ようこそ選択肢に振り回される人生へ   作:らら

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綾小路君の台詞と思考に違和感しかない今日この頃。
基本的に頭空っぽにして読まれた方がいいと思います。
色々あやふやなまま書いてしまっているので。



第二話 綾小路清隆は友人を得る

オレは矯正一択と言う人間の事をその日まで特別意識した事はなかった。

 

精々普段から突然叫び出したり奇行に走ったりする奴に対して「なんだコイツ」と訝しむくらいの薄い関心程度しか持ち合わせていなかったんだ。

 

ただ全くの無関心だったかと言われるとそうでもない。

 

周りの人間がここの教育に耐えきれず脱落していく中で心折れる事なく、理解不能な行動をしつつも与えられたカリキュラムを完遂し続けるソイツの精神力には一目置いていた事は確かだ。

 

ただその日のソイツの奇行には他人への関心が薄いオレだけでなく、奇行に慣れていたであろう大人どもですら注目せざるを得なかった。

 

ヤツは何の前触れもなく立ち上がったかと思うと「漢たる者強くなくてはならない!!自室に戻って筋トレしてきます!!」と言い放ったのだ。

 

当然そんな勝手を許す施設ではない。

 

抜け出そうとするヤツを必死に止めようと大人どもが行動するが「うるせえ俺はやるぞお前!!」と体のリミッターを外しているのではないかと思わせる程の凄まじいパワーで振り払い、自室へと戻っていった。

 

普段は高圧的に物を教えている奴らが慌てふためいてる姿を見るのが少し愉快だったのは秘密だ。

 

その日を皮切りにオレはヤツがどんな人間なのか少しだけ気になり始めたが、余程ハードな筋トレをしているのか何時もボロボロで目の下に隈を作り始めたヤツに話しかける機会を得られずに悶々とした日々が続いていた。

 

 

それから数日後、職員達が「矯正一択が常軌を逸したトレーニングをしている」と何やら顔を引き攣らせて話しているのを偶然目の当たりにしたオレはその真偽を確かめたいという衝動に駆られてしまった。

 

……このホワイトルームで働いている職員達がドン引きする程のトレーニング、気にならない方がおかしいだろう。

 

これはいいキッカケだと思い、その日の夜自室を抜け出しヤツが何をしているのか確認する事にした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「何とか自室を抜け出せたが…ヤツの部屋は何処だったかな」

 

そう呟きながら真っ白な廊下を練り歩いていると何やら掛け声のようなものが聞こえてくる。

 

9563っ!…9564っ!!……9565ォォォォォ!!!!

 

「......あそこだな」

 

ある種の確信を持って音の発信源へと向かっていくと扉が開けっぱなしの部屋を見つけた。

 

そしてその中を見てオレは驚愕した。いや、驚愕せざるを得なかった。

 

なぜなら、

 

「9566ゥ!!…9567ァ!!……ああああァァァァァァァもおヤメてえよおおおぉぉぉぉ !!!!9568ィ!!(泣声)」

 

オレの目の前には大粒の涙と大量の鼻水を流しながらも腹筋を続ける矯正一択の姿があったからだ。

 

その姿にオレは思わず話しかけていた。

 

「なあそれ…いつもどの位やってるんだ?」

 

「9569ゥ!!…あァ!?誰だお前!?応援でもしに来てくれたのか!?ありがとよ!!9570ゥ!!」

 

「悪いがそうじゃない。…矯正一択が常軌を逸したトレーニングをしているって噂を聞いてな。その真偽を確かめに来た。実際どれくらいやってるんだ?」

 

言葉通りの意味ならコイツは少なくとも毎日9000回以上は筋トレをしている事になる。

 

そんな事いくらなんでも可能なのか?オレでもやるのを躊躇うレベルだぞ。

 

「9571ィ!!…そんな事聞きに来たのか!?暇だな!!腹筋背筋腕立てスクワット毎日10000回ずつだクソッタレ!!」

 

その答えに思わず絶句してしまう。確かにこれはとても正気とは思えない。

 

普段のカリキュラムでも肉体を鍛え抜く内容の物はあるが、それにしたってここまでではない。

 

その上、この狂気の筋トレをこなしながらホワイトルーム内の厳しい教育も受けているのだから最早異常という他ない。

 

「…なんでそこまでするんだ?」

 

思わず疑問が口から零れ落ちる。

 

「9572ィ!!…漢が強くなるのに理由は要らねェ(建前)!!やめられないとまらないぃ(本音)!!」

 

その言葉に思わず驚嘆する。コイツはただ強くなりたい、その一心で涙を流すほど辛いトレーニングを続けてるというのか。

 

精神力では間違いなくオレを凌駕している存在を前に生まれて初めて戦慄という感覚を覚えたと同時に酷く高揚した。

 

……コイツとなら対等な友達というものになれるのかもしれないと。

 

「…なあそれ、オレも付き合っていいか?」

 

「9573ァンンン!!…ふぁっ!?いいのか!?ぜひっ、是非とも付き合ってくれ!!」

 

「悪いな。…1、2、3、4、5」

 

「最後までっ最後までなっ!!最後まで一緒に駆け抜けてクレメンスゥ!!約束だぜ!?」

 

「ああ。勿論だ」

 

そう返したは良いものの結局オレは4000回辺りでリタイアしてしまった。

 

これを毎日10000回、それも4種類セットでやってるコイツは間違いなく化け物だと思う。

 

オレが言うのもなんだが。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あの日以来、矯正はオレによく話しかけてくるようになった。

 

特に毎朝の挨拶は気後れするほどバリエーション豊富であんな頭のおかしい筋トレ明けでよくそんな元気でいられるなと感心するばかりだ。

 

ああほら、今日も後ろから走ってくる音が聞こえてくる。

 

「おっっっはよおおおおおぉぉぉぉ↑↑↑↑↑↑↑綾⭐︎小★路☆くんっ今日もいい朝だね☆」

 

…今日は身振り手振りも劇的な挨拶だな。

 

「…ああおはよう。今日もテンション高いな」

 

オレはいつも通りにそう返す。

 

「挨拶だけはハイテンションでいたいお年頃なんだよ」

 

「そう言うものか?」

 

「そう言うものさ」

 

いつものやり取りを終えたと思ったら矯正が急に明後日の方向へと駆け出していった。

 

コイツの奇行には慣れたつもりだったが戸惑う事には戸惑う。

 

「おい、何処行くんだ?」

 

「銀髪ロリ美少女の気配がするぜ!!全速全身DA!」

 

オレをしてその思考の欠片すら読み取れないコイツの底知れ無さは大した物だがそれでも一つ言わせて欲しい。

 

・・・何を言ってるんだ?コイツは。

 




続いてしまいました。
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