ようこそ選択肢に振り回される人生へ   作:らら

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今回凄い読みにくいかもしれないです。有栖ちゃん視点難しすぎィ...
あ、独自解釈のオンパレードです。自分だけの有栖ちゃん像を崩したくない人は読まない方がいいかもしれませんね。



第七話 坂柳有栖は証明したい

私、坂柳有栖は自他共に認める紛れもない天才であり、誰に聞いてもその評価は覆る事はないでしょう。

 

故に私は物心つく頃には既に、人は持って生まれた才能以上の力を発揮する事はできないと言う事を直感的に理解していました。

 

その考えを直感ではなく、理論として自身に落とし込んだのは何時だったでしょうか。

少なくともそう離れてはいなかったはずです。

 

そんな私に父は人工的に天才を作り上げる施設があるが、見学に行ってみないかと訪ねてきました。

 

私の理念と相反する施設であり、そのプロジェクト自体にも興味が湧いたので了承しついて行くことにしました。

 

これが一度目の人生の転換期。そこで私は自身に勝るとも劣らない天才に至る可能性を秘めた子供、綾小路清隆を目にしました。

 

与えられた課題やチェスを難なくこなす少年を見て、私は焦りにも似た何かを抱かざるを得ませんでした。

 

なぜならその姿は厳しい教育を乗り越えればDNAに刻まれた能力以上の力を発揮できる事を如実に語っているように見えたからです。

 

...私の理念が間違っている?......違う、そんな事は認められません。

 

天才とは教育で決まるものではなく、生まれた瞬間に決まっているものだと証明しなければならないと彼に会って私は強く思いました。

 

いずれ後天的な天才の最高傑作に至るであろう彼を生まれながらの天才である私が打ち倒す。

そんな未来を夢想すると、不思議と心が躍る気がしていたのを覚えています。

 

 

それから暫く時が経ち、彼との対決に備えて戦略を練っていた私に再び父が見学へと誘ってきました。

 

来るべき日が来るまで綾小路清隆には会わない、そう考えていた私にとってこの誘いは乗る価値のないものだった筈です。

 

しかし私はこの日、何故か父の誘いを了承しました。

 

今思い出してもなぜ行くことにしたのか、はっきりした事は分かりません。

 

ですが敢えて言葉を濁さずに言うのなら...予感がしたのです。

初めてホワイトルームに見学へ行った時の様に私の人生を大きく変えるナニカと出会う予感が。

 

...こんな非論理的な物に頼り行動するなど普段の私からしたら考えられませんが、結果的にはその予感に従って良かったと考えています。

 

そこで私はある少年と出会い、二度目の人生の転換期を迎えることになりました。

 

当時の事を思い出すと...ふふっ、少し恥ずかしいですが、あの時の心情を皆さんにも知って貰いたいですね。

 

あれはそう、私が父を頑強な鉄扉で閉ざされた部屋で待っていた時のこと────

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

何やら予感めいた物を感じ、二度目のホワイトルーム見学に訪れた私は今猛烈に

 

「......暇ですね」

 

そう、暇を持て余していました。

 

「...大体なぜこんな朝早くに訪問するんですか、此処ですらまだ何も始まってませんよ」

 

到着するなり父に「しばらくこの部屋で待っていなさい」と放置された私が思わず愚痴を溢すぐらいには暇を感じています。

 

おまけに何か私にとって重要な事が起こるのではと期待感もあった為、その落差でより退屈と言う毒を感じていました。

 

「...面白い事でも起きないでしょうか」

 

その発言がきっかけとなったのか、突然鉄扉の外からうぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!と雄叫びの様な物が聞こえてくる気がしました。

 

「?何でしょうか...?」

 

音の方向に目を向け、その現象に耳を澄ました次の瞬間────

 

ドゴォォォォン!と金属が物理的な力に耐えきれず、吹き飛ばされる凄まじい轟音が部屋の中に響き渡りました。

 

...信じ難いことに鉄扉が破壊された瞬間、その方向を注視していた私の目には人間が蹴り壊している様に映りました。

 

.....正直私はその時、人生で初めて心の底から恐怖という感情を覚えていました。

 

私には先天的な疾患があり、杖無しでは歩く事すら満足にできません。

にも関わらずこんな事を恐らくは素手でやってのけるナニモノかと同一空間に居る。

 

それがどれほどの恐怖かあなたには想像できるでしょうか?

 

ですから私はせめてもの抵抗として、もうもうと舞う粉塵の中から出てくるその人間を精一杯警戒していました。

 

だからこそ、その人が私の事を注視してこちらに歩み寄ってくる事に気付いてしまい、何をされるのかと思わず身構えてしまった私にその男は口を開いてこう言いました。

 

 

「フッ、我の名前は矯正一択。キミに会いたくて、そしてキミと言う運命を感じて飛んで来た!!可憐なる銀の少女よ!!名前を教えて貰ってもいいだろうか!?」

 

その名乗りが余りにも馬鹿馬鹿しく荒唐無稽で、怯えていた自分自身に羞恥を感じ、私は思わずこう返していました。

 

 

「……馬鹿なんですか?貴方は」

 

と。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

その後、それを聞いた彼が泣き叫んだり、とても面白くないギャグを言ったりと色々ありましたが、この時既に矯正一択は私の中で恐怖の対象ではなく、逆に興味をそそられる対象へと変わっていました。

 

それはあの、人とは思えない身体能力を見せつけてきた事にも起因しますがそれ以上に、私に対してこれほど砕けた態度で接してくる人は初めてだったのでその事に凄く新鮮味を感じ、またこの私をしてその思考の奥底を読み取れない奇抜さにもとても興味をそそられました。

 

しかし彼からは肉体面ではともかく、頭脳面での才覚は感じられなかったので、それに関しては残念と言わざるを得ませんでした。

 

そうして矯正くんを観察していると、私の宿敵たる人物が現れました。

 

「!!あなたは......綾小路...清隆」

 

思わずその名を呟いてしまいましたが、あろう事か彼は私の事を銀髪ロリ美少女なる蔑称で呼んだではありませんか。

 

美少女はまあいいです。銀髪というのも特徴を捉えているので許しましょう。 

但しロリは、ロリは駄目です。

 

その表現だけは断じて許せません。

確かに私は少女ではありますが、その単語には何となく、"小さい"という別の意味が含まれている気がするので大変不快です。 

あと響きがあまりにも間抜けすぎますし。

 

その思いを込めて彼に「銀髪…ロリ美少女?何ですかそれは?…まさか私を示した名称ではないですよね?」と若干睨んで聞き返しました。

 

それに対して彼は「そこで突っ立てるソイツに聞いてくれ」と返してきました。 

 

...やはりこの呼び名は矯正くんが考えたみたいです。

 

まだ出会って数分ですが、矯正くんが底無しの馬鹿だと言う事は十分に分かっていたので、それに対して問い詰めてもしょうがないと寛大な心で見逃してあげる事にしました。

 

馬鹿すぎて思考が読み取れないレベルの馬鹿なので。

 

そうして綾小路くんと言葉の応酬を楽しんでいるとまた突拍子もなく矯正くんが「連絡先交換しようぜ!!」と割り込んできました。

 

脊髄反射で思わずいやですと答えてしまいましたが、本当はそこまで嫌な訳では有りませんでしたよ?...携帯機器を持ってないのに交換しようとしたその支離滅裂っぷりには驚きましたが。    

 

しかし、この後の気持ち悪すぎる行動に比べたら今までの奇行などただの序章に過ぎなかったのだと私は理解させられました。

 

矯正くんはあろう事か綾小路くんに抱き着き泣き喚きながら「やだやだやだー!!有栖お姉ちゃん僕とチェスしてよぉー!!」と繰り返し続けていました。

 

流石に気持ち悪すぎたので素直に「気持ち悪い」と言ったら何やらショックを受けていた様でしたが自業自得なので関係ありません。

 

...有栖お姉ちゃんではなく有栖お姉様であったらまだマシだったと思いますが。

 

ですがそんな私を尻目に綾小路くんは「矯正のこの行動には意味がある」などととても正気とは思えない事を口走っていました。...いえ、普通にないと思いますが。この時まで私はまだ冷静でした。

 

彼の次の言葉を聞くまでは。

 

「フッ...さすが綾小路慧眼だな。それに引き換え坂柳...お前は俺の真意を見抜けなかった様で俺はそう、がっかりしたんだ」

 

 

 

....................はい?聞き間違いでしょうか?「......今、何と?」

 

 

「その程度の観察眼でよくもまあ俺にチェスで100%勝てると息巻いたものだと感心していると言っているのだよ。その気になっているお前の姿がお笑いだったぜ」

 

挑発される、と言う生まれて初めての経験。

 

それを得て私は自身が負けず嫌いである事に気付きました。

 

思わずムキになり「挑発には死を持ってお返し致します」と言ってしまうくらいにはイラッと来ていました。

 

矯正くんに出会ってから私は色々な初めてを経験していますね。

 

それはそれとして絶対に必ずぼっこぼこにしてあげますけど!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

勝負は私の圧勝かと思いきや、予想以上に拮抗しました。

 

と言うのもゲームが始まった瞬間に彼の雰囲気...いえ、在り方そのものが変わってしまったと言われた方が納得できる程の豹変っぷりで、私のチェスに食らいついてきたからです。

 

ですが、それでも私には及ばず最後には

 

「……チェックメイト、です」

 

問題なく勝利する事が出来ました。...この時の矯正くんの顔(^ω^)?が不意打ちすぎて思わず吹き出してしまったのは一生の恥です。

 

...ふっ...だ、駄目です思い出したらまたっ...んふっ、んふふっ......っ。

 

ふぅ...まあ、この後の捨て台詞で私はまた怒り狂うんですけどね。

 

なんですかチビって、チビって言う方がチビなんですよ。ふんっ

 

......しかしここで矯正くんが立ち去った事で、私は計らずとも綾小路くんと対面で話す機会が得られました。

 

...本来であれば私の持論は私の中だけで完結し、他者に伝える気などなかったのですが、私の理念に真っ向から反する存在である矯正くんのことを考えると、何故あんな化け物が生まれてしまったのか問い詰めずにはいられませんでした。

 

「綾小路くん、突然ですが私は人はDNAに刻まれた以上の能力を発揮する事は出来ず、生まれた瞬間にその人が発揮できるポテンシャルは決まっていると考えています」

 

「...本当に突然だな。だがそれはまたここの存在価値を真っ向から否定する様な考え方だな?」

 

「はい。ですので私はここの最高傑作となるだろうあなたを打ち倒すことにより、後付けの天才など存在しないと証明するつもりでした。…しかし彼のあの身体能力、あれは一体何の冗談ですか?」

 

「……」

 

「何時の時代、そしてどんな環境でも人はその身一つで鉄を破壊する事など出来ません。 人と言う生き物はそんな事が出来る様に作られてはいないからです。だからこそ人は鉄を融解する機械を作り、それを自由に扱えるようにしました。にも関わらず彼は道具を用いず、己の力のみで鉄扉を破壊しました。…念の為に聞いておきますがここの教育はあんな事が可能になるナニカを施しているのですか?」

 

「いや...そんなカリキュラムは存在していない」

 

「ですよね。では、彼は一体何をしてあそこまでの力を得たのでしょう?」

 

「......筋トレだ」

 

「......はい?筋トレ...ですか?」

 

「ああ。一日のカリキュラムを終えた後、矯正は独自に筋トレを行なっている。あの身体能力の源泉は恐らくそれだろう」

 

「......参考までに内容をお聞きしても?」

 

「...腹筋背筋腕立てスクワット毎晩10000回だ」

 

「...それは本当ですか?俄には信じ難いのですが」

 

「紛れもない真実だ。オレはあいつの最も恐ろしい所はその精神力にあると思っている。どれほど苦難なトレーニングでも乗り越える事が出来る故に限界がない。……今日は坂柳にチェスで敗北したみたいだが、努力型の天才であるあいつに次も同じ様に勝てると思わないことだな。

 …… 次戦が有るとすれば、成長した矯正におまえはボコボコにされるだろう」

 

「...なるほど、ふふっ」

 

そこまで聞いて私は思わず笑みを溢してしまいました。

だってそうでしょう?

 

片や厳しい教育を乗り越え後天的な天才へと至る者、綾小路清隆。

片や常軌を逸した努力により人の枠を越えようとする者、矯正一択。

 

この二人を完膚無きまでに打ち負かした時、私の理念はかつてないほど完璧に証明されるのですから。

 

ああ、いつか来るその日がとても待ち遠しいです。

 

矯正くん、綾小路くん。

 

 

 

...私の事を小さいと侮辱した矯正くんには個人的な恨みもありますけどねっ。一生忘れませんから!




次回一気に時間飛ばして原作突入します。

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