腕の良いアホトレとモブウマ娘 作:リボガンに恨みを抱く物
この私の走りは自慢じゃないが速い。
だがしかし、自慢の足は全力を出せばそれだけで壊れるようなガラスの足だった。
ただ全力でターフを駆け、風を感じ、高揚感の任せるままにゴールへと向かう。
多くのウマ娘が当たり前にこなしている事が私にはできなかった。
それでも走る事は諦められなかった。
だってそうだろう?
見た目は人と同じ、しかし筋力はその数倍、この脅威の肉体が何処まで行けるのかという浪漫を追求しないなんて事は私にはできなかったのだ。
さらにいえば私には走る才能があった。
この脆い足は、壊れないようにと7割程度の力に抑えた走りですら他のウマ娘を圧倒できたのだ。
走る喜び、風を切る快感、何処までもいけるような熱に浮かされて何も考えずに走る。
この足でウマ娘の限界まで到達したいと強く願った。
しかし内心無理である事は自分でもわかっていた。
御自慢の脆い足では厳しいレースを三年に渡って戦い続ける事は無理であると。
全力も出せず、今にも壊れそうな、か細い私の足。
それでも想いを捨てきれず、私はトレセン学園に入学をした。
やはりというべきか、トレセン学園ではまったくうまくいかない日々が続いた。
トゥインクルシリーズで走るにはトレーナーが必要だ。
その為に必要なトレーナーにアピールする為の模擬レースには私はほとんど出走できなかった。
何処までも足の問題が付き纏う。
調子の良い時でないとまともに走れないのだ。
そういう時私は模擬レースをさぼり研究をして過ごした。
調子が上がらず模擬レースをさぼる。
研究に没頭しては睡眠不足や不摂生により調子が下がる。
また模擬レースに出られず研究に没頭する。
そうして何の進展もないまま季節が過ぎれば模擬レースにも出ない。
研究で迷惑を掛け続ける。
トゥインクルシリーズに興味のない問題児が出来上がるわけだ、傑作だねぇ。
しかしその頃にはもう諦めが自分を支配していたわけさ。
いくら方法を探しても、この脆い足をどうにかする方法等やはり見つからなかったのだから。
自分でトゥインクルシリーズを走るのは無理だというネガティブな考えばかりになってしまってねぇ。
自暴自棄になった私は他人を実験と称して巻き込んでみたり、手に入れた試薬で教室を黒焦げにしたりとバカな事を繰り返したものだ。
ついにはそういった素行の悪さから退学の話が持ち上がり、仕方ないという思いと、自分の夢が終わるという悲しさと、少しばかりの解放感というごちゃ混ぜになった感情を味わっていた時。
そんな時に、偶然トレーニングをしているマーチ君とトレーナーを見つけたのだよ。
朝にふと坂路を見ればトレーニングしている子がいた。
同じ顔を夜にも見る、朝と同じトレーニングをまだこなしてる。
毎日毎日、いつもずっとトレーニングをしている。
普通なら故障確実なメニューだ、勝ちたいが為に無理なメニューに手をだし故障する子は残念ながら多い、あの子もそうだろうと思っていたのさ。
でもね、次の日も、その次の日も、その子は毎日狂気的なメニューをこなしていく、終ぞ壊れる事なく、その肉体は日を追う毎に洗練され、美しく、力強くなっていく。
そしてホープフルステークスで花開いたその走りは、走りこそは、まるで私が追い求めていたウマ娘の可能性の…
あまりに自身の常識で測れない事ばかりだったよ。
彼女は何故壊れないのか、彼女は何故あんなにも強いのか、彼女は何故、何故、何故、何故…
疑問だけが増えていく、理解ができない事ばかりで考えても考えても答えに辿り着けそうになかったのさ。
そんな時に掲示板に張られた一枚の紙、体験入部者募集中の紙を見て、私はすぐに向かう事に決めたわけさ、答え合わせの時間が来たのだと信じてね。
そのうち気がむいたら推敲して口調を直します…多分。