TS転生したら主人公の幼馴染ポジだった上に、おっさんの女だった件〜負けヒロインどころの話じゃないんだが〜 作:あへんちんき
変声期→変声機。
らんはい様、ご指摘ありがとうございます。
「駿も南志実も、2人揃って目にクマつけて、どうしたっていうんだよ」
「ん。まあ、夜更かししてたから」
「俺は生徒会長とちょっとやることがあったからな………」
早朝、俺達は3人で登校していた。
原作主人公こと柊 駿と、幼馴染の
基本的に俺達は、登下校の時はこの3人なことが多い。
この関係性は、中学生の時に、3人で同じクラスになった時からずっと変わらない。
高校生に入ってからは、響が女の子になったり、駿が生徒会長と放課後に居残るようになったりしたせいで、一時期登下校を一緒にしない時期もあったりしたが、今は登校の際は3人で一緒に学校に行くことになっている。
まあ、駿は今でも生徒会長との交流はあるみたいだけど。
「ふーん。あんま夜更かしとかよくないぞ。南志実はせっかく可愛いんだしさ。お前もお前だぞ、駿。いくら生徒会長と2人っきりだからって、浮かれたらダメだからな!」
「私がかわいいのは知ってるよー」
「相変わらず自信満々なんだな……」
そりゃそうだろう。だって、ゲームのヒロインなんだし。可愛くて当然といえば当然だ。
ただ、夜更かしに関しては仕方ない。昨日はおっさんの呼び出し時間が長かったのだ。多分、今まではちょっとだけおっさんにも暴言を吐いてみたり、ちょっとした抵抗をしていたのだが、昨日はそれがなかったからだろう。
そのせいで、おっさんの機嫌をよくしてしまった。結果、いつもより長い時間おっさんのところにいることになったのだ。
にしても、響、早速生徒会長に嫉妬してるな。駿は気付いてないみたいだけど。
これは相当不安になってるだろうし、後でフォロー入れとくか。
〜☆〜
チャイムが鳴り響く。
現在時刻、午後1:00。昼休みの時間だ。
俺は食堂で響と一緒に昼食をとっていた。ちなみに、駿の奴は生徒会長と食事をとっているらしい。
「なぁ………。やっぱり駿って、生徒会長とできてないか…? 俺の付けいる隙なんてないと思うんだけど」
「そんなことないよ。駿って、多分今好きな子とかいないだろうし。生徒会長とも、ビジネス的な関係があるだけで、別に恋愛感情とか、そんなものないでしょ」
そして絶賛、恋愛相談中だ。
俺は、響が女の子になってから、駿のことが異性として好きになってしまったことを知っていた。
変にライバル視されて響との関係が悪化とかも嫌だったし、俺の方から、響の恋愛に協力するって約束を取り付けたのだ。
結果として、俺は響の恋愛相談役を請け負うことになった。その時、実は響は昔俺のことが好きだったとかいう衝撃の事実をついで感覚で明かされたのはまた別の話。
「生徒会長の方は絶対駿のこと意識してるだろうけど、駿は鈍感だし、多分本当に生徒会長のこと何とも思ってないと思うよ」
「えーそうかな………。でも、生徒会長以外にも、なんか緑色の髪の毛の子と仲良さそうだし…………」
「あー美紅魅のこと? それなら大丈夫だよ。美紅魅、この前『駿君が全然振り向いてくれない〜』って嘆いてたから」
俺としては、響の恋愛相談役になって良かったと思う。
それに、どうせ俺はヤク漬けにされた女だ。こんな奴が隣にいても、駿は絶対に幸せにはなれない。
「知り合いだったのか? その美紅魅って子と」
「んー。まあ、話すようになったのは最近だけど。なんか、急に『あんたには負けないんだからー』って宣戦布告されて、そっからって感じ。多分、恋敵か何かだと思われたんだろうね。私は別に、駿のことどうとも思ってないのに」
まあ、俺だってもし好きな人と一緒に登下校してる奴がいたら、そいつは恋人なんじゃないかって思っちゃうだろうし、美紅魅が宣戦布告しにきたのも、納得といえば納得だ。
「あのさ、我慢してたりとか、ないか? 本当は駿のこと好きだけど、俺が駿のこと好きだから、手を引いてるとか………」
「え、ないけど」
「本当に?」
「うん。ていうか、そもそも私、好きな人すらいないから」
「そうか………」
響は多分、自分が元男だから、本当に駿と恋愛して良いものか、心のどこかで不安になっている部分もあるのだろう。
しかし、さっきの質問のせいで、ちょっと雰囲気が気まずくなっちゃったな……。このまま恋愛相談続けるのは無理そう。切り上げるか。
「でも実はね、好きな人はいないけど、40過ぎのおっさんとそういう関係だったりはするよ」
「は? え? お前、まさかパパ活を………。や、やめとけそんなの! もっと自分の体大事にしろ!」
「ふふ、冗談だよ」
「はぁ!? 冗談かよ……はぁ………し、心臓に悪い……」
事実なんだけどね。
にしても、本当に心配してくれてるなぁ……。
そうだね、もっと自分の体、大事にした方がいいよね。
薬なんて、使うべきじゃないよね。
わかってるんだよ、そんなこと。
でも、やめられない。やめたくないんだ。
一度アレを知ってしまったら、もう、後戻りはできない。
一回でもアレを打たれた時点で、詰みなんだ。もう、あのおっさんなしじゃ生きていけなくされるんだ。
本当は、薬なしでも生きていければ、それが1番良いんだろうけどね……。
〜☆〜
学校が終わり、かなりの時間が経った。今の時間は午後8時。辺りも暗くなってきていて、健全な高校生ならば家にいなければいけない時間。
そんな時間に、俺は、例のおっさんの命令を受けて、外出していた。
おっさんからの命令は一つ。
『怪異を守れ』
ただ、これだけ。というのも、最近、確かここ3日4日だっただろうか。おっさんの作り出した怪異が、立て続けに狩られてしまっているようなのだ。
まあ、十中八九
今更物語が開始し始めたのだろうか、もう3人のヒロインの好感度はMAXであるというのに。
まあ、いい。俺は適当に怪異を守りつつ、
勿論、原作では南志実は戦闘パートには介入してこない。そもそも戦う力がないからだ。でも、俺の場合はおっさんの薬にヤク漬けにされたせいで、ある程度戦えるようになってしまった。元々薬も、怪異にするためのものだったし。
別に、今回の怪異は特に人に害を仇なす存在というわけでもないから、守ることに特に異論はない。
でも、怪異というのは基本的に人を害する存在だ。何なら今回の怪異だって、武器を持っていなければ特に何の反応もしてこないが、相手が自分を害せる道具を持っていれば、即座に攻撃を加えるくらいには凶暴さを持ち合わせてはいる。
もし、これからも、怪異をずっと守り続ければならないのなら、
俺は、耐えられるのだろうか。
怪異を守らないという選択肢はないし、
ちゃんと働かないと、薬をくれないから。
俺は、変声機付きの道化師の仮面をつけて、その時を待つ。
今回守る怪異は、
ウネウネとしていて、ちょっと気持ち悪いだけの怪異だ。こいつは、おっさんの実験の過程で生まれた怪異で、多分用途は、まあ、触手プレイとかだろう。
というのも、おっさんはかなりの変態で、怪異を生み出したのも、全部『そういうこと』のためだ。
今のところ、女性の被害者は、まあ、俺だけだろう。
でも、奴を放置しておけば、もっと多くの被害が出るだろう。
やめるなら今だ。
薬を打ってもらうことを諦めて、それで、おっさんのことを告発してやれば良い。
原作では最後に判明した黒幕の正体を、俺は既に知っているんだ。
今、告発すれば、
それどころか、
でも………。
「薬、欲しい………」
無理だ。
アレなしで生きるなんて、無理。不可能だ。
助けて欲しいとか、そんな次元の話じゃない。
もう手遅れで、どうしようもない。抜け出せないんだ。
だから、もう。
怪異になって、
多分、それが1番良いんだ。
きっと、それが俺の幸せなんだ。