恋愛クソ雑魚リュールちゃん   作:ごまだれ醤油

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誤字報告ありがとうございます。
邪竜の章クリアしたので初投稿です。
良かったです。(ネタバレ回避)アイコンマークはあれでしたわ。うん。
ソンブル害悪すぎる
それはそれとしてうまくかけた自信がないのでおかしいと思ったところがあったら感想欄でズバッと指摘しちゃってください
それでは暇つぶしに
どうぞ


日常25

 あなたがアルフレッドの叫びを聞いて現場に駆け付け憤怒の感情を隠さないアルフレッドに胸ぐらをつかまれ、どうしてあんなことを書いた!答えろ!と問い詰められますが状況を把握していないあなたには何を言っているのかさっぱりわかりません。拭くもの等を持ってきたブシュロンやアルフレッドの叫びを聞いた者たちがぞろぞろと現れ始めました。

 

「ブシュロン、クロエ、ルイ、任せますわ。……アルフレッド様!落ち着いてくださいませ!そのような状態では話せることもお話しできませんわ!」

 

「ッ……!すまないエーティエ」

 

 何が起こっているのか把握しきれていないあなたにはどういったことが起きたのか確定できません。ですがセリーヌが異常な状態であること、アルフレッドがあなたの探していた没案ノートを持っていることからあなたが関係しているようなことは推測できます。あなたはアルフレッドにその没案のノート、自分が関係してこうなっているのかと尋ねます。

 

「あぁ。詳しいことはわかっていないが、おそらくね」

 

 セリーヌがあのようなことになった怒りを抑えながらも、何が起こったのかを知るために比較的冷静な姿勢でアルフレッドは言葉を返します。

 

「アルフレッド!どうしたのですか!?……っ!セリーヌ!?いったい何が……」

 

 リュールもソラネルにいたのでしょう。この事態に駆け付けてきました。アルフレッドが自分も把握しきれていないと返すとあなたは自分も同じくきちんとしたことは把握できていないが自分の書いた物語ネタが影響している可能性はある、と返します。リュールは一体何を書いたのですかとあなたに尋ねます。あなたは残虐な物語をとにかく閃いたので半ば勢いで書いたが過ちを犯して貶められて利用される話で特定の個人や国家を誹謗中傷するといった処刑沙汰になるようなことは書いていないはずと答えます。

 

「……確かに内容は腸が煮えくりかえったがその通りだったし、今までの君の人となりを見てそのようなことをする人だとは思ってはいない。だが、セリーヌはあんな状態になった。そのことをきちんと知るまでは僕は納得できそうにない。詳しく話してくれるね?”――”」

 

「そうですね。しかし騒ぎが大きくなりすぎました。ソラネルにいないものたちが知らないというのも不公平です。いったん、セリーヌの回復を待ってみんなをソラネルに集めて話し合いをしましょう。構いませんか」

 

 あなたはわかりました、と沈んだ声で答えるのでした。

 

 

 

 

 

 そんなこんなでセリーヌが回復しソラネルの都合のいいクソデカな部屋ににみんなが集まってあなたにとっては実質裁判のような話し合いが始まりました。司会進行はどの勢力にも肩入れしていないリュールが務めることになりました。それなりに聞き取り調査をしリュールがまとめます。

 

「それではみなさんから聞き取った内容から事の順序を確認します。”――”は国家案件ともいえるブロディア劇場で開かれる私が主役の英雄譚の劇の台本のお手伝いとして悪魔的な発想を貸すためにその案をその書物に書いた。この際、案の1つを間違えて没案の方に書いてしまった。そして誤ってアンナさんのお店に珈琲を買う際にもっていってしまい忘れた。それを紅茶を買いに来たセリーヌが忘れ物として持っていく際に中身を読んでしまいその内容について嫌悪感のようなものを感じてあの状態になった。これで間違いはありませんか?」

 

 該当するあなたたちはそれに肯定しました。

 

「”――”あなたは特定の個人や国家を誹謗中傷するような内容を書いたつもりはないといいましたね?今回はブロディア王国での国家案件のもと書いたのは承知の上ですがあのような内容にしたのは何故か教えていただけますか?」

 

 ――私は残酷な行為を行うのに一切の躊躇がないという行為に対してあまりにも躊躇がなく度が過ぎてしまい罰が与えられる、といったような因果応報系のものを好みます。ゆえにそれをもとに物語を描き上げました。王女の設定も心優しい王女という設定では躊躇なく残虐な行為を行えないと思い、優しさを弱さと思っているという設定にした次第です。また、内容はのちに推敲する予定でした。そして改めて申し上げますとこの物語を書いた目的として特定の個人や国家を誹謗中傷する意図はありません。ですが結果的にセリーヌ王女をあそこまで追い詰めてしまったことは大変申し訳なく思っております。……場合によっては極刑もお受けします。

 

 そうです。あなたはセリーヌの性格を知っています。設定の王女の性格がセリーヌ王女とほぼそっくりなのです。それに気が付いたのは話し合いが始まる前でした。勢いで書いてしまったとはいえセリーヌが心優しくも優しさを弱さと思っている面があり、王族として残酷な選択をも行う覚悟を持っていることもしっているのです。セリーヌがあの内容を行うとは思ってはいませんがセリーヌにとっては自分がやったかのような気持ちで読んでしまった可能性があります。あなたの心の中は罪悪感で満ち溢れていました。

 

「事故ですな」

 

 ですがヴァンドレが言いきります。

 

「私めも内容を読ませていただきました。確かに吐き気を催すものでしたが”――”が言った通り王女が過ちを犯し、貶められるという悲劇の流れとしてありきたりなものです。数々のおとぎ話でも平和な国で事件が起きる、心優しきものが裏切られる、よくある展開です。たとえそのものの性格等が誰かに似ていたとはいえ、この世には数え切れぬほどの人間がいます。以前”――”が急遽出演したあの劇の主人公は清廉潔白で高潔な人物でまるでディアマンド王子の様でした。しかし、それをディアマンド王子と言いかの登場人物に訪れた不幸がディアマンド王子にかかったものでディアマンド王子を侮辱している、という者がいたとして誰も耳を貸さないでしょう。かの登場人物は架空の人物なのですから」

 

「フィレネの皆さんはどう思いますか」

 

 アルフレッド、フィレネの王族とその臣下らも特に異論はないようでした。

 

「そうだね。不幸な事故だったんだ。セリーヌがあんな状態になっていたとはいえ掴みかかってしまい申し訳なかった”――”。セリーヌ、君も問題はないかな」

 

 ただ一人セリーヌを除いて。アルフレッドがセリーヌに確認を取りますが何の言葉も返しません。すると震えた声でセリーヌが言いました。

 

「フィレネの者と神竜様と”――”だけ残ってくれるかしら……。お話したいことがあるの。申し訳ないけど他の者にはお話できないわ……」

 

 基本何が起こりどうしてなったかという大筋は理解し共有できたため該当者以外は部屋を出て解散となりました。

 そして最後の一人が出て行ってから何分かの静寂の後セリーヌが口を開きました。

 

「…神竜様はご存じでしょうが私はあの設定の王女と同じく優しさを弱さだと思っているところがあります。平和のためなら剣を取らなければならないこともある、そしてフィレネのためならばどんなこともする気もある。だからでしょうね、設定の王女がまるで自分のことのように思えてしまって、彼女に自分を当てはめて感情移入しながら読んでいたの。…だからこそ恐ろしかった。隣国の民であろうとも人間を食料として敵側に提供するなんて人間のすることじゃない……。…………でも最も恐ろしいと感じたのは……自分が、自分が、それを行うのではないかということ……!フィレネを守るためならどんな残酷な手段をもとることに躊躇しない。けど。躊躇もなくあんなことをするなんて……あんなにも…あんなにも…」

 

「恐ろしいことだなんて……知らなかった………!!」

 

 おそらくセリーヌは気づかなかったかもしれません。あの王女の最期をあなたが書いて読まなければ。その危うさに。

 

「なにが優しさは弱さよ……なんて愚かだったの……亡くなったお父様やお母様、お兄様、エーティエ、ブシュロン、クロエ、ルイ、メイドの人たち、兵たち、そして民たち……今のフィレネを作り上げたのはどんな背景があろうとも優しさがあったからじゃない……!何が平和を愛するフィレネの王女よ…!戦がなくとも貧しさに喘ぐことも暴力に打ちのめされることもある……それでも穏やかに生きていけるのは優しさがあるからじゃない!そんなこともわからずに…なんて、なんて愚か…。みんなから貰ったたくさんのものを弱さなどと思って…もはや王女ですら……いえ…人間ですらないわ………」

 

 もはやセリーヌは存在全てを否定されたも同然です。自分の考えていた事やするかもしれないことのすべてを否定されてしまったのです。

 

「セリーヌ!そんなことをいうものじゃない!」

 

「そんなことありませんわ!セリーヌ!」

 

 アルフレッドとエーティエがフォローしますがセリーヌには届きません。

 

「……ねぇ、”ーー”。推敲する予定と聞いたけれどどうする予定だったの……?」

 

 ふとセリーヌがあなたの名前を呼び推敲の内容を尋ねてきました。あの内容からどんな推敲をするのか単純に気になったのか、またはほかにも何か感じたのを答え合わせしたいのか、それはわかりませんがあなたはやろうとしていたことを述べます。

 

――バランスが悪くなったので最初は書きませんでしたが、覚悟について書き加えるところでした。覚悟という言葉は、あらゆる事柄の免罪符となりうる。特に人間は正しいと思ったことは、誰かのためということにはどこまでも残酷になれる。何かのため、誰かのためというのは「最高の言い訳」である。だからと言って何をしても構わないということにはならない。綺麗事だけで世の中は回らないがそれは必ず覚えておかねばならない、ということを邪教徒に言わせる予定でした。

 

 そうです。それがあなたが数十年間現代で生きてきて手に入れた持論です。あなたは幼き頃、物語等の展開において家族のためなら、という言い訳に対してすべて仕方がないと考えていました。なぜならそういった雰囲気で流されるものが多かったからです。しかしやがてそれらが糾弾される媒体に接触した際に何故糾弾されるのか?と考えるようになりました。そして年を取るにつれようやく答えを手に入れました。

 教養というものが、よく学校で「~なんて将来使わないよ」というものを勉強するのは己の価値観と思考する能力の下地を作るために存在したと考えられるようになったこと。年を取ってよかったと思える大きなことの一つです。

 

「……そう。そうよね……。最もだわ。……本当に私って愚か……」

 

 だれも、だれもセリーヌに何も言えませんでした。

 

「セリーヌはそんなことをしませんよ」

 

 しかしリュールは言います。彼女が助けを求めているならリュールはその手を差し伸べます。

 

「私はセリーヌのすべてを知っているわけではありません。アルフレッドのように幼いころからずっといたわけでもありません。それでもあえて言わせてください。セリーヌはそんな選択をしません。だってあなたは心を痛めることができるじゃありませんか」

 

 それは神竜としてだけではありません。短いながらもセリーヌと接しその優しさを知ったからです。

 

「お話の王女は心を痛めることがなかったからあのような結末に至ったのです。あれを強さというのならば、何も感じない心を強さというのなら、私はそれを否定します」

 

 そうです。セリーヌは何も感じない心を持っているわけではありません。ですがいったん感じてしまった不安というものはなかなかぬぐえないものです。

 

「……でも、私は…………あんなことをしてしまうかもしれない。その考えが頭から離れないの……」

 

 なまじ自分と似た性格で自分もそういった決断をすることを覚悟していたために、大きな不安と恐怖にセリーヌは包まれています。

 

「なら僕達が支える」

 

 力強い声がアルフレッドから発せられます。そしてその目からも一人の兄としての覚悟を感じられる力強さがありました。少しでも愛する妹の不安と恐怖を払わんとする強さを。

 

「僕達がセリーヌを支えるよ。……セリーヌ、幼いころから体が弱かった僕を支えるためにたくさん頑張ってくれたね。なのに僕はセリーヌの心に気付けなかった。情けない兄で済まない……!」

 

「そんな、お兄様は……」

 

「あたくしもですわセリーヌ。あなたの一番の親友としてあたくしも気づけなかった。同罪ですわ」

 

「俺もアルフレッド様のことばかり……。アルフレッド様の臣下でありながらもあなたのご友人でもあるというのに……」

 

「私もですセリーヌ様。御伽噺のように美しい方と、ずっとそのような目で見てきて主の悩みすら気づけぬなど……申し訳ありません」

 

「私もですよ。本当に……臣下失格です」

 

「エーティエ、ブシュロン、クロエ、ルイ!そんな……!」

 

 アルフレッドが、エーティエが、ブシュロンが、クロエが、ルイが気付けなかったことを謝罪します。そばにいながらも知っていなければならなかったというのに知ることができなかったその後悔はとても深いものでしょう。

 

「”ーー”。あなたから見たセリーヌはあなたの書いた物語のようなことをするような人に思えますか?」

 

 リュールがあなたに問いかけます。あなたは、物語を書いたものとして答えなければならない責任があると感じました。これでもセリーヌ推しのあなたです。答える言葉は持っています。

 

――正直思いたくないのが本音です。セリーヌ王女のことは純粋に好きですから。……それでも、やらないとは思います。

 

 この世界であなたはセリーヌ王女と深く話してはいません。贈ってあげられる言葉も大して持ってはいません。それでも健やかに生きていってほしいと思うのは間違いではないはずです。

 

――セリーヌ王女。人は鬼にならねばならぬ時があるかもしれません。ですが、それでも……、…受け売りの言葉ですがこの言葉を送らせてください。「優しさを失わないでくれ。弱いものをいたわり、互いに助け合い、どこの国のものとも友達になろうとする気持ちを失わないでくれ。たとえそれが何百回裏切られようとも」

 

 あなたは受け売りの言葉ですが言葉を述べました。あなたが口下手であるというのもありますが本当にほしい言葉をあげるのは自分ではないと思っているからです。そのほしい言葉をあげる者たちは……

 

「セリーヌ、僕たちが君を支える。あのようなことにならないように、君を」

 

「あたくしも支えます。たとえ最悪の状態になったとしても親友のあなたを」

 

「俺も友人として、貴女を支えます」

 

「貴女の騎士としてくれた貴女を今度こそ支えます」

 

「もはや過ちを繰り返したりはしません。支えせていただきます」

 

 アルフレッドたちは、フィレネの元に集いし者たちは気づけなかった己を恥じながらも優しさを持つ王女を支えるとここで宣言しました。

 とても長く感じられる静寂の中、セリーヌから言葉が発せられます。

 

「……正直、まだ優しさを弱さととらえてるところはあるの……」

 

「とても不安なの……怖くて仕方がない……でも、でも」

 

「……ありがとう………!!」

 

 セリーヌは涙を流しながらもようやく笑顔を見せたのだった。




※8章開始前
セリーヌって覚悟ガンギマリとか言われてるけどそういうとこが危うい雰囲気感じるから支えてあげる人いないとダメかなって。解釈違いかもしれないけど。

おまけ
リュールが女で、”――”がこの世に存在するとなんやかんやでフィレネの風車町であって恋愛クソ雑魚リュールちゃんルートになる。
リュールが男で”――”がこの世に存在するとフィレネの風車町でセリーヌ王女とそれなりな運命的っぽい出会いをして恋愛クソ雑魚セリーヌちゃんルートになる。

恋愛クソ雑魚セリーヌちゃん(あくまで参考)

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