら乗り気になってしまった。

しかし、暇つぶしにはなるか。もしかしたら本当にめぼしいものがあるかもしれない。

「そうだな、一緒に回ってみよう」

 

「そうと決まれば次の部屋にレッツゴーにゃ!」

テンション高めで叫びながら次の部屋へと向かう黒歌を見て苦笑しながら後に続く。

 

◆◆

 

この一週間、私はカインと言う人間と行動を共にしている。

少し独特な口調の人間だ。黄金の長い髪に暗い赤の様な瞳。

なんだか人間離れした面持ちだけど、気配は人間なのよね。

でもなんだかその瞳を見ていると引き込まれる感じがするんだにゃ~・・・

って、私は何を考えているんだろうか。

服装もあまり見た事のない物だ。

黒を基調とした外套を着ているが、見た事もないような文字が裾に刻まれている。おかしなデザインにゃ。

それに指輪の数。殆どの指に嵌めてあるのだ。

なんだか怪しい風貌だが、意外と優しかったりするし、気遣いもできている。

人間なのになんだか強そうな雰囲気を醸し出してるし。

変な能力も持ってるし。

《神器》なのかにゃ?

本人は違う、みたいなこと言ってるけど。

私のことを友人だなんて言ってくれる変な人間だけど。感謝している。

助けてくれた事も、話を聞いてくれた事も。

それに、ずっと一人だったから・・・人肌が恋しいというかなんというか・・・うにゃあ。

とにかく!いい人間なんだにゃ。

ちなみに今は捨てられた館に身を隠している。

中々に大きい館なので迷いそうにゃ。

 

「あれ?」

考え事をしてたらカインが見当たらない。

どこに行ったにゃ?

仙術で探ってみると、館の中にはいるみたいだ。

話がある訳でもないけど、探してみよう。

別に一人だから寂しいとかそう言うんじゃないにゃ。断じて。

ただ気になるだけ。

そう思い、広い客間を出た。

 

◆◆

 

「なんも無かったにゃあ・・・」

 

「そうだな」

結局数時間館を探し回ってみたが、何も見当たらなかった。

まだ地下室が残っているが・・・まあ別に今すぐでなくともいいだろう。

「暇にゃ」

唐突にそんな事を言い出す黒歌。

探索で何も見つからないと分かると既に飽きたらしい。

随分とマイペースな奴だ。

「仕方ないだろう、君は悪魔からすれば犯罪者。表立って行動すればすぐに居場所を突き止められてしまう」

 

「そうは言うけどにゃー・・・暇なものは暇なのよ」

いくつか館にあった本を見繕おうと思ったが、すぐにその案は却下する。

見るからに本が好きそうな感じではない。どちらかと言うと感覚で決めるタイプだろう。

彼女の実力も、努力の賜物ではなく元々の素質から来ているだろうしな。

そうなると、黒歌が暇をつぶせる事と言えば・・・

「なら手合わせでもしてみるか?」

これしかないな。本人も言っていたが、まだまだ仙術の練度は甘いらしい。

なら戦闘の練習でもしてやろうと思った為この案を提案した。

「え?カインが手合わせしてくれるの?」

 

「ああ、君も言っていたではないか。まだまだ自分は未熟だと」

 

「確かに言ったけど、カインの能力と私の仙術だと少し分が悪いんじゃないかにゃ?」

ふむ、私の能力は(破壊)だけだと思っているようだ。

まあ確かに見せた事は無いしな。知らないはずだ。

「実を言うとな、私の力はあの能力だけではないのだ」

 

「へ?どういうことにゃ?」

 

「魔法、と言うのは知っているだろうか?」

 

「それはもちろん知ってるわよ。悪魔達だって使うし。と言うかカインは魔法が使えるのにゃ?」

 

「そうだ、だが私の使う魔法は悪魔達が使う魔法とは異なっていてな」

 

「どんな風に異なっているの?」

 

「そうだな・・・例えば―――」

 

「どうしたにゃ?急に黙って」

 

「黒歌、仙術で館の周りを探ってみろ」

 

「?・・・ッ―――タイミング悪いにゃ~」

確かにな。

 

悪魔達が団体で館の周りを囲んでいる。

総数二十人ほどだろうか。

魔力が集まったかと思えばまさか転移してくるとは。

この世界では転移魔法は普通なのか?私の世界では最高位の魔法なんだが・・・

そんな事を考えると魔力が次第に集まり始める。

「まずいな」

 

「今度はなんなのにゃ・・・」

私との手合わせが無しになった所為か少しげんなりとしている。

「悪魔達は館ごと私たちを消し飛ばすつもりだ」

これはさすがに不味い。私は無事だろうが黒歌が無事ではすまないだろう。

「ほんとメンドクサイにゃ・・・でも打つ手ないにゃあ。確かに不味い状況だにゃ」

 

「転移魔法などは使えるか?」

 

「魔法の方は微妙な感じだから無理だと思う。カインの魔法は?」

 

「あるにはあるが、残念ながら一人用なんだ」

 

「なにその転移魔法、役に立たないにゃ」

そんな事を言い合っているうちに次第に集まる魔力も高まる。

「あまり目立ちたくはないのだけれどな・・・仕方ないか」

 

「なんか打開策でもあるの?」

 

「ああ、あるぞ。ただあまり目立ちたくないから私の姿を見せずに敵を消したかったんだけれどな」

 

「もう別にいいんじゃないかにゃ?どの道私と行動してればいずれバレる事だし。というか早くして、もう撃ってくるわよ」

まあどの道バレるというのは分かっていたが・・・考えても無駄か。

そう決めると黒歌の方を向く。

「黒歌、私の傍に寄れ」

 

「傍に寄ればいいのにゃ?」

 

「ああ、なるべく密着してくれ」

 

「何する気なの?」

 

「簡単な事だ。障壁を張る。それだけだ」

この程度の魔力ならどうとでもなる。私の姿が相手に晒されてしまうが、

まあ良い。素早く片付ければ逃げられる心配も無い。

黒歌の肩を抱き、周りに障壁魔法を展開する。

その瞬間、凄まじい閃光が。

 

◆◆

 

S級のはぐれ悪魔の黒歌。自分の主人を殺し逃走した犯罪者。

一週間程前にも討伐隊が向かったが全滅。

さすがに手を焼いていたが、なんと黒歌の居場所が分かったらしい。

一度行方を晦ますと中々見つからなかったが、今回は短期間で見つかってよかった。

さらに黒歌は何時間もその場所から離れないらしい。

これほど好機なことはない。

すぐに討伐隊を組み、黒歌の居場所へと転移する。

今回の討伐隊は少人数ではない、大人数での討伐だ。

上級悪魔も何人かいる。

相手が同じ場所から動かないのなら一撃必殺を与えて消し去る。

これがもっとも効果的だと作戦が決められている。

そうして転移した先は古びた館。

その館を囲むように人員を配置し、魔力を最大まで溜めて放つ準備をする。

黒歌が動く気配は無い。

そうして全員の魔力が最大まで溜まり、館へと特大の魔法を放つ。

上級悪魔もいるのだ、その効果は絶大だ。

館は一瞬にして消し飛びその周りの木々や大地も削っていく。

そして残ったのは魔法の衝撃で舞う土煙。

私たち全員は黒歌を討伐できたと思っていた。

黒歌の反応もない。これは確実だと。

そうして土煙が晴れる。

あるのは大きなクレーター。

そのクレーターの中心部を見て皆が唖然とする。

何故なら、そこには黒歌と・・・黒歌を抱き寄せた黄金の髪の“人間”がいるのだから。

 

◆◆

 

「随分と派手にやるのだな」

閃光が消えたと思えばそこは先程の森ではなく大きなクレーターができていた。

館も跡形も無い。

「・・・・・」

そして何故か隣にいる黒歌は無言。

いきなりどうしたのか。

「どうした?」

 

「カイン・・・この威力だと上級悪魔が数人は居たと思うんだけど」

肩を震わしながらそう呟く黒歌。

上級悪魔?

ああ、悪魔の階位みたいなものだったな。

「そうなのか?よく分からないが・・・大した威力ではない。無駄に周りを消し飛ばしただけだ」

各々が魔法を放てば確かに広範囲にはなる。

だが、それでは威力を見込めない。範囲が広ければ広いほど威力は拡散し、弱まる。

この場合は一点集中で放つべきだっただろう。そうすれば障壁に“かすり傷程度は”つけられただろう。

あまりに杜撰な作戦。程度が知れる。即席の討伐隊だとすぐに分かる。

そんな事を考えていると、

「出鱈目すぎるにゃカインは!」

といきなり黒歌が叫んだ。

なんだ突然。

「上級悪魔数人分、さらに中級悪魔が多数!その数の悪魔達の最大魔法を受けて大した威力じゃない!?本当に出鱈目すぎるわよ!」

そうは言われてもな・・・事実は事実だ。

「だが事実だから仕方ないだろう」

そう言うと黒歌は荒げた息を整えながら、私に問う。

「カイン。貴方人間なの?」

藪から棒にそんな事を聞く黒歌に私はこう答える。

 

「決まっているだろう。私は“人間”だ」

 

そう言うと黒歌はもう何も聞かないにゃと言いながらため息を吐く。

そんなに不満なのか?

そうこうしていると煙が晴れた。

そこには多数の悪魔達が。

肉眼で確認できる数は数えると、感じた気配と同じ二十人程。

全員が唖然としてこちらを見ている。

動かないならこちらから行くか。

「黒歌、君はここから一歩も動くな。私が全て片付ける」

 

「何言ってるにゃ、カイン一人じゃ心配・・・でもないけど、とにかく私も手伝う」

 

「突然だが、先程の話の続きだ。私の魔法は普通の魔法とは異なっていると話しただろう?あれを見せてやろう。実際にな」

そう言うと黒歌は不満そうながらも、頷いてくれた。

相手はまだ動いていない。恐らく先程のあれが最大魔法なのだろう。

それを防がれれば驚き唖然とするのも無理はない。

だが好都合。今の内に全員処理する。

障壁魔法をすり抜け標的を定める。

まずは目線の先にいる悪魔達。

突然接近してきた私に驚くがなんとか反応し、反射的ではあるが魔法弾を放つ。

が、無意味。最大魔法でも私の障壁に傷一つつけられないのだ。たかが魔法弾では障壁が無くても傷などつかない。

素手で首を一閃。悪魔の首が刎ね飛ぶ。

周りの悪魔達はやっと状況を飲み込んだのか動き出すが、遅いな。

近くに居た悪魔が接近戦に持ち込んできたが、最低限の動きで避け、心臓を一突き。

皮膚を破り、肋骨を砕き、心臓を突き破る感覚は心地よいものがある。

腕を抜くと血が噴き出て全身にかかるが、構いはしない。

既に逃げ腰の者もいるが、逃げられる前に衝撃魔法で何人か吹き飛ばす。恐らく内臓は破裂し四肢はおかしな方向へと捻じ曲がっている。もはや数分も持たないだろう。

大体半分は削ったか。

もはや悪魔の大多数は戦意を失い、失禁する者もいる。

まあ容赦はしないが。

切断魔法で悪魔数人を解体し、突き進む。

久々に魔法を使うので少々加減が利かない。もはや原型を留めていない悪魔の残骸を踏みつけながらさらに加速し、そのまま前方に居た悪魔の頭を掴み電磁魔法を発動。蛙のような声を上げながら悪魔は頭部を破裂させる。脳漿が飛び散りさらに服が汚れるが、後で洗えばいいだろう。

さて、これで最後かな。

と辺りを見回すと、逃げる悪魔が視界の端に映る。

貴族のような服装だ。恐らくリーダーか?

取り逃がすわけにはいかないが、あの覚束ない足取りと走り方では既に恐慌状態だろう。

逃げていく悪魔をゆっくりとした足取りで追っていく。

 

◆◆

 

おかしい、おかしい、オカシイ・・・こんなはずじゃなかった。

黒歌を簡単に殺してそのまま終わるはずだった討伐任務なのに、どうしてこんなことに!?

仲間は無残に首を飛ばされ、心臓を貫かれ、体をぐちゃぐちゃにされ、バラバラにされた。

思い出すだけで吐き気がする。しかもそれをやったのがただの人間だったのだ。いやもはや人間などではない。

悪魔の動体視力でも反応できない速度。あまり太くも無い腕から繰り出される攻撃の威力。そして私達悪魔も知らない謎の術。

もはや逃げるしかない、ただひたすら逃げるしか、息が切れそうになる。足も覚束ない。

「ハァッ・・・ハァ・・ゲホッ!」

後ろから突然衝撃を受けて吹き飛び木にぶつかる。

「すまないな、逃げられると私も困るのだ」

その声はまるで魂を握りつぶされそうになる声。

恐ろしいまでに冷たい声音。

恐怖で体を動かせない。

「ふむ、恐怖で体すら動かないか」

どうやら私の思っていることなどお見通しのようだ。

もはやこれで終わりだと思うと、涙が出る、汚い嗚咽が吐き出される。命乞いをしてしまう。

「ウゥ・・・ヒグッ・・・死にたくない・・・!死にたくないです・・・ゲホッ!」

思わず咽てしまう。

「死にたくない・・・か」

そう言うと人間は見えない力で私を無理やりそちら側を向ける。

私の瞳に映ったのは・・・黄金の長い髪、まるで雪のように白い肌とその肌に付いた血糊、そしてその中でも特に異質な、赤黒い、土留色の瞳。

「なら生かしてやろう」

そう言いながら嗤う人間。

他の者が見ればその笑顔は酷く恐ろしいものだろう。

だが、私からすれば、それは一筋の光だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




主人公の残忍さが爆発。敵には容赦しません。

後、黒歌の口調や文章がおかしくないか気になります。はい。
そして突然の造語説明。
なんか突拍子も無さ過ぎてあれですね。
一応プロローグで魔素って単語は出してますが・・・
誤字とかも気になりますし、もう色々気になります。
何かあったらご指摘してくださると嬉しいです。

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