傭兵TS娘が敵の惑星から脱出しようとする話 作:皆方 ho_
徹夜して書いたのでおかしい部分があるかもしれません。
報告されたら修正します。
目的地、工場プラントAに到着した。
先ほど戦闘した通りから数百メートルしか離れていないが、車を持ってきた理由は、何かあったときにすぐに逃げられるようにするためだ。
周りに敵がいないことを確認して、降りる。
全員が降りるのを待った上で、黒歴史を暴露しやがった、ウィルフに殴りかかる。
その瞬間、ブローマンに羽交い絞めにされた。
目の前にはアルべリックが回り込んできて、完全に説得しようとする流れだ。
こいつら、黒歴史の暴露の後で俺を止める相談までしていたのか。
「放せ、俺にはそいつを殴る正当な権利がある。」
「さすがに小隊長でもそれは通りませんよ、落ち着いてください。」
「止めてくれるな。ブローマン、さっさと放してくれ。」
ちくしょう。この義体、力がかなり弱い。
体格差を考えても、普通の義体とは筋肉の構成が違うのだろう。
周りを見回し、誰も自分の味方ではない事を確認する。
ついでにそいつらの後ろで笑っているウィルフの姿も。
「ウィルフ、まったく反省して無いだろ。」
「いや、悪いとは思っているが、アルの方から聞いてきたんだぞ?」
衝撃の新事実を聞いた。
まともに見えたアルベリックが、わざわざ人の黒歴史を聞くような奴だったとは。
やはり、傭兵に碌な奴はいないようだ。
「いいじゃねえか、アル以外には知れ渡ってた話だ。」
「だからこそ聞かせたくなかったんだが。おい、アルベリック、今の話本当か?」
「そ、その~…………本当です、すいません!!!」
「はぁ、お前ら、あとで何か俺に奢れよ。」
「はい!!」 「わかった。」
これ以上、怒っても作戦に影響が出るだけだ。
そう思って矛を収めたが、ウィルフにいたってはこういうこと、何回目だろう?
ことごとく許してきているあたり、やはり、自分は甘いのかもしれない。
―――――
ブローマンが放してくれたので、説明と指示を始める。
「工場の中では通信がつながらないかもしれない。留意しろ。目標は工場の中にある中枢制御室だ。工場内部の地図は確認したな?」
隊員の様子も大丈夫そうだ。
「内部に入るのは俺のチームとブローマンのチームだ。オルヴァーのペアはここで待機しろ。」
「「「「「「「了解!」」」」」」」
「わかったなら出発だ。室内戦になるだろうから、注意しろよ?」
何かあった時のために、オルヴァーのペアを車に残し、残りの6人で工場の中に入る。
入り口のドアにも特に何も仕掛けられていない。
「小隊長、母艦との通信が切れたぞ、大丈夫か?」
「大丈夫だろう。工場の内部は電波暗室だ。」
この工場は汎人連が建設したレアアースの精錬工場だ。
建設時のデータによると制御室には回線が引かれている。
制圧後に軍のネットワークに接続して制御権を移動させればいい。
工場の建屋の内部はかなり暗く、広い。
カツ、カツ、と6人分の足音が反響する。
有機義体の眼は暗闇でもよく通るから大丈夫だが、そうでなければ懐中電灯が必要なくらい暗い。
「奇襲とブービートラップに警戒しろ。」
おかしい。工場内が静か過ぎる。
作戦開始の時点では稼動していた、はずだ。
この短時間で工場を止めて作業員は脱出できるのか?
「工場が動いていない。警戒を強めろ。」
道中にはブービートラップも伏兵も、何も無い。非常時でも動いているはずの監視カメラさえも沈黙している。
地図に従って階段を下り、中枢制御室の扉の前に立つ。
合図する。
ガラガラ、と本来は電動式であろう扉を開け、ブローマンとバートが中に小銃を向ける。
「だれも、いないか?」
「いないな。爆弾のたぐいも無さそうだ。」
グレネードをいつでも投げ込めるように構えていたアルべリックが大きく息を吐く。
制御室の中。壁のコントロールパネルも操作盤も、全て沈黙している。
「まだ油断するな。俺とウィルフでシステムの再起動をする、他は警戒しとけ。」
「え、俺がやるの?」
「当たり前だ、ほら起動しろ。」
ウィルフに作業をまかせ、出入り口に退避する。
「小隊長!?ブービートラップあったら俺が撃破されるぞ!?」
「さっきお前がやったこと、許してないからな。さっさとやれよ。撃破されたら小隊全員の飯、奢れよ。」
「根に持ちすぎだろ、小隊長……」
誰しも、自分は無事でいたいのだ。たとえ死なないとしても、撃破されたくないのは当然の心理だろう。
日ごろの恨みを晴らせるのなら、なおさらだ。
「早くしろよ、ウィル!!、今日はお前の奢りになりそうだな。」
他の奴らも、囃し立てている。
唯一、アルベリックだけは、申し訳なさそうに手を合わせて祈っていた。
いやこれ祈りじゃない、弔いの合掌だ。死んだことにするな、死んだことに。
「まあ、ここまで何も無かったんだ、ここに何かあるとも思えない。はやく起動しろ。」
「
失礼だな。自分が撃破されたら指揮が混乱するだろう。
「やればいいんだろ、やれば。」
その言葉と共に、電源ボタンが押された。
緊張の一瞬は文字通り一瞬で過ぎ去り、何事も無かったかのようにシステムが起動する。
ブービートラップは無かったようだ。
「ログ調べるから、ウィルフはネットワーク繋いでくれ」
「了解」
うなじをなでる。標準規格の端子が付いてることを確認し、ポケットからケーブルを取り出す。
首元の端子にコードを繋げる。コードの反対を制御盤に繋ぐ。
稼動時のログを義体に埋め込まれたチップに書き写していく。
この義体にも端子があったことに安心したが、機械に表示されたストレージの容量は2ZBと表示されている。しかも、そのほとんどは使用されているようだ。
こんなに容量があって何に使うんだ?ここまでデータを使うのなんて都市管理AIくらいだぞ?
何に使われているのか確認しようとした瞬間、ウィルフが唐突に困惑の声を上げた。
「おい、おかしいぞ?軌道上の母艦とも、降下艇とも通信が繋がらない。」
「アンテナに異常は無いのか?」
「直接確認はしてねえけど、システム上は異常は無い。」
ネットワークかアンテナに問題があるようだ。
仕方ない。自分のことは後回しにして、今ある問題を解決しよう。
「外で待機しているオルヴァーに接続してみたらどうだ?」
「わかった、やってみる。」
少し操作を待ち、接続。
「アンテナは壊れてないみたいだな。オルヴァー、聞こえるか?」
『その声、小隊長ですか!?可能な限り早く、今すぐ戻ってきてください!!』
「何があったんだ?詳しく説明しろ!」
返答は無かった。
それっきり切れてしまった通信画面のスクリーンを見る。
「オルヴァーの方で何かあったみたいだ。制御キーの書き換えだけやったら急いで戻るぞ。」
その場でできる事だけやって戻る判断をする。
制御キーを書き換えて、解放戦線に工場が使えないようにする。
設置式爆薬は持ってきていなかったのでブービートラップはあきらめ、その代わりに、グレネードで制御盤を破壊する。
「急ぐぞ!!」
背後から響くグレネードの爆発音を尻目に、来た道を逆走する。
来る時に何も無かったのだから、当然帰りもなにかあるわけでも無い。
来たときよりもスムーズに入り口までたどり着く。
油断せずに周囲を見回し、オルヴァーのペアが待っている車を見つける。
オルヴァーともう一人は車の横で、呆然と空を見上げていた。
敵の姿も無く、車も無事だったことから安心しつつ、彼らに駆け寄る。
「オルヴァー!戻ってきたぞ、何があった!?」
「小隊長、そんなことより空を見てください!!」
その言葉につられて、上を見た。
そこには。
俺達の乗ってきた惑星降下母艦が、俺達の本体が乗った船が、
……爆発を起こし、撃沈されつつある光景があった。
作中設定
506小隊
・リル
主人公、白髪赤眼TS娘。近接格闘型の義体をよく使っていた。
・ウィルフ・バーニー
主人公の親友。突撃型義体。
・アルベリック・リクール
傭兵集団アルド出身の新兵。汎用歩兵型
・ミーケル・ブローマン
タンク型義体。ツーマンセルの先任。
・ブローマンのペア
名前を用意してないだけ。
・バート・ボーデン
汎用歩兵型。現在はブローマンのチームに加わってスリーマンセルになっている。
・オルヴァー・イスフェルト
マークスマン。狙撃型義体。
・ヘンリー・ラム
名前をつけた。電子戦型。
以上の八人編成です。
夜更新できるか怪しいです。
一話書き上げたから許して…
評価、感想おねがいします。
追記 誤字報告ありがとうございます。潰しても潰しても沸いてくる誤字ってSCPか何かかな?