今回のお話はゲーマーズとの絡みになります。
キャラはブレてはいないとは思いますが、変でしたら申し訳ありません。
じゃ、どうぞ〜。
「なぁ龍成、良かったらこの後少し遊ばない?」
今日の授業を全て終えて生徒達が帰る支度をする放課後、龍成の隣の席にいるスバルから遊びの誘いを受けるが、彼はそれを否定して断る。
「悪いスバル、その後にゲーマーズ部に覗きに行くから…そうだな、休みの日にでもいいか?スバルの都合に合わせるぞ」
「おっけー!あ、そだそだ。なんなら連絡先交換しとくか」
「そう言えばしてなかったな」
連絡先を交換する機会がなかった為、お互いにそのことを忘れていたのだがスバルがふと思い出した。龍成のスマホも日に日に連絡先が順調に増えていき、通達の幅が広がりつつあることに満足してはいる。
当時はスマホの使い方も分からず、連絡先も彼の拾い主である啓次しか持っていなかった。なんだか新鮮に感じていたが、こうも簡単に連絡先を交換してもいいものなのだろうかと思う所はあった。
そして連絡先を交換し終えた時、スバルは龍成が何故ゲーマーズ部に行こうと思ったのか気になり、手短に聞いてみる。
「ゲーマーズってフブキ達がいるとこだけど、気になったの?」
「実はゲームしたことがなくてな。どんなのがあるのか気になったんだ」
「ゲームしたことないって珍しいっすね!まぁこれを機にゲームの楽しさを知るといいっすよ。そしたら色んな人とゲーム出来る楽しさも分かる筈っす!」
「なら期待できそうだな」
スバルから見れば龍成はゲームをしているイメージはあったのだが、意外なことにないと言われて少しだけ驚いていたが、ゲームと言う一つの娯楽の良さを知る機会にはいいものだと、それで色んな人と関われることもある為、引き止める理由など何もない。
「おーい龍成君よー。不知建のことも忘れんじゃにぇよー?みこはまだ諦めてないんだにぇ!それに不知建のメンバーも君なら歓迎だって言ってたにぇ!」
そこへみこがやって来て、ブーブーと口を尖らせながら部活勧誘に乗らなかった彼に不満の声を上げる。
しかし諦めておらず、彼女は既に龍成のことを部活メンバーに話していたようだった。
「誘われるのは嬉しいが……いや、そうだな。折角だからそっちの方にも行ってみるか」
「本当かにぇ!よし言ったな!言質は確かに聞いたにぇー!忘れんなよぉ!」
「え、みこ…お前″言質″って言葉知ってたのか!?」
「馬鹿にすんなぁあああ!!」
果たしてみこは一体どんな扱いをされているのか、龍成は未だに彼女のことはよくわかっていないのだが、精々口調と語尾が独特と言うくらいだ。
しかし、スバルからそう弄られているのか、それとも本当に珍しくて言っているだけなのか。スバルの気が動揺によって激しく揺らいでいたので、恐らく後者だろう。
「余っ!龍成、これから帰るのか?」
「いや、これからゲーマーズに向かいたいんだが、場所が分からないからフブキを待ってるんだ」
そこへ更に人が龍成の所へやって来る。あやめが元気よく手を挙げながら近付いて来て、何か用があるのかと思えばそこまで大したものじゃなかった。
「そう言えばさっきフブキちゃんトイレに行ってたな。あとそうだ、かなたちゃんに言われてたんだが、何でもお主に生徒会の勧誘がきているそうだ余」
「悪いが代わりに断る旨を伝えておいてくれないか?俺には俺のやることがあるって」
天音には悪いが、俺の求めているものを探すのに生徒会に使う時間はない。かと言って部活にも入る気はないのだが折角の学園生活だ。
今まで学業も青春時代とやらも過ごしたことのないし、出来ればそれも体験してみたい所ではある。
「分かった余!それじゃあ余も行かなきゃだから、また明日!おつなきりー!」
「あぁ、またな」
特にこれ以上の要件はなかったのか聞くだけ聞いてそのまま別れた。すると、あやめと入れ替わるようにフブキが御手洗から戻って来た。
「お待たせしましたー!いやーちょっとお花を摘みに行ってましてね。早速行きましょうか!」
彼女の言葉に頷いて、鞄を持って移動する彼女の隣に並行しながら着いて行く。その時に龍成は、ふと彼女達の部活勧誘の言い合いになった時のことを思い出す。
「そう言えばさくらから聞いていたが、部員は五人必要だがゲーマーズは四人だったか?それってまずいんじゃなかったっけ」
「あー…いきなり痛いと突きますね。確かに正式な部活は五人からなんですけど、私がえーちゃんに懇願して保留にして貰ってるんです」
どうやら俺らの担任教師の永先生が目を瞑ってくれているらしい。普通ならあまりよくないことなのだが、この学園で部活動しているのは少ないらしい。
人数の割に大き過ぎる校舎が故に部屋が余っているとのこと。聞けばそこまで気にしなくても良さそうなのだが、やはりルールはルールなので、期限は一年以内までが許容範囲らしい。だからと言って油断はならないし、行動しない訳にはいかない。
「解決するには人手か、簡単そうに見えて難しそうだな…」
「そ〜なんですよ〜…だから〜、ねっ?龍成君も入ってくれると白上達も嬉しいなぁ〜って…」
「…ごめん」
本当に困っているのが言葉からでも伝わる。チラチラとこちらを見てくるフブキに対して、顔を背けてどこか申し訳なさそうに小さく呟いていた。
初めからどことなく分かっていたのか、フブキは悔しそうに唸るとヤケになっていた。
「うぅ〜…こうなったらゲーマーズの良さを全力で知らしめてやります!」
「あとそうだ、白上と大神と残りの二人はどんな人なんだ?」
話題を切り替えて、ゲーマーズの部員に関する質問をする。既に大神とは初日で顔を合わせているし、ゲーマーズ部の副部長だと本人から聞いた。
しかし、その残りの二人のことは何も知らない。
「それはですね〜…あっ、でももう着くのでそこで紹介しましょうか。多分あの二人も、既に来ていると思いますし」
気付けば部活動を行う部屋までやって来ていた。防音は備わっていないので、外からでも多少の音や話が聞こえてくる。
どんちゃん騒ぎとまではいかないが、それなりに大音が漏れている。
「ああああああ!!おがゆっ!それこぉねのアイテム!!」
「え〜?でも早い者勝ちだからボクのだよ?ころさん」
「うわぁ!そこで赤甲羅とか最悪なんだけどっ!」
一体どんなゲームをすればあんな騒げるのだろうか。そう言えば、とあることを小耳には挟んだことがある。
ゲームによっては人格破壊する恐ろしいゲームも存在すると。今更になって少し恐ろしく感じていきたが、白上はそんな俺の心の内のことなどいざ知らず、ノックもせず扉を開けて入って行く。
「おっ、やってるね」
「なんか…激しいな」
部屋に入って先ず目にしたものは、大神を含めた三人の少女が大きなソファに座っていて、大画面に映るゲームに夢中になっていた。レースゲームをやっているみたいで中々の激しい展開を迎えている。
部屋の造りは部活らしいというか、ただの部屋だ。棚にはフィギュアや何かのトロフィーが置いてあり、ソファに机とふわふわの絨毯があるくらいだ。
取り敢えず来たものの、俺は着いて来た身なのでどうすればいいのだろうと思って白上に視線を送る。
「はいはい皆、注目ー!」
手を叩きながらこちらに視線を送るよう声を張って伝える。それに気付いた三人は一旦ゲームをする手を止めて、フブキの言う通りにこちらに振り向く。
「あ、フブキ…と龍成君じゃん!え、どうしたの?もしかして入部希望!?」
「あれ〜、編入生君だ〜」
「なになにー?何かするのフブキちゃん」
ミオはどうしたかと思っていたが、龍成見て驚いたと同時に何となく察した。
たが、残りの二人である猫の獣人と犬の獣人はどういった経緯で彼がやって来たのか分からず、フブキに尋ねていた。その時に彼も、二人とは話したことはまだなかったが同じクラスの者だと気付いた。
「実はですね、彼が我がゲーマーズ部の体験入部をしたいとのことなのです!ゲームをやったことがないらしくて、この際ですから私達でゲームの楽しさをとことん教えて沼にハマらせようかと!」
(何か話盛られてる気がする)
気の所為だとは思いたいが、間違ったことは伝えてはいない筈。俺の代わりに白上が説明してくれたお陰で言うことはなくなった。
そして三人は事情を知ると、真っ先に反応したのは大神だった。
「嘘ぉ、ゲームやったことないって本当!?」
「お〜、そう言うことならボク達が一番妥当だね。任せてよ〜」
ミオの驚く言葉に頷いて肯定すると、猫の獣人が尻尾を揺らしながら得意そうに表情を変えて、こちらへと歩み寄って来る。彼女が動けば犬の獣人も後に続いて龍成の下へ向かって行く。
「もぐもぐ〜、ボクは″猫又 おかゆ″って言うんだ。よろしくね〜」
「ゆびゆび〜、こぉねは″戌神 ころね″って言うの!よろしくでな〜!」
猫の獣人は猫又 おかゆ、薄紫色のセミショートで紫色の瞳をしていて猫の耳と尻尾を生やしている。正に猫のように、何処かマイペースで自由気ままに行動する物静かと言う印象だ。
戌神 ころねは茶色の三つ編みセミロングに骨柄のヘアピンを付けていて真ん丸な茶色の双眸に、垂れ耳で犬のしっぽがある。人懐っこいような感じはあるが警戒心の強い小型犬と似た所があり、おかゆとは正反対のようにアグレッシブな雰囲気を感じ取れる。
「知ってると思うが一応、紫黒 龍成だ。今日はよろしく頼む」
同じクラスなら編入初日で既に顔は知っているだろうが、名前を忘れていると思い念の為に伝えておく。
自己紹介も終えたことで、本格的に活動を開始するのだが、先ず俺が知るべきことは操作方法だろう。その前に、猫又が収納ケースからソフトを色々と取り出して見せてくる。
「早速だけど、どんなジャンルがやりたい?色々とあるけど君の好きなのでいいよ」
「悪い、本当に何も知らないからどれが何なのか分からなくてな…でもそうだな…」
さっきの三人がやっていたレースでも良いがどうせなら違うものをやってみたいと思い、色々と見てみるがタイトルと表示だけだと、どんなゲームなのかはあまり分からない。だが、何個か見覚えのあるものがあった。
「このゲームとか気になったな」
「おっ、スマブラに目に付けるとは中々のチョイスですね。やっぱり男の子は格闘系が好きなんですか?」
「ん〜、まぁそれもあるかな」
「じゃあ、今日はそれにしよっか」
そこで龍成は巷でも人気なゲームを選んだ。それは過去に何回か見た覚えがあるもので、格闘と言うジャンルにも興味があったのでそれにした。
それにころねが尻尾を振りながら、嬉しそうに反応する。
「こぉねも丁度やりたかったんだー。皆でやろうよ!」
「けど先ずは龍成君に操作の説明をしなきゃだね」
ここからが問題になる。彼はまだコントローラーも握ったこともないので、先ずは操作法から覚えなければならない。せっせと準備を進めて起動し、取り敢えずキャラクターを選択する所までいく。
「凄い色んなキャラクターがいるんだな…あ、このキャラクター見たことある」
様々なキャラクターが存在しており、総勢で八十体以上がいる。ここまで膨大な数のキャラクターを選べるのはこのゲームくらいだろう。
あまりの数の多さに感嘆しながらカーソルを適当に動かしていると、とあるキャラクターに目が留まる。
「こぉねはこれ〜!」
「じゃあ白上はこれで!」
「ゆっくりでいいよ、龍成君」
彼がどのキャラクターに悩んでいるのを他所に、フブキ達は既に決めていた。
それを見て遅れるのも悪いと思いって急いで選ぼうと視線を動かすが、ミオが気を使っている龍成の様子に気付いて、やんわりとフォローをする。
「じゃあ…これにしようかな」
彼女の言葉も貰って少し落ち着けたが、やはり遅くなるのもいけないと思い込み、自分が先程目に留まった知っているキャラクターを選ぶことにした。
それはピンク色で真ん丸な体につぶらな瞳で可愛いがとても似合うキャラクターである。
「カービィとは…可愛いもの選んだね」
「それじゃあ、ウチが操作説明するね」
「ボク達はどうしようか」
「白上達は一旦他所で戦いますかぁ!」
「ボッコボコにしてやんよ〜!」
フブキが意外そうに彼を横目で眺めるも直ぐに画面に戻し、ミオは親身になって龍成に一個一個操作法を教えてくれていた。その間におかゆとフブキところねはステージの端あたりで戦い合うことにした。
激しい戦闘が繰り広げられる中、一つ一つの動作とボタン位置を速攻で覚えていく。
「これで基本の操作は全部教えたけど、大丈夫そ?」
「あぁ、ありがとう。ある程度は分かった。そこから派生の攻撃の流れを作ればいいのか…後は慣れだな」
格闘ゲームなだけあって色々と凝っている部分はある。戦う上でコンボを作るのはそこまで難しくはなさそうな感じはするが、実際は分からないので実践してみないと分からない。
「ここで…!チェストオオオォ!!」
「いやああああああぁ!!負けたぁ!」
「ころさん凄いはしゃいでる」
そして丁度よく一対一の状況が出来上がっていた。フブキがころねのキャラクターを確定ぶっ飛ばしで画面外まで吹っ飛ばされていき、ころねは怖いものでも見たかのような高い絶叫して、おかゆはその様子を見て笑っていた。
「さぁ龍成君、準備はいいですか。白上は何時でも行けますよ!」
「じゃあ実戦練習を始めようか。よろしくお願いします」
〈 ハァーイ!
準備は完璧と気合を入れてキャラクターアピールをして実践練習を始める。
最初は読み合いとはいかず、フブキは咄嗟に操作して接戦に持ち込んでいった。流石はゲーマーズの部長と言うべきか、多少は手加減はしてくれてるものの、それでも俊敏な操作性で龍成は押されて始めていた。
「ほっ!よっ…そこっ!」
「…!」
しかし、されるがままの彼ではない。ミオからの教えられた基本操作から頭の中で構成したコンボを繰り出しつつ、フブキのタイミングを計り、攻撃を避けたりカウンターを合わせるように、押され始めていた状況が一転して同等になっていた。
「…あれ?紫黒君って初めてなんだよね?」
「その筈だけど…」
「何かこぉねより上手くない?」
おかゆの静かな動揺にミオもころねも一緒になって、彼の操作の成長性に疑問が生まれる。
ミオは彼に操作を教えていた際に確かに初めて触っていた様子をしていたし、コントローラー自体を暫く眺めていたので初めてなのは間違いない。
たが、彼のゲームプレイは既にミオ達を超えるような動きをしていた。
「うわぁ…!やりますね龍成君!ですがここからは白上も本気を出しますよ!」
「それは楽しみだ」
龍成がフブキのキャラクターを画面端まで吹っ飛ばした。フブキも彼のゲームプレイの上手さにとても目を惹かれてはいたが、彼女自身もゲーマーズの部長としてのプライドもあり、負けず嫌いの精神が強くなっていた。
手加減を止めて本気のぶつかり合いをすることになり、それに龍成も少し微笑みを浮かび始めていた。
「そこだあああああああぁ!!」
「あっ!?うわくっそぉ…!敢えて攻めてときゃよかったなぁ、負けたぁ…」
結果はフブキの勝利に収まった。
龍成のプレイには初心者とは思えないくらいの操作性で、読み合いや反射神経も元から優れているのもあり良い勝負ではあったのだが、時々操作ミスが見受けられ経験の差で負けたのだ。
彼も珍しく顔を顰めて悔しそうに肩の力を抜いていた。
「でも紫黒君、初めてであそこまで戦えるなんてホントに凄いよ!」
「そうそう!途中でこぉね達も熱くなっちゃった!て言うかほんとに初めてか疑うんだけど!?もうこぉねより強いじゃん!」
「いや〜手に汗握ったねぇ。ウチも見入っちゃったよ。ほんとに凄いね龍成君、才能あるんじゃない?」
「は〜危なかったぁ〜…!白上もちょっと油断してました!凄いですね龍成君!初めてでそこまで出来るならミオの言う通り、センスがありますよ!」
「そんなに褒められることかな?」
彼女達のあまりの褒め言葉の多さにこそばゆい気持ちになっていたが、そこまでとは思えずにいて聞き返してみると皆して頷いていた。
「褒められても可笑しくないよ〜?意外とこのゲームは余り初心者向けじゃないからね。本当にゲームが初めてなら、先ずはアクション系から始めるのが一般的だとボクは思うけど。」
「でもこの感じなら、色んなゲームでも大丈夫そうですね!基本操作さえ覚えれば後は龍成君のセンスでカバー出来ますからね!」
「ならもう一戦いいか?フブキに負けたのが結構悔しかったんだけど」
ならもう一度と、龍成は久しぶりに悔しいと言う感情を身に感じた。ゲームとは言えここまで本気になれると楽しいと思えていた。
そんな彼の言うことに、フブキは得意げに鼻を鳴らしながら首を縦に振る。
「おっ、ふふん!いいでしょう!その挑戦、この白上が受けて進ぜよう!次も手加減はしませんからね!」
「おうおう〜こぉね達も忘れんじゃねーぞ」
「次はウチも参加させてもらうよ」
「お〜、何か楽しくなってきたね〜」
観戦してて熱くなってきたのか、やってみたくなったのかミオも参加することになった。おかゆところねもゲーマーズとして火が付き始め、皆でゲームを楽しむことになった。
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「レースゲームってこうも激しくなるもんなんだな…っと、ラッキー」
「えぇ!?そこで神回避するとか運良すぎでしょ!ずるっ!」
何回か試合をした後は次の別のソフトで遊んでいた。それは部室に訪問するまでミオ達がやっていたレースゲーム。
白熱したバトルが起きていて、皆して夢中になっていた。フブキの言う通り、龍成は基礎さえ覚えれば後は自分のセンスで補っていた。
「おらおらー!こぉねのトリプル赤甲羅でも喰らっとけー!」
「うううぅ!ボクのことボム兵で邪魔したやつ許さねぇー!」
「あっ、それウチだわ。あはははっ!」
「もぅ〜!ミオちゃ〜ん!」
各々がアイテムを使用して邪魔をして、負けず嫌いな部分が強く出てくることもあり真剣になりつつも、笑い合いながら楽しい一時を過ごす。
「ちょちょちょっ、ころねそれこっち!」
「あ、あれ!?こっちだっけ!?」
「それだと違う料理が出来ちまう!」
次にパーティーゲームをしていた。これは所謂協力するゲームで四人で共同して料理を作って客に届けるだけのゲームである。
だが、意外にもギミックや邪魔者も存在して頭を使う要素もあり、一定のノルマを達成しないとクリアが出来ないようになっている。
「うわああああぁ!洗い物が間に合わなくなるー!後は頼んだおかゆー!」
「え〜、これボク一人で出来なくない?」
「あっはははは!もう滅茶苦茶っ!」
そんなこんなで現状は滅茶苦茶な状態に陥り、ステージのステージの難易度も相まって慌ただしく作業していた。
龍成はころねと料理を作る作業に移り、ミオとおかゆが皿洗いや材料出しで二組に別れて行動していた。そんな様子を人数制限で入らなかったフブキが、それを見て大笑いをしていた。
そしてお次はホラーゲームへ。彼は初めてやるのだが、怖いもの知らずなのかどんどんと躊躇なく進んで行く。
それに対してミオところねは、龍成を盾にして肩から覗いて画面を見ていた。心做しかフブキも距離が近いが、当の本人はゲームの世界観に夢中になって気付いていない。
「ゲームって本当に色々あるな…まるで別世界のようだな」
もしかしたら、あるかもしれないこんな世界。ゲームはまるで異世界への扉、別の世界のとあるストーリー、漫画やアニメの物語とは感覚が違う。
自分の操作でアクションを楽しみながら物語まで楽しめる、そんな一石二鳥の代物に感動していた。
「ゲームって…本当に凄───」
〈 ギャア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!
「いやぁあああああああっ!!」
「わぁあああああっ!!」
「イ゛キ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!ん゛ね゛ぇ゛も゛う゛無゛理゛ーー!!!」
「ちょ、ちょっと苦しいよころさん⋯!」
「ころねの声に吃驚したわ!!」
「目の前の奴よりやべぇ声出してる」
画面に大きな音ともに化け物が現れて咄嗟に悲鳴が上がる。ミオは反射的に龍成の体に隠れ、おかゆも驚いてはいたが何よりも一番の悲鳴を上げていたのはころねだった。
操作してるのは自分じゃないにも関わらず、事件性のある悲鳴によりフブキがそれに吃驚していた。
何とか操作して化け物から逃げ切ってクリアしたのだが、彼女達が悶えているのを見て不意に笑った。
「っはは…!」
「あっ、漸く笑ったね」
「龍成君、あんまり笑ってるところ見ないから、少し心配だったんですよ?」
「えっ?…ぁ」
フブキとミオにそう指摘されて初めて気付いた。彼はさっき迄なら笑ってはいたが微笑んでいるくらいで、大きく口角を上げて笑う姿は初めて見たのだ。
すると、彼はコントローラーを膝に置き添えて、どこか遠い所を見つめるように眺めながら語りだす。
「普段は一人で時間を過ごして来てたから…こうやって″誰かと遊ぶ″のって、随分と久しぶりでさ」
「いつも…一人だったの?」
ころねからそう言われるも、何も言えなかった。と言うよりかはなんて言えば良いのか分からなかった。
何とも言えない感情が心の中で渦巻いて、どこか気持ち悪い。でもこの感情はずっと離れていはいなかった。
「……昔は周りに大勢いたけど、誰もいなくなった。それから一人になった寂しさを紛らわそうと、色々と趣味趣向を手当り次第やってたけど…────やっぱり、どうしても心の奥に寂しさが残ってたんだ。」
その時に昔に見た光景を思い出す。
まだ自分達が何者かに襲われる以前の時、あの時は沢山の仲間がいた。ふと頭の中でフラッシュバックのように色々な映像が映し出され、無意識に顔が顰める。
『おーい!───!お前もこっち来いよ!』
『お前すげぇじゃねぇか!流石はあいつの弟だな!』
『んなもん気にすんなよ、俺達がそんなんで見放すとでも思ってんのか?仲間だろ。胸を張れ、誇りを持て。自分をそう卑下すんな。お前は自分が思ってるよりも凄い奴なんだ、それは俺達が保証する』
嘗ては幸せな時間を過ごしていた筈なのに、今となってはあの時間はもうやって来ることもないだろう。
家族も友達も仲間も一度に失って、望まない独り身になる人生を彷徨うだけにいた。
今は啓次さんのお陰で何とかなってはいるが、過去の大切な物を失った代償は想像のつかないくらい相当なものだ。
「寂しかったんだね」
「ぇ…ちょっ」
その時、頭に何かが乗っかる。
それはミオの手が彼の頭を撫でていた。不意にそんなことをされて龍成は驚くものの、手を退けてることはしなかったが困惑はしていた。ミオも彼の反応に気にすることなく続ける。
「でも今はウチ達がいる。今日はこうやって遊んでて楽しかったでしょ?」
まるで母親のように諭してくれる彼女に温もりを覚え、何処か心地良いものを感じたが、恥ずかしさは多少はある。
けど抵抗はせずに素直に黙って頷いてみせると、ミオは満足そうに微笑んでみせる。
「じゃあ次はもっと楽しもうよ、君が寂しい思いを忘れるくらいに。誰かと過ごす時間の大切さを君は知っている。だからもう大丈夫だよ、困ってる事とかあったらウチ達を頼っていいんだよ」
「そうだよ〜。ここまで一緒の時間過ごしたなら、もうボク達は友達同然だよ。ねっ?ころさん」
「そうそう、最初はこぉねもちょっと遠慮がちだったけど、ゲームを通して名前で呼び合うようにまでなったんだしな〜。ミオちゃんの言う通り、こぉね達に相談するといいでな〜」
「龍成君、ここにいる皆は…いや、この学園にいる皆は全員良い人達だってはっきり言います。君が周りをどう思うのかは君次第ですが、決して見捨てるとか、裏切るなんて事は言語道断です!」
「お、おぉ…」
彼の励ましはミオだけでなく、おかゆからもころねからもフブキからも言葉を貰い受ける。
ここまで自分を気遣って貰えるとは思えず正直嬉しい限りではあるのだが、こうも言われると反応にどう答えればいいのか分からず、小さな返事をしていた。
「どうですか!?今日を通じてゲーマーズに入りたくなりましたか!?」
「もうフブキったら!ムードクラッシャーじゃん!」
「無理矢理に話題変えたね〜」
しかし、フブキの急なストレートにしんみりとした空気から大きく変わり、龍成は腑抜けた表情になっていたが、ミオが代わりに反応する。
あからさまな雰囲気のぶち壊しでミオは呆れ、おかゆところねは変わらずと言うよりかは、見慣れた感があった。
「えぇ!?でも何時までもこの雰囲気はどうかなって…」
「まぁまぁいいんじゃない?ボクもちょっと話し変えようかと思ってたし」
「ほら!おかゆんもこう言ってるよ!」
おかゆも同じことを思っていたらしく、フブキは自分に味方がいると分かると態度をガラッと変えていた。ミオもそんな彼女を見て呆れ始め、おかゆは変わらずニマニマと微笑んでいた。
「……ありがとうな」
「ねね、龍成君」
「ん?」
彼女達の優しさと気遣いに沁々と有難みと嬉しさが感じられる。同情や共感が欲しかった訳じゃなかったが、彼女達はまるで自分ごとのように一緒になって言葉にしてくれていた。
そのことに口角が上がって感傷していると、ころねが指先で肩を軽く突いていた。
「また遊ぼうね?そしたら次は龍成君のこと、もっと教えてね?こぉねも事も教えるから!」
「あぁ、約束する」
ころねの明るい笑顔が彼の心の鬱を晴らしてくれていた。
少しづつ、少しづつでも彼は色々な人と関わる気持ちを持って前に進む心掛けをして、彼女達の力にもなり、もっと信頼されるような者になろうと心から誓った。
如何でしたかな?個人的にはもう少し絡みを増やそうかと思いましたが、それだとまた長くなっちゃうのでここまでにします。
次回は不知火建設の皆さんとの絡みになりますので、お楽しみに。
ではー