腕の良いアホトレとモブウマ娘 作:リボガンに恨みを抱く物
「シャカールさんはとても頭が良い子です、ですが正しい事だけが真実になるわけではないと理解できないようです」
子供の頃から理解できない奴として扱われた、俺は異常で間違っている存在だった。
同じ言葉を使っているのに誰とも話が通じなかった、そのうち会話というのが面倒になり誰とも話をしなくなった。
そんな時PCと出会った、其処で使われるプログラミングってヤツは唯一意思疎通ができる言語だった、そうしてPCにのめり込んでいった。
そうして作り上げたparcaeは最高だった、正しいデータを入力すれば正しい答えを導き出す俺の相棒、データを食わせる程に精度は高まっていく。
「教官の話も聞かない、協調性もない、独善的でエゴイスティックで、だけど…ヤツは勝つから凄い」
有象無象が発するうるセェノイズを全部無視してparcaeの力で模擬レースを勝っていく。
最高の気分だった、うるさいヤツにも勝者には口を閉ざしノイズは消えた。
誰も口出しができない程に勝ってやればウルセェノイズも全て消えて世界中の人間が俺を認めるはずだと思った。
俺にはそれが出来るはずだ、そう信じていたし、そうなるように行動もしていた。
だがしかし、ホープフルステークスを見た時に俺の考えは甘かったと思い知らされた。
ホープフルステークスのデータをparcaeに入力、演算をする、自分があの場にいたら勝てていたか?何度演算してもparcaeから出力される答えは惨敗だった。
G1クラスのレースでは出場しても惨敗するという演算。
プログラム自体が間違っているなんて事は無い、全て完璧だ、だから俺は絶対に勝てない。
parcaeの答えが揺らぐのを期待して過剰なトレーニングをしたり模擬レースで経験を積んでみるが答えは変わらない。
結局俺は勝てないのかよ。
そうして足踏みをしている時、タキオンから論文の入ったUSBを渡された、あのリボンマーチを指導しているトレーナーの書いた物だ。
「余白や余剰にこそ可能性は隠されていると私は思うんだよ、君がどう思うかはしらないがね」
そう意味深な事を言ってUSBを置いていった。
中身を見てみれば何の事はない内容だった、トレーニング理論やアスリート向けの栄養管理手法といったトレーナー業務に関する内容を如何にしてこなすかを現実的な側面から理論立てて非常に詳しく書いてあるだけの論文だった。
見るべき所が無いとは言わねぇが、其処まで凄い内容でもない。
何日かに分けてようやく読み切ったなと一息いてその日は眠りについた。
いつも通りの鬱屈した日々が戻ってきた、論文を読んでいる間はそういう事も考えなかったが暇になるとあまり良い考えが浮かばない。
何もしないよりかはマシかと思いparcaeに食わせるデータを取りに行く事にする、偶然練習しているリボンマーチを見つける事ができたのでデータを収集する事にした。
データは異常値を記録した、トレーニングの負荷は意味がわからない数値を叩き出している。
それだけのトレーニングをすれば故障するはずだ、何故アイツは平然としている?
耐えられるのには何か理由があるはずだ、故障しない理由が…。
そうして考えて、考えて考え抜いて、ある時ふっと気づきを得る。
前提が違げぇんだ。
普通トレーニングっていうのはすればするだけ故障に近づいていく、足ってのは消耗品だから過剰なトレーニングをすれば当然骨折したり管骨骨膜炎を発症したりして走れなくなる。
だから普通は低負荷で効率よく消耗せず鍛えられるトレーニングをするのが前提になる、低負荷のトレーニングを効率よくこなしたとしても三年が終わる頃にはボロボロの足になっているのが普通だ、みんなそれを騙し騙し誤魔化して走ってる。
だが逆にリボンマーチは過剰なトレーニングに身を置く事でこそ故障から遠ざかってんだ。
過剰なトレーニングをする一方、完璧な食事や疲労回復の手法を取る事によってアイツの体はより強い負荷に耐えられる体に作り替えられてる。
強靭な骨格に引き締められた筋肉の鎧、それに化け物みたいな体幹、それらすべてを意図的に作り上げてさらに強度の高いトレーニングをこなす。
それを繰り返して壊れていく体とは真逆、無敵の肉体を作り出してやがった。
余白や余剰にこそ可能性は隠されている、論文の中身も価値ある物だったがそれ以上に論文に書かれていない前提こそが大事だったって事かよ。
しょうがない、仕方ないという論調でウマ娘が日々のトレーニングで磨り減っていく現代、コイツを書いたトレーナーはどんな気分で書き上げたんだろうな?
今までのやり方が気に入らねぇのか、世間を見返してやりたかったのか?
今までの常識と違う事をしてれば必ず理解できない奴、異常で間違っているという扱いを受けるはずだ。
そうまでしてリボンマーチを走らせる理由ってのはなんだ?
この論文のトレーナーも俺と一緒なんだろうか?有象無象が発するうるセェノイズを全部無視して成し遂げたのか?
一体それはどんな気分だったんだろうな、気持ちよかったのか?それともざまあみろって感じだったのか。
parcaeに新しいデータを食わせていく、今日気づいた全ての事を流し込む。
そうして新しく作り上げたデータを元に演算をしていけば、俺の望んでいる結果が出力された。
ごめんなさい続きはありません
広告を消去する為に3か月に一度くらい投稿すると思います
クオリティは下がりますごめんなさい