異世界イズク   作:規律式足

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 お久しぶりです。



117話 第3セット

 

 八百万さんがプルスウルトラした第2セット。治療は僕が神聖魔法で行ったので傷を負った生徒達も観戦できる。

 僕の神聖魔法に慣れてないB組生徒達は神々しくも見える魔法を見て驚いている。林間学校襲撃でも治療したけど大半の生徒はガスで気絶してたので見てないからね。

 塩崎さんが感動の涙を流し、常闇君と黒色君が「ふおおお」と反応する中、葉隠さんにフルボッコにされた吹出君が「僕にも出来るかな?」と呟いていた。

 なお神聖魔法を直に受けた感覚を覚えた彼が「パァァァァ」という擬音で傷を癒せるようになるのはしばらくたってからの事である。

 

「被害がえげつないですね」

 

「ヒーロー科の訓練というのはこういうもんだ」

 

 吹出君の個性により破壊された訓練場を眺めながら心操君と相澤先生が呟く。

 工場地帯でこんな破壊をしたらガスやら何やらによる二次被害も酷そうだから訓練で経験できるのはありがたい話だよね(弁償とかもないし)。

 

「しかしちょっと壊し過ぎたな。吹出!拳藤!わかっていると思うが被害は最小限に!」

 

 その注意をしてからステージの移動も兼ねて少し休憩を挟むことになる。

 ガヤガヤとされる雑談。

 B組の曲者の多さとか次の戦略を練っている。

 僕もノートをまとめながら、精神面での成長が個性を強くするのだと皆の成長ぶりから学んでいた。

 

「デクくんも成長しとるさ」

 

「だといいなぁ」

 

「マジで手加減成長させないと問題だしね」

 

「オイラにゃ及ばんけどな」

 

「「峰田(くん)は成長しすぎ」」

 

 峰田君はA組4強の一人に上り詰めてるしね。

 

「ふ。でも背は伸びてないんだぜ(泣)」

 

「変身魔法ならなんとかできるかも、いや対価が怖いか」

 

 精霊の要求基準がわからないからなあ。

 身長、某神の龍に願うくらいの夢なんだよね。

 そんな雑談も落ち着いたところで、ステージを移動して次のセット。

 ステージは変わったけど工場地帯であることに変更はない。

 対戦メンバーは、

 B組。

 鉄哲徹鐵、骨抜柔造、回原旋、角取ポニー。

 A組。

 飯田天哉、障子目蔵、尾白猿夫、轟焦凍。

 今回は骨抜君と轟君の入学推薦組がぶつかるのか。一体どうなるんだろうね。

 

「ちなみに緑谷ならどうするよ?」

 

 最後の組である峰田君がそう訊ねてきた。なのでどうするかを想定して僕がやるとしたら、

 

「大地走査、光剣顕現、機動纏身の魔法でやっちゃうね」

 

 大地走査で相手の居場所を特定して、光剣を顕現してから、機動纏身で高速で移動して斬り伏せる。

 ワンフォーオールで身体能力アップすれば機動纏身は必要ないかもだけど、同時に使うとさらに速度アップするんだよね。

 あ、もちろん光剣は威力調整してあるから斬っても死なないよ。

 

「・・・・・・・・・、緑谷が対人戦闘実習に参加できる日ってこないんじゃね?」

 

「なんでぇぇぇっ?!」 

 

「勝てるかそんなん」

 

 これでもなお手札を伏せてんだろお前と呟きながら峰田君は呆れたようにため息をついた。

 

 

 さて、試合観戦。

 まず動いたのは鉄哲徹鐵ことリアルスティール。被害は最小限にという注意をガン無視して小細工無用な真っ向勝負に持ち込む為にステージを破壊しながら直進。

 回原君がバカの考えとツッコむが、お構いなしにわーいと大暴れ。

 いやね、実戦だとマウントレディみたいな目(赤字地獄)になるからやっちゃ駄目なのに。

 B組チームが意見の相違で崩壊しそうになるかと思いきや、柔軟な思考の骨抜君がフォロー。

 これは正面戦闘になるかな?

 しかしA組チームもまた戦闘が得意なメンバーが揃っている。特にあの面子はかっちゃんと自主練してるメンバーだしね。

 

「いくぞ」

 

 轟君の一言でA組チームも行動を開始した。

 障子君の索敵でB組チームが固まっていることを把握した轟君はお得意の大規模氷結にてフィールドごとB組チームを拘束。動けない彼らを飯田君が機動力を活かして捕らえる狙い。

 だがB組骨抜君ことマッドマンの個性「柔化」は触れた物を柔らかくする。ガチガチな氷がぶるんぶるんなゼリーとなる。

 目論見の外れた尾白君ことテイルマンが一旦退こうとするも、近辺の足場もマッドマンにより柔らかくされているため体勢を崩してしまう。

 柔らかくされても触れない限りは見た目の変化がないのが厄介な所だ。踏みしめた足場が底なし沼のように足をとる。

 撤退を阻害されたテイルマンを回原君ことスパイラルが強襲。その個性「旋回」は体中どこでもドリルのように回転するという攻防一体の力だ。

 テイルマンを助けに行こうとする飯田君はマッドマンにより特に念入りに沈められる。高速機動の厄介さを理解しているマッドマンは指揮官としても優秀だ。

 場面は変わり、轟君と障子君ことテンタコルは角取ポニーさんとリアルスティールと戦っていた。

 角取さんが「角砲」、自身の頭部から生えるヤギだか野牛のような角を撃ち出しひっかけるように障子君の肩に当てる。

 ウイングヒーロー・ホークスの個性に似たその個性は力自慢の障子君を押し出すくらいに力強い。轟君と障子君は引き剥がされA組チームはこちら側でも連携は断たれていた。

 

 

「しかし生やした物の操作とか峰田君はできないの?」

 

「似た個性だけど無理だな。血縁関係の中に空中操作とかの個性でもいたんかな?」

 

 ナニカを身体から生やす個性は結構いるけど、それを操作できるのはレアなんだよね。

 

 

 押し出された障子君を目で追ってしまった轟君は、角取さんの角砲で加速して氷壁を砕いて現れたリアルスティールに組み付かれる。

 

「てつてつがきんきんだよ轟ィ!!ステゴロでてめェよォなァ!?俺に勝てるかぁ!!」

 

 鉄人形とも言えるリアルスティールと肉弾戦で組み合うのは障子君の方が向いている。

 だがその連携は断たれてしまった。

 

 テイルマンは個性の差でスパイラルに押され、

 轟君は氷結の効かないリアルスティールと不得手な肉弾戦をする羽目になり、

 テンタコルは角取さんの角砲で拘束されていて、

 飯田君はマッドマンの柔化からの能力解除で顔以外を固められた。

 マッドマンの仕切りにより、やりづらい相手との戦いをA組チームは組まされ押されているのであった。

 A組の敗色濃厚。 

 この流れはどうすれば切り抜けられるのか。

 それは、

 

「レシプロって時限だろ?開幕使用はよくなくね?」

 

「時限?いつの話だマッドマン!」

 

 想定されてない新技で対策を超えること。

 

「新技、レシプロターボ!!」

 

 レシプロの馬力を底上げし尚且つ掛かる燃費は最小限にした十分間のフルスロットル。

 

「速度と機動で緑谷君と爆豪君にいつまでも負けていられないしな!!(峰田君もモギモギの加速をすると追いついてくるし)」

 

「お前より速い奴らがいるのかよ!!」

 

 フルスロットルした飯田君にマッドマンは勝負にならないと判断し、足場を柔化して潜水するように地に潜る。柔化、応用力あり過ぎる個性だな。

 恐らくは勝てない飯田君を相手にするのではなく他のメンバーのフォローに入ろうと考えているのだろうけど。

 

「それは悪手だね」

 

「だな」

 

 今の流れはそれぞれで押さえているから成り立つ。誰かをフリーにすれば、空いた者がすかさず他のフォローへと入る。

 そう、

 普通に善戦していたテイルマンの所へと(皆の普通発言で尾白君に遠隔精神ダメージ)。

 格闘技術ではテイルマンが上だが個性の攻防性によりスパイラルが優勢。尾白君本人も自身の攻撃力に悩んでいたから棍や刺股のような武器を装備するのもありかもしれない。

 押されつつも一歩もひかないパイプ上での戦いは、駆けつけた飯田君により幕を下ろす。

 飯田君に抱えられ捕まったスパイラルは、回転しギャギャギャギャと抵抗するも全身フルアーマーな飯田君に痛みを与えられても振りほどくことができない。

 タイマン戦に集中していたスパイラルのミスにより彼は牢へとぶち込まれることになった。

 再度場面は変わり、轟君と障子君サイド。

 

「終わりだな」

 

 そちらももう決着がついていた。

 

「大口を開けすぎだ。リアルスティール」

 

 そこには氷像と化した鉄哲徹鐵の姿があった。

 

「そんな、きんてつ(きんきんの鉄哲の略)がドウやって」

 

 驚愕する角取さんの疑問はもっともだ。

 全身鉄の塊であるリアルスティールを外部からの冷却凍結は液体窒素をぶっかけても不可能。

 だが、それはあくまで外部からの冷却。

 

「リアルスティールの口に俺の手を当てて内部から一気に冷やした。そうすりゃ流石に凍るだろ」

 

 個性伸ばしで竈で暮らしたこともある鉄哲徹鐵ならば眼球から内臓まで鉄化しているだろう。

 だがそれでも体内から冷却されては耐えきれず、意識ごと氷結されてしまったようだ。

 

「爆豪の影響で漫画を読んで良かった。色々と参考になるな」

 

 まるでダイ○モンド・ジ○ズを凍らせた青○ジのような振る舞い。

 なお本人は、本当は邪王炎殺剣をやりたかったけど下手したら殺してしまうし、と呟いていた。

 さらにあえて勝因を挙げるならかっちゃん達との自主練もあるだろう。その訓練により轟君の対人格闘能力は大幅に上がり、威力はあるがわかりやすい鉄哲君の攻撃が殆ど当たらなかったんだ。

 

「後は障子のサポートか。いや必要ないな」

 

「カフッ」

 

「オクトエアブロー。

 悪いな、俺も遠距離技を身につけている」

 

 轟君が障子君のサポートに入ろうとするが既に決着はついていた。角取さんは障子君の腕が届かない距離に居たにもかからわず強く殴られたかのように吹き飛ばされていた。

 それには理由がある。

 障子君は右拳の周りに手を作り空気を掬えるように膜を広げ、そのまま凄まじい身体能力で拳を振るったのだ。そうすれば掬われた空気が弾丸となって相手に放たれるというなんとも力任せな技だ(オールマイトだと通常攻撃でできるけど)。

 飛ばした角の操作で距離を置きつつ立ち回ろうとした角取さんは予想しない攻撃とそのあまりの威力に意識を落としてしまう。

 

「力でも緑谷の足元にも及ばないのはあまりにも情けないからな」

 

 索敵能力ばかり注目されがちな障子君だがその身体能力は背丈通りにA組屈指。

 けれどそれでもワンフォーオールを発動した僕には勝てるわけもないのだが、障子君本人は気にしていたようだ。

 

「そら緑谷と居ると自分なりのアイデンティティを保つの大変だからなあ」

 

 峰田君が理解できるとばかりにウンウンと頷いていた。グランバハマルで体得した精霊魔法と神聖魔法、オールマイトから託されたワンフォーオールの身体強化も含めた七種(身体強化、変速、発勁、危機感知、黒鞭、煙幕、飛行)の個性。それだけあれば大抵のことができてしまうから。

 だからこそ皆は奮起して自分のできることを増やそうとしているんだろう。

 

「角取は返してもらうよ。俺ね意外と友達想い」

 

 倒れた角取さんを捕まえて運ぼうとする障子君の前に柔化した地面の中からズプと現れるマッドマン。

 だがもはや勝敗は決していた。

 

「尾空旋舞!!」

 

「レシプロターボ!!」

 

 追いついた二人が出てきたマッドマンに即座に襲いかかったからだ。

 

「プリズンまで回原を運んできたのに追いつくとか速すぎだろ飯田」

 

「いつでも誰の元へでも駆けつける姿が俺の目指すヒーローだからな」

 

 尾白君の強靭な尻尾と飯田君の加速した蹴撃を前後から挟むように食らってマッドマンは気絶した。

 

 

『A組チームB組チームを全員拘束し投獄、4ー0でA組チームの勝利!!』

 

 B組チームが三人気絶(一人凍結)のため詳しい反省会は後に回すことになったけど、それぞれ一言だけコメントした。

 

「緑谷のやらかしがA組生徒達に影響与えまくっているな」

 

 僕のせいみたく言わないでください相澤先生。

 

「諸悪の根源を外してなお可愛い我が生徒達がこの様とは。おのれ緑谷出久」

 

 貴方もそんな認識なんですかブラドキング先生。

 まあ、なにはともあれA組の勝利だ。

 B組の敗北2連チャンに物間君が叫んでいるけどなんか皆もう慣れてきた感じだね、普通にスルーしてるし。

  

 さあ次は第4セット。

 B組もう一人の推薦入学者、取蔭切奈率いるB組チームとの戦い、果たしてどうなるかな。

 

 

『爆豪無双にてA組の勝利!!』

 

 かっちゃん、君ってヤツは。

 





 異世界イズクのせいでA組の生徒達は自身のアイデンティティをより強く高めようとしています。

 飯田天哉。
 ワンフォーオールと精霊魔法の緑谷、爆破機動の爆豪、モギモギ加速の峰田と彼らに負けないよう超え用途より速さに磨きをかけています。

 轟焦凍。
 父親からの連絡を既読スルーし、さらには炎を使わなかった息子。エンデヴァーが知ったら多分泣く。硬い相手は氷塊をぶつけるより直接凍りつかせる戦法を身につけた。

 障子目蔵。
 索敵のできる前衛。
 肉弾戦ならばA組屈指の実力者。新技は原作緑谷君の空気砲。

 尾白猿夫。
 デカい尻尾という個性で雄英高校に受かった凄い人。今回ドリルみたいな指で抉られて痛かったから、鎧か尻尾カバーを検討するつもり。あとは決め手となる武器。

 第4セット。
 ミルコとイチャイチャラブラブドカドカバキバキしながら日本全国ヴィラン退治しまくった爆豪君に勝てるわけがなかった。
 サラッと流して第5セットにする予定。
 
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