ようこそ選択肢に振り回される人生へ   作:らら

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以前書いた堀北さん視点の話を書き直しました。
前話書いたらつい書きたくなっちまって……すまねえ。




堀北鈴音は出会ってしまった

私は今日から東京都高度育成高等学校へ入学する。

 

……憧れの兄へ、追いつく為に。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ガタンガタンと走っていたバスが、バス停に止まり一時停車する。

 

何となしに入り口の方に視線を向けると、そこには同じ制服を着た男性二人組がいた。

 

席の空き的に、片方が自身の隣へと座る可能性が高い。

 

……一人でゆっくり出来るのはここまでかしらね。そんな悠長な事を考えていた私を衝撃の事態が襲う。

 

シュバっ!ストッ!!

 

「!?」  「……」

 

あとから乗り込んで来た男の方が、目にも留まらぬ速度で私の隣へと腰を下ろしたのだ。

 

思わず∑(゚Д゚)ファッ!!?だなんて情けない顔を晒してしまうくらいには驚いた。

 

……こんな顔したの、人生で初めてだわ。……誰かに見られてないでしょうね…もし見られてたら……末代までの恥よ、恨んでやるわ。

 

そんな思いを込めて、元凶である男を( ㅍ_ㅍ)ジトーっと睨み付ける。

 

すると男は突然口を開き

 

「しりとりしようぜ!!」

 

と言ってきた。

 

……いくらなんでも唐突すぎるでしょう。会話のやり方を知らないのこの人?

 

自身の事を棚に上げてそんな思考が浮かんでくる。

 

それに、私がしりとりなんて好まない人間である事くらい一目見れば分かるでしょうに……。

 

自分が他人から関わりづらい人間だと思われてるのは知ってる。ただ、それを改善するメリットがないから放置しているだけで。

 

……それとも私の事を揶揄ってるだけなのかしら……だとしたら不快ね。ええ、かなり不快。

 

「...嫌よ」

 

そう拒否の言葉を投げつけると彼は少し泣きそうな顔になりながらも、すぐさま別の話題を振ってきた。

 

……そんなにショックなの?

 

「今日はいい天気ですね」

 

……私が言うのもなんだけど、会話デッキ少なすぎないかしらこの人。

 

…少し残念な人なのかもね。……ただ頭が可笑しいだけなのかもしれないけれど。

 

「...そうね。忌々しいほどにいい天気だわ」

 

私にしては、それなりに気の利いた返しが出来たと思う。

 

彼も、なんだか凄く嬉しそうにしているし。

 

……と思ったらまた泣きそうな顔になったわね。

 

「それはそうとしりとりしようぜ!!」

 

……確定ね。この男、頭が可笑しいんだわ。

 

さっき断った事をもう忘れて……いえ、泣きそうになってるって事は私が断るって分かってるって事よね?

 

……じゃあ、やっぱりただ揶揄ってるだけなのね。間違いないわ。

 

「しつこいわよ。さっきもう断ったでしょう?そういう馴れ合いがしたいなら他でやって」

 

そうきっぱりと拒絶する。

 

だってそうでしょう?私はそんな、下らない事にかまけている暇はないもの。

 

 

……それに、私としりとりなんてしても楽しくないでしょうし。

 

「じりどり…じて…よぉ…グスッうぇぇぇぇぇぇ…」

 

!?な、何故泣くのッ!?断られるって分かってたんじゃないの!?

 

「!?ちょ、ちょっと…別に泣かなくてもいいでしょう?」

 

確かに言葉が少しキツめだったのは認めるわ。

 

けれど、出会って早々に揶揄ってくる失礼極まりない男に対しては当然の対応でしょう?寧ろ優しいくらいよ。

 

まさか、本気で言ってたわけでもあるまいし。

 

……それとも何?この男は冗談でもなんでもなく、本気で私としりとりがしたかったとでも言うの?

 

「うっ、ぐぅぅぅぅぅぅぅ……!」

 

な、なんかちょっと……何かしら、胸がモヤモヤするわね。……少しぐらい、付き合ってあげようかしら……。

 

「わ、分かった、分かったわ。しりとりしてあげるからもう泣かないでちょうだい」

 

今まで感じた事のない未知の感情に突き動かされて、私は気付けばそう返していた。

 

驚きね。私にこんな感情があるだなんて……。

 

……それにしても心底嬉しそうな表情をするn「ぬぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」

 

「!?」

 

こ、今度は一体なに!?

 

「ふぅ…じゃあしりとりのりからな」

 

スンッ…って変わったわね……不思議な人だわ……。

 

「き、切り替え早いわね。...リス」

 

やるからには負ける訳にはいかない。

 

全力で行かせて貰うわよ。

 

「小動物好きなのか?…スズメ」

 

「別に好きというほどではないわ。...雌鹿」

 

「雌鹿って...ほんとに女子高生?懐石料理」

 

……懐石料理も大概だと思うのだけれど。

 

「関係ないでしょう?...リチウム電池」

 

まだしりとりは序盤も序盤。

 

ち、から始まる言葉なんて幾らでもあると言うのに中々答えが返ってこない。

 

どうしたのかと思って見てみると、彼は血涙を流しそうな怒りに満ちた表情をしていた。

 

……ど、どうしたのかしら?リチウム電池に並々ならぬ怨みでもあるの?

 

そんな馬鹿げた思考を回していると、彼は全てを諦めたかのような顔で漸く口を開いた。

 

 

 

 

「チ○コ」

 

 

 

 

…………………………?…………………………………!?な、なにっ、えっ!?

 

 

「あ、あなたっい、いまチ、チンッ....!?」

 

こ、この男は一体何を言っているのっ!?

 

「おいどうしたんだ!?沈降だぞ?沈降!!早く答えてくれようだぞうゥ!!」

 

……ちんこ……う?……私の、聞き間違い?……その割には、やけに慌ててる様だけど……。

 

……けれど、ここで食い下がると逆に私が変態みたいな感じになりそうね……流しときましょう。

 

「あ、ああ...沈降、沈降ね...沈降?それってありなのかしら?しりとりって現象系もありなの?」

 

「まあいいじゃないか。そんなガチガチに縛らなくて──

 俺がルールだ。一々喚くなこのメスブタがァ!!」

 

……この男、やっぱり唯の変態なんじゃないかしら。

 

「……何ですって?」

 

「──なんて事をゲーム中に突然言ってくるカスが俺の地元には居てなあ…いくら相手の平静を掻き乱すための煽りとは言え、ちょっと酷すぎるとは思わないか?」

 

……会話のジェットコースターね。ちょっと何言ってるのかよく分からないわ。

 

「え、ええ…そう…ね……?」

 

最後に同意を求められたのだけは理解できたので一応そう返してはおく。……よく分からないけれど。

 

すると彼は心底申し訳なさそうな顔をしてこう言った。

 

「君が随分手強そうだから挑発してペースを乱そうと思ってやってしまいましたが、冷静に考えると女の子に吐くセリフではありませんでした。本当に誠に謹んでお詫び申し上げます。……すみませんでした」

 

……謝るくらいなら最初からやらなければ良いのに。

 

そう思った私を責められる人は世界の何処にも存在しないだろう。

 

 

ただ、私を強者と認め、それでも勝つ為に手段を選ばず実行してくる彼の在り方には少しだけ好感を覚えた。

 

……もう少し別のやり方はなかったのかとも思うけど。

 

「はぁ…もういいわ。悪意があっての言葉ではなかったみたいだし、許してあげる」

 

「……いま、なんと?」

 

「怒ってないって言ってるのよ。…伝わらなかったかしら?」

 

「…本当にいいんですの?」 

 

突然のお嬢様口調に思わず吹き出してしまいそうになる。

 

…駄目よ、堀北鈴音。これ以上恥を晒すわけにはいかないわ。

 

「っ…なによその口調」

 

平静を装って返す事に成功した。ちょっと口の端は吊り上がってしまった様な予感がするけれど……気の所為よね?

 

……やったわ。

 

「いいから早く答えろよ。しりとりの最中だぞ?(涙声)」

 

……煽り、じゃなさそうね。

 

「え、ええ。そうだったわね。…ところで、何でそんなに泣きそうな顔をしているのかしら?」

 

「気にしないでくれ…」

 

…触れてあげない方がよさそうね……スルーしてあげましょう。

 

「……最後は…沈降だったかしら?じゃあ...ウッドチップで」

 

……プリンって返して終わらせに来ても良いのよ。

 

しりとりを続けていく度に謎に磨耗してる彼を見て、思わずそんな事を考えてしまう。

 

しかし返って来た答えは、またしても私の予想の斜め上を駆け抜ける様なものだった。

 

「突然ですが問題です!ぷんぷんとプンプンどちらの方がより可愛らしいでしょうか!?実際に言って確かめてみよう!!」

 

……あ…ありのまま今起こった事を話すわ。私は今、彼としりとりをしているかと思ったらいつのまにかクイズになっていた…。

 

何を言ってるのか分からないと思うけれど、私も何が起きてるのか分からなかった……。

 

頭がどうにかなりそうね……。

 

「…いきなり何を言い出すの?よく分からないのだけれど」

 

「まあ簡単に言うとアニメとか漫画とかで『私は今怒っていますよ!』って可愛らしく伝えるための擬音みたいなもんだ。普通に怒るよりちょっと柔らかい感じするだろ?ぷんぷんだぞぷんぷん」

 

「へえ…そんな表現があるのね、知らなかったわ。…でもそれはそれとして、何故今そんな事を聞くの?」

 

いくらなんでも唐突すぎないかしら……少し、慣れてはきたけれど。

 

「それで?問題の答えは?君はどっちの方が可愛らしいと思う?」

 

「知らないわよそんなもの。…一般的な感性で言うなら、平仮名表記の方が感じる印象は柔らかいんじゃないかしら」

 

カタカナは鋭い印象がするもの、それにプンプン表記よりぷんぷん表記の方が可愛らしいんじゃない?

と付け加えようとした私を遮って彼は叫んだ。

 

「君がぷんぷんって言ってくれなきゃ俺は死ぬゥ!!」

 

……どうしたの急に。

 

「……言わないわよ。そんな馬鹿げた言葉」

 

「でもダメなんだよ…たとえこの言葉がどれほどのバカでもっ!どんな理由を並べても!!それでぷんぷんって言って貰えない事にはならねェだろォが!!」

 

「あなたさっきから何を言っているの!?」

 

なんでそんな強迫観念に駆られた様な表情でこんな馬鹿げた事を頼んでくるの!?

 

何があなたを突き動かしてるのっ!?

 

「……頼む」

 

…くっ……何よその捨てられた子犬みたいな目はっ!断ったらまた泣いちゃいそうだしぷんぷんくらい言ってあげた方がいいのかしら……。

 

いえ、待ちなさい?何故私はこんな要求を受ける前提で思考を進めてるの?駄目ね、この人と話しているとペースが崩れるわ……。

 

自分を取り戻すのよ堀北鈴音。普段の私だったらどうするのか……簡単な問題でしょう?

 

ぷんぷんなんて馬鹿みたいな言葉、絶対言ってやらな…やらな……やらな…………ああもうっ!

 

「……仕方ないわね。一回だけよ?」

 

ついそう返してしまった自分自身に一番驚く。

 

……どうしたの私。まあいいわ、適当にやって上げれば満足するでしょう。

 

「…え!?いいんですの!?」

 

しかしそれを聞いた彼の溢れんばかりの嬉しそうな瞳を見て、かなり期待されている事を理解する。

 

……本気でやるしかないみたいね。

 

「……ぷ、ぷんぷんっ…ほら、これで満足でしょう?」

 

生まれて初めてこんな馬鹿げた言葉を口にした私の顔は、若干の羞恥心で紅く染まってしまった。

 

……物凄く恥ずかしいわねこれ。二度とやらないわ。

 

そんな決意を固めるほど頑張って言葉を振り絞った私に対して彼は「あっ、はい」と乾いた返事を返して来た。

 

……嘘でしょう?

 

「……ちょっと、人にこんな事言わせておいてその反応はいくら何でも失礼だと思うのだけれど?」

 

私結構頑張ったのよ?

 

「いや、君だったらもっと素晴らしいぷんぷんを披露してくれると思ったんだけどな…どうやら期待外れみたいで俺はそう、がっかりしたんだ。いやなに、無理を言ってすまなかったな。人間誰しも得手不得手があるものだよ」

 

…期待外れ……ね……言ってくれるじゃない……。

 

「何ですって?…それはこの私に対する挑発と見做してもいいのかしら?」

 

「挑発もなにもただ無理なものを無理と言っているだけだが?でもそうだな…君がもっと感情を込めたぷんぷんを披露してくれるなら俺が間違っていたと判断し、誠心誠意謝罪しようじゃないか。……無理だと思うがね」

 

………………この怒りを擬音に変えればいいのかしら。ぷんぷんどころじゃない気もするけど。

 

「…いいわ。その挑戦、受けて立ってあげる。そこまで言われて大人しく引き下がるほど私は優しくないの。後悔しないことね」

 

「では魅せてもらおうか、君の最高の演舞を!!」

 

「望むところよ。…ぷ、ぷんぷんっ……!」

 

どう!?

 

「声が小さいっ!」

 

バス内だもの!仕方ないでしょうっ!?

 

「なっ…ぷんぷんっ……!」

 

今度はっ!?

 

「思い切りが足りないっ!!」

 

なによそれ!!

 

「くっ…ぷんぷんっ…!!」

 

今度こそ!!

 

「もっとォ!熱くなれよォ!!」

 

「っ…ぷんぷんっ( `Д´)ノ!!」

 

過去最高の出来よ!!

 

「wonderful!!」

 

 

……私、何をやっているのかしらね……。

 

 

 

「しゅき♡」

 

「……気色が悪いわ」

 

「悪い。あまりに高レベルな物を見せられて語彙力が消滅したみたいですの。

……あとさっきは散々煽り散らして本当に悪かった、誠に申し訳ございませんでした!」

 

……そう言えば私がちゃんと感情を込めたぷんぷんを披露すれば謝罪するって言ってたわね。

 

…有言実行出来る人は嫌いじゃないわよ?

 

「ふっ…あなた、私と出会ってからずっと謝ってばかりね?」

 

思わず笑みを浮かべてそう返す。

 

「息するみたいに謝罪案件がぽんぽん湧いてくるからな…いやほんとに」

 

「もう少し考えて喋ったらどうなの?」

 

「それが出来たら苦労しないさ…思ったこと全部口に出ちまうんだ」

 

……言葉を飾らないって所は私と同じなのかもね。

 

流石にここまでではないけれど。

 

「そう。難儀な性格ね」

 

「それはそうと俺たち何の話してたんだっけ?……ウッドチップ?話が脱線しすぎてもうわけわかんねえよ…」

 

……しりとり……してたんだったわね……私たち。

 

「そう言えばまだしりとりの途中だったわね。…あなたが急に関係ない路線に突き進んで行くからすっかり迷子になってしまったわ」

 

そんな馬鹿げたやり取りをしていた私達だけど、彼に『君の名前を教えてほしい』と言われ、そう言えばまだお互いの苗字すら知らなかった事に気付かされた。

 

……名前も知らない人間とこんな事をしていたのね、と妙な状況に少しだけ笑みが溢れてしまう。

 

「私は堀北鈴音よ。あなたは?」

 

相手の名前に興味が湧き、知りたいと思ったのはこの日が初めてかもしれない。

 

「矯正一択(きょうせいいったく)だ。よろしくな、堀北」

 

……矯正、一択……なんだかとてもしっくり来るわね。

 

「ええ。よろしく、矯正くん」

 

ただやはり彼は、矯正くんは普通に自己紹介を終えることが出来ないらしい。

 

「たっくんでお願いします」

 

……距離感バグってるのかしらこの人。

 

「…聞かなかったことにしてあげるわ。''矯正''くん」

 

……呼ぶにしてもせめてもう少し距離を縮めてからでしょう。

 

私達まだ出会って1時間も経ってないのよ?

 

……体感的にはかなり濃いけどね。

 

「連絡先交換しようぜ!!」

 

「連絡先?…ああ、電話番号の事ね?確かに、何となくだけど長い付き合いになりそうだし、交換しておいて損はないかもしれないわね」

 

そうして携帯を取り出していると、了承の意を伝えたにも関わらず何故か矯正くんは「やだやだー!!連絡先交換してよぉー!!」

と泣きついてきた。

 

「え、えぇ?…だから、別にしてあげると言っているでしょう?泣かないでちょうだい」

 

「ありがどお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛(小声)」

 

「!?ちょ、ちょっと!な、泣かないで…ほら、私の電話番号よ」

 

…きょ、矯正くんの涙は私の弱点になりそうね……。

 

「ママ!ママ!!」

 

「……流石に怒るわよ?あと気持ち悪いわ」

 

私は矯正くんのママじゃないわよ?なんて考えていると、彼は席に座れなくて困っている老婆の方を見て、

不意にこんな事を言ってきた。

 

「いやね?別に普段だったら喜んで譲ってるよ?でもね?今俺の隣には堀北鈴音さんが居るの。

唐突な奇行を見せられても会話を打ち切らず付き合ってくれる凄く優しい子が居るの。

ここまで最高に楽しかったの。会話たのちぃ。

つまり俺はもっと堀北と話したい。

だってこれ逃したらこの先俺と仲良くしてくれる女の子なんて存在しなさそうなんだもの!!

それはNO!男心的にNO!!ましてやこの矯正一択が歩む青春の道に置いてはなあ!!

だからすまん!老婆よ!!俺の青春の為の尊い犠牲になってくれ!!

……クズ?なんとでもいえ!!俺はこの道を進み続けるぞ!!」

 

言葉の意味を飲み込むまで少し時間がかかったけど、要は私と一緒に居るのがとても楽しいという事らしい。

 

……と、突拍子もなく何を言い出すのかしら?この男は。

 

「っ…….そ、そう。いきなり何を言い始めたかと思いきや物好きね、あなたも。

 私に話しかけても面白くないわよ?」

 

何とか動揺を押し殺して平然と返す事に成功する。

 

「凄い楽しかったけどな。迷惑じゃなければこれからも仲良くしてくれると俺は大変嬉しいです」

 

…感情をダイレクトに伝えられるのって物凄くむず痒いのね……。

 

「……考えておくわ」

 

「前向きに?」

 

「ええ。前向きに検討して善処するから安心して」

 

「それやらないやつじゃん…」

 

「くすっ…どうかしらね?」

 

撃てば響くように帰ってくる彼との会話は非常に心地が良い。この時間がもっと続いて欲しい、そんな思いを気付けば抱いていた。

 

しかしその時間は矯正くんが突然「馬鹿野郎お前!!俺は譲るぞお前!!」と老婆に席を譲った事で終わりを迎える事になる。

 

 

 

………私に相談もせず、勝手に席を譲るのね。……納得いく説明がされるまで無視してやろうかしら。

 

私は今怒ってるわよ?ぷんぷんよぷんぷんっ!!

 




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