モンハン勢がダンまち世界に迷い込むのは間違っているだろうか 作:H-13
「災難だったのう。」
「何度かこう小言は言われている。根は優しいが融通が効かないと見えるが…エルフはみんなああなのか?」
「彼奴はハーフだが、そうだな。アレをもう少しキツくした上で潔癖症なのがエルフと考えていいだろうよ。」
「容姿はいいだけに少し残念だな。」
この世界に来て初めて知り合ったリューは異端の側だったかとヤマトが思いながらギルドからダンジョンへと向かう冒険者が2人。
ヤマトとへファイストスとの繋がりはエイナも察しては居たが、二度目のダンジョン攻略でへファイストス・ファミリアの団長を連れて来るとは想像もして居なかった。
30分程の足止めを食らってしまったが、ウラノスとロイマンの名前を出した上で椿が色々と説明をしてくれた為渋々と言う顔でOKが出された。
ヤマトが目指すのは37階層。18階層の端にテントを立ててそこを中継地点とし、日にちを掛けて攻略していく予定である。ゴライアスを倒す事も忘れてはいけない。
ちなみにエイナには伝えて居ない。小言が増えることが必至であるからだ。
「…ミノタウロスが逃げていったが…お主、何かしたか?」
「………心当たりはある。」
ダンジョン14階層。ただ正規ルートを歩くだけのダンジョンお散歩と化した異常な光景に流石に耐えきれず椿が沈黙を破る。
目の前の壁から産まれた産まれたてのミノタウロスはヤマトが武器を構える前にギョッとした目でヤマトを凝視した後に身体を震わせ産まれたてだとは思えぬ速度を四つ足で出しながら逃走した。
正確には凝視して居たのはヤマトでは無く着ている防具だろう。
アイテムボックスの肥やしになっては居たがエスカドラシリーズの作成難易度は最高レベル。
アルバトリオンの角が折れず何体殺したかは忘れたが最初のうちは生死を掛けて戦い、クエストリタイアも何度も行った強敵。
『闇を纏い厄災を齎す』『挑む剣はひしゃげ、噛み付く竜の牙は砕け散る』
など凄まじい説明がされて居た事を鑑みればミノタウロス程度なら本能で逃げ出すのはそれは当たり前だろう。
歩く度に独特な鈴の様な音を奏でる。それは今手に持っている漆黒爪【終焉】にも当て嵌まる。
日本刀の軽量化と風切音の為に付けられた「樋」と同じ効果が防具や武具自体に付与されているのかはヤマトは知らない。だが何かしらの力が込められているのは明白であった。
「刀を抜かずにここまで来たのは初めてだぞ?」
ダンジョンに入って1時間。ノンストップでたどり着いた17階層に椿は呆れ返り18層に入ったらその防具を早く脱げと急かしてくる。
「俺がゴライアスに苦戦するとは思わないのか?」
「ソレの元をソロで討伐する様な気狂いが?ははははッ!有り得んな。」
気狂いと言われてしまって言い返せないのはそう云うことである。恩恵という外付けのブーストでは無くヒト本来の強さ。
殴る蹴るの様な力は逸脱して居ないにも関わらず生存競争という一点であるならば黒龍すら下しあまつさえ周回を始める頭のおかしい人種。それがハンターである。
鳴るは爪の音色。相対するは推定レベル4。安全階層の番人、灰色の巨人。
「グオオオオオオオッ!!!」
魔力の籠った咆哮。されどヤマトにとっての咆哮となり得る範囲からはかなり遠め。
ヤマトに出来ることは近付いて切る事。ダッシュ、ダッシュ!ダッシュ!!
─────ゴドォ゛!!!
拳の形に地面が粉砕される。そんな中一直線に回避を織り交ぜながらたどり着いたヤマトの一閃───!
迸る黒い花火。切り飛ばされるゴライアスの右腕。返す刀で右脚の膝下辺りにすべりこませた刃からは肉体を蝕むであろう龍の気配が色濃く噴き出し敵を侵していた。
血糊が付かぬ程の斬れ味に、迸る龍属性の禍々しい輝き。
「ガアアアアァァァッ゛!!?!?!」
暴風の如き激情しか映さなかったゴライアスの瞳には恐怖がチラつく。
知性は無くとも感情があるのはモンスターである。最上位の龍以外ならば如何に強く怒りやすかろうが逃げることがあると知っているヤマトにとって当たり前のこと。
モンスターを狩る為に造られた鎌が煌めけば本能が負けを認めていたゴライアスの首元がパクリと口を開けた。
亜種の様な例外であれば再生をしたのだろうがコレは通常個体。胸をかっ捌き魔石を取り出したのならば灰に還るが定め。
大きめな外皮を落としたのを確認して改めてこれしか素材が落ちぬ事に少し悲しくなっているヤマトであった。
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