ロンへの気持ちに思い悩むハーマイオニーに、ハリーが告白するように促すお話。
ホグワーツレガシーをやる前に、ハリーポッターを見直してると、ロンとハーマイオニーの話を書きたいなーと思い勢いのまま投稿してみました。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
テスト前。
それは、マグルだけでなく将来偉大な魔法使いを目指すホグワーツの少年少女達にとっても大きな悩みの種となっていた。
各寮の談話室、図書室等ではいつもより多くの生徒達が勉強に励んでおり、そのせいか聞こえてくる溜め息の量も普段とは比べ物にならないくらいに増えている。
「はー」
ここにも一人、大きな溜め息を漏らす少女がいる。グリフィンドール、いやホグワーツの歴史上でも希にみる才媛ことハーマイオニー・グレンジャー。
全生徒の中で数少ない、もしかしたら唯一彼女だけかもしれないが、テストを心待ちにする少女がこの時期に溜め息を漏らすのは非常に珍しいことだった。
「ハーマイオニー、珍しいね溜め息なんて」
近くにいた黒髪の少年、ハリー・ポッターが気になって言葉をかける。
「まさかだと思うけど、僕たちと同じように勉強が捗らなくて困ってたり?」
内心、そんな事はないと分かりながらもハリーはそんな質問をぶつけてみた。
「いいえ、テストに関しては完璧な自信があるわ」
「だよね、何か他に悩みでもあるの?」
嫌みの欠片もなく、当然のように発せられた自信満々の台詞に対して、特に驚くわけでもなくハリーは質問を続けた。
「特に悩みって訳でもないんだけど‥」
ハーマイオニーにしては、珍しく歯切れの悪い反応にハリーはすぐにピンと来た。
「あー、ロンのことで何か気になる事があったんだ?」
「ち、違うわよ。どうして、いきなりロンがでてくるのよ」
これまた、珍しく慌てた様子の彼女に対して、相変わらず分かりやすいなーと思いながら、ハリーは言葉を続ける。
「まぁ、いいじゃない。本人は居ないんだし、僕は割りと口は固い方だよ。それに、ロンとも親友だし。勿論、それは君も同じなんだけど、寮で寝室も共にしてる僕の方が知ってることも多いだろうし力になれるよ」
ハリーの言葉に、ハーマイオニーは少しだけ顔を嫌そうにしているが、心なしか頬はピンク色に染まっている。
少しして観念したのか、徐に溜め息の理由を話し始めた。
「なんていうか、その彼って後輩の女の子に人気あるなーって最近思うのよね」
ハリー達も既に6年生になったいた。留年でもしていない限り既にホグワーツの生徒の半数以上は彼らの後輩になっていた。
「まぁ、クディッチの選手で監督生だし、ジニーが居たからなのか、面倒見もいいからね。こうやって考えると確かに後輩からモテる要素は揃ってるかもね」
「勿論、それもあるけどやっぱり去年と今年の魔法使いのチェス学生大会二連覇が大きな要因だと思うわ」
「あー確かにね」
ちょうど一月前、魔法使いのチェスの学生大会があり、去年マクゴナガル先生の強い推薦を受け、渋々出場したロンは初出場とは思えない圧倒的強さで、優勝をかっさらった。そして、今年も変わらず他を寄せ付けぬ強さを披露し同じ結果を残し二連覇を果たしたばっかりだった。来年の優勝も既に確実視されており、史上初の三連覇だとグリフィンドールの談話室は大盛り上がりになったのをハリーは思い出した。
「それで、他の女の子にロンをとられないか心配なんだね」
「べ、別にそんな訳じゃないわ。ただ、友達として過ごす時間が減って少し寂しいなって思っただけだわ」
口ではそういうが既に顔を真っ赤に染めてしまっている彼女の言葉には残念ながら全く説得力を感じられなかった。
「告白でもしてみたら?」
まるで、遊びにでも誘うかのように、ハリーは軽く提案してみた。
「ば、馬鹿じゃないの?そんなことしたら、もう隣にも居られなくなっちゃうじゃない!」
あまりの驚きっぷりに、少し吹き出しそうになりながら、ハリーは、そんなことにはならないと思うけどなーと内心呟いた。
二人が相思相愛なのは、グリフィンドールの同級生ならば全員知っている。分かっていないのは唯一、当事者二人だけだった。
「そうかなー。意外と上手くいくと思うけどなー」
「そんな他人事みたいに言われても、全然説得力を感じないわ」
「そう?ところでハーマイオニー、ロンのことが好きなのは認めたってことでいいよね」
「そ、それは‥‥」
さっきよりも赤くなった顔でハーマイオニーは困った顔をするが、とうとう観念したのかとても小さく頷いた。
「そうね、気にならないって言ったら嘘になるわ」
素直に好きと言えないのは彼女なりのプライドなのか、ハリーには分からなかったが、これで一歩前進かなと心の中で呟く。
「でも、このまま下級生の女の子に取られるわけにはいかないでしょ?ロンって、嫌いな勉強ですら平均点以上は取ってるし、さっきも言ったけど、クディッチの選手で監督生にチェスはプロ並。普通に考えてかなりの高スペックなのにやたら自信だけはないでしょ?」
「まぁ、そうね」
親友に向けての言葉にしては、ちょっと手厳しいのでは?と思い少し苦笑しながらハーマイオニーは相槌を打つ。
「だからさ、やたら誉められるとすぐに惚れちゃいそうじゃない?」
「‥‥」
ハリーの言葉に同意なのかハーマイオニーは俯いて黙ってしまう。そんな彼女の様子を見ながら、まぁそんな心配は全くないから大丈夫なわけだけどと思いながら話を続ける。
「ということでさ、さっき言った告白の件も悪くはない提案だと思うんだけど」
「でも、もし上手く行かなくて、側にも居られなくなってしまったら、私耐えられないわ。それなら、嫌な思いをしてしまっても、友人として側に居たいわ」
「本当にそれで耐えられる?僕はさ、正直に言うと嫌なんだよね。ロンが他の女の子と付き合ったりするの」
「どうして、ハリーが嫌なの?」
「だって、ロンと遊んだりする時間が減っちゃうじゃん。その点、君とロンが付き合っても、そこに関しては心配しないで済みそうだし」
「ねぇ、ハリー。ちょっと気になったんだけど、貴方もしかして自分のために私に告白させようとしてるわけではないわよね?」
「正直いうと、そういう気持ちも多少はあるかな」
ハリーの返事に呆れてしまったハーマイオニーだが、少しして苦笑しながら呟く。
「まぁ、親友の為にも告白してみるのもありかしら?」
「まったく君ったら。少しは素直になりなよ。ロンが好きで好きで堪らないから今すぐ告白したいって。何なら僕、今からロン呼んでこようか?ハーマイオニーが話があるらしいよって」
「それは止めて。まだ心の準備が出来てないわ」
さっきまで告白は絶対に嫌だと言っていたのに、今のハーマイオニーは既に告白する決心がついたようだった。もしかして、意外とチョロイのかもしれないとハリーは思ったが口には出さない。万が一にも口にした日には失神呪文で済めばラッキーかもしれない。そんな事を考えてハリーは一人で冷や汗を流した。
「じゃあ、僕は勉強に戻るから一生懸命、愛のセリフでも考えなよ」
「そんな言い方してると、勉強困ったときに手助けしてあげないわよ」
「それは困る・・・。まぁ何かあったら相談してよ。さっきも言ったけどさ、ロンの事なら僕に任せといてよ」
そう言って微笑むと、ハリーは自分の勉強の続きをするために部屋に戻っていった。
1人残されたハーマイオニーは話の中心に挙がっていた、赤毛の親友の顔を思い浮かべた。私が告白したらどんな顔をするだろうと。
辺りをキョロキョロしながら、
「フレッドとジョージにへんな物でも飲まされた?それともマルフォイに呪いでもかけられた?」
これぐらいの事は言うかもしれないと思い、ハーマイオニーは苦笑する。
もしかしたら、告白することよりも、それが本当の私の気持ちだと認識させる方が難しいかもしれない。そうなると、告白の言葉だけでなく、その後の対策もしておかなければとホグワーツの誇る才媛は、テスト勉強に勤しむ周りの生徒とは別の理由で羊皮紙を引っ張り出した。
「あの鈍感男の顔を、真っ赤な髪の毛よりもさらに赤くしてやるんだから」
そんな事を一人つぶやき、ハーマイオニーは羽根ペンを勢いよく動かし始めた。