腕の良いアホトレとモブウマ娘 作:リボガンに恨みを抱く物
最近フランスのトレセンに一人の留学生がやってきた。
日本から来たその留学生は凱旋門賞に挑戦する為の事前調整にやってきたらしい。
しかし欧州のレースに一人で来るとは日本人は相変わらず何もわかってない。
こっちのレースは団体戦で日本の個人戦レースとは違うというのにまったくご苦労なことだ。
風除けもペースメーカーも壁も護衛も無しに一人で走ったとして勝てるわけないってのに日本人には馬鹿なやつらしかいない。
せせら笑ってやろうと練習を見に行けば坂路を走る一人のウマ娘がいた。
無駄な努力をしているね?欧州で走るならこっちに合わせたチーム戦の練習でもすればいいのに坂路なんて走っている。
でもしょうがないか!日本から来た子は一人だけだ、これじゃあチームなんて組みようがない!
レース場でもトレーニング施設でも一人ぼっちのアジア人!ああなんて惨めなんだろう!
私がニヤニヤしながら練習を見ていると彼女は午前中でトレーニングを終了してしまった。
アジア人は珍しいから練習場でジロジロ見られて恥ずかしくなってしまったのかな?
でも恥ずかしがってトレーニングを止めてしまったらいつまでも強くなれやしないよ、まったくアジア人のやつらはダメだな!
周りのアジア人への反応を見る為に辺りを観察してみる。
何かに驚愕していたり耳を引き絞ってる子が多い、普段みないタイプの子に警戒心を抱いているのかな?そう思って話を聞いてみる。
そう、今いたあの子だ、彼女のトレーニングはどんな感じだったかな?
こちらのトレセンで畏縮していたであろう彼女の事を聞いて話のネタにしようと思っての事だった。
「彼女は私達と一緒に坂路のコースを使っていたんですけど、私達が休息を取りながらトレーニングしている間にずっと走り続けて…多分10周はしてますよ」
普通は一日掛りで5周でも相当キツいのにと続けて話す彼女は未だに信じられないと険しい顔をしている。
彼女達からは嘘の気配を感じられないが流石に信じられる内容ではない。
大方坂路をあがりきる前に折り返しているとかではないだろうか?
明日も同じ坂路を使うらしいし私が化けの皮を剥がしてやろう。
そうして次の日同じ坂路を走りその嘘を見抜いてやろうと後ろに張り付き追い掛けた。
しかし、三周を超えて彼女にスタミナ切れの兆候はなく付いていった自分が地に伏せただけであった。
見る限り彼女は昨日の証言の通り凡そ10周はしたと思う、なのにまったく消耗をしていない、明らかにおかしい、どういう事だ、モンキー共に我々が負けるなんてありえない、であれば何かからくりがあるはずだ。
トレーニングで重い体を引き摺って彼女の後をつける事にする。
午前のトレーニングを終えた彼女が向かった先は高級スパリゾートだった*1、ロビーは誰でも入れる、私も隠れて後を追う。
受付での話に聞き耳を立てる、聞こえたのは最上級のマッサージコースという言葉*2。
なるほど、これが彼女に肉体疲労が見られない秘密か。
マッサージの予約が取れたらしい彼女はさらに別の場所に移動するようだ。
女性のトレーナー?*3と一緒にランチへ向かう、同じお店に入って様子を伺えば尋常じゃない量の料理を注文した。
ラタトゥイユ、エスカルゴ、ブイヤベース、etc、etc...
トレーニングの後にこれだけ食べれば体も強靭になるだろう、やはり食べる事こそが強さの秘訣か。*4
そして全てを完食して店を出たらエッフェル塔の観光をしている。
午後はまったくトレーニングをしないのか?*5
いや、午前中でトレーニングを止めているのもそういうメソッドなのかもしれない。*6
午前中にトレーニングを集中させ、午後は回復に専念するというルーティンが彼女の体を強靭にしているのか。*7
なるほど強さの種は割れた、ならば私も同じトレーニングをすれば今すぐは無理でもいずれ追いつけるようになるだろう。*8
ふふふ、その時が楽しみだよ。
その後彼女はしばらくして別の欧州の*9トレセンに移動していった。
各地のトレセン学園を回るらしい、各地にいるライバルの視察もかねているのかな?ご苦労な事だ。
所詮アジアのポニーが頑張ったところで勝利は我々欧州の物さ。