ラーの翼神竜に転生したけどなんか質問ある? 作:悲しいなぁ@silvie
「お、おお……っ!?」
オベリスクの圧倒的な威圧感に
(なんだこの感じ…っ!?ラーを初めて召喚した時もオーラっつーかそういうのを感じたが…それとも全然違う…っ!!)
心臓を握り締められるような、直接的に自身の生き死にを司られるような感覚に全身の汗腺が馬鹿になったかのように汗が噴き出す。
目の前に泰然と佇むだけのオベリスクに遊斗は膝を折る。
しかし──
「上…等っ!!」
その眼は、睨みつけるその瞳には確かな闘争の炎を灯らせていた。
「デケーだけの木偶の坊ならやりようなんて幾らでもあるぜ!
オレは
主の心を写したように牙を剥く獅子は神を前に怯むことなくその五体でもって対峙する。
(神のカード…恐らく耐性はラーと同じと思っていい筈
なら、通じるのは戦闘破壊とリリース除去…手札に壊獣が居りゃあ話が早かったんだがな)
遊斗はチラと手札を見て歯噛みしつつ策を練る。
(攻撃力…4000打点以上を用意して真正面から叩くしかねーな)
真剣な眼差しで手札とオベリスクとを見る遊斗に
「ふむ、ならばただの
私はリバースカードを発動、ダブルフッキング
手札を1枚捨てる事で私の墓地のモンスターを2体まで特殊召喚する
私は冥帝エレボスと天帝アイテールを特殊召喚
アドバンス召喚ではない為にどちらも効果は使えないが…問題無い」
「モンスターを特殊召喚…?一体何する気だ…」
海馬の行動に遊斗が訝しんだ次の瞬間、それまで微動だにしなかった巨神は2体の巨人をその巨大な手で握り締めた。
「私は今特殊召喚した2体のモンスターをリリースし、オベリスクの巨神兵の効果発動
自分フィールド上のモンスター2体をリリースし、相手フィールドのモンスターを全て破壊し相手プレイヤーに4000ポイントのダメージを与える!」
「なにっ!?」
オベリスクは2体の巨人を握り潰すとその骸から出た魂を吸い込みただでさえ大きいその身体を更に膨れ上がらせる。
巨神は高層ビルかと見紛う程の剛腕を振り上げるとそのまま遊斗に向かって振り下ろした。
『BAAAAOOOOH!!!』
「うおおお!?オレは墓地のダメージ・ダイエットの効果発動!!
自身を除外する事でこのターンオレが受ける効果ダメージを半分にする!!」
オベリスクの剛腕はいとも容易くフィールドのモンスターを叩き潰し、その余波で遊斗のライフを大きく削った。
遊斗︰LP3500−4000÷2→1500
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!!」
全身を貫くような衝撃に息を荒らげるも、遊斗は歯を食いしばり海馬を威圧する。
「あれ…?遊斗の手札が、増えてる…?」
目まぐるしく変わる盤面、それら一切に不理解な杏子だからこそその変化に気付いた。
「それに、本来ならば蘇生したモンスターがオベリスクの効果でリリースされた際に破壊される筈のダブル・フッキングが私の場に留まり続けている…」
「オレは、オベリスクの巨神兵の効果を使われる前に速攻魔法魔力の泉を発動していた!」
遊斗はそう言うと無理矢理に笑顔を作る。
宣言無しにカードを発動することなど紛うことなきルール違反ではあるが、海馬は微笑と共にそれを流す。
「なるほど、相手のフィールドに表側で存在する魔法・罠カードの枚数分ドローし自分フィールドに表側で存在する魔法・罠の枚数分手札を捨てるカードだったかな?
そして、次の私のターン終了時まで魔法・罠カードは破壊されなくなる…例え自身の効果であっても」
「そう…オレはカードを3枚ドローし、手札から超電磁タートルを捨てていた!
更にオレはカードを1枚セットして魔法カード運命のドローを発動!このカードは自分のライフが相手より少なく、攻撃力が一番高いモンスターが相手フィールドに存在する場合に発動できる!
デッキからカード名が異なるカード3枚を選んで相手に見せ、その3枚をシャッフルしてデッキの上に戻しその後、オレはデッキから1枚ドローする…
オレが選ぶのはこの3枚だ!」
遊斗の前に3枚のカードがソリッドビジョンによって公開される。
ラーの翼神竜 ジャンクリボー バトルフェーダー
(……九重少年の持つ神とダメージを与える効果を無効にし破壊するジャンクリボー、そして直接攻撃を無効にしバトルフェイズを強制終了させるバトルフェーダーか
中々どうして、考えているな)
「カードを1枚ドローして、ターンエンド」
「私のターン、ドローフェイズからスタンバイフェイズへ
更にメインフェイズ1へ…何も?」
「あー、お好きにどうぞ」
「では、私は手札から魔法カードマジック・プランターを発動
用済みとなったダブル・フッキングを墓地に送り2枚ドローする」
海馬はドローしたカードを見つつ考える。
(さて…どうしたものか
墓地の超電磁タートルによってこのターン、戦闘ダメージは期待出来そうにない…それに効果ダメージもジャンクリボーを引いていた場合を考えると軽々に狙うべきでもなし…
そして、フィールドに破壊すべきモンスターが居ない以上オベリスクの効果は発動出来ないか…)
暫しの沈黙の末、海馬が仕掛ける。
「私は手札の雷帝家臣ミスラの効果発動、自身を特殊召喚し相手フィールドに家臣トークンを特殊召喚する
更に墓地の帝王の溶撃を除外する事で真源の帝王の効果発動、自身をモンスター扱いで特殊召喚する」
「マズい!ミスラの効果で遊斗の場にモンスターが特殊召喚されちまった!!」
海馬の狙いを瞬時に理解した
「私は真源の帝王と雷帝家臣ミスラをリリースし、オベリスクの巨神兵の効果発動!
オベリスクの巨神兵は自身のランク以上の神のランクを持つカード以外の効果を受け付けない、つまりジャンクリボーでは無効化出来ない!」
オベリスクは再び2体のモンスターを握り潰すとその豪腕を振り上げる。
今度こそ目の前に立つ遊斗を打倒せんと振り下ろされるその豪腕は断頭台の刃が如き絶望と共に唸りを上げて少年へ迫る。
「この瞬間!オレは手札のハネワタを墓地へ送り効果発動!
このターン、オレが受けるあらゆる効果ダメージは0になる!」
目の前の地面と共に矮小なその体躯を吹き飛ばさんとした豪腕はもこもこの毛玉に阻まれた。
砕けて巻き上げられた地盤すらもその体毛で絡め取り遊斗にはチリ1つ通さないと胸を張るハネワタ。
「ハネワタ…!既に効果ダメージ対策のカードを引き込んでいたわけか
先ほどの運命のドローは私にジャンクリボーを見せて帝王モンスターの展開を抑制する事と、バーン対策カードを持っていないと錯覚させオベリスクの効果でリソースを削る事が狙いだったわけだ…
だが、九重少年はハイランダーだというのになぜそんなにもバーン対策カードを…?」
遊斗の狙いを遅まきながら理解した海馬は当然の疑問を投げかける。
「……知り合いに…バーン使いが居て……勝てねぇから…
でも………何枚メタ積んでもいざソイツとのデュエルになると引けねぇんだ…」
遊斗は遠い目をしながら虚ろに吐き捨てる。
城内がその姿を見ながら全力で視線を逸らしたのは言うまでもない。
「……とにかく、と・に・か・く!!
アンタのターンだぜ社長さん!それとも、このままターンエンドかい?」
「ふむ、もう少し動かせて貰うとも
私はまだこのターン通常召喚をおこなっていない、手札から天帝従騎イデアを通常召喚
効果により冥帝従騎エイドスを特殊召喚し、エイドスの効果で手札から2枚目の天帝アイテールをアドバンス召喚
冥界の宝札により2枚ドローし、アイテールの効果を発動」
「ねぇ…なんで強貪打っててエイドスとか枯れてねぇの?
おかしくね?積み込んでねーか社長さんよぉ!?」
瞬く間に盤面に降り立った帝王とその帝王が齎すドローに遊斗は青筋を立てながら抗議する。
しかし──
「そんなことはないさ、実はかなり重要なカードが除外されてしまってね…
私はアイテールの効果により真帝王領域と帝王の溶撃を墓地へ送りデッキから3枚目のアイテールを特殊召喚する」
アイテールがその手を翳すと何処からともなくアイテールが現れオベリスクと共に遊斗を睨みつける。
(……真帝王領域と帝王の溶撃…?墓地効果も無いうえに出来れば手札に引き込んでおきたいカードを墓地へ送ってまで効果を使うって事は…
恐らく、もう社長さんの手札に最上級モンスターは居ない…!
しかも、帝王魔法や罠も枯れてきてると見たぜ!)
遊斗は鋭い目つきで帝王と神を睨み返す。
その脚は、もう震えていない。
「メインフェイズ1を終了しバトルフェイズへ移行」
「その瞬間!墓地の超電磁タートルの効果でバトルフェイズを強制終了する!!」
帝王と神がその力を見せようと迫って来た刹那、その胸に二つの磁極を宿した亀が雄叫びを上げ海馬のデュエルディスクへ電撃を放つ。
その電撃はオベリスクの巨大な手のひらに安々と防がれるもその余波は海馬のデュエルディスクを蝕み、エラーを引き起こす。
「メインフェイズ2へ移行、カードを1枚セットしターンエンド
そして天帝アイテールの効果で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に私の手札に戻る」
二人のアイテールの内の片方がゆっくりと海馬の方へ歩み寄りその手札へと身を潜める。
「オレのターン、ドロー!
……オレは墓地の
手札を1枚デッキに戻し、1枚ドローする!」
遊斗はデュエルディスクの自動シャッフルを見ながら一筋の汗を流す。
(ここであのカードを引けなきゃオレの負け、来てくれよ…!)
「ドローッ!!」
デッキから勢いよくカードを引き抜いた遊斗はチラとそのカードを確認し──ニヤリと笑った。
「オレは手札から魔法カード貪欲な壺を発動!
墓地から教導の騎士フルルドリス、希望魁竜タイタニック・ギャラクシー、ハネワタ、ダイナレスラー・パンクラトプス、獣王アルファの5体をデッキに戻し2枚ドローする!
…よしッ!!更にオレは魔法カード心変わりを発動!
コイツは相手フィールドのモンスター1体のコントロールを得る!オレが選ぶのは…天帝アイテールだ!」
悪魔と天使の羽を持つ少女が蠱惑的な瞳をアイテールに向けるとアイテールはヨロヨロと意識を失ったように遊斗のフィールドへ向かい、オベリスクに対峙した。
「これで…オベリスクの効果は封じたぜ!」
グッとガッツポーズをとりながら遊斗はそう宣言する。
「オベリスクの効果って…そもそも向こうのフィールドにはオベリスク以外にはアイテール1体だけだったんだし2体のリリースが要るオベリスクの効果は元から使えねぇじゃんかよ?」
「……さっきみたいに蘇生カードを使われた時の事を想定してって事じゃないかな…?
例えばあの伏せカードがリビングデッドの呼び声みたいなカードだとしたらアイテールのコントロール奪取は間接的にオベリスクの効果封じになるし…」
遊斗のセリフに困惑する本田と城内。
しかし、海馬は遊斗に賞賛の笑みを向ける。
「中々、思い通りに行かないね…オベリスクの効果をここまで完璧に理解されているとは思わなかったよ」
「へっ!残念だが、オレは初めて見るカードの効果は舐めるように見る事にしてんだよ!
オベリスクの効果に必要なのは自分フィールドのモンスター2体…つまり、
要はオベリスクの効果に必要なのはオベリスク+2体のモンスターじゃなくて、オベリスク+1体のモンスターって訳だ」
神の効果を看破した遊斗はその異様とも言っていい能力を語る。
「オベリスクとモンスター1体…って…強過ぎんだろ…!?
無茶苦茶じゃねぇか!!」
「たった2枚のカードで初期ライフ分のバーンダメージなんて…そんなの有りなの…?」
「あ、もしもしお母さん?今日ちょっと帰り遅くなりそうなの!
ごめん!!晩ごはんまでには帰れると思うから!」
二人はその効果にドン引きし、杏子はパンドラに頼んで親に今日は帰りが遅くなる旨を伝えていた。
「ったく、それこそダブルフッキング1枚でゲームエンドとか頭オカシーだろ…
まっ、その頭オカシー効果もオベリスク1体じゃ使えねーけどなぁ!
オレは手札から相剣軍師-龍淵の効果発動!手札の「相剣」カード1枚または幻竜族モンスター1体を捨てて自身を手札から特殊召喚する!
オレは手札の幻竜族モンスター、タツノオトシオヤを捨てて効果発動!
来い、相剣軍師-龍淵!
更に、この効果で特殊召喚した龍淵はオレの場に相剣トークン1体を生成する!」
金色の太刀を光らせる竜剣士は神の威容に怯むことなく、その剣を一振りする。
すると、その光の残照をヒラヒラと一匹の蝶が舞った。
相剣軍師-龍淵 ATK1200 DEF2300 攻撃表示
相剣トークン ATK0 DEF0 攻撃表示
「相剣トークンがフィールドに存在する限り、オレはシンクロモンスターしかEXデッキから特殊召喚出来ない…けど、制限されてんのはあくまでEXからだけだ!」
遊斗の場の3体のモンスターが光の粒となって空に昇っていく。
粒子はやがて巨大な太陽のように輝き、1体の竜を象る。
「オレは3体のモンスターをリリース!
コイツがオレの切り札だぜ…行け!ラーの翼神竜!!」
『ルゥゥアアオオオ!!!』
勇ましい咆哮と共に、太陽の神は破壊の神と対峙した。
ラーの翼神竜 ATK4000 DEF3300 攻撃表示
「…っ!これが最後の神、ラーの翼神竜…
なるほど、一筋縄ではいかなそうだ」
ラーの威容を真っ向から受けた上で、海馬は身じろぎ1つせずに睨みつける。
「だが…年端も行かぬ子供を矢面に立たせようとする阿呆に負ける訳にはいかない」
『ル、ルゥァン…?』
周囲の空気が変わる程の敵意を向けられたラーは若干困惑したように海馬を見つめ返す。
その目は心なしか悲しそうであった。
『GOORRRRRR??』
そして、海馬に睨まれて怯える竜をオベリスクは意外なものを見たといった風に見つめていた。
………本来ならば精霊の言葉は人間には理解出来ないが、特別に翻訳してお届けしよう。
『HUUUOOOOORRRR(ラー、貴殿も人間界に降りておったか!やはりかの厄災の気配を感じ取ったのは我だけでは無かったようだな…)』
オベリスクの地の底から這い出るような重低音の雄叫びにラーはビクッとその身を震わせると恐る恐るか細い声をあげる。
『ル、ルゥァン…?(ル、ルゥァン…?)』
『………GOAAAAAHHHHH!!(……巫山戯ているのか?ラーよ、敵は我ら三幻神が一度は不覚をとった相手ぞ。そのような腑抜けた心持ちで相手取って良い敵では無い!!)』
怒りを滲ませたオベリスクの咆哮に当社比25%程身体を縮ませたラーはその目尻に若干の涙を浮かべながら呟くように言う。
『ぬるぽ……(ぬるぽ……)』
『GGGAAAAAHHHHHH!!!!(もうよい!!我との問答をせぬ心積もりならば、その五体でもって証明してみせよ!我と我が選びし豪傑を見事超えてみせよ!!)』
大地が揺れる程の咆哮にラーは完全に怯えきって遊斗の後ろに隠れる。
しかし──
(……ラーの効果でオベリスクを除去しちまえばダイレクトでオレの勝ち、だが……
あの伏せカード、一体なんだ…?
完全耐性持ちのラーに効く伏せカードなんてほとんどねー、ねーんだが…例えば、アレがディメンションウォールとかのダメージそのものに作用するカードだとしたら…?
いや、それこそ強制終了みたいなバトルフェイズをスキップするカードだったらその時点でほぼオレの負けだ…オレのライフは今1500ポイント、ラーのコストが1000だからダイレクトが通らなきゃ最上級帝のバーン一発で負け…!
……………チッ、ここは安全策とるしかねーか)
「バトル!オレはラーの翼神竜でオベリスクを攻撃!
ゴッド・ブレイズ・キャノン!!」
「迎え撃て、オベリスクの巨神兵!」
海馬の声に応えたオベリスクはその巨体をもってラーを威圧する。
しかし、ラーは遊斗の服を掴んで何とか踏ん張ってオベリスクから逃れようとしていた。
「…ゴッド・ブレイズ・キャノン!
…………ゴォォッド!ブレェイズ!キャノォォン!!!」
プレイヤーからの命令を全力で無視しようと藻掻くラーを遊斗は自身の背中から毟り取るとオベリスクに向けて思い切り投げつけた。
それはそれは見事な投球フォームであった。
『ギャャャャアアァァァス!!!』
『GGUUUUOOOOORRRRRRR!!?』
オベリスクは投げ飛ばされたラーに一瞬面を食らったもののすぐさまその拳で撃墜する。
しかし、少年に投げ飛ばされた上に顔面を強面の神にぶん殴られたラーは涙ながらにその口から滅茶苦茶に炎を吐き出して暴れ回る!!
『ギャアギャア!!ギャアアア!!』
『…ッ!GOAAAAAHHH!!』
その炎が海馬の元へ飛ばぬようにその身をもって受け止めながらラーに駆け寄ったオベリスクはその拳を駄々っ子のようにのたうち回るラーの翼神竜に打ち下ろした。
『ギッ…!!ギャァゥゥン……』
頭を潰されたラーは光の粒となって消えていく。
しかし、ラーの炎を身体で受け止め続けたオベリスクもまた限界を迎え力無く膝を折った。
『GGGGHHHHOO……!』
二柱の神は互いに拮抗…?し合い倒れ伏す。
「ふぅ……オレはこれでターンエンドだ」
やりきった表情で遊斗はターンを返す。
「私のターン、ドローフェイズからスタンバイフェイズへ」
(さて、九重少年の場には伏せカードが2枚のみで手札も無し…
翻って私はモンスターこそ居ないものの場には連撃の帝王と冥界の宝札、伏せカードが1枚にこのドローで4枚の手札……)
デュエルモンスターズというカードゲームは手札の枚数が可能性と語られる程に他のカードゲームと比べても手札が重要視される傾向にある。
無論、デッキタイプにもよるが殆どのデッキにおいて手札が多ければ多い程に多彩な展開や戦略を繰り広げられる事は言うまでもない。
一説には手札1枚につきライフポイントに換算すれば1000ポイント分…つまり初期ライフの四分の一程の価値があると言う決闘者も居る程である。
更に、このデュエルが始まってから遊斗は一度として海馬にダメージを与えられていない。
戦況は呆れるほどに圧倒的であった。
「メインフェイズ1、私は墓地の冥帝従騎エイドスの効果発動
自身を除外する事で墓地の天帝従騎イデアを特殊召喚し、天帝従騎イデアの効果を発動
デッキから2枚目の雷帝家臣ミスラを特殊召喚する
更に、2体のモンスターをリリースし天帝アイテールをアドバンス召喚
冥界の宝札の効果で2枚ドローし──」
海馬が冥界の宝札により更に手札差を広げたその瞬間、遊斗はバッと手を突き出し…獰猛に笑う。
「この瞬間!罠カード発動、逆転の明札!!
このカードは相手がデッキからカードを手札に加えた時、またはドローフェイズ以外でデッキからカードをドローした時に発動できる!
オレは逆転の明札の効果により、相手の手札と同じ枚数になるように自分のデッキからカードをドローする!」
「同じ枚数…!これは…」
「随分溜め込んでんじゃねーかよ…ありがとなぁ!!
ドローッ!!…へっ!オレは今ドローしたこのカードをアンタに見せる事で効果発動!
来い、守護神官マハード!!」
遊斗の場に浅黒い肌の神官が金色のワンドを手に現れる。
守護神官マハード ATK2500 DEF2100 攻撃表示
「攻撃表示…?………ならば私は天帝アイテールの効果発動
デッキから進撃の帝王と真帝王領域を墓地へ送り、デッキから烈風帝ライザーを特殊召喚!」
「んー?特殊召喚…?社長さん、アンタ今特殊召喚って言ったかぁー?
なら!オレは手札のエクストラ・ヴェーラーの効果発動!
相手がモンスターを特殊召喚した時、手札からこのカードを特殊召喚できる!
更に!この効果で特殊召喚したターン、相手のカードの効果によって発生するオレへの効果ダメージは代わりに相手が受ける!」
親の仇のようにふんだんに盛り込まれたバーン対策カードの1枚が遊斗のフィールドに降り立つ。
エクストラ・ヴェーラー ATK600 DEF200 守備表示
「バトルフェイズへ移行、烈風帝ライザーでエクストラ・ヴェーラーを攻撃」
巨人が放つ暴風が闘牛士のような姿をしたモンスターを呑み込み消し飛ばす。
「続けて天帝アイテールで守護神官マハードを攻撃する」
白き巨人はその錫杖を握り締めると目下の神官を圧殺せんと振り上げる。
「この瞬間!罠カード発動、メタバース!
このカードはデッキからフィールド魔法1枚を選択して手札に加えるかそのまま発動できる!
オレはデッキから闇黒世界-シャドウ・ディストピア-を発動!」
瞬間、世界が黒き闇に包まれる。
「闇黒世界-シャドウ・ディストピア-の効果でフィールドの全てのモンスターは闇属性になる!」
「闇属性…!なるほど、この為の攻撃表示か!」
「そういうこったぜ!守護神官マハードの効果!
マハードは闇属性モンスターとの戦闘時に攻撃力が倍になる!」
周囲の闇に蝕まれ白き身を黒く染めた巨人を神官は鋭く睨みつけるとそのワンドから眩い閃光を放つ。
守護神官マハード ATK2500×2→5000 VS 天帝アイテール ATK2800
「ぐっ…」
海馬︰LP4000→1800
「さぁ、これで形勢逆転──」
遊斗はニヤリと笑いながらフィールドを見て…驚愕した。
「なっ…!?これは──っ!?」
「私は手札から速攻魔法ライバル・アライバルを発動、ライバル・アライバルは互いのバトルフェイズにモンスターを召喚できる魔法カード!
私は烈風帝ライザーをリリースし邪帝ガイウスをアドバンス召喚し、邪帝ガイウスの効果により守護神官マハードを除外
そして、バトルフェイズに召喚された邪帝ガイウスには未だ攻撃権が残されている…これで終わりだ
邪帝ガイウスでダイレクトアタック!」
黒き巨人は闇黒世界を居心地良さそうに闊歩しながら少年へ引導を渡す為、黒い魔力の塊を放つ。
「──ッ!手札からD-HEROダイナマイトガイを捨てて効果発動!
この戦闘で受けるダメージを0にし、その後互いに1000ポイントの効果ダメージを受ける!」
「そうはいかない!罠カード発動、神の通告!
1500ポイントのライフを払い相手のモンスター効果を無効にし破壊する!」
「なっ───!!」
魔力の塊から主を護ろうと飛び出したヒーローは神からの一喝により膝をつく。
そして、遊斗は爆煙に包まれた。
「遊斗ーーッ!!」
「遊斗君っ!!」
二人が悲鳴に近い叫びを上げる。
そして、爆煙がはれ──遊斗は座り込んで天井を見上げていた。
「かー…っ!勝てねぇか……」
遊斗︰LP0
「………ふむ──痛み分け、と言ったところかな?」
海馬︰LP0
「…えっ!?」
「な、なんで向こうのライフまで0に…?」
海馬はデュエルディスクを外すと遊斗に歩み寄り手を差し伸べる。
「素晴らしいデュエルだった、久々に楽しませて貰ったよ」
「けっ、こんな一方的にやられて素直に喜べるかよ…」
遊斗はその手を取らずそっぽを向いて立ち上がる。
「お、おい遊斗…なんで引き分けになってんだよ…?」
手を取られず少し寂しそうにする海馬と唇を尖らせて悔し気に立つ遊斗に本田が問い掛ける。
「……オレが社長さんの神の通告に手札から罠カード、レッド・リブートを発動したからだよ
レッド・リブートはライフを半分払えば手札から発動できる罠カード…その効果で罠・魔法カードを無効にして再セットした
つまり、神の通告が無効になったからダイナマイトガイの効果がそのまま発動したんだよ
オレはレッド・リブートのコストでライフが半分になってダイナマイトガイの効果でライフ0
んで、社長さんは通告で減ったライフがダイナマイトガイで0になって引き分け……これで良いか?」
不貞腐れながらそう吐き捨てる遊斗に海馬は微笑ましそうに笑う。
「随分と遅くなってしまったね…車を手配しよう
重ね重ね、今日は楽しかったよ九重少年」
「わぁー!ホントですか!?ありがとうございます、海馬総帥!ほら!早く帰るわよアンタ達!」
「……チッ、わーってるっての!」
「おい、待てって遊斗!」
「わ、わ、わ…置いてかないでー!」
杏子に急かされた遊斗はズカズカと出口へ向かって歩いて行く。
そしてその後ろを二人が走って行った。
海馬は手早く受付けに連絡を入れると少年達の後ろ姿を見続ける。
「……何故ですか総帥」
それまで何も言わずにいたパンドラは海馬へ尋ねる。
「何故…とは?」
「先ほどのデュエル…確かに接戦でした──一見すれば、ですがね」
「………パンドラ、何が言いたい?」
パンドラはその仮面の奥の目を鋭くし問い掛ける。
「勝てた筈です…総帥、貴方ならば!
何故墓地の帝王の凍気の効果を使われなかったのですか!
最後のターン、少年の伏せカードの何方か一方でも破壊していれば総帥の勝利は揺るがなかった筈…!」
「……パンドラ、今回のデュエルはあくまでも九重少年に最低限自衛が出来る程度の実力があるかを測る事が目的
私が勝利する必要はなかった」
「勝利する必要…?あった筈だ!
勝利して少年からラーの翼神竜を奪い…そうすれば──!」
パンドラは海馬に詰め寄ると肩を掴み叫ぶ。
しかし……
「………落ち着けパンドラ
元よりこのデュエルで勝とうと負けようと九重少年からラーの翼神竜を奪う気など一切無かった」
「──ッ!?何故!!」
「犯罪だ、刑法第185条…ゲームに金品を賭ければ賭博罪にあたる」
「あ…あぁ………」
力が抜けたようにズルズルと座り込むパンドラに海馬はやれやれと肩を落とす。
「そもそも…楽しく遊ぶ子供達から玩具を取り上げる権利など、この世の誰にも有りはしないよ」
海馬は両手でゆっくりと髪を掻き上げると声の調子を鋭く変える。
「パンドラ、全グールズに通達しろ
これより、我が
総員、臨戦体制を維持し実力を磨くように…とな」
「総帥…」
「真に恐ろしい事は、被害者となる事ではない
真に恐ろしい事は、自身が加害者となる事…パンドラお前の思いを蔑ろにする訳では無い
少年が神のカードを手放す気が無いのならば…私達が先んじて問題を解決すれば良いだけの事、違うか?」
そう言って手を差し伸べる海馬の姿にパンドラは一瞬でも疑ってしまった自身の不明を恥じながらその手を取る。
「…はいっ!その通りですとも!」
「フッ、あぁそれと…グールズの構成員には引き続き少年とデュエルするように伝えてくれ」
「……?はぁ…それは構いませんが……一体なぜ…?」
「少年はかなり行動的だ…頭も回り、ハッキング等の技術もある
そんな少年に下手に自由に動き回られると危険だ…よって、こちらからグールズを派遣する事で少年にはその対応をし続けてもらう
要は時間稼ぎだよ」
「なるほど…ではすぐに伝令を!」
言うやいなや走り去るパンドラを見送ると海馬もまた歩き出す。
「……しかし、九重少年の持つラーの翼神竜…何故テキストが読めなかったのだ?
………私の持つオベリスクにも、もう一枚のオシリスにも無かった現象だ
それに、攻撃を嫌がるような素振りもあった……アレは一体…?」
海馬は人知れず首を傾げるのだった。
今日の最強カードはコレ!
このカードを通常召喚する場合、3体をリリースして召喚しなければならない。
①︰このカードの召喚、特殊召喚は無効化されない。
②:お互いのメインフェイズ1に自分フィールドのモンスター2体をリリースして以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールドのモンスターを全て破壊し、相手ライフに4000ポイントのダメージを与える。
●このカードの攻撃力をエンドフェイズ終了時まで∞にし、このターン相手フィールドの全てのモンスターに攻撃できる。
この効果を発動したターン、互いのプレイヤーは戦闘ダメージを受けない。
●このカードの元々の攻撃力はエンドフェイズ終了時まで∞になる。
③︰自分フィールドの、元々のカード名が「オシリスの天空竜」「ラーの翼神竜」となるモンスターをそれぞれ1体ずつリリースして発動できる。
相手は自分フィールドのモンスターを全て墓地へ送らなければならない。
その後、相手ライフに∞ポイントのダメージを与える。
④︰このカードは自身のランク以上の神のランクを持たないカードの効果を受けない。
⑤︰このカードが特殊召喚されている場合、エンドフェイズに発動する。
このカードを墓地へ送る。
もう…言うことは無いぜ!!
敵キャラのデュエル描写はどれぐらいが良いでしょうか?
-
ほぼ全て描写
-
最終盤面だけ
-
ざっくりダイジェスト