極限まで働きたくないから頑張って最難関のウマ娘トレーナーになったで   作:圧倒的雑魚臭

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ぎっくり腰で悶絶してました。年ですね。


EP15

 

「えー、前にも話したと思うが、我がチームに加入したマーベラスサンデーだ。病み上がりだから最初は別メニューになるが、リクリエーションとかは一緒にやってもらうから仲良くしてやってくれ。まあ同じ学年だからすでに知ってるとは思うが」

 

 あくびを噛み殺しながら退院したばかりの栃鹿毛のウマ娘をグラスとスカイに紹介する。

 朝早くレンタルした車を例の病院まで走らせてこいつを迎えに行き、戻ってきたのがもう日が沈みかけていた頃だった。一日中運転していた上に、退院したばかりのマベちゃんがテンション高くてやたら疲れてしまった。運転に慣れていないとはいえ、貴重な一日を潰してしまったのは申し訳ないが、まあブロントさんに預けたから練習強度は申し分ないだろう。

 

「トレーナーさん、もうどっか行かないで下さいよ。セイちゃんマジでブロントさんに殺されるかと思いましたよ……」

 

「あら、私はいい練習になりましたよ。セイちゃんはもう少し練習慣れしときましょうね」

 

 そんなことを言うグラスだが、足膝が小刻みに震えているのが分かった。

 ブロントさんどんなトレーニングさせたんだ……。

 

「マーベラース☆最初から夏合宿なんてマーベラスね!よろしくお願いするわ」

 

 車に同乗していた時と同じようにハイテンションで挨拶するマーベラスサンデー。

 そもそも彼女を引き受けたのは友人の頼みとかではなく、俺なりの勘だ。

 年々薄れゆく転生前の記憶。最近は転生したことさえ忘れがちになる中、マーベラスサンデーの存在はその事実を引き留めておく繋ぎ目のような役割になる。転生したことに特に意味がなく、神様の気まぐれだというならそれもいい。ただ、このことになんらかの意味があるならそれを忘れてはならない。いや、きっとあるはず。なんとなくだが、俺はそう確信している。

 

「あら、病み上がりと聞き及びましたが元気がいいですね」

 

「マベちゃん久しぶりだねー。てかトレーナーさんが新しい担当持つなんて珍しいね。なんでも見通しちゃうマベちゃんアイでトレーナーさんを落としちゃったのかな?」

 

 すると今まで元気に騒いでいたマベちゃんが声も出さずにじっと二人を見つめ始めた。

 横からその様子を伺う。口元は大きく開き笑っているようにも見えるが、目は相変わらずのしいたけ。今日丸一日一緒にいたが、顔の表情だけでは何を考えているのか分からん。声や仕草が分かりやすい分、時々こうやって黙って見つめられると結構怖い。車ん中でもなんか誰もいない窓の外に向かって話してたし。

 

「グラスちゃんは誰かに恋してるわね!スカイちゃんは口で言えないけどトレーナーにすごく感謝してるわ!二人ともとってもマーベラスね!」

 

「な、な……!」

 

「マ、マベちゃん何変なこと言い出すの!?ト、トレーナーさん!こ、これはマベちゃんの感想であってですね……」

 

 一瞬にして場が修羅場に変わる。

 

 グラスも年頃だし恋の一つや二つしたっていいだろ。スカイはまあ、大体察してた。分かりやすいもん。

 

 疲れてるのもあるが、今日一日こんな感じだったのでもはや驚きもしない。慌てる二人と対照的にすぐに休みたい俺はこの場をさっさと切り上げたかった。

 

「あーうん。まあマベちゃんは大体いつもこんな感じだ。悪気はないからあんま気にするな。むしろ隠し事できなくなって緊張感ますだろ?」

 

「「だから事実じゃありません!!」」

 

 うーん見事なハモリだ。事実じゃないならなんでそんなに動揺するのかなあ?あ、やべ。そういや……。

 

「マベちゃんマベちゃん。俺の中に二人いるってのは他の人には内緒な」

 

 やたら喚いている二人を尻目にマベちゃんを引き寄せると、その大きな耳元でそう囁く。マベちゃんが俺の方を見ながら笑顔のまま小首を傾げるのが見て取れた。

 

 うーん……。分かっとるんだろうか、この娘。

 

 一抹の不安を残しながらその場を無理やりお開きにする。

 スカイはなんか文句たれながらダッシュで宿舎に走っていった。マベちゃんも流石に疲れたのか、あくびをしながら歩いていく。

 ふと見ると、グラスワンダーだけが一人残っていた。

 

「グラスも帰りな。今日も疲れただろ。休むのもトレーニングの一環だぞ」

 

 しかし栗毛のウマ娘はその青い瞳を夕日に瞬かせてこちらを凝視していた。

 

「……トレーナーさん、もう少し練習に付き合っていただけませんか?」

 

 足元を見やる。未だ震えるその細い脚は限界を迎えていることを暗に訴えていた。

 

「……少しだけな。それも軽いやつだ。まずは歩きながら腿上げ」

 

 何故それを受け入れたのか。それは、彼女の目に何か思いつめた焦燥を感じ取ったからかもしれない。

 俺が承諾しなければきっと負荷の重い自主トレをしていたという懸念がよぎったのは確かだった。

 

「あ、トレーナーさん」

 

 思い出したように腿上げを始めようとした体勢を止めてこちらに近寄る。

 

「私、つ、付き合ってる人とか、本当にいませんからね!」

 

 口に手を当ててこそこそ話をするようにささやく彼女の顔は夕日に照らされて赤く染まっていた。

 

 




マベちゃんのキャラが良く分からん。実装はよ。
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