大罪人の黙示録   作:ファイエル

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第八話

小生意気なカラスと暮らすことになった。

どうしてこうなったのか・・・

 

『なあカイン。どうしてアイツ、レイナーレを連れて来たんだ?』

聞かずにはいられなくなり、聞いてみたら、

 

『ああ、少し興味が湧いてな。戦闘能力は低いが、意志だけは強い。ルルエルも面倒を見てやってくれ』

 

と言われた。

なんだ興味が湧いたって!?

好きなのか!?

というかレイナーレの方は完全にカインに惚れてるじゃないか!ゾッコンじゃないか!

私の方が早くカインに会ってるのに!

っと・・・気をしっかり持つんだ!私はルルエル=ダンタリアン!偉大な公爵家に生まれた悪魔だ!

こんなカラスに負けるはずが無い!いや・・・でも今は少し廃れ始めてダンタリアン家も昔ほど力は・・・

それもあの大戦の所為なんだが・・・悔やんでも仕方が無い!亡きおじい様に誓ってこのルルエルは必ず恋を成就させるぞ!

私はあんなヘタレな父親とは違うのだ!

しかし、ヤケ食いしていたこのお菓子美味しいな・・・

 

◆◆

 

なにやら居間でルルエルが菓子を大量に摂取している。

あまり食うと太るのでは?

まあ体重のことを言うと彼女は少し荒れるからな、言わないのが吉か。

それにしても・・・

 

「カイン様?どうされたのですか?」

 

横にいるレイナーレに目を向けると、不思議そうに見つめ返された。

口調が変わるほど私を心酔する要因でもあったのだろうか・・・

レイナーレを助けてから数週間、初めの数日は精神も身体も疲れ果てていたのか眠り続けていたが、起きてからはこの様な感じだ。

困惑することはない。過去にもこの様な感じで対応されたことはある。

だがそれは私を心酔する出来事が起きてからであって、レイナーレの様に突然言葉遣いが変わることは無い。

思いつく要因とすれば、私に惚れたか、アザゼルのような敬愛する存在を私と言う存在にすり替えたか・・・。

どちらにしろ、私を信頼してくれているのであれば都合がいい。

彼女には今後強くなってもらいたい。このまま生きていき、その道の先にあるのが私のような破滅の未来なのか、それともまた別のなにかなのか。

楽しみが一つ増えたな。

一度は折れた心だが、立ち直った。

そうして強くなる。だが精神が強くなっても体が追いついていなければ意味が無い。

レイナーレの強化にはルルエルを当てようと思い、何度か模擬戦をさせてみたが如何せん地力が違う。

低級な堕天使と、元々公爵と言う地位にいた悪魔の子。

仕方ないと言えば仕方がないな。それにルルエルは廃れたダンタリアン家の中でも諦めずに努力し上級悪魔の地位に上り詰めた実力者。

まあ彼女が諦めさえしなければ次第に力は付く。それにヒトと違い堕天使も悪魔も寿命は長い。時間などいくらでもある。

 

「あの・・・そんなに見つめられると・・・」

 

レイナーレに目を向けたまま思考に耽っていた所為でどうやらずっと見つめてしまったらしい。

それにしても顔が赤いな、これは惚れたという線が強いか。

 

「いや、すまない。少し君について考え事をしていた」

 

「私についてですか?も、もしかして結婚のお話とか!?」

何故そうなる。

「いや違う、君の今後というか、どう成長させれば良いかなと思ってな」

 

「違うんですか・・・。えっと私の実力は悔しいことに確かにあの菓子喰らいの悪魔よりも下ですが、いつかカイン様に認めて貰えるよう頑張っていきます!」

向上心はあると、いいことだな。

「その気持ちが大切だ。決して諦めるな。折れてもいいが、立ち上がれ、そして進めば良い。時間はいくらでもある」

 

しかし、私と彼女の違う点は、私は最初から絶対の力を持っていたが、彼女は持っていない。その点だ。

一度私は死にかけ、ある者と契約してこの力を手に入れた。揺るぐことの無い力を。

ただ、それは無差別に人を殺す道具にもなる力。私は失敗したのだ。

だから星の全てを喰らい尽くしてここにいる。

どこで間違えたのか。途方も無く前のことだから取り返しなどつかないがな。

 

「カイン様、少し御加減が悪そうに見えるのですが・・・」

 

顔に出てしまったようだ。

まあとにかく、彼女は力を持っていない。

だからこそ私とは違う道を歩める気がする。

楽しみだよ、一体どうなるか。

 

「大丈夫だ。心配するな」

そろそろ学園に行かなくてはならないな。

「では私は仕事に行くとするよ。毎回言っているが、なるべく外には出るなよ、気配は消せても君の顔は割れている」

 

「はい、承知しております。お気をつけていってらっしゃいませ」

・・・少し敬い過ぎな気がするな。

「ルルエル、あまり菓子ばかり食っているなよ。私は先に学園に行く」

まだ菓子を食っているルルエルにそう言う。

「ん・・・はむっ・・ごくっ。・・・分かっている。HRまでには学園にいくよ」

 

ならいいんだがな・・・。

何故だか少し機嫌が悪いルルエルを置いて先に学園へと向かった。

 

◆◆

 

学園での仕事を終えて放課後、職員室に残り考え事をしている。

いくつか整理すべき事柄もあるし他の教員は皆帰宅している為丁度いい。

まずはアーシア・アルジェント。

どうやら悪魔になって一命は取り留めたようだ。

いや、取り留めていないな。生まれ変わったというほうが正しいか。

何故か最近学園に通い始めた。

まあこれは大して重要ではない。

次、レイナーレから聞いた話だと兵藤一誠の≪神器(セイクリッド・ギア)≫はやはり≪神滅具(ロンギヌス)≫の一つ、

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)≫らしい。

薄々感じてはいたが、やはりただの≪神器≫ではなかった。

まだ未熟だが、いずれは凄まじい力になる可能性もある。

グレモリーはいい拾い物をしたものだな。

 

それにしても、旧校舎から明らかに実力がありそうな奴の気配がする。

簡単には気取られないように気配を殺してはいるが、まだまだ甘いな。

グレモリーの知り合いなのだろう、私の行使している魔法に違和感を感じて探っている様だ。

やはりある程度の実力者になると感づくか。

だが、私の魔法はこの世界ではあるはずのないもの。

空気と同じ、あっておかしなものではない。

違和感はあれど私という存在までは辿り着けない。

と、そこでどたばたと走る音が聞こえてくる。

そして職員室の前で音が止んだと思ったら勢いよく扉が開けられた。

扉の前にたっていたのはルルエル。

凄まじい顔色の悪さである。

まだ学園に残っていたのか。

 

「カ、カイン・・・気付いているか?この気配・・・」

 

「ああ、気付いているぞ?そしてこちらも気付かれつつあるな」

 

いや気付かれる心配は無いはずだ。

逆に焦ってこちらが動けば気取られる。

 

「この気配はヤバイ、私もつい先程気付いたが・・・グレイフィア様だ・・・」

 

グレイフィア・・・?

確か魔王の≪女王(クイーン)≫だったか。

 

「魔王の≪女王≫か?」

 

「そうだ、最強の≪女王≫グレイフィア・ルキフグス・・・さすがのカインも不味いと思う。早くここから移動しよう。それにこちらの存在にも気付きつつあるんだろう?ならなおさらだ」

 

顔面蒼白でそう言うルルエル。

私でも不味い・・・か。

まあルルエルにはあまり私の力を見せていないからな。

しかし・・・“この程度が最強とは笑わせてくれる”。

慢心ではない、あまりに弱過ぎる。

実際に戦ってみなければ分からないとは思うが、ここから感じた気配では話にならんぞ。

気配の殺し方も甘く、気配の探り方も相手に気取られてしまう程度のもの。

どれもこれもレベルが低い。得意でないと言われてはそれまでだがな。

 

「心配するな、この程度の相手ならば戦える」

 

「甘く見過ぎだ!戦いにすらならない!確かにカインの能力は凄まじい、だがそれが通用するかどうかは分からないんだぞ!?」

 

声を荒げてそう訴えるルルエル。鬼気迫るものがあるな。それほどまでにあの悪魔は畏怖の対象になっているのか。

 

「どちらにしろ、私達には気付きはしない。違和感はあれど・・・な」

 

「しかし!・・・っこれは・・」

 

また新たな気配が旧校舎の方から・・・

今日は騒がしいな。

 

「今度は誰だ?」

 

「知らん、グレイフィア様どころか私にも劣るかもしれんぞ」

急に態度が変わったな。

「まあ大した相手ではない、それより早く移動するぞ!」

そう言って私の手を引っ張り外に出て行く。

全く強引だな。

まあルキフグスの注意もそちらに向いたし動いても問題はないか。

そのままルルエルに手を引かれながら私は帰宅した。

 

 

 

 




今回はあんまり進展も無く、文字数も無いです。
基本はカインチームの視点を主にしていくので、あまりイッセー達の視点は書かないかもしれないです。
それにしても、カインさんが表舞台に出てくるのはいつ頃になるのやら・・・
カインさんが表舞台に立つ切欠が作れればなぁ

誤字脱字の指摘、感想待ってます!
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