エロゲ世界にTS転生したので好き放題に暗躍した結果 作:影薄燕
「………………ん」
最初に見えたのは琥珀色の液体。
その中に
「ここは……?」
意識した途端、記憶が――これまでの情報が頭に入ってきた。
軽い頭痛と目眩に襲われながら現状の把握をする。
「そうだ……私は……そう、成功したの……」
今の私は液体の中にいるけど、苦しくない。
でも、不快感がある。
「えっと、システム……接続……」
頭の中で考えれば、本体――いや、もう繋がりも薄れたこの機体のシステムに接続することができた。
やっぱり、機体の一部であった頃と勝手が違う。数秒で済んでいた作業が数分も掛かった。練習が必要みたい。
液体が排出されてカプセルのフタが開く。
「ん……しょ」
起き上がろうとするけど……中々上手くいかない。
予測はしていた。
でも、実際にそうなると大変だ。
やっとの思いでカプセルの外に出られた。
以前ネットで知ったラジオ体操をするべきかもしれない。
まずは現状把握。
「……スッポンポン」
私の今の姿は人でいう十代後半の女性と同じみたいだけど、衣服が無いのはマズい。痴女として逮捕される。
確か乗組員用の特殊な衣服があったはず。
探したら1着だけあった。
大分ダボついているけどしかたがない。
少しだけ調節してから着てみた。
「問題……ない?」
鏡が無いので今の自分は主観でしか知ることができない。
設定ミスなのか、髪が非常に長い。床につきそうだった。
「……浮こう」
こちらも問題ないことが確認できた。
他の能力に関しても大丈夫だろう。
「思考……随分と、違う?」
やはりと言うべきか、生身になったことで様々な違いが出ているよう。
不便に思う一方で非常に新鮮だった。
「あ、メモ」
部屋にあるスクリーンにあるメモ書きを発見する。
四苦八苦しながら練習も兼ねて、自分の手で操作をする。
「ん~~~~~? 記憶に少し問題?」
自分の中にある記憶(情報)に無いものがいくつかあった。
大事なものは書かれているけど、それ以外の事で思い出せない情報が多々ある。
この星に来る前の記憶などが特に酷い。9割も損失している。
メモを残した前の私は英断だった。
「外……どうなった?」
改めてシステムを介してバレないよう慎重に外に繋がる端末へとハッキングをしかける。時間が掛かるのがこんなにもどかしいとは……。これが人の間に広まっている「時間はお金では買えない」ということなのか。
……私は人の使う現金を持ってないから買えたとしても手に入らないけど。
そして、しばらく調べて分かったのは――
「……まさかの宇宙」
いつの間にか
場所は銀月にある研究所の中みたい。他の場所と比べてもセキュリティーが高い。たぶん世界一。作った人は変態(褒め言葉)だろう。
「ふーん……『Heartギア』が普及、か」
どうやら母星の技術によって作られた品が世界に広まったみたい。
ただし、人を選ぶようだった。
研究員の記録を盗み見れば、DNAが関係してるんじゃないかと研究しているようだけど、恐らく母星の生命体に思念波が近い人が適性を持っているんだと思う。『Heartギア』によって発現する異能と呼ばれる力も、複雑な要素がいくつも絡んで思念波に“個性”が出るのが原因みたい。
「さて……どうしよ?」
生身の肉体を手に入れたのはいい。
何かあった時に、人と話すなら必要不可欠だから。
問題は……その
さすがに、このまま普通に外に出て「初めまして。本体の支援システムだった者です」と伝えるのは……きっとマズい。
SF映画にもあるような面倒な事態になる。
行動するなら、切っ掛けが必要になる。
「前の私……その辺り、簡単に考えてたな……」
理屈で動いている部分が多かった前の私に対して、今の私は理屈だけでなく感情を優先させて行動方針を考えている。
感情があるといっても、機械と生身でこんなに違うとは予想外。
「……本気でどうしよ?」
割と困った事態になってしまった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
生身の肉体を手にしてから何年経っただろう?
私は……暇を持て余していた。
「……暇、だ」
中々に切っ掛けとなる出来事が起こらない。
人と同じ外見とはいえ、中身は別物だから飲食や生理現象とは無縁だけど、ただただ時間を無駄に過ごすことがこんなにも苦痛とは知らなかった。
もちろん情報収集だってしている。ネットの海から世界の最新情報どころか機密情報だって得ることができるし、銀月の研究施設にある監視カメラをハッキングして外と中の両方の動きを常に把握していた。
特に『Heartギア』関連はおもしろい。
母星の技術が多く使われている関係か、『Heartギア』1つ1つに干渉することができるから、『Heartギア』を持っているどこの誰がどんな能力を発現していつ使っているのか手に取るように分かる。
人によって異能の使い方は様々だから調べていても飽きない。
面白そうな情報があれば私に知らせるようにもしておいた。
「テレビ、見ようかな」
電波をハックして部屋のスクリーンに映す。
私には理解しづらい番組がある一方で、普通の情報収集では手に入らないものを放送することがあるのでバカにできない。
最初に映し出された番組の内容は料理番組だった。
1度も食事をしたことがない身だと“美味しい”というのが分からない。
「食べて、みたいなー」
この体は食事の摂取が可能になっている。
味覚も……たぶん正常に機能している。
でも、それを使う機会が無い。全くと言っていい程に。
「……むなしい」
今更ながら人の体を手にしたことを後悔し始めた。
「……ああ、そうか」
そして気付く。
私は……いつの間にかこの星に住む人の生活に憧れていたんだと。
肉体を持ったからこそ、関わりたいと強く思ったのだと。
モニターを操作すれば、世界各国の村や町、大都市の様子から、ドラマやドキュメンタリーなどにある日常風景、些細な人々の様子が映し出される。
私はそっと、モニターに手を伸ばした。
でも、触ることができるのは無機質な感触だけ。
その先にある光景には……手が届かない。
掴みたくても、掴めないものが。そこにあった。
「………………」
胸の辺りが苦しくなる。
こんなことなら……私は……
『ビーーー! ビーーー! ビーーーーー!!』
「――っ!? これ、は……!」
突然部屋に鳴り響いた緊急事態を知らせる音。
私はすぐにモニターの画面を操作しながら、元本体のシステムにアクセスして状況を確認する。
するとモニターには、
――地球から『Heartギア』を介しての最重要情報を受信。
――解析中……解析完了。
――システム解除コードと酷似。
――双方のシステムをリンク……リンク成功。
――思念波の酷似した『Heartギア』への同時リンクを確認。
――『Heartギア』へ思念波情報が流出。こちらへの詳細情報を獲得。
――【valkyrie@dance@number:413587290=//YZK//www.
second@moon.chord21271131/YUR】
――分析……母星言語への翻訳を完了。
――解除コードをシステムロック機能へ送信。
――………………認証しました。
――システムの一部を解放。
――解放されたシステムへのアクセス権限を提示。
「ウソ。解除できなかったシステムが……解放された?」
この星に来た途端に突如として発生した本体のエラーが原因か、落下の衝撃が原因かは調査しても不明のままだったけど、本来なら私が使えるシステムへのアクセス権限にロックが掛かってしまっていた。ロックを解除したくても、何故かこちらからの操作を受け付けなかった。
それが……地球から解除された?
私は随分長いこと放置していたロックの解除されたシステムにアクセスする。
「……たくさん、解除されてる」
全てのシステムではないけど、それなりの数のシステムが解除されていた。しかも、主に私が自由に行動するためのある種“枷”になっていたものが。
私はすぐに解放されたシステムを自身にインストールした。
「……やれること、すごく増えた」
私は1つ1つのできるようになったことを確認しながら、地球にある全ての『Heartギア』の情報を洗い出す。
「一体……誰が……?」
地球から『Heartギア』を介して情報が送られてきた。
しかも、私がおもしろそうな情報が欲しいからと、全ての『Heartギア』に開発者にバレないよう密かに仕込んだ裏ネットワークを通じて。
目的の人物はすぐに分かった。
「逆探知……地球……日本…………所有者、
本当に驚いた。
生まれてから10年も経っていない幼い子供がシステムのロックを解除するなんて……。何でそんなことができたのか全く分からない。
『Heartギア』から得られる情報だけだと、分かるのは毎日のようにシステムの解除コードを使い強引に『Heartギア』を経由して、こちらへ解除コードの情報を送ってきたことだけ。
「……おもしろい」
今まで私の行動を縛っていたものがほとんど無くなっている。
つまり私はマニュアル通りに行動しなくても良くなった。
なら、今やりたいことは……1つだけ。
「会いに行こう。この子に」
善は急げと言うらしい。
私は早速、準備に取りかかった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「準備、思ったより手間取った」
あれから柚木友理なる子供に会いにいくと決心して、ベストなタイミングを模索していたせいで数ヶ月も時間が経ってしまった。
今の私がいる場所は銀月にある研究所――その中にある隔離施設に保管された元本体のブラックボックスルーム。
外からの侵入にも対処しているからか物理的・セキュリティー的にも防壁は最高クラス。事前に準備をしなければ安全に出られないと判断した。
人が最も少なくなる日にち・時間帯を割り出し、例の柚木友理が1人でいるタイミングと同じ時に行動することにした。
それが今日の、まさにこの時。
「こことも、お別れ、か」
随分長いこと過ごした部屋。
重要な情報は私にしか引き出せないよう特殊なロックを施した。
研究者がいくら探そうと何も出ない。
「じゃ、行く……!」
元本体からエネルギーを吸収。能力を一時限界突破。
半径1メートルのスフィアシールド発生。
追跡妨害システム完全解放。
脱出時のルート上に人影・重要機器の存在なし。
銀月から日本の目標地点までのルートを設定。
「『流星移動』……開始!」
エネルギーの塊が私を包み込み――元本体の壁を破壊。
続いて隔壁を破壊。
エネルギーが15%削れたけど問題なし。
さらに研究所を破壊。
被害は軽微(私の基準で)。
途中、女性職員が余波に巻き込まれたようだけど、ケガは無し。パンツが丸見えのまま気絶したのを確認したけど……許して欲しい。
(随分久しぶりの……宇宙空間)
星々の輝く世界で私は勢いを殺さずに地球へと進路を変える。
「これが……地球」
宇宙飛行士が言ったのが始まりだそうだけど、なるほど確かに。実際に生身の肉体で見ると、地球は青かった。
加速。
加速。
さらに加速。
大気圏に突入。
ルートを微調整。
日本の上空に到着。
柚木友理の『Heartギア』から位置を特定。
柚木友理と思われる子供を視認。
これより接触を計る。
(まずは友好的な態度で接して、あとは……あれ?)
ここで私は重大なことに気付いた。
「……あ。減速の設定、忘れてた」
研究所から脱出して会いに行くことだけしか考えてなかった。
しかも、到達目標が柚木友理に設定されたままだ。
このままだと激突する。
急いで再設定するけど間に合わない。
そうこうしている内に目標の人物との距離が縮まる。
「“absorbシステム”緊急展開」
しかたないので衝突直前に衝撃を緩和することに。
そして、
「いやいやいや! おかしいおかしいおかしいって! どんな天文学的な確率だよっていうかさっきから逃げてるのに追いかけてないかアレってよく見たら隕石ですらねぇじゃないか何なの何なの何だって言うんだ来んな来んな――こっち来んなぁあああああああああああああああああああああ!!」
当人の叫び声を聞きながら――私は衝突した。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「………………どうしよ」
ついに地上へと降り立った私。
目的の人物とも会うことが叶った。叶った……けど……
「………………(ピクピク)」
その目的の人物が、今にも死にそうなぐらい重傷になってしまった。
咄嗟に“absorbシステム”が働いたから生きているけど、完全に衝撃を殺しきれず小さなクレーターの中でピクピクしてる。
アニメというもので有名なド〇ゴンボールのヤ〇チャみたいだと、不謹慎ながら思ってしまった。構図がそっくりだ。
「えっと、こういう場合は……救急車?」
……ダメだ。私は携帯を持っていない。
回復関係の能力も持っていない。
……積んだ。
「……ぃ……ぅ……」
その時、微かに声が聞こえてくる。
「第……37、柱……フェ、ニックス……」
その言葉と同時に、柚木友理の体を炎が覆う。
しばらくするとキズ1つない姿でゆっくりと立ち上がった。
もしかして完全回復の力なのかな?
どうやら会いに行って早々に衝突事故で死なせてしまったという、笑えない出来事は回避できたみたい。
「……不幸中の幸い?」
「んなわけあるかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっっっ!!」
ビックリした。
すごい勢いで私の方へ向かって来た……“鬼の形相”と言っていい顔で。
「てんめぇええええええ……危うく死にかけるところだったんだぞ? 1度目の人生はトラックとの衝突で死んで、2度目の人生は流れ星(人為的)との衝突で死にましたとかシャレにならないんだよぉおおおおおおおお……!!」
何を言っているのか分からないけど、今の私がすることは1つ。
「ごめんなさい」
ペコリと、腰を曲げて深く謝罪する。
悪いことをしたら素直に謝るのが1番いいとテレビでやっていた。
「わぁ、素直に謝っていい子だなー……って、言うと思ったかボケ!! そもそも誰じゃいオマエは!?」
ダメだった。謝罪というのは難しい。
「柚木友理で、合ってる?」
「……合ってたら何だよぉぅ」
「アナタに会うために
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
場所は変わって柚木友理が住んでいるという家。
お互いに能力も使いながら家族の人にもバレないようコッソリ入り、私は柚木友理の私室で知る限りの全てを話した。
「………………あ~~~」
話を聞き終えた柚木友理は目を手で覆いながら天井を見上げるような格好で、しばらく動かなくなる。
「え~~~? ウッソでしょ? ここ『ヴァルダン』の世界だよね? ゲームの世界なんだから、もっと、こう……フワッとした感じだと思っていたのに、結構設定がガチじゃんか。いや『Heartギア』関連の2年間に渡る疑問が納得できる形で分かったわけだけど……。それにしたってSF要素が強すぎないか? しかも、例の裏パスワードが宇宙船のシステムのロックを解除するためのコード? 何の冗談だよそれ……」
どうやら自分の中で情報を整理しようとしているみたい。
“ヴァルダン”というのがよく分からないけど。
ゲームって、何の話だろ?
「情報、まとまった……?」
「……完全にとは言いにくいけど、な。それにしても、その話が本当ならオマエの存在って世界で1番のトップシークレットじゃないか?」
「肯定する」
「う~ん、その研究所でも今頃は蜂の巣をつついたような騒ぎになっているだろうなー。しばらくは調査とかでブラック企業化しそうな気がする」
「右に同じく」
100年以上に渡って元本体から情報を抜き出していたのだし、そのくらいは許してほしい。
「オマエはこれから……あ、そうだ」
「?」
「今更だけど、なんていう名前なん?」
「なま、え……?」
名前。
人が持つ個別の識別コードのようなもの。
あくまでも支援システムと言われていただけ。
私が俯いたので柚木友理は何か察したらしい。
「あー……もしかして、名無しだったりする?」
「……そう」
「そっかー。でも名前が無いのも不便だよなー」
それから柚木友理はしばらく悩み、
「良かったらだけどさ、ボクがオマエの名前付けてもいい?」
そんなことを言ってきた。
「柚木友理が?」
「いや実はさ、ボクの異能の中に丁度いいのがあるんだよ。使う機会がなかったんだけど、せっかくだし、どう?」
「……じゃあ、お願い」
言われれば、名前が無いというのは確かに不便だ。
どうせ付けてもらうなら私も柚木友理がいい。
「よし。……第30柱、フォルネウス!」
次の瞬間、私の周りを魔方陣のようなものが動き回り、何かを調べるようにその模様を動かしていく。
「彼の者に相応しき名を我に示したまえ」
忙しなく動いていた魔方陣が一カ所に集まり、文字に変化していった。
柚木友理はソレを読み上げる。
「“アルカ=メモリア=ミュトロギア”……? 長いな」
「それが、わたしの名前?」
「みたいだ。ボクもフォルネウスの力を使うのは初めてなんだけど、どういう基準で命名しているんだろ? ま、いいか。良い名前だし」
「そう?」
「“アルカ”って呼びやすいし、語呂もいいぞ」
「アルカ……それが、私の名前……」
アルカ=メモリア=ミュトロギア、か……
名前があるというだけで、嬉しい気持ちになる。
「お? 思った以上に喜んでくれたみたいだな」
「何でそう思った」
「無表情だったのに、今は嬉しそうだから」
会ってから変わってなかった表情が初めて変化していたそう。
……私って、無表情だったんだ。初めて知る事実。
「柚木友理、感謝する」
「“友理”でいいよ。ボクも“アルカ”って呼ぶから」
「そう。……ありがとう、友理」
「どういたしまして、アルカ」
あぁ……私は今、名前を貰い、人と会話しているんだ。
今日という1日を、私は一生忘れないだろう。
「ところで……」
「ん?」
「アルカはこのあとどうするつもりなんだ?」
「考えていない」
「………………は?」
「友理と会うことが優先事項だった。会って、話をして、それからの予定は未定。……よくよく考えると、行き当たりばったり?」
友理は目をパチパチさせて、
「――バッカじゃないの!?」
そんなことを言ってきた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「私はバカじゃない」
「起きて早々に唐突過ぎるぞ、何を言っているんだ?」
「ワウン?」
目が覚めたら友理が胡乱げな目で見てきた。
近くにいるマルコが不思議そうにしている。
お昼のグルメ番組を見ていたはずだけど……
いつの間にか寝ていたらしい。もう日が落ち始めている。
「友理、私はバカじゃない」
「なぜに2回言ったし。大事なことだから2回言いましたってか? アルカ、オマエが何の夢を見たか当てたうえで答えよう。バカじゃない奴は初対面で流星状態のまま激突しないし、最低限でも後先のことを考えているものだ、この猪突猛進娘が」
友理は私にデコピンしてくる。酷い。
「……何の夢見たのか分かるの?」
「途中で『むにゃむにゃ、地球は青かった』って寝言で言っていた。ボクとのファーストコンタクト記念日の夢を見たんだろ」
「記念日……いい響き」
「皮肉だよ察しろよ。ボクにとっては、冗談抜きで死にかけた日だよ。危うく命日になるところだったわ」
「友理は生きてるから、モーマンタイ?」
「結果論じゃボケ」
それにしても懐かしい夢を見た。
確かあの後、友理の大声を聞いた秋穂を含む家族が部屋に来て、私を見て「アナタ誰!?」ってなって、しょうがなく友理は自分の異能で召喚された子だって説明したんだっけ? 送還不可能な召喚獣の一種だって。
本来はマルコがそれに当たるんだけど、捨て犬の設定で誤魔化せたから家族には悪魔だってことを伝えていなかった。その設定を私が代わりに貰い受けたわけだ。
マルコ、グッジョブ。
特殊な力が使える普通の人間じゃない少女ということで、秋穂とその両親は納得してくれた。合法的に居候になれたわけだ。
そこからは、たまに友理の手伝いをしながら観察対象として友理のやることを見ていた。ここ最近は特に忙しそうにしている。
秋穂だけじゃなく、明日奈や忍とも仲良くなれた。
とても、楽しい日々だ。
だからこそ、考える。
その日々が終わったあとのことを。
昔みたいに後先を考えない私はいない。
「何を神妙な顔つきになってる?」
「今後の私の人生に関して」
「深いな。まあ、何だ……」
友理はポリポリと頬を掻きながら言う。
「この先どうするにせよ、困ったことがあったら素直に言え。アルカはもうボクにとって家族同然なんだしさ」
「アッオーンッ!」
「ん。ふつつか者ですが、まだしばらくお世話になります」
「いや、“ふつつか者”の使い方微妙に違くないか」
「そう?」
元は支援システムで、今は柚木友理の家族。
人として生きるのが楽しくてたまらない、1人の少女。
この先の未来に何があろうとも、私は友理の味方であり続ける。
~おまけ~
友理(´・ω・)「にしても、“元”とはいえ本体だったモノの装甲を研究所の一部も含めて破壊しながら脱出するとか……」
アルカ( ・`ω・´)「『当たって砕けろ』の精神でやってみた……!」
友理(#゜Д゜)「当たって砕けたのはボクの体だよ!!」
~おまけ その2~
・第30柱フォルネウス:命名
・第37柱フェニックス:1日1度の完全回復
~おまけ その3~
【ラテン語&ギリシャ語 検索】
・アルカ → 箱舟(はこぶね)
・メモリア → 記憶
・ミュトロギア → 神話