腕の良いアホトレとモブウマ娘 作:リボガンに恨みを抱く物
欧州競バ会での議場にて、投資を求める演説を、会長たる男が行っていた。
我々欧州競バ会はリボンマーチに敗北を喫した。
それは出走したウマ娘に才能が無かったからだろうか?
ヴェニュスパークは10バ身差で負けた、これだけ見れば彼女の才能を疑うかもしれない。
しかし他のウマ娘は25バ身差だった、つまり、ヴェニュスパークはその才能で15バ身を埋めたとびっきりの才能だった。
では、彼女はリボンマーチに勝てるか。
わからない、わかる者等何処にもいない。
だがしかし、私でも彼女以外は、彼女より可能性がない事くらいはわかる。
では最高の才能たる彼女を今まで通りのプログラムで育成したら勝てるか?
現実を見れば、答えはノーだろう。
欧州が勝ってきたのは歴史とシステムによってだ、一度の敗北で欧州の歴史とシステム全てが過去の物になったかというと、そんな事はない。
しかし、昔の欧州は偶然を許さないだけの力があった。
100年間我々は負けなかった、欧州は世界の冠たる強さを見せ続けた。
今は、どうか?
我々は日本の刺客たるリボンマーチに惨敗を喫した。
リボンマーチの出現は偶然か、必然か、そんな事はもはやどうでもいい。
才能が世界に溢れ、他国に綺羅星のようなスターが現れようとも、我々欧州は100年全てを実力のみで跳ね返した。
それは欧州のウマ娘が常に才能に溢れていたからではない、勿論幸運だったからでもない。
我々は100年崩れない、それを成せるだけのシステムを作り上げていたからだ。
諸君、100年の節目に我々は敗北を喫した、それも10バ身差での大差の負けである。
全てを制した欧州競バは……もはや、この世の何処にも、存在しえないものになった。
変革の時が来た。
突然変異ですら血統と歴史と経験の前にひれ伏した、世界の冠たる欧州競バを取り戻さなくてはならない。
我々の勝利こそが変わらぬ必然であると世界に示す。
その為の投資であり、その為の変革を行う。
くだらないプライドだ、欧州全土から見ればこれは非常に小さな敗北である。
しかし我々欧州貴族はその敗北を許さないからこそ世界の冠たる者なのだ。
諸君らの奮闘に期待する。
映像を見ていたイギリス支部の支部長は語った
我々イギリスのアトランタオリンピックの時と同じだな。
我々が金メダルを1つしか取れなかった屈辱のアトランタオリンピックの時、我々は決してその事実から目を背けなかった。
敗北の後、毎年3000億円規模の投資を行う。
生体力学、データサイエンス、栄養学、睡眠管理、メンタルケアに至るまで、世界中から最高峰の頭脳を買い叩いてドリームチームを結成し、勝てるシステムを構築。
そうしてたった10年程で我々はロンドン五輪で金メダル29個を取得するまでになった。
その時のノウハウも、資金も、才能もある。
専門家チームを編成して最高の才能……まずはヴェニュスパークに投資を行う。
人間のアスリートのノウハウがそのまま使えるか、専門家の知識は机上の空論にならないか、現実の中で動かして問題点を洗い出す。
ヴェニュスパーク、彼女を欧州再建の試金石にする。
欧州の全てのスペシャリストを彼女たちチームの為に結集するんだ。
彼女に全てを投じて、欧州が勝てる育成システムを構築する。
来年の凱旋門でリボンマーチを破り世界の冠たる欧州の力を見せられるか。
それとも、無様を晒して敗北をするか、ここが分水嶺だ。
次の凱旋門まで時間がない、すぐにスペシャリストの招聘に動け。
世界の冠たるイギリスが、次の100年を支配する為のシステムをすぐに作り上げるぞ。