傭兵TS娘が敵の惑星から脱出しようとする話 作:皆方 ho_
毎日投稿…できたらいいなぁ
そこに映っていたのは、到底戦場にいるとは思えないような白い髪の毛に赤い眼の小柄な少女だった。
白い髪は肩口でにわずかにかかる程度の長さ。赤い眼は睨んでいるのかよくわからないジト眼だ。整った顔は、だが無表情も相まって少し怖い。
なんだこれ。
有機義体にここまでの美少女があるのか?
有機義体はクローンだ。だから型番一覧に載っているはずだが、こんなものは見たことが無い。
ここまで驚いているのに表情も一切変わらない。
試しに色々な表情を作ろうとしてみる。
笑った顔、驚いた顔。にらんだ顔。
わずかに顔はピクピクと動く。だが、相変わらずの無表情。
表情筋が壊れているのか?
なるほど。
「有機義体の試作型か、大方、在庫処分だな、これは。」
「小隊長、それは大丈夫なんですか?」
「アル、大丈夫だ。小隊長はこの程度で死ぬような器じゃあない。この前なんかエリダヌスのバーに……」
「おまっちょっと待て、それ以上言ったら、抗命で撃つぞ。」
「隊長権限の横暴だー」
はぁ。
サラリと最近の黒歴史を話そうとしたウィルフに帰ったら何をしてやろうか考え、曲がりなりにも民間人の前で何やってんだ?と正気に戻った。
それにしても、何でこんなモンが戦場の一兵士に割り当てられてるんだ?
━━何か欠陥があるかもしれない。注意したほうがいいな。
だが……
もう一度、手を開いて握る。
グー、パー、グー、パー。
反応速度がかなり速いな。
戦闘が捗りそうだ。
仕事終わったら軍の担当者に聞いてみるか。お役所仕事のあいつらからすぐに返答が帰ってくるとは思わないが。
ガン!!!
「小隊長、まだですか?」
思考に没頭していたら、外から、大きな金属音が響いてきた。それと同時に通信も。
「すまん、民間人がいてな、少し手間取っただけだ。そっちは大丈夫か?」
「狙撃で何人かは殺しましたが、装甲車がやられました。帰りは車を調達しなきゃいけません。小隊長、早くしてください。」
フェイスガードを下ろし、ヘルメット内に投影される戦況を確認する。
急いだ方がいいなこれは。
「わかった。リック、ウィルフ、行くぞ、作戦再開だ。」
「はい!」「おう‼」
男女にここから動かないよう命令し、また壁を壊して移動する。
再び壁を壊したとき、男の方が、大事な家が‼︎と叫んだが、銃を向けると黙った。
さらに何軒か、建物の壁を破る。
そうしてやっと、陣地の側面にたどり着いた。
様子を見る。敵は戦闘用義体のやつらが何人かに対車両用の爆薬発電式レールガンが一基。
重装甲車が撃破されたのも納得だ。だが、ほかは生身の兵士が数十人しかいない。
置いてきたやつらと連携するため、通信機を操作する。
「小隊各位へ、敵は義体を装備している。注意しろ。ブローマンのチームは合図に合わせて突撃、オルヴァーのペアは続けて狙撃だ。そちらも大丈夫だな?」
「大丈夫です。小隊長。」
「よし、攻撃開始。」
アルベリックが合図に合わせてグレネ-ドをレールガンの砲座めがけて投げ込む。
即座に銃撃を開始する。通りにいるオルヴァーのチームも合わせて突撃している。
「優先的に生身のやつを狙え!」
始めに投げたグレネードでレールガンは潰せた。
レールガンの操作員は生身だったようだ。
義体なら身を挺してレールガンを守る選択肢もあっただろうが、解放戦線には戦闘員を全員義体にする財力はないのだろう。
銃撃、リロードのため身を隠す。入れ替わるようにウィルフが銃撃を始める。アルベリックもやや遅れて銃撃を始めた。
「アルベリック、気を引くだけでいい。危ないと思ったら隠れろ。」
アルベリックの行動が不安だ。訓練通りやっているのはわかるが、行動に迷いが多い。
後ろに下がらせた方がいいか?
初陣が被撃破から始まるのも後々悪影響が出そうだが。
銃撃、リロード、銃撃。仲間をカバーするため交代で銃撃を続ける。
通りを向いているやつは俺達の銃撃で倒れていく。
こちらを向いているやつも通りの向こうからのオルヴァーのペアの狙撃でやられていく。
生身の奴らはあらかた潰せたが、義体のやつらはまだ生き残っている奴も多い。
その中の一体の義体がこちらに向かって突撃してきていた。
かなり素早い動きで、銃撃の射線を回避している。
最新型か?解放戦線にそんなものを手に入れる余力があったのか?
それに、義体の中の人間もかなり上手い。
いずれせよ、あれは早くつぶしたほうがいい。
「速いのは俺がやる。ウィルフ、アルベリック、援護しろ。」
「了解、決闘の邪魔立てはさせませんよ、お嬢様。」
この期に及んで義体のことで煽ってくるウィルフは本当にどうかした方がいいかもしれない。お調子者だがモテるのだ。その女性向けの態度をこちらに向けるな。色男め。
「ウィルフ、ライフル預ける。アルベリックを殺させるなよ。それとナイフ貸せ。」
「おうよ」
ウィルフに小銃を預ける。入れ替わりでナイフを受け取る。
拳銃を抜き、安全装置を外し、残弾を確認する。反動の大きい火薬式。大気圏内での戦闘では火薬式の方がメリットが大きい。よく使う拳銃だ。
腰の自分の溶断ナイフも抜いたら電源がつくようにセットする。
「ウィルフ、何かあったら指揮はお前だ。」
「そういうこと、言わないほうがいいぜ。小隊長。」
「撃破されても死ぬわけじゃない。確認は大切だ。」
「そりゃそうだが、気持ち的にな。」
「じゃ、行ってくる。」
「話聞かねえなぁ」
左手にウィルフに借りたナイフ、右手に拳銃を持ち、物陰から飛び出す。
相手の移動するルートに飛び出して拳銃を構える。
パンパンパン‼︎と三発、引き金を引く。
「っ!!!」
いきなり目の前に飛び出してきた俺に敵の義体は驚きつつも拳銃の銃撃はきれいによけやがった。
厄介だ。
もうすでに相手との距離は1mもない。
速度に乗った義体は急には止まれないのだろう。そのまま近づいてくる。
左手に持った溶断ナイフを敵の顔面めがけて投げ、そのまま相手のライフルを持った右手を左手で跳ね上げ、狙いを無理やり外させる。
投げたナイフは相手が顔を反らしたことでヘルメットにあたり、相手のヘルメットを吹っ飛ばした。
がら空きになった胴に回し蹴りを入れて吹っ飛ばし、距離をとる。
さて、いったいどこの義体だ?
ヘルメットが外れた敵の顔を見る。
「おいおい……星系同盟が出資してるってことか?」
独立星系同盟の最新の有機義体だ。情報を見たことがある。
解放戦線にそんなものが買えるとは思えない。星系同盟は技術と経済を握る商人の国だが、軍事力では汎人連に遠く及ばない。喧嘩を売るようなことをなぜするんだ?
今考えることではない、と思考を切り替える。
起き上がりつつ小銃を構える敵の義体に拳銃を向け、発砲する。
小銃を盾にして防がれたが、これでその銃は使い物にならなくなっただろう。
敵は小銃を投げ捨てた。
ナイフを抜き、あらためてこちらに向かってくる。
拳銃を撃つが、全て避けられる。
弾切れだ。
リロードする余裕はない。
拳銃を左手に持ち替え、右手で腰のナイフを抜く。
お互いの武装は同じ。
敵はフルアーマーの戦闘服だが、こちらは合成繊維に装甲プレートを縫い込んだ軽装の戦闘服だ。溶断ナイフは防げない。
体格差によるリーチの差も大きい。
溶断ナイフではアーマーを貫通するのに数秒かかるだろう。
頭を狙うしかないな。
左下から右上に振るわれるナイフを右に体を逸らして避ける。敵は即座に右上から真下にナイフが振るわれる。
後ろに下がって避ける。
振り抜かれた相手の腕に、ナイフを振るう。
狙うのは関節部、装甲プレートの無いであろう肘の裏だ。
ズシュッと音を立ててナイフが刺さり、次いで肉の焼ける音がする。
さらに肉を抉る。
腱が切れたのか、敵がナイフを取り落とす。
カランカランっと音を立ててナイフが転がった。
敵は右腕を振り回し、刺さったナイフごと俺から離れようとする。
チャンスだ。
左手に持った拳銃を投げつけ、地面に転がった敵のナイフを蹴り上げる。
投げつけられた拳銃に一瞬怯んだ敵は、右手に刺さったナイフを抜くのが遅れた。
その遅れが致命的だった。
その隙に蹴り上げたナイフを手に取り、体当たりと共に敵の首元に刺し込む。
両手が塞がり、投げられた拳銃を避けて体勢を崩した、その状態でさらにもう一本のナイフを避けられる道理は無かった。
血飛沫が飛び、顔にも血が付く。
戦闘はたったの30秒ほどで、終わった。
作中設定
・汎人類連合共同体(汎人連)
人類による宇宙を掲げる。地球が中心となった経済、領域、軍事力、全てが大国であるが、その繁栄は植民惑星からの搾取と管理社会、強大な軍事力によって成り立っている。ディストピア。
・独立星系同盟
星系程度の小国家の連合体。商業、工業が盛んな商人の国。
文明が拡大していく歴史の中で「平和的に」汎人連から独立した星々が小国のまま潰され無いために作られた同盟。仮想敵国こそ汎人連だが、自ら敵対することは無い……はずだ。
・惑星解放戦線
汎人連による植民惑星の搾取に抵抗して複数の植民惑星で蜂起した市民達による武装組織。すでに5つの惑星を「解放」している。
無表情で敵を殺すのもいいよね。
戦闘描写はこれでいいんだろうか?
評価、コメント、お願いします。
追記 タイトル間違えてました。すいません。