TS転生したら主人公の幼馴染ポジだった上に、おっさんの女だった件〜負けヒロインどころの話じゃないんだが〜   作:あへんちんき

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これ、主人公が完全なおにゃのこだとよくないってなるんですけど、TS娘だと許される感あると思うんですよね。知らんけど。

追記

じゃうま様、誤字報告ありがとうございます。


その場しのぎの妨害工作

 

 

「ここに、またあの時みたいな怪物がいるのか…」

「だと思うわ、目撃証言も、ここら辺らしいし」

 

 

辺りも暗くなってきた頃、夜8:00に男女2人でお出かけ。世間で言えば中には破廉恥な、学生の本分は勉強だ、とも主張されかねない。

 

 

しかし、2人は別に恋仲というわけでもなければ、体の関係があるわけでもない。片方は意識しているかもしれないが、2人の間柄は、完全にビジネス的なものであった。

 

 

怪異の退治。それが、最近の2人の日課だ。といっても、3、4日前から始まったもので、まだ日課だと呼べるほどのものではないのかもしれないが。

 

 

「上よ!」

 

 

突如、頭上からウネウネとした触手のようなものが襲いかかってくる。

2人組の片方、女の方が、異変に気づき、触手の位置を知らせる。

 

 

「了解!」

 

 

そして、女の返事を受け、男は小型の銃のようなものを取り出す。

その銃の引き金を引き…………。

 

 

「グギャアァオ!!!」

 

 

触手のようなものの先が、弾け飛ぶ。

と、同時に、おそらくその触手の持ち主であろうモノの鳴き声が、辺りに響く。

周りを見ると、壁や地面が、触手の赤色の血で染め上げられている。

 

 

「やっぱり、有効みたいね、その銃」

「ああ、まあ、何でこれがこいつらに効くのか、まだよく分からないんだけどな……」

『こんな夜更けに、ここに何をしにきた?』

「「!?」」

 

 

前方から、道化師の仮面をつけ、ローブのようなものを羽織った者が、2人に問いかける。声を聞いたところ、男のようだが、しかし、さっきの触手は、彼にも見えていたはずだ。それでも彼は、動揺する様子はない。

 

 

つまり……。

 

 

「あいつ、何か知ってそうね……」

「ぽいな………。もしかしたら、この怪物共の親玉かもしれない」

『質問に答えてもらいたいのだが……』

 

 

2人は、目の前の男を警戒しながら、さっきの触手がまた襲ってこないか、辺りを注視する。

 

 

『……。そうか、質問に答える気がない、か。まあ別に良い。命が惜しいなら、即刻この場から立ち去れ、さもなくば……』

「さもなくば、何だ?」

『俺はお前達を消さなければならなくなる』

「随分と好戦的みたいね………」

 

 

男は、懐からナイフのようなものを取り出す。刃先はギザギザで、切られればかなり痛そうだ。

 

 

そんな男の様子を見て、2人組の女の方は、自身のポケットから携帯を取り出し、警察に連絡を入れようとする。だが……。

 

 

「なっ、繋がらない!?」

『電子機器は予め妨害(ジャミング)しておいた。助けを求めようとしても無駄だ。それに、警察に連絡しても意味がない。どうせ記憶は改竄される』

「あんた……何者だ?」

『………お前が知る必要はない』

 

 

瞬間、2人組の視界が光に包まれる。

 

 

「な、何? 閃光弾………?」

「前が、見えない…。何だこれ……」

 

2人組は驚く。ローブを羽織った道化師の仮面男は、何かをしたようには見えなかったからだ。女の方は閃光弾かと呟いていたが、仮面の男の手は一切動いていなかった。

 

 

となると、時限式か、もしくは触手の方が何かを行ったのかもしれない。そう思う2人だったが……。

 

 

『その様子だと……能力のことはまだ何も知らない…どころか、まだ覚醒もしていなさそうだな……』

 

 

ブツブツと、仮面の男はつぶやく。道化師の仮面とシリアスな声色は、絶妙に合っていない。しかし、むしろ逆にそれが不気味さを演出しているような気さえしてくる。

 

 

「能力……? 何の話だ……?」

『知らないなら、いい。とりあえず、当面はお前の持っているその銃を壊せば、どうにかなるだろう』

 

 

仮面の男はそう言って、2人組の男の方へ足を運ぶ。より正確に言うならば、男の持っているその銃を狙って。

 

 

「能力だとか覚醒だとか、よく分からないことをブツブツと………でもやっぱり、何か知ってるみたいね………。駿、あの男、その銃を狙ってるみたい……。多分、その銃も何か関係して…」

『銃そのものには大きな意味はない。肝心なのは、お前がその銃を持っている、ということだ。いや、より正確に言うならば、お前がその銃を手に入れたその経緯が、か。………喋りすぎもよくないな』

 

 

言って、男は瞬時に2人組の男の方ーーー駿の背後に回る。

 

 

「なっ」

『この銃はこちらで預かっておく。いや、今この場で壊してしまおうか』

 

 

男はそう言って、駿の持っていた銃を、()()で握りつぶし、破壊する。

駿の持っていた銃は、一瞬で鉄のスクラップと化してしまっていた。

 

 

「なんだよ、それ……お前、一体……」

『これでお前達を守るものは無くなった。このままここにいれば、さっきの触手にやられることになるが…………』

 

 

実際には、あの触手は武器を持っていない相手には危害を加えることはないのだが。

しかし、そんなことはこの2人組が知るはずもない。

 

 

「……っ、逃げるしか、ないか」

「貴方は、一体何者なの? 何を知っているの?」

 

 

2人は、ゆっくり後退しつつも、女の方が仮面の男へ質問を投げかける。

そして、そんな質問に、仮面の男は、どうやら律儀に答えてくれるようだ。

 

 

『何者、か。さっきの触手に、近い存在。今はそうではないが、いずれそうなる存在、そうだな、触手のことは、怪異とでも呼ぶとしよう。そう、俺はそれに近い。そして、俺の知っていることはただ一つ』

「……………一つ、だけ?」

『怪異は、人に害を為す。怪異は、そこにいるだけで、周囲の人々を不幸にする。つまり、人間にとって怪異は、いてはならない存在だ』

「それに近いって、お前は………」

 

 

2人組の男の方、駿は、仮面の男に対して、少し悲しい存在なのだろうかと、そう感じる。

 

 

だって、仮面の男の口調は、まるで自分を下げるような……怪異と近しい存在となってしまうことが、嫌であると、そう主張しているような気がしたから。

 

 

それでいて、まるで、怪異のことを2人に、駿に始末してほしいと、お願いしているようにも聞き取れた。もし、自分が怪異になってしまった時のことも含めて。

 

 

しかし、そうだとしたら、さっき駿が持っていた銃を破壊したことに、どう説明をすれば良いのかわからなくなる。結局、駿には男の真意を読み取ることは出来なさそうだった。

 

 

『これ以上話すことはない。さっさと失せろ。そのうちお前とは、殺し合う関係になるだろうからな』

 

 

仮面の男はぶっきらぼうに、2人にそう告げる。

2人組は、仮面の男に言われた通りに、その場から去っていく。

 

 

『本当は、取り上げない方が良かったけど………でも、俺は、薬が欲しいから……仕方ない………仕方なかったんだ……』

 

 

そんな男のつぶやきを聞いたのは、感情のない、ただそこに存在しているだけの、醜い怪異(触手)だけだった。

 

 

 

〜☆〜

 

 

 

「さっきの男、一体何者なのかしら………」

 

 

先程の2人組の内の1人、女の方、北海 道(きたうみ しるべ)はそうつぶやく。

彼女は、近所の高校、曇坂(くもりざか)列島高等学校の生徒会長をやっており、現在は、謎の怪物、仮面の男が言うには怪異と呼ばれる、その存在を追っている。

 

 

「怪異、か………あの男、自分のこと、さっきの触手みたいな怪物に近い存在だって言ってたよな……」

「何か知ってるのはそうなんだろうけど………」

 

 

2人は、仮面の男のことを考察してみる。しかし、判断材料が少なすぎて、結論を出すことができない。

 

 

「ていうか、あの銃がなかったら、私達、怪異、だっけ、それを追うのも厳しくなってくるわ」

「素直に警察に………って、悪戯だと思われて終わるか………。困ったな」

「まあ、見なかったことにする。っていうのが1番楽だけど、ね………。でも、それは嫌なんでしょ?」

「そう、だな。単純に知的好奇心がくすぶられるってのもあるかもしれないけど、もし怪異が人に危害を加えるなら、その被害はなくしたいしな」

「ただ、現状だと動けないから、暫くは様子見、かしらね」

「……そうなるな」

 

 

結局、特に何かアイデアを生み出せたわけでもなく。

そのまま2人は、帰宅することになった。




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